White Family dental-site 

怖い歯周病連鎖

「こんなに怖い歯周病とその対策」




2010年版絵で見る歯周病連鎖

 

歯ぐきの出血は、心臓病の注意報です

 

1.40歳までの根面露出と根面脱灰の怖さ

20歳をすぎると、40歳までに歯周病の進行が本格化して、歯の間の歯槽骨の皮骨が溶け、歯槽骨の高さが低くなって来ます。

そうすると、歯肉の退縮によって、根面の露出が始まります。
根面が長くなっても歯ブラシ習慣が変わらないと、根面の磨き残しが多くなります。

根面は70%の石灰ですから、虫歯菌の酸でなくても、弱い酸でカルシウムが溶け出します。
エナメル質虫歯のPhクリティカルレベルが5.5phであるのに対して、根面歯質のphレベルは6.5phよりですでに溶け始めるのです。

このレベルでは、水道水や少しの酸っぱい食品、水分補給の不足、食後の歯の間のお手入れができていないなどの理由でお口の中のPhがすぐに6phになってしまうので、炭水化物を栄養源とする乳酸菌ラクトバチルスの弱い酸でも根表面は容易に溶け、虫歯になります。

40歳くらいからは、見えない長くなった隣接根面が虫歯にならないような、隣接面ケア法とケアタイミングを身につけ、生活習慣を変えましょう。
歯周疾患

 

2.歯周病の進行

幼児期や学童期の悪いケア習慣から始まる、歯肉炎。その炎症性起炎物質は多くは歯の間に挟まった炭水化物の食物繊維の腐敗による口腔内常在菌の増加に依ります。

歯肉炎を起こす起炎ケミカル物質を出すプラーク(歯垢)のバイオフィルムを除去して、二度と、バイオフィルム状に成長させないように、グッドタイミングでオーラルケアをしましょう。

隣接面ポケットのケアと食後のジャストケアが大事なポイントです。

歯肉炎の時点で、プラークを除去して、きれいな口腔内環境を維持すれば、炎症もコントロールされて、歯周炎に発展して根面露出になるのも予防できます。

プラークにしない、予防的プラークコントロールが本来のケアです。寝る前のケアでは、ばい菌が増えてプラーク・バイオフィルムができてしまいます。

歯周炎となってポケットが深くなり、ポケット内に歯石などできると、患者さん自身のブラッシングやフロッシングでのオーラルケアだけでは治癒は難しくなり、歯医者さんでの積極的なクリーニング治療介入が必要となります。

患者さん自身で歯肉炎と歯周炎の鑑別は不可能ですし、お口の中で歯周炎は歯肉炎と混在し、気づかない歯の間で進行します。

それらは、サイレント病とも言われるように症状がなく、自分では気づかないことがほとんどです。

定期的に歯科でクリーニングを受けていても、毎日の患者さん自身のオーラルケアのポイントが守られていなければ、歯周炎は治るどころか、進行して重症化します。

歯周炎は初期の軽いものであれば、浅い3,4 mmの歯肉ポケット内のプラーク歯石を機械的に研磨除去して治癒に向かいます。

しかし、重度の歯周炎になると麻酔して、歯肉を開き、明視しながら、根面から徹底的にプラーク歯石を取り除きます。

これは簡単なクリーニングとは違い、かなり深いポケットに行うので歯周外科オペとなり、歯肉は縫合もしますし、なくなった顎の骨を元に増やすために、
エムドゲインという骨化物質を使ったりします。

成功しても、30%くらいの患者さんでは、再発や、根面露出は治りません。

歯科で麻酔して歯肉縁下ポケット内クリーニングを受けても、毎日正しいオーラルケアで歯肉縁上のプラーク除去を行っていないと、4週間でポケット内の
細菌叢は元に戻っていき、歯周炎が始まり、再発し、重症化していきます。

予防歯科先進国 スウェーデンから
「バクテリアセラピー」

エムドゲインゲル

エムドゲインの理論と臨床について



 

3.インプラントの感染歯周病

スウエーデンでは人工根インプラントが応用されて40年が経ちます。

術後の徹底的なプラークコントロールを行って来たにも関わらず、インプラント周囲の感染がここ10年くらいで報告され始めています。

インプラントにも、歯周病菌は付着して歯周炎と同じ状態になります。

現在感染したインプラントの治療法は残念ながらありません。

インプラント周囲はネジ状で機械的な研磨は難しく、骨とは結合しているので、奥歯の場合除去もむずかしくなります。

インプラントは自分の歯以上にメンテナンスとオーラルケアが大事です。

 

4.歯周病のメンテの重要性

AXELSSONは歯周専門的なメンテナンスの効果を30年に渡って報告しています。

定期的なメンテナンスを継続した場合、30年後でも、90%以上の歯はしっかり保存され、抜歯されずに残せることが証明されています。

予防が治療にまして大切なことが伺えます。

歯を抜く大きな原因の90%以上が虫歯歯周病であり、抜歯は歯科医が行います。

しかし、歯を失う2大要因はプラークコントロールにより予防が可能であるという科学的根拠が、スウエーデンの社会で実証されたことを考えて、WFは日本においても予防を歯科治療の中心課題として、臨床で行っていきます。


 

最新の歯周医学では、歯周病や歯周病菌が全身の病気に関わることに着目し、
さまざまな分野の研究者が協力し合い、対策を呼びかけています。
たとえば、歯周病菌が蝕むのは口の中だけではありません。
気管から侵入する。血管を通じて全身に運ばれる。
毒素を出して身体に影響を及ぼす。これを我々は歯周病菌連鎖と呼びます。
歯周病菌の連鎖は、あなたの中ではじまっているかもしれません。
歯周病菌連鎖を食い止めるため、歯周病を原因菌から予防することが大切です。

歯周病対策の新成分!
ラクトフェリンの研究成果 へ


 

 

5.口腔と全身のつながりを考える


「タバコと歯周病のない世界」を目指して へ


図1

近年、さまざまな研究により、口腔保健と全身の健康について深い関連性が明らかになってきました。こうした背景のもとで、サンスターは世界に先駆け、専門家の先生方とともに口腔保健と全身の健康に関する研究を進め、その重要性を国際的に唱える努力を続けており、今後も歯科医の先制方へ最新知見をお届けしてまいります。

歯周病医療の変遷〜「歯の健康」から「全身の健康」へ〜

1950〜90年頃まで、歯周病の病態研究はプラーク細菌の感染、宿主れ細菌の相互作用、分子生物学的解析へと発展を遂げ、その間、歯周病療法は「症状改善」からプラークコントロールによる「原因療法」へ、予防啓発も「Cure」から「Care」へとシフトし、歯周病医療の概念もQOLを取り入れる方向に進展してきました。

しかし、1990年以降は、”歯周病の発症は細菌感染によるが、感染への生体の防御反応産物、歯周病原菌やその内毒素(LPS)は病状の悪化だけではなく、全身にも負の影響を与える”という概念が台頭し、1990年代中頃には歯周病と全身の関係を示す病態研究がみられ始めます。こうした研究により、生活習慣病をはじめとした”全身疾患”と歯周病の深い関連性が明らかになり、それに伴って歯周病医療の概念も、「歯の健康」から「全身の健康」を目指すものにシフトしてきました。

歯周病と全身疾患の関わり

このように、歯周病と全身疾患が深い関連性を持つことが明らかになってきましたが、その要因としては、歯周病原菌や内毒素(LPS)、炎症性サイトカインが歯周病部位から血流によって全身に広がることで影響を与えると考えられています。
また、一方では糖尿病や骨粗鬆症が歯周病の進行リスクを高めることも明らかになっています。(図)。
したがって、歯周病を単なる口腔疾患ではなく全身疾患の一部として捉えることが、歯周病や、さらには生活習慣病などをはじめとした全身疾患の予防・治療につながると考えられます。
2009.9.15 日歯広報


6.歯周病がガンを増加

 
topic52

 

歯磨きで3割もガンの発生率低下する!!

歯磨きでがんリスク3割減 発がん性物質洗い流す

1日2回以上歯を磨く人が口の中や食道のがんになる危険性は、1回の人より3割低いとの研究結果を、愛知県がんセンター研究所(名古屋市)がまとめた。全く磨かない人の危険性は、1回の人の1.8倍だった。

 約3800人を対象とした疫学調査の結果で、歯磨き習慣と発がんの関連を示す報告は国内初という。横浜市で10月1日から開催される日本癌学会で発表する。

 同研究所疫学予防部の松尾恵太郎室長は「口やのどには発がん物質とされるアセトアルデヒドを作る細菌がいる。歯磨きで細菌や発がん物質が洗い流されるので、少なくとも朝と夜に磨けば、がん予防に役立つ」と話している。

 同センターを受診した人の中から、口の中やのどなどの頭頸部がんと食道がんの患者計961人と、がんでない2883人に、歯磨きや喫煙、飲酒などの習慣を聞いた。年齢は20〜79歳で平均は61歳。

 解析した結果、2回以上磨く人は1回の人に比べ、がんになる危険性が約29%低く、全く磨かない人の危険性は2回以上磨く人の2.5倍だった。喫煙や飲酒をする人だけの解析でも同様の結果で、歯磨き習慣がないことが、ほかの危険因子と関係なく、独立したがんの危険因子であることを強く示すものだという

 

2009.9.28 

 

7.体内感染からの川崎病?

