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歯周組織再生剤リグロス

 

1.リグロス

リグロスの特性

@世界初の歯周組織再生医薬品です。
A遺伝子組換えヒトbFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)製剤です。
Bエナメルマトリックスデリバティブ(EMD)対象比較試験の主要評価項目である新生歯槽骨の増加量において、EMDに対するリグロスの優越性が認められました。
C歯槽骨、セメント質及び歯根膜の再生を促進し、結合組織性付着を形成させます。(in vitro、in vivo
D本剤は用時溶解型のキット製剤で、適度な粘稠性を有する外用液剤です。
E 本剤が投与された安全性評価対象症例429例中3例(0.7%)に副作用が認められました。その内訳は、適用部位における歯肉白色化、歯肉紅斑、歯肉腫脹及び頭痛が各1例(0.2%)でした。臨床検査値異常は429例中51例(11.9%)に認められ、その主なものは尿中アルブミン陽性27例(6.3%)、尿中β2ミクログロブリン上昇17例(4.0%)、尿中NAG上昇16例(3.7%)、CRP上昇6例(1.4%)等でした。
(承認時)
 ※bFGF:basic fibroblast growth factor

 

リグロスの歯周組織再生機序

リグロスは歯周組織欠損部の未分化間葉系細胞、歯根膜由来細胞に対して増殖促進作用を示すとともに血管新生を促進します。
これらの作用により増殖した細胞は骨芽細胞、セメント芽細胞へと分化し、歯槽骨、セメント質及び歯根膜の新生や結合組織性付着の再構築により刺繍組織が再生されます。

 

臨床成績

 

■ 手術36週後の新生歯槽骨の増加量(主要評価項目)

新生歯槽骨の増加量において、リグロスのEMDに対する非劣性が検証されました。

手術36週後の新生歯槽骨の増加料について、リグロス群とEMD群との平均値の差(リグロス群-EMD群)は0.568mm(95%信頼区間:0.1764,0.9592)であり、95%信頼区間の下限値が非劣性マージンとして事前に設定した-0.30mmを上回ったことから、EMDに対するリグロスの非劣性が検証されました。

 

新生歯槽骨の増加量において、リグロスはEMDに対する優越性が示されました。

手術36週後の新生歯槽骨の増加量の両群における平均値の差は0.605mm(95%信頼区間:0.2173,0.9971)であり、リグロス群ではEMD群に比べて新生歯槽骨が優位に増加しました(p<0.01,Studentのt検定)。


 

■ 新生歯槽骨の増加量の経時変化(副次評価項目)

リグロスは新生歯槽骨を経時的に増加しました。

リグロス群とEMD群ともに新生歯槽骨の増加量の平均値が経時的に増加しました。また、リグロス群とEMD群の平均値の差は36週後まで経時的に大きくなりました(p<0.05,経時測定型分散分析)。

 

薬効薬理   Anzai J, et al.: PLoS One 11 (7): e0158485, 2016、承認時評価資料(薬理試験)

歯周組織再生作用(イヌ)

■ 新生骨に対する増加作用

トラフェルミンは、歯槽骨欠損部の骨塩量(骨量に相当)を増加させました。

Anzai J, et al. Long-term Observation of Regenerated Peiodontium Induced by FGF-2 in the Beagle Dog 2-Wall Periodontal Defect Model.
PLoS One. 2016;11:e0158485 (http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/jounal.pone.0158485)
© Anzai J et al. 2015 Creative Commons Attribution 4.0 International License (http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)

 

■ 結合組織性付着に対する作用

トラフェルミンは、結合組織性付着の形成を促進させました。

Anzai J, et al. Long-term Observation of Regenerated Peiodontium Induced by FGF-2 in the Beagle Dog 2-Wall Periodontal Defect Model.
PLoS One. 2016;11:e0158485 (http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/jounal.pone.0158485)
© Anzai J et al. 2015 Creative Commons Attribution 4.0 International License (http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)

方 法

イヌ2壁性歯周組織欠損モデルを作製し、0.3%トラフェルミン(トラフェルミン180㎍/HPC 60㎕)又は対照(HPC 60㎕)を欠損部に単回投与した。経時的に撮影された軟X線写真から欠損部の骨塩量を求め、欠損作製直後からの増加量で評価した。また、組織標本を作製し、観察及び形態計測を行った(上図)。

※ヒドロキシプロピルセルロース