脳梗塞の再発予防薬、認知症の進行抑制
血流増やし、たんぱく質排出


脳梗塞の再発予防薬、認知症の進行抑制、血流増やし、たんぱく質排出

脳血流を良くするには奥歯で噛む、ということも効果あるので、こういうこと。

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)の猪原匡史(いはらまさふみ)医長らは、脳梗塞(こうそく)の再発予防薬「シロスタゾール」に、認知症の一種のアルツハイマー病の進行を抑える効果があることが分かったと発表した。27日付の米オンライン科学誌プロスワンに掲載された。軽度の場合に有効といい、アルツハイマー病の進行予防薬としても使えるよう、臨床試験(治験)を今秋にも始める。

シロスタゾールは血管を広げて脳の血流を増やす効果がある。認知症は、脳の血管や神経細胞に障害が起こり、記憶力など認知機能が低下する。アルツハイマー病は、異常なたんぱく質が脳内に蓄積するとされる。アルツハイマー病の治療薬は、症状の進行を遅らせる「アリセプト」(一般名・ドネペジル塩酸塩)など4種類だけで、進行を根本的に止める方法は見つかっていない。

猪原医長らは、兵庫県洲本市内の病院との共同研究で、1996〜2012年のアルツハイマー病患者を調査。軽度の患者だと、認知機能テスト「MMSE」の点数が低下(悪化)する速さが、アリセプトを服用した36人(平均年齢78・4歳)は年平均2・2点だったが、脳梗塞予防のためシロスタゾールを併用していた34人(同77・2歳)は平均0・5点だった。

猪原医長は「シロスタゾールで脳の血流が良くなり、たまった異常なたんぱく質が外に排せつされて、認知症の進行を抑制したのではないか」とみている。【斎藤広子】


2014年2月27日 提供:毎日新聞社