 

川崎病、複数細菌原因か…抗菌薬で治療成功

乳幼児の原因不明の難病・川崎病が、体内で大量に増えた複数の細菌の感染によって引き起こされる可能性が高いことを、順天堂大のチームが突き止めた。

 従来の治療法では効果のない患者の治療にも成功しており、英国免疫学会誌電子版で発表した。

 研究チームの永田智(さとる)・准教授らは、患者ののどや小腸に、毒性の弱いブドウ球菌や、ありふれたタイプの桿菌(かんきん)の仲間が、通常の10倍-100倍も存在することに気づき、詳しく調べた。

 その結果、〈1〉ブドウ球菌によって免疫反応が強まり、高熱や腫れの原因になる〈2〉桿菌の仲間は血管内皮細胞にHSP60という特殊なたんぱく質を作らせ、これが免疫細胞の標的となり、冠動脈で過剰な免疫反応が起きる--ことを突き止めた。

 炎症を抑える血液製剤を大量に投与しても効果がない患者7人に、ブドウ球菌や桿菌を抑えるST合剤という抗菌薬を投与したところ、6人が回復した。

 研究チームの山城雄一郎・特任教授は「細菌の組み合わせによって症状が変わると考えられる。数滴の血液から細菌の種類を特定できるので、さらに多くの症例を調べれば治療法を確立できるだろう」と話している。

 発見者の川崎富作・日本川崎病研究センター理事長の話「複数の細菌がかかわっているという考え方は非常に興味深い。後遺症が深刻な病気なので、早期治療が可能になることを期待したい」

 ◆川崎病=1967年に川崎富作博士が発見した。日本人や日系アメリカ人、韓国人などで4歳以下の子どもに多く、日本では年間約1万人が発症。高熱や目の充血、発疹(ほっしん)、唇や口の中が腫れるなどの症状のほか、5-10%で心臓の冠動脈に動脈瘤(りゅう)ができたまま残り、心筋梗塞(こうそく)で亡くなることもある

 

2009.11.17読売新聞
 

 

8.症状のない歯周病判定テスト

ほとんど強い症状などがないのです。
疲れや、たばこ、お酒で症状が隠れて居ませんか?

■歯周病チェック(和泉教授の講演資料から)
□歯ぐきがむずむずしてかゆい

□歯ぐきが浮いた感じがして腫れぼったい

□冷たいものがしみる

□歯を磨くと歯ぐきから出血する

□朝起きたとき口の中がネバネバして不快である

□歯ぐきを押すと血やうみが出る

□口臭を指摘された(自分で口臭があると感じる)

□歯ぐきの色が赤黒い、歯ぐきが腫れている

□歯と歯の間に食べ物がはさまりやすい

□☆歯を押すとぐらぐらする

□☆歯ぐきが下がり、歯が長くなった感じがする

□☆このごろ、歯並びが変わったような気がする

 ●判定

0-2個 健康

3-4個 歯周病の可能性あり

5個以上 歯周病

選んだ中に☆の三つが該当 重度の歯周病

2009.8.14 提供 毎日新聞社


 

9.歯周病について
歯周病とは、歯肉炎や歯槽骨など歯の周りの組織が破壊される病気のことをいいます。
30歳以上の方の約80%が歯周病に罹患しており、菌を失う原因のひとつです。
歯周病の原因

 

このような症状があれば
歯周病です。
   
歯周病の原因 ○歯周病のチェック項目



歯が長くなったような気がする



歯周病の検査方法 (プロービング)
歯周病の検査方法(プロービング) プローブという目盛りのついた器具で歯周ポケットの深さを測ります。歯周病の進行程度や出血などによる炎症の程度や歯石の付着程度などを診査して患者様の治療の計画を立てていきます。
 
*** 歯周病の進み方 ***
健康な状態
健康な状態
歯肉は引き締まっていて、淡いピンク色をしています。歯槽骨の吸収もなく、歯根膜の破壊もない状態です。歯周ポケットも認められません。
歯肉炎
歯周病
歯肉溝にプラークがたまり、歯肉に炎症がおこり歯周ポケットが形成されます。まだ、歯槽骨の吸収は認められません。
軽度(P1)
軽度(P1)
歯肉は炎症を起こし、少し赤みを帯びてきます。ブラッシングすると出血を伴います。この頃から歯槽骨の吸収が始まり、歯周ポケットは、4mmほどになります。
<歯周病の進み方のイメージ図>
中度(P2)
健康な状態
歯肉の炎症は進み、出血や排膿を伴います。歯槽骨の吸収も進行し、歯根膜も破壊されてきます。歯周ポケットは5〜7mmくらいになります。
重度(P3)
健康な状態
出血や排膿を伴います。歯の動揺も激しくなります。歯槽骨は吸収され、歯牙を支える部分はほとんどなくなります。
   
         
患者様のためのプラークの種類と除去方法
縁上付着性プラーク歯の表面にこびりついているプラーク(歯垢)です。
●除去方法:ご家庭でブラッシングや歯ブラシ、フロス等で除去することができます。

縁下非付着性プラーク 歯周ポケット内に浮遊している最も毒性の強い細菌が存在します。
●除去方法:歯科医院での洗浄やご家庭でのデンタルウォータージェット(ハイドロフロス)で除去します。
縁下付着性プラーク 歯周ポケット内のセメント質の表面にこびりついているプラークです。
●除去方法:歯科医院で歯石除去やPMTC(歯面清掃)などのプロフェッショナルケアで除去できます。
 

10.あなたの歯肉に似た写真を見てみよう

鏡を用いて、自分の歯肉の形、特に歯と歯の間に注目してみましょう。
そして自分の歯肉の状態に最も近い写真を選んでください。


写真1〜4を選んだ人へのアドバイス
あなたの歯肉は、比較的健康であると思われます。より健康な歯肉のために、毎日ていねいな歯みがきと歯科医院での定期検診をおすすめします。
 

写真5〜8を選んだ人へのアドバイス
あなたの歯肉は、このままの状態が続くと悪化することが予測されます。まず、歯みがきや生活習慣の改善を行い、機会があれば歯科医院等で適切な指導を受けましょう。
 

写真9〜12を選んだ人へのアドバイス
あなたの歯肉は、専門的な治療が必要と思われます。早めに、歯科医院で適切な処置と指導を受けましょう。
 


 

11.You have receivea aYou Tube video!

ドクター下尾テレビ出演@


 

12.糖尿病で怖い、血管内皮細胞の機能不全、
YKL−40マーカーチェクが大切

アルブミン尿症を伴う2型糖尿病患者
プラーク破裂マーカー「YKL-40」は微小血管および大血管疾患と関連性がある


  アルブミン尿症を伴う2型糖尿病患者において、プラーク破裂を検出しうるマーカー「YKL-40」は微小血管および大血管疾患と関連性があることが分かった。オーストリアのRudalfstiftung病院(ウィーン)のJohanna Brix氏らが6月5日、ニューオーリンズで開催されている第69回米国糖尿病学会(ADA2009)の一般口演で発表した。演者らは、「YKL-40の役割を解明することは、アルブミン尿症を伴う2型糖尿病患者の予後不良を改善することにつながる」とした。

 アルブミン尿症を伴う2型糖尿病患者では、微小血管と大血管合併症のリスクが増大する。また、アルブミン尿症は、プラークの不安定性と内皮機能不全に関係している。一方で、プラーク破裂を検出しうるマーカーであるYKL-40は、内皮機能不全に関与していることが確認された。さらにプラーク破裂において、YKL-40はアテローム硬化性イベントに関わってもいる。そこで、演者らは、アルブミン尿症を伴う2型糖尿病患者のYKL-40を詳しく調べることで、血管の疾患との関連性を探った。

 対象は、2型糖尿病患者185人。アルブミン尿でみた場合、正常アルブミン尿(No-A)群が107人、微量アルブミン尿(Mi-A)群が52人、マクロアルブミン尿(Ma-A)群が26人だった。

 各群のYKL-40を測定したところ、No-A群が87±57ng/mL、Mi-A群が106±64ng/mL、Ma-A群が155±79ng/mLと大きく異なっていた(p<0.001)。

 また、大血管疾患の有無で比べたところ、大血管疾患のある2型糖尿病患者では、大血管疾患のない群にくらべYKL-40が高く、108±70対81±45(ng/mL、p=0.003)だった。網膜症のある患者は、ない患者より値が高い傾向を示し、122±77対97±58(ng/mL、p=0.79)だった。

 相関分析では、YKL-40は尿アルブミン排泄(UAE)と関連していることが明らかになった。一方、多変数回帰では、YKL-40は、UAE(Beta=0.262、p=0.001)、クレアチニン・クリアランス(Beta=-0.490、p=0.001)およびトリグリセリド(Beta=0.156、p=0.038)と関連性があった。このうちUAEが、YKL-40の独立した予測因子であった。

 演者らは、今回の研究により、アルブミン尿症を伴う2型糖尿病患者においてはYKL-40の上昇がみられる上に、YKL-40は大血管疾患との有意な関連性があることも明らかになったと結論した。その上で、YKL-40と腎疾患、微小血管疾患および大血管疾患との関連性を確認したことは、「アルブミン尿症を伴う2型糖尿病患者の不良な予後の改善につなげられる可能性がある」と締めくくった。
三和 護=日経メディカル別冊2009.6.6







歯ぐきの腫れが心臓に悪い!

 

FMD

13.動脈硬化という、
血管内皮機能に関わる歯周病菌連鎖


身体と言うのは、ほぼ、循環機能で成り立っている。その機能は血管、リンパ管などの内皮の性状機能が健康でないと、日々老化は促進する。

体内侵入を繰り返す、常在口腔内細菌の脅威は常に、内皮機能を損傷させて発生。

その修復と再生の割合が多くなると、動脈硬化とともに身体の老化が進む。できるだけ老いない身体という、アンチエイジングな身体は、毎日のオーラルケアから始まると言って過言ではないのです。2009.2.20

従来の動脈硬化検査

虫歯菌で脳出血リスク4倍 脳出血起こす虫歯菌


14.動脈硬化病変部



血中コレステロールが増えると、血管内壁に脂肪性物質などが蓄積されてプラークと呼ぶ動脈硬化病変ができる。これが破れると血栓(血の塊)ができて血管をふさぎ心筋梗塞などを招く。
脳梗塞や心筋梗塞の危険性を調べるのは一般に、放射線や超音波で血管の詰まり具合をみる。血管の細さなどから判断するが、病変部が破れやすい危険な状態にあるかどうか、その性質まではわからない。2007.6.1 日本経済新聞

動脈硬化と脂質摂取 へ



健康の話〜あさおダイヤルドクター〜

15.歯周病の全身への影響
〜歯周病菌連鎖〜

-あさおダイヤル2006 掲載記事より-

 最新の歯周医学では、歯周病や歯周病菌が全身の病気に関わることに着目し、対策を呼びかけています。
 歯周病菌が蝕むのは口の中だけではありません。歯肉ポケットや気管から侵入します。血管を通じて全身に運ばれ、毒素を出して身体に影響を及ぼします。動脈硬化が早く進み、血栓ができて、狭心症、心筋梗塞や、脳梗塞、足や指などの血液のつまるバージャー病や、冷え性などの原因にもなります。血液のドロドロや酸性化、糖尿病などの血糖値の上昇などの原因の元は、口腔内の汚れにあるのです。これを歯周病菌連鎖と呼びます。
 歯周病菌の連鎖は、あなたの中ですでに、はじまっています。歯周病菌連鎖を食い止めるため、歯周病を原因菌から予防することが大切です。


16.メタボと歯周病の関係

〜目の前の糖尿病患者さん、
もしかして歯周病ではありませんか〜

三和 護=日経メディカル別冊2009. 5. 24

日本歯周病学会とのジョイントシンポジウムが5月23日、第52回日本糖尿病学会年次集会で開催された。テーマは「見過ごされている第6番目の合併症――歯周病をめぐって――」。登壇した5人の演者らは、それぞれの立場から歯周病と糖尿病の密接な関係を解説した。そこからは、糖尿病診療に携わる医療関係者に向けて「まずは歯周病を意識すべき」という強いメッセージが発せられた。

座長を務めた香川大学医学部の石田俊彦氏は、「糖尿病学会と歯周病学会が連携してこのようなシンポジウムを開催できるのは画期的なこと」と意義を強調し、シンポジウムが始まった。

最初に登壇したのは、広島大学大学院の浅野知一郎氏。浅野氏は「慢性炎症によるインスリン抵抗性の機序」と題し、炎症という視点から解明されつつあるインスリン抵抗性の機序を解説した。歯周病においては、歯肉部での感染から引き起こされる慢性的な炎症、あるいは歯周病菌の産生物が、それぞれ全身的な影響を引き起こしていると指摘。炎症による代謝異常に関連するシグナル伝達や転写因子、さらにはマクロファージの係わり合いなどを説明した。特に、マクロファージの分泌物は、インスリンによる活性化の一部を抑制することが分かっている点を強調。歯周病と糖尿病との関係を基礎医学の知見を元に概説した。

滋賀医科大学の西尾善彦氏は、糖尿病合併症に及ぼす歯周病の影響を解説した。これまでも糖尿病患者は、種々の口腔疾患、特に歯周病に罹患しやすいことが知られている。加えて、最近になって、糖尿病患者は歯周病に罹患する頻度が高まるだけでなく、歯周病になると糖尿病を発症しやすいという「逆の関係」も明らかになってきた。西尾氏は、糖尿病合併症の発症機構を整理し、その上で歯周病との関連を解いた。また、肥満や耐糖能障害の治療のために実施した高繊維、低脂肪食を使った食事介入が、減量と耐糖能改善だけでなく、歯周病の改善効果も示したとの知見も紹介した。

3番目に登壇した愛知学院大学の野口俊英氏は、「糖尿病患者に対する歯周病治療の考え方――JDCP stdyへの期待」とのテーマで講演した。野口氏は、歯周病と全身疾患との関連に焦点を当てた研究は「perodontal medicine」として進んできた経緯を解説。歯周病と糖尿病は、両疾患の病因、破壊のメカニズム、罹患率の高さ(国民の約80%は何らかのタイプの歯周病に罹患している)などから、両者は互いの病変進行に影響しあっているのではないかと考えられるようになってきていると説明した。その上で、日本糖尿病学会が進めている「JDCP study」への期待感を示した。これは、5年間で1万人規模で糖尿病患者の合併症を前向きに調査するもので、合併症の中には歯周病も含まれる。2009年1月26日現在、655施設が参加し、7647例が登録されたという。

このほか、彦根市立病院の黒江彰氏は、「糖尿病と炎症としての歯周病」と題して講演。歯周病の治療は、血糖コントロールの改善、あるいは直接、血管合併症の発症や進展を予防する可能性が示唆されるようになっていると言及した。

また、広島大学大学院医歯薬学総合研究科の西村英紀氏は、「糖尿病のリスク因子としての歯周病」のテーマで講演。歯周病は、成人の歯の喪失原因の第一位であること、生体にとって軽微な慢性炎症として影響すること、個体老化の促進につながること、などから「糖尿病に対する重要なリスク因子」とまとめた。

ディスカッションの最後に、座長の1人、大阪大学大学院歯学研究科の村上伸也氏(写真)は、「歯周病と糖尿病の密接な関係は明らか。まずは関心を持ってもらうことが大事。両者に共通のキーワードである『食』をきっかけにして、一般へ向けてメッセージを発信するのもいいのではないか」とし、「参加者のそれぞれの立場、職域で、歯周病と糖尿病の関係改善に取り組んでもらいたい」などと締めくくった。

メタボと歯周病記事へ

動脈硬化の怖さは、ここにもある

糖尿病性腎症の有病率

 

侮れぬ歯周病
〜糖尿病・血管系疾患など悪化の恐れ〜

 日本人の中高年の5人に4人が歯周病を患っていいます。世界の先進国の中でも最下位です。放っておくと年を取ってから歯が抜ける大きな原因になります。それだけでなく、動脈硬化を進行させて、循環器疾患や糖尿病を中心とした生活習慣病を悪化させることにもなりかねなません。すでに10代の頃から始まる、歯周病は、進行性の無知覚な病態なので、サイレント病と言われ、中高年になって、症状が出てからでは手遅れで、ほとんど治癒しません。若いうちから、適切な口腔(こうくう)ケアを心がけたいです。
 手や足の血管が詰まり、悪化すると壊死(えし)して切断することもあるバージャー病。国内に約1万人の患者がいると言われています。東京医科歯科大のチームは、歯周病との関連性を調べ、7月、医学誌で研究内容を発表しました。患者14人全員が歯周病であることが判明、病気になった動脈片から歯周病菌も見つかったといいます。歯を失うだけでなく、命に関わる歯周病は歯垢(しこう)がたまって歯肉に炎症が起きる病気です。症状がひどくなると歯槽(そう)骨と呼ぶ歯を支える骨が溶けていき、歯を失うことになる。自己流でなく、専門の衛生士の指導とクリーニングを定期的に受けることが予防と、進行くい止めることになります。
 口臭も自分では自覚しにくいですし、歯ブラシ時に気をつけていないと、出血も気づきません。
 繰り返しますが、歯周病はほとんど症状を出さないサイレントディディーズ(隠れ病)です。一度進行すると、元に回復しない多年進行性の退行病変で、どんどん噛む能力・噛み締め能力が衰え、脳の老化や、痴呆性の進行も認められます。

歯周病予防のコツ
●6ヶ月ごとにメンテナンス、チェックを受け、見えないところをクリーニングしましょう。
●食事後は毎回3分以内に糸ヨウジ(フロス)で一度歯間部をお手入れしておきましょう。寝る前は特に入念に仕上げ磨きを。
●歯ブラシは毛が柔らかくて、コシのあるもの、ネックがしなりグリップが滑らないゴムタイプが最適、ヘッドの小さいものは時間がかかりすぎ、磨き残したり手の動きが大きくなりやすいので、一度に3歯ぐらい磨ける大き目ヘッドを選ぶとよいでしょう。
●お手入れで重要なのは「歯と歯の間」「歯と歯茎の境目」の凹面で、歯の凸面ではありません。糸ヨウジ(フロス)のお手入れが大切です。歯ブラシは優しく、細かく、丁ねいに。持ち方は、鉛筆を握るように軽くペングリップで。
●奥歯や歯の裏側にみがき残しが出るところは、二度磨きを。
●半年ごとに衛生士さんの指導と、フォロークリーニングを受けて、自分のブラッシングのクセを知ることが大切です。

タバコと歯周病
 喫煙は、全身のいろいろな癌の最も重要な要因のひとつであり、日本での癌死亡の32%に関わっているといわれています。特に肺癌では71%と高くなっています。また、様々な病気と直接関連があることが明らかにされ、最近は歯周病がこのリストに加わりました。
 喫煙の口の中への影響は、若い世代に始まっています。しかも全身的な病気と違って発見しやすい部位に発生しますので、定期的な検診と早期の処置と禁煙などで、早めに治癒させることが可能です。歯周病にかかる方は喫煙している人が多く、煙草を吸わない人に比べて一般的に治りが悪くなっています。白覚症状がないまま、歯を支えている骨の吸収が大きく進み、発見が遅れることになってしまいます。
 各国において歯周病に対する喫煙者のリスクを調べたところ、煙革を吸わない人に比べて約2〜3倍と大きいことがわかりました。また、骨の吸収程度を調べてみても、喫煙者の方が吸収が大きく、歯周病が進行するとその差は開いてきます。
 たとえ口の中の清帰状態が良くても、年齢と供に骨の吸収は大きくなることがわかりました。喫煙者の歯周病の特徴は骨の吸収が大きいほか、ポケットが深くその場所が多い、歯石が多い、などが挙げられるにも拘わらず、歯肉からの出血や腫れといった外見の炎症の程度が低いので、発見が遅れてしまいます。カルシウム不足、ビタミシC不足などに加え、歯肉の血流滅少が原困になっていると思われます。歯医者での外科的治療に対しても治りが悪かったり、失敗例が多くなります。大人たちが禁煙を実行して、子供たちの喫煙機会をなくし、健康な大人になれる社会にしましょう。

唾液の効果
 赤ちゃんで唾液が多く、よだれが出るのはとても健康な証拠、その唾液の出が少なくなっているとすると…。
 唾液とは口の中の腺より分泌される液体の集合体です。唾液腺は左右対称で、耳下腺・顎下腺・言下腺の3大唾液腺とその他の小唾液腺から分泌されます。一日に1〜1.5リットル分泌されています。その成分は、ナトリウム・カリウム・無機リンなどの無機成分やムチン・スタテリンなどの蛋白質、アミラーゼ・リゾチームなどの酸素、ラクトフェリン・ラクトペルオキシダーゼなどの抗菌成分です。
 唾液の作用としては、次のようなものがあります。
  1)消化作用
  2)自浄作用
  3)緩衝作用
  4)抗菌作用
  5)抗溶解作用
  6)保護作用
 噛む運動や、刺激物が口の中に入って、分泌量が増えてきます。これを反射唾液といいます。絶えず口の中を流れ、口の中を清潔に保つ、抗菌作用。粘膜を洗う自浄作用は重要です。絶えず出ているのは固有唾液といいます。唾液が出るのはとても健康な証拠、しかしその唾液の出が少なくなっています。
 どんな影響で少なくなってるのでしょう?分泌される過程では自律神経の影響を受けます。神経の作用によって分泌量や性質も変わり、交感神経が刺激されると、粘っこい唾液が、副交感神経が働くとサラサラな唾液が出ます。
 緊張したり、イライラしたり、興奮したり、それは、交換神経過敏といわれるような、強い状態でなくても起こります。一人淋しくご飯を食べたりしても分泌は減ります。また水分摂取不足や、汗をかいたり脱水状態では出なくなります。
 歳をとると、他の分泌と同じく減ってきます。老人や閉経後の女性は口腔内乾燥を起こしやすくなります。耳鼻科の病気で、鼻水やくしゃみなどアレルギー症状を抑えるお薬は、分泌を抑制します。唾液腺機能は他の全身的病気の作用で衰えたり、その部位の放射線治療でも影響を受けます。唾液分泌の大元は体液としての血液です。自覚していない方が、ほとんどですが、喫煙習慣のある方、精神的ストレスを感じている方は血液はドロドロになり血球成分がくっ付き、体の細い血管では流れが悪くなったり、詰ったりを繰り返しています。もちろん、血液は酸性化しています。
 こういう方のお口のPHをリトマスで測ってみると、驚くことに100%歯が溶ける臨界PHの5.5度よりも、酸性の状態です。お口の汚れで虫歯にもなり、歯周病も進みます。

 



 

 

17.たけしの本当は怖い家庭の医学2/19

こちらの動画は著作権の問題で再生できなくなりました。

たけしの本当は怖い家庭の医学2/19(Part.1)
 
たけしの本当は怖い家庭の医学2/19(Part.2)
 
たけしの本当は怖い家庭の医学2/19(Part.3)
 
たけしの本当は怖い家庭の医学2/19(Part.4)
 
たけしの本当は怖い家庭の医学2/19(Part.5)
 

 




18.侮れぬ歯周病

口腔ケア、若いうちから
 糖尿病・血管系疾患など悪化の恐れ

中高年の5人に4人が歯周病を患っている。放っておくと年を取ってから歯が抜ける大きな原因に。糖尿病を中心とした生活習慣病を悪化させることにもなりかねない。若いうちから、適切な口腔(こうくう)ケアを心がけたい。
手や足の血管が詰まり、悪化すると壊死(えし)して切断することもあるバージャー病。国内に約1万人の患者がいると言われている。東京医科歯科大のチームは、歯周病との関連性を調べ、7月、医学誌で研究内容を発表した。患者14人全員が歯周病であることが判明、病気になった動脈片から歯周病菌も見つかったという。
歯周病は歯垢(しこう)がたまって歯肉に炎症が起きる病気。症状がひどくなると歯槽(そう)骨と呼ぶ歯を支える骨が溶けていき、歯を失うことになる。

歯周病は生活習慣病と
密接な関係がある
歯周病予防の歯みがきのコツ
●寝る前を特に入念に
●歯ブラシはヘッドが小さく
 柔らかい毛のものを選ぶ
●「歯と歯の間」「歯と歯茎の境目」を
 優しく丁ねいに
●奥歯や歯の裏側にみがき残しが出る
●自分のブラッシングのクセを知る

国民病のひとつ
日本人の場合、40歳過ぎるとおよそ8割が歯周病にかかっているとも言われており、いわば国民病の1つ。単なる口の中の問題でなく、生活習慣病や血管系の病気と深くかかわりのあることが最近わかりつつある。

岡山大は、コレステロールと歯周病との因果関係を動物実験で調べた。高脂血症の原因となるコレステロールを過剰に取ると、歯と歯茎のすき間に細菌が入るのを邪魔する細胞の機能が変化し、細菌が入りやすくなることが判明した。

歯周病治療で糖尿病が改善するとも言われている。歯周病菌が血液中に流れ込むと、いくつもの生理活性物質が作り出される。食事後などに上昇する血糖値を下げる反応を、この活性物質が阻害する。歯科用抗菌薬で歯周病による炎症を抑えると、血中の生理活性物質濃度が下がり、血糖値も安定するという人での研究データもある。

東京医科歯科大の石川烈教授は「歯周病は糖尿病のほかにも血管系の心臓病や、脳血管疾患などと関連があるようだ。歯周病の予防・治療で、こうした生活習慣病にかかるリスクも減る」と語る。

歯周病にかからないようにするにはどうするか。歯ブラシを基本とした口腔ケアが欠かせない。

「食後の歯磨きは、どちらかといえば虫歯対策。歯周病予防となると、就寝前を忘れずに最優先してほしい」。こうアドバイスするのは東京歯科大の角田正健教授。寝ている間は、どうしても口の中で唾液が(だえき)が出づらく、細菌が繁殖しやすい。食後、どんなに口の中をきれいにしたとしても、寝る寸前に口の中を最善の状態にしておくことが大切だ。

歯ブラシはヘッドが小さく、毛先の柔らかいものを選ぼう。歯垢のつきやすい歯と歯茎の境目を優しく丁寧に磨く。ブラシの半分程度が歯茎にあたるようにするのがコツだ。歯と歯の間の食べかすや歯垢を取るには、市販の歯間ブラシを上手に使う。

歯石除去も必要

奥歯や歯の裏側はどうしても磨き残しが出る。歯並びにも個人差があり、磨き方にもクセがある。歯の汚れだけを赤色に染める液が市販されている。どの部分に磨き残しが出るのか、どのような磨き方をすれば効率よく歯垢を落とせるか、この染め出し液でチェックするのもよい。1本1本歯をチェックし、染まった面積が2割以下におさまるようにするのが、歯周病にならないためのブラッシング目標となる。

歯と歯茎にできたすきま(歯周ポケット)に歯垢がたまっていくと、いずれ歯石ができる。こうなると家庭の歯ブラシだけでは太刀打ちできない。歯科医による歯石除去治療が必要となる。

歯周病菌は複数の細菌が塊状になって存在することで感染力を増すようになると言われている。塊ができるまで3−4カ月かかる。「家庭の歯磨きで歯垢を完全除去するのは難しい。月1回、歯科医で磨ききれない歯垢を取ってもらうと歯周病予防の効果は絶大」と茂木信道歯科医院(神奈川県藤沢市)の茂木信道院長は話す。 (矢野寿彦)


ひとくちガイド
《本》
■若い世代への口腔ケアの必要性も説いた「20歳からの歯周病対策」(熊谷崇著、講談社)
《ホームページ》
■「歯周病の基本知識や予防・治療法・全身疾患との関係など詳しく知りたいなら
サンスター(http:/www.sunstar.com)お役立ち健康情報」
2005年11月27日付 日経新聞


19
.口腔と全身の健康との密接な関係

(歯周病連鎖)
2000年4月15日 東京国際フォーラム
Michael G.newman UCLA歯学部教授 歯周病学
訳 高橋慶壮.宮田 隆 明海大学歯学部 歯周病学講座


はじめに

歯周病は患者の全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があるにもかかわらず、ほとんどの歯科医師や医師たちは、この事実にあまり注意を払っていない。

一般に、患者が重度の歯周病に罹患している場合には、身体に何らかの医学的な問題を引き起こす機会が増加すると考えられている。最近では、ヘルスケアにおける全身と口腔の関連性が科学的に証明されたことにより、歯周病に対する見方がこれまでとは変わりつつある。これらの新しい科学的証明により、口腔の健康が心臓疾患、糖尿病、呼吸器疾患あるいは乳児死亡といった、きわめて一般的なヒトの全身の病気や体調に関係があることが明らかとなった26,31)。

ところで、歯周病が全身の健康に及ぼす影響は、血液疾患、発育および代謝異常や感染症などの全身疾患が歯周組織の状態を悪化させる場合とは異なっている。

生体と歯周病の状態との関連を2つの方向から理解することは、患者の健康状態を良好に維持する上できわめて重要である。

第1は、歯周病の罹患率および重症度などに影響を与える因子にかかわっている。これらの因子が多く存在すればするほど、患者はより重度の歯周病に罹患する傾向にある。

まず、喫煙は古くから指摘されているリスク・ファクターである。喫煙は歯周病の発症頻度と重症度を増加させ、外科処置後の創傷治癒を遅らせるばかりでなく、全身的な生体防御能を低下させることが知られている11,14)。 喫煙は百害あって一利なく、患者の喫煙の程度と歯周病の進行度には相関があるといってよい。

また、不良な口腔衛生状態や社会的なストレスといった環境因子も、患者の口腔に影響を及ぼす12)が、その相互作用は患者の遺伝的な素因によっても影響を受ける。遺伝的に疾患にかかりやすい患者は、歯周病のリスクもより高くなる。

次に第2の問題、すなわち歯周病と前進的要因との相互作用、つまり歯周病がいかに全身に影響を及ぼしているかが、以下に述べること総説の主題である。

1.歯周医学とは何か?
歯周病と全身疾患のリスクが増加することに関する知識基盤として、"歯周医学"(Periodontal Medicine)という用語がつけられている31)。要するに科学者たちは、患者の歯周病が心臓病、低体重児出産、呼吸器疾患および糖尿病のリスクの増加に関与していることに気づいたのである。これと同様に、歯科医師は口腔と全身を関連づけることで、骨粗鬆症やホルモン分泌の変化に関する新しい情報が得られるとともに、患者管理の質を向上させる大きな機会が与えられたのである。

全身疾患と歯周組織の病態および分子生物学的な関連性は複雑であるものの、それらの意味することは非常に明快である。つまり、歯科医師と医師は、いついかなるときでも、歯周病を減少させることの重要性を無視したり、軽んじることはできないのである。歯周病が全身の健康にかかわることを示した科学的論拠は人々を納得させるのに十分なもので、それは、さまざまな社会において大きな変化をもたらしている。歯科医師、内科医、患者、消費者、教育者、企業、政府、保健会社および政策担当者は、何らかの行動を起こすためにも、この情報を熱心にプロトコールに組み込もうとしている。また、多くの新聞や雑誌等の出版物もこのことを広めるのに一役買っている。テレビはたえず画面の下に「フロスか?死か?」(Fross or Die)というテロップを流し続けた。このことは確実に一般大衆の関心を引き、さらの歯科医師もその情報に気づき出すとともに、より良い治療計画を立て、最良の治療が行えるようになってきた。

歯周医学という新しい考え方は、「害を加えることなかれという古代からの普遍的な誓約であり、われわれ歯科医師の責務である患者の治療の質をいっそう強化することになる。医療従事者は、患者の歯周病の状態と全身的な健康とを結びつけることが事実であり、非常に重要であることに気づいている。その他、遺伝的に歯周病にかかりやすかったり、骨粗鬆症のような慢性の全身疾患、喫煙のような環境因子の影響に関する新しい情報が得られることによって、歯科疾患患者を包括的にかつより慎重に評価する必要性が出てきた。

2.新しいタイプの患者
インターネットとワールド・ワイド・ウェッブ(www.)を経由した情報へのアクセスは、混合した新しいタイプの患者と消費者を生んだ。われわれ歯科関係者は、その事実を認識し対応してゆかなければならない。この新しいタイプの人こそ消費者であり患者であり、ヘルスケアの本流へ歯科医療が参入するという大きな変換により生まれたのである。歯周医学に関する情報は、患者からの歯科医療への要求を高めることにもなった。患者あるいは消費者は、より多くのことを知れば、より多くのことを望むようになり、また、自分の健康を維持するために、歯科医師の良きパートナーであろうとするものである。

3.将来展望
専門雑誌で医療費の問題が話題に上ることはほとんどない。医療の専門家として治療を治療費と切り離して考えることは大変重要であるが、治療費は、患者、経営者、政府および社会にとっては大きな問題なのである。

歯科医学は、歯科医療の将来への見通しやその重要性をも変えつつある。さらに、公衆衛生と安全性の問題が歯周医学に密接に関連している。歯周病そして究極的に歯の喪失を予防することは、医療費削減に繋がるばかりでなく、何よりも患者の心身にとって非常に有益でもある。

歯周病の予防にはもう1つの重要な意味がある。つまり、より重度の心臓病、より多くの乳児死亡、そしてより重度の糖尿病の治療に費やされるであろう莫大な治療費を、歯周病病を予防することにより削減できるのである。

歯周病の結果として起こるさまざまな全身疾患の合併症の病因は類似している。その病理は、歯周病原性細菌と産生物質が引き起こす結果として生じる。歯周病細菌は血液を介して標的とする臓器に達し、炎症反応を引き起こし、局所の病巣を形成し、悪化させてゆく。肺のような生命にかかわる臓器に寄生ケースでは、細菌自身が病気を引き起こす。細菌が除去あるいはコントロールされているとき、または歯周病が治療され口腔の健康が維持されていれば、その患者はより健康になる。読者がこの臨床的に重要なテーマに対する見識と確固たる正しい考え方を持つとともに、それらの問題についてすすんで生涯学習をすることを望んで止まない。



(1) 心臓病

最近の研究で、歯周病が心臓病の重大なリスク・ファクターとしてきわめて重要な役割を果たしていることが示され、当然のことながら、大きな反響があった。心臓血管系の疾患は世界中のいたるところで死亡率の上位を占めている。これらの治療には莫大な経済的、人的資源が投入されることに加えて、罹患した患者の"生活の質"をも奪う。これらの研究成果には大変広範囲のものが含まれているが、反面、新聞や専門団体からの情報のスローガンは簡潔明瞭で、"Floss or Die"である。一方、多くの歯科医師たちはこれらの研究を初めて耳にしたとき、「どうしてそんなことが起こるのですか?」とたずねるのが常である。

そこで、心臓病と歯周病との関係に関する論拠を簡潔に以下に示すことにしよう。

社会的な精神的ストレス、食事、遺伝、喫煙、そしてその多くの生活習慣異かかわる因子は心臓病にとって重要な役割を果たしており、研究者たちは、今まさにこれらの因子を特定し始めたといえよう。それらの詳細なメカニズムがどのようなものであるかにかかわらず、現在では歯科医師を含め患者のヘルスケアに携わる者は、心臓血管疾患への罹患と進行リスクを軽減することができる。そのためにはまず、心臓疾患にかかわる一般的要因、患者個々の要因、効果的な治療の介在、歯周組織の健康の維持、そして患者の観察などについて理解しておくことが必要である。

読者はこの情報に知的興味をもたれるかもしれない。これは歯科治療への波及効果としても重要である。ちょうど喫煙が予防できるように歯周病は予防でき、治療可能な疾患であることから、歯科医師も患者のために必要な責任を負わざるを得なくなった。さらに、ケアのスタンダード化およびトリートメント・ガイドラインの設定に当たっては、歯周病の診断、治療および予防に関する現在のレベルを一層改善するようにしなければならない。

事実
アテローム動脈硬化症と歯周病の病態には多くの共通性がある。最も重要なポイントの1つは、心臓血管と脳血管性の疾患における感染および炎症が、何によって引き起こされるかである。菌血症によって引き起こされる感染と炎症反応は、アテローム動脈硬化症の重要な決定要素のように思われる。食事、コレステロール、喫煙、運動および遺伝的素因など、その他のよく知られたリスク・ファクター間の組み合わせや相互作用により、心臓血管及び脳血管性の疾患は真に多因子性の疾患となっている。このリスク・ファクター間の複雑な関係を解析するために行われた研究者たちによる多群間の統計解析結果では、歯周病と心臓病や心筋梗塞の発症頻度とは有意に相関していると繰り返し報告している4,5,8,16,20,22〜24,27,32,38,39)。これらの相関は、喫煙、加齢、コレステロールそして社会経済的な背景などの多因子のバラツキを考慮しなくても、なお有意なものであった。

歯周病がリスク・ファクターとしてどのような全身的影響を示すかという重要な研究の1つとして、DeStefanoらは9,760人を14年間にわたって調査した。そして、歯周病以外のリスク・ファクターを考慮しても、歯周病に罹患しているグループはそうでないグループに比べ、心臓病のリスクが25%も増加していることがわかった。この研究における25〜49歳の比較的若い被験者の間では、歯周病に罹患しているグループは、心臓病に罹患する率が70%まで増加していた8)。

Beckらはもう1つの重要な研究で、1,147名の男性について、骨吸収スコアが20%以上の被験者は、20%以下の被験者に比較し心臓病に罹患するリスクが50%も高くなることを示した。いくつかの項目についてみると、その頻度は歯周病以外の要因を補正した後でも2.8倍高く、約3倍の高さで心臓血管系の疾患を引き起こすリスクのあることを示している4,5)。

歯周病に(プラーク、歯石、歯周ポケット)により引き起こされる菌血症の進行は、いくつかの宿主反応を引き起こし、それらはすべてアテローム動脈硬化症と血栓塞栓性障害の発生過程にかかわると思われる。すなわち、血小板の凝集とインターロイキン(IL)によって誘導される炎症は、歯周病原性細菌の菌血症による顕著な結果といえよう。また、血管内で生じる炎症過程は、歯周組織内の結合組織で起こる反応に非常に似ており、IL−1βは両方の疾患において重大な要素となっている。種種の異なる細胞から産生されるこの物質の産生能と活性には遺伝的な要素がかかわっている。歯周病原性細菌であれコレステロールのように食物の構成成分によってであれ、引き起こされる炎症は、血管壁を傷害する。この傷害作用は、血栓を形成し、心筋梗塞を引き起こす危険性がある。

歯周病と心臓病に対する宿主の反応は個人差が大きい(後述の「X 歯周病に対する遺伝的なかかりやすさ」の項参照)。心臓血管系の疾患にかかわる遺伝環境は複雑で、それを明らかにすることは難しい。なぜなら、複雑な環境下で生活しているヒトにおいて、本当に多くのことなった疾患が存在し、異なった多くの遺伝的要因が存在するからである。それらの多くの要因はまだ十分に解明されていないが、患者の健康を改善させるための歯科医師や医師にできる事柄は多いのである。

心臓疾患が多因子性なものであると簡単にいってしまうことは、ヒトのありふれた慢性疾患の多くが多因子性であるという見方に与(くみ)することである。これらは、糖尿病、心臓病、骨粗鬆症、歯周病そしてある種のがんを含むが、それだけではない。これらの疾病のすべてに共通してみられるのは、炎症と遺伝的な素因の決定的な役割である。このことから、歯科および医学界は患者に対し何ができるだろうか?その場合、"かなり多くのことができるだろう"というのが適切な答えである。歯周病患者に対し歯科医師はつねに、診断、歯周病の治療と予防という同じ答えを繰り返すが、それは歯周病の診断、治療と予防に関するどんなリスクも負わないからだ。


多彩な症状の陰に感染性心内膜炎
回診時の聴診で心雑音に気付き、事なきを得る

和田 紀子=日経メディカル

「感染性心内膜炎の診断は難しいことを改めて認識した症例だった」。こう話すのは、国立病院機構長野病院循環器科の関年雅氏。関氏が2年前、長野赤十字病院(長野市)で経験したのは、75歳の女性のケースだ。当初は感冒様症状や関節痛のため、近医で抗菌薬の治療を受けたが改善せず、膠原病も疑われステロイドも投与されていた。原因が分からないまま全身状態が不良となり、喘鳴・呼吸苦が出現。SpO2 88%(room air)、胸部単純写真で心拡大や両側胸水が認められ、自院の呼吸器科に入院した。



(2) 低体重児――乳児死亡

出産時の体重が2,500g以下の低体重児は、世界中のいたるところで乳児死亡の主な原因となっている。どのような方法であれ、出産時に低体重児を減少させることができれば、真に効果的なことといえる。したがって、低体重児出産を予防するため、歯周病の重症度と低体重児出産との関連を示したニュースに国民が重大な関心を寄せたことは、自然ななりゆきであろう。アルコール摂取、喫煙、妊娠年齢、全身疾患などの早期の陣痛や破水にかかわる因子は、低体重児出産の約75%に関与している。臨床的および前臨床レベルにおける細菌感染は、低体重児出産の原因因子の1つとして、研究者たちによって注目されてきた。抗菌治療の結果低体重児出産が減少したことにより、感染コントロールの重要性が強調されるようになった。いいかえれば、歯周病と低体重児出産の関連を研究したことが、細菌感染と低体重児および早産との関係を調べることにまで広がったのである6,13,21,30)。

事実
Offenbacherら30,31)は、歯周組織の感染は身体の他の部位の細菌感染がそうであるように、子宮に感染し得ると報告している。内毒素やその他の細菌構成成分のような産生物は宿主を刺激し、プロスタグランジンE2や腫瘍壊死因子αのような早産にかかわる起炎物質の産生を高めることを示唆する証拠がある。Offenbacherの画期的な研究は、症例を吟味した調査であり、その結果は大変エキサイティングなものであった。すなわち、母親が中等度から重度の歯周病に罹患していると(3mm以上アタッチメント・ロスのあある歯が全歯の60%を超えると)、低体重児を出産しやすくなり、喫煙やアルコール摂取よりも妊娠、出産にとって負の効果をもたらす。アルコール摂取、喫煙数、出産前の管理、人種、出産数そして年齢などの因子を補正してみると、その確立倍数は7.5であった!すなわち、中等度から重度の歯周病に罹患した母親は、低体重児を出産する危険性が健康な母親より7.5倍も高くなることを意味している30)。

Offenbacherの研究成果は、歯科界を刺激して行動を起こさせることになった。なぜなら、歯周病の診断、治療および予防の重要性に対し新たな関心を呼び起こすとともに、その重要性を再認識させることになったからである。歯周病を治すことにより早産の18%、つまり4万5千人の早産を予防できるのである。Offenbacherによれば、早産のリスクを持つこのグループに歯周病治療を行えば、早産にもかかわる集中治療コストだけでも1年間に10億ドルも費やしている米国の医療費削減に貢献するという。出産後にすこやかに育つ機会を与えられた両親と乳児自身にとっては、無形の精神的な利益であるとともに、何ものにも代え難い価値を持つといえよう。したがって、歯科医師はつねに歯周病の診断と予防について一層深い配慮が必要となるのである。



(3) 糖尿病のコントロール

歯周病が血糖値をコントロールしにくい状況にする
これまでの研究から、糖尿病と歯周疾患は互いに影響を及ぼし合っていることに疑いの余地はない1)。多くの研究者たちは、歯周病患者にとって糖尿病の代謝コントロールの重要性を述べている。Mealeyによれば、歯周病のリスクと重症度はいずれも口腔清掃レベル、歯周病の範囲と重症度、歯科医師の勧める治療に対する患者のコンプライアンスと糖尿病のコントロールのレベルに直接かかわっているようだ26)。これらの要因レベルが悪化すると、炎症、出血、歯周ポケットの深さ、そしてアタッチメント・レベルといった歯周病マーカー値の上昇がみられる。また、糖尿病が歯周組織に及ぼす影響に関して、それが多因子性であることを提唱している。すなわち、歯周組織の感染に対する宿主防御、組織および細胞レベルのホメオスターシス、創傷治癒などのすべてがかかわっているのである。感染症が糖尿病患者の血糖コントロールを悪化させるという事実をみると、糖尿病患者の慢性的なあるいは活動性の歯周病を治療することは、血糖コントロールの上でも有益な効果を持つという仮説は、理にかなっているといえよう。

事実
1960年代から、糖尿病をコントロールする上での歯周治療の役割を調べた研究がいくつかある28,37)。非外科療法、全身的な抗生物質の投与、抜歯と外科治療を含む治療を行うと、血糖コントロールの悪い糖尿病患者でも、インスリンの減少と糖化ヘモグロビン値で測定された代謝コントロールに良い効果を示した、Grossiらの研究では、非外科治療とドキシサイクリン投与を受けた患者は、短期間で糖化ヘモグロビン値の改善を示している14)。プラーク中の歯周病原性細菌による炎症と有害な効果の減少は、糖尿病の合併症に深く関わる最終糖化産物の形成と蓄積を付随的に減少させる、という仮説が提唱されている。結合組織の安定を司る細胞外マトリックス・タンパクは、歯周組織の健康に大変重要な部分であり、最終糖化産物に対して最も影響を受けやすい。

歯周病と宿主の相互作用からみて、歯科医療チームには歯周病の進行と憎悪を減じる責任がある。治療中の患者にとってリスクは大変深刻である一方、過剰な歯周治療によるリスクは非常に小さい。糖尿病患者と糖尿病の家族歴を有する患者に対して行う歯周治療は、莫大な医療費上の節減に効果的である。医学および歯科医学の権威者たちは、歯周病を糖尿病の大きな合併症の1つであると認めた。したがって、もし歯周病が唯一の合併症である場合には、歯周治療をすることで、実際に糖尿病を改善できるということを強調しておきたい。

 
  
 

知っておきたい 隣接医学あれこれ
生活習慣病 予防医学としてのMSの役割とその落とし穴

日本人の生活習慣の変化は、糖尿病のみならず、高血圧や脂質異常症(高脂血症)といった、いわゆる生活習慣病を増加させてきた。生活習慣病を原因とする死亡者数は全体の3分の1以上にも上ると推計され、医療費の観点からも重大な社会問題である。

本年4月、生活習慣病を未然に防ぐ目的から、40歳〜74歳の成人に対してメタボリック・シンドローム(MS)に着目した特定健診・特定保健指導が開始された。MSは、ウエスト周囲径という明確な指標を示すことで一般市民に生活習慣に関する注意を喚起するとともに、運動療法や食事療法の実践を促し、糖尿病や心血管系疾患の発症を予防する、という予防医学的に重要な位置付けにある。

では、MSとは一体どのようなものなのか。糖尿病を始め、生活習慣が大きく関連する疾患群である高血圧脂質代謝異常は、各々が独立して動脈硬化を進展させる危険因子であるが、肥満者では互いに合併する頻度が高く、複数の危険因子を有する人ほど心筋梗塞など重篤な心血管病を引き起こす危険度が高くなる。これら危険因子が集積する病態は「シンドロームX」「死の四重奏」「内臓脂肪症候群」など、各国から様々な名称で報告され、一時、混沌としていたが、1999年、WHO(世界保健機関)からMSの名称が提唱され、現在、国際的にも一般的になっている。だが、予防的な位置付けにあるMSが、心血管病を有意に増加させるという、前向き研究による証明はなされていない。

MSに関して、これまでいくつかの診断基準が発表されてきた。日本では糖尿病や心血管疾患の発症を予防する観点から、腹部肥満(ウエスト周囲径)を必須項目とし、空腹時血糖値、中性脂肪値、HDL-コレステロール値、血圧のうち、2項目以上で異常を認める場合、MSと診断することになった。

糖尿病や心血管病を波打ち際で食い止める予防医学としてMSの果たす役割は大きいが、MS自体は疾患ではなく、疾病を引き起こしやすい状態を意味することをまず認識する必要がある。当然、糖尿病や高血圧、脂質異常症と診断された場合は、各々の疾患として管理されるべきであり、MSとして一括りに管理すべきではない。

さらに、MSの状態にある者が、心血管病を高率に発症するか否かについての直接的な証明がないことも大きな欠点である。日本人の糖尿病のうち、MSを経由しての発症は40%にも満たず、MSの過剰評価により各々の疾患の予防や管理が疎かになる。加えて、MSはあくまでも予防的な対象集団であり、薬物治療の対象にすべきではないことも肝に銘じる必要がある。
(清野 裕・日本糖尿病協会理事長)
2008.11.15日歯広報


(4) 呼吸器系疾患
院内感染による肺胸膜の感染は、高い疾病率と死亡率を示している。これらの院内感染は、入院患者の約5%に起きている。これらの感染症の最悪なものは肺炎であり、その発生率は院内感染した入院患者の20〜50%に達する26)。また、集中治療や酸素吸入を必要とする患者の場合には、しばしば肺炎を併発する2,10,17)。一般的に、こららの特殊な入院患者では口腔内清掃を行うことは不可能か非常に困難である。全身的(医学的)な易感染性の状態とあいまって、抗プラーク処置が行われない状況で、歯肉縁上および縁下プラークの形成が起こる。これらの患者に対する抗生物質の全身投与は、恐らく口腔細菌による感染の頻度と重症度を軽減するのに役立つ(しかし、根絶することはできない)。このようなことを考慮すると、患者の病状を悪化させたり、呼吸器感染症を引き起こし、そのための治療費が増加するという意味でも、口腔細菌の役割を知ることは大変に重要である。

事実
ずっと以前から臨床家たちは、口腔は潜在的な肺の感染源ではないかという疑いを持っていた(図9)。患者が入院すると、呼吸器系疾患に罹患する割合が増加するということが、しばしばたいした注意も払わずに何となく話題となってきた。しかし、肺の吸引物から分離される多くが歯周病関連の微生物であるという事実は、特に興味深い。

Scannapiecoらによる一連の重要な研究は、初期に行われた多くの研究結果を拡大し、明らかにした33〜35)。彼らは、病院で集中治療を受けている患者について、頬粘膜や歯肉縁上のプラーク細菌の性状を調べた。その結果、入院せずに病院外の歯科医院で通院している患者よりも、病院で集中治療を受けている患者は、呼吸器感染にかかわる好気性および嫌気性細菌の両方とも有意に多く検出された。さらに、約65%の入院患者に、呼吸器官によくみられるS.aureusとP.aeruginosaが寄生していた。また、臨床的には、歯肉縁上プラークも有意に増加していることを指摘している。

歯周組織から分離された嫌気性および炭酸ガス好性の微生物は、呼吸器感染に強くかかわっている。またこれらの微生物は、入院および非入院患者のいずれにも、Fusobacterium, Prevotella, Bacteriodes, Peptostreptococcus, Actinomyces, Capanocytophaga, Actinobacillus, Veillonella, P. gingivalis その他を含んでいる3,7,10,17)。これらの事実からはっきりいえることは、口腔内に生息する微生物は、肺胸膜への感染のリスクを有意に高めているということである。

潜在的な呼吸器の病原体による口腔および咽頭への奇生を減少させるために、多くの手段とプロトコールが開発36)されるとともに、ゴールを達成するうえでさまざまな成果を収めた。この歯周組織と全身との相互作用に関して非常に重要なことは、日常臨床においても、歯周病の診断、治療および予防処置は最優先の治療であり、これを保証することにより歯科医師は重要な役割を果たすことができる、という事実である。このことは、口腔の健康状態によって影響を受ける全身疾患を持つすべての患者に共通するテーマである。


(5) 歯周病に対する遺伝的なかかりやすさ

歯周疾患に対する遺伝的な易罹患性と他のリスク・ファクターが結びついたときには、治療時期、程度、範囲が決められる。歯周病に対する遺伝的なリスクの科学的な発見は、炎症における重要な誘導物質と重度歯周病との関連を確認することであった9,15,18,19,29)。

Kornmanらは最近、Journal of Clinical Periodontologyに、歯周病にかかわる遺伝的マーカーを決定するための科学的な基盤を確立する臨床研究を報告している18)。同じ細菌で刺激した際に、その遺伝マーカーを有する患者は、そうでない患者に比べてサイトカインTL-1βを約4倍も産生する。このサイトカインは、歯周病の炎症と発現に決定的な役割を果たす有力な炎症メディエーターである。成人の約30%はこの遺伝子を持ち、重度の歯周病に進行するリスクが高い。

同程度のプラークが付着していても、患者によって極端に異なる臨床像を呈することがある。この事実がどのように、そしてなぜ起こっているかということは、患者個々の遺伝的に規定されたプラークに対する反応によって説明できる可能性がある。同じプラークでも患者個々によりさまざまな反応を引き起こすので、臨床的な所見もまた患者ごとに異なったものとなるにちがいない。その遺伝的なマーカーは歯周病の診断に役立つものではない。コレステロールが血管心臓系の疾患の診断ではなく、リスク・ファクターとして特定されているように、唾液サンプリングによる遺伝的マーカーは、歯周病に対する1つのリスク・ファクターを知るためのものである。歯周病に対する遺伝的な易罹患性とリスクに関する情報は、患者の全身的状態に適用されるもので、既存の細菌学的およびその他の部位特異的な生物学的なテストを補うものであるといえよう。

日常患者の管理に遺伝的なリスク情報を取り入れることにより、歯科医師は歯周病の治療を予防を最良のものにできる25,40)。疾患に罹患していない若年者をスクリーニングすることは、重要な予防のツールとなり、公衆衛生の機会を提供する。さらに、歯周病を予防することは、心臓血管疾患、呼吸器系の感染症や低体重児出産の多くのケースを予防し得るといってよいのである。


おわりに

歯周医学および歯周病に対する遺伝的な易罹患性に関する知識を基盤とした歯科臨床が、歯科医学や患者そして公的機関などの行動に変化をもたらすことは、疑いようもない。歯周病をコントロールして減少させることは、心臓病、低体重児出産および糖尿病などの全身的健康を脅かすリスクを減じることにも通じる。やがてはこのような歯周医学の情報により、単に予防と治療法のみを伝える伝統的な歯科医学の概念は、より拡張されたものとなるであろう。そして、より先を見越した健康と疾病を管理する方法が取られるようになるであろう。歯科医師も患者も治療法を決定する際に、最初に疾病のリスクおよび予知評価を利用するようになるにちがいない。臨床家は、以前より格段に早く歯周病のリスクを特定したりモニターできるので、口腔と全身の健康、さらには治療費と治療の利点との比率を最大にすることができる。初期の段階で治療法が決定できれば、予防的治療か外科治療かのどちらが適切かというプランニングが立てやすくなるのである。

"歯周医学"は、きたるべき21世紀の歯科医療の方向性を決めたといってよい。より進んだ健康管理は快適な人生につながり、誰にとっても有益だからである。

本稿は昨年(1999年)6月12・13日開催の第18回日本顎咬合学会(本年4月1日より「日本口腔健康医学会」と改称)学術大会での講演を基に著者が大幅に内容を追加し、本誌読者のために新たに書き下ろしたものである。

 

 


 


20
.怖い怖い、気づかない小さい脳梗塞

 

40代で3人に1人、50代で2人に1人が見つかる「隠れ脳梗塞」
隠れ脳梗塞画像

脳ドックのMRI検査(核磁気共鳴画像検査)で「『隠れ脳梗塞』が見つかりました」と告げられ、驚かれる方が少なくありません。「隠れ脳梗塞」とはきわめて微小な脳梗塞のことです。
「医学の専門用語ではまったく症状が認められない『無症候性脳梗塞』や、一時的に眼が霞んだりポロッと箸を落としたりするなどの軽い症状が見られる『一過性脳虚血発作』のことをさしています」こう語るのは、「隠れ脳梗塞」の名付け親である眞田クリニックの眞田祥一院長です。
意外なのは「隠れ脳梗塞」が少なくないこと。MRI検査を受けた患者のうち、40代では3人に1人、50代では2人に1人、60代では8割以上に「隠れ脳梗塞」が発見されます。生活習慣の改善などで脳梗塞の予防に努めないと、「5年以内におよそ3割の人が大きな発作に襲われる」と警告されているので軽く見ることはできません。

 

微小脳梗塞が出現し、その数が次第に増え本格的な脳梗塞へ

脳梗塞はある日、突然、意識を失って倒れることが多いので、予告なしに襲われる病気のように思われがちですが、決してそうではありません。
「高血圧や動脈硬化などの進行で徐々に脳の血管が狭くなり、まず数mm程度の微小な『隠れ脳梗塞』がいくつか出現します。そのうちに梗塞の数が増え脳のあちらこちらに見られるようになり、ついには本格的な脳梗塞へと発展していくのです」
いわば「隠れ脳梗塞」は水田の水路に小石がたまったり、草が生えたりして水の流れが悪くなっている状態です。わずかながらも水が供給されていますから、稲は弱々しく育ちます。しかし、放っておけば水の流れは完全に遮られ、水田が干上がって稲を立ち枯れさせてしまいます。「隠れ脳梗塞」もそれと同じように、放置しておくと脳細胞の死滅を招き障害に苦しむことになってしまうのです。

 

軽くみると一生、後悔することになりかねない「隠れ脳梗塞」

「隠れ脳梗塞」のうち症状の現れない「無症候性脳梗塞」ほど、厄介なものはありません。
「もともと大きな予備能力を有する脳は、多少の神経細胞が死滅しても、その機能に障害が現れることは少ないからです」
自覚できる症状が現れないので、気づかないうちに本格的な脳梗塞を着々と準備していくのです。
一方、「めまいがしてまっすぐに歩けない」「ろれつが回らない」「片側の手足が痺れる」などの症状に突然襲われたものの、数分から20分程度で症状が消失する「隠れ脳梗塞」が「一過性脳虚血発作」です。
「発作後、短時間で脳血流が回復するため、MRIなどの画像検査に初めは異常な所見は認められません。『単なる疲れではないか』と軽く考えているうちに本格的な脳梗塞を起こしてしまうのです」
実際、アメリカのデータによると一過性脳虚血発作の2〜3年後、15〜30%の人が脳梗塞を発症させているのです。
では、「隠れ脳梗塞」の有無を確かめる方法はないのでしょうか。いや、あるのです。神経学的検査法に基づいた眞田院長考案の独自のテストによって、「隠れ脳梗塞」の有無が簡単に確かめられます。

 

挑戦してみよう! 隠れ脳梗塞を発見するためのテスト

【両手突き出しテスト】
大脳の前頭葉や錐体路の「隠れ脳梗塞」の有無が発見できます。前頭葉には考え・話し・行動するための中枢が存在し、錐体路は脳から身体各所の筋肉に指令を伝える伝達路です。

[方法](1)
背筋を伸ばしてまっすぐ立ち、眼を閉じます。

(2)
両腕を肩の高さまで持ちあげ、左右平行になるようにまっすぐ前方に突き出します。このとき手のひらを上に向け、親指が外側、小指が内側になるようにしながら、指をできるだけまっすぐ伸ばします。

(3)
その状態のまま、ゆっくりと10秒間静止します。

両手突き出しテスト

[判定]
どちらか一方の腕が無意識に内側に傾くように下がってきたら、前頭葉に「隠れ脳梗塞」が疑われます。肘が少し曲がってきたり、手の指が少し開きぎみになったりすることもあります。また、手が内側にねじれないでそのまま腕が下がってきたりした場合は、錐体路のあちらこちらに「隠れ脳梗塞」が発生している恐れがあります。

 

気楽に試みてください! 遊び感覚でできるテスト

【目隠し足踏みテスト】
小脳や頸髄の「隠れ脳梗塞」が発見できます。小脳は手足の複雑で敏速な動きをスムーズに行わせる働きがあり、頸髄は脳と身体を結ぶ連絡路です。

目隠し足踏みテスト

[方法](1)
床にまっすぐ立ち、立ち位置にビニールテープなどで印をつけ、自分のいる位置を確認しておきます。

(2)
眼をつぶり、その場で50回足踏みを行います。できるだけ太ももをあげ、腕をしっかりと振って足踏みします。50回目で眼を開き、始めたときの立ち位置からどれくらい離れているかを確認します。

[判定]
足踏みを始めた位置よりも、向きが45度、距離が75p以上離れていたら、小脳と頸髄に「隠れ脳梗塞」が疑われます。

 

本格的な脳梗塞への進行を予防するには生活習慣の改善が第一

テストで「隠れ脳梗塞」が疑われたら、一度は脳神経外科や神経内科の医師に受診し相談するとよいでしょう。MRI検査などで「隠れ脳梗塞」の有無やその数、広がりなどを確かめておくことが大切だと思います。
「隠れ脳梗塞」が発見されたら、なによりも生活習慣を改善することが求められます。ウォーキングや軽いジョキング、散歩などの有酸素運動を1日の生活に組みこむと同時に、動物性脂肪よりも青背の魚や野菜などを積極的に摂り、塩分控えめの食生活を送るようにしてください。

青背の魚や野菜

「とくに旬の食べ物はおいしいだけでなく、栄養もたっぷり含まれているのでお勧めです」
生活習慣の改善によって「隠れ脳梗塞」の予防や、「隠れ脳梗塞」から本格的な脳梗塞への進行が抑えられます。さぁ、今日から始めてみませんか。

参考資料
1) 『「隠れ脳梗塞」の見つけ方・治し方』 (眞田祥一著、講談社、2005年3月刊行)
『自分で見つけて治す隠れ脳梗塞』(眞田祥一著、マキノ出版、2003年4月刊行)
2) 『脳梗塞』(岡安裕之/黒田栄史監修、双葉社、2004年7月刊行)
3) 「季節によるほうれんそうの栄養成分の変動」(女子栄養大学辻村卓教授)

 



 


21.無症候性脳梗塞はCKDの独立したリスク因子

慢性腎臓病(CKD)脳血管障害のリスク因子として知られるが、逆に脳血管障害もCKDの予後増悪因子になる。10月1日から3日に滋賀県大津市で開催された第32回日本高血圧学会総会で、横浜市立大学附属市民総合医療センター腎臓内科の小林麻裕美氏がこんな研究結果を発表した。心臓と腎臓の疾患リスクの関連については多数の報告があるが、「心腎連関」だけでなく、「脳腎連関」にも注意が必要といえそうだ。

 小林氏らは、142例のCKD患者(男性96例、平均年齢64.7歳)を、無症候性脳梗塞ありの87例となしの55例に分けて2年間追跡した。エンドポイントは、血清クレアチニン(Cre)値の2倍化、透析導入、全死亡のいずれかが発生するまでの期間とした。登録時からの推定糸球体ろ過率(eGFR)の変化もみた。

 無症候性脳梗塞ありの群で36例(41.4%)、なしの群で10例(18.2%)がエンドポイントに達した。無症候性脳梗塞の有無で腎イベント(Cre値の2倍化、透析導入)の累積発症率を比較すると、ありの群で有意に高かった(p=0.0048)。eGFRの変化率は、無症候性脳梗塞ありの群は年9.72%減で、なしの群(3.00%減)に対する減少率は3.24倍だった(p=0.023)。Coxハザード多変量解析により、無症候性脳梗塞は、エンドポイントに対する独立した危険因子であることが確認された(p=0.033)。

 無症候性脳梗塞は、脳梗塞や脳出血といった脳病変の危険因子としてだけではなく、腎臓の予後予測因子の1つであることが示された。小林氏は、「脳と腎臓は、細動脈レベルまで高い圧のまま血流が保たれ、しかも自動調節能を持つという他臓器にない類似性を持つ。無症候性脳梗塞を有する患者では、脳の穿通枝動脈と同様、腎臓の糸球体輸入細動脈においても広範な細動脈障害を来している可能性が高い」と考察し、「脳、腎臓、心臓といった臓器障害は、臓器ごとではなく全身の血管病ととらえ、血管をターゲットとした積極的な治療が必要」とまとめた

小山 千穂

2009.10.6 日経メディカル
 
2010年版絵で見る歯周病連鎖