ホワイトファミリーって?

White Family dental-site
衛生士レポート
 
 
 
  1. ケースで学ぶ患者さんの
    将来のリスクに基づいたメインテナンスの実践
  2. GCクリニカルベーシックセミナー
    「歯周治療」レポート
  3. つまようじ法とそのハブラシ、試して解った、
    メリット、デメリット
  4. 歯科診療時の不安・恐怖と歯科心身医学
  5. 歯周病にかかわる力の問題
  6. イビキを伴う睡眠呼吸障害に画期的な
    スリープスプリント療法
  7. 東京技研 ホワイトニング ブリリカ
  8. EBMに基づいた口腔ケアのために
  9. エアーフロスを使って
  10. 日本国内発売品
    フロス(糸ようじ)と歯間ブラシの比較
  11. フッ化物溶液3種類
  12. 飲料PHテスト
  13. CHXとCPCの違い
    グリチルリチン酸二カリウムとは
  14. Dr.Sandberg講演会レポート:
    患者を含めたチーム治療
  15. ~幸せを広げる歯科衛生士~
  16. Lロイテリ菌
  17. ペプチサル・シリーズお試し
    DHテストレポート 2015年2月
  18. 噛みしめ くいしばり レポート
  19. いまこそケアの話をしよう
    ~メインテナンスを定着させるために~
  20. イージークラウンリムーバーのテストレポート
  21. CAMBRA デモ レポート
 

1.ケースで学ぶ患者さんの将来のリスクに
基づいたメインテナンスの実践

2013年12月4日
 

オーラルケアトリートメント歯科ドック

衛生士: 岡部葉子 氏

患者さんから求められるメインテナンスとは

・患者さんの将来リスクの提示

・現状を把握するためのデータの活用

・可視化・数値グラフ化による認知効果

・変化する体調、精神面サポート(カウンセリング)を含め口腔を診る

患者さんが将来を想像できるような伝え方

生涯に渡るメインテナンスの価値が伝わる

患者さんの生活内容職業、過去の生活、人生経験を聞きながら、患者さんがイメージしやすい、言葉の比喩、症例、モニター画像、グラフ、フリップを有効に利用する

メンテナンスの過去の歴史

40年前はTBI、SC,ポリッシングなどすべて人に同じ内容の施術メインテナンスをしていた人も歯を残せない人が多くいた。
20年前 リスク診断、診査、リスクに基づく個別プログラムで現在の方法や内容、成果がすでに確立

現在の患者さん

口腔内
色々調べて情報通
健康意識が高い「もっと良くなりたい」
見た目も大事だが中身も重視
将来もずっと口腔内を維持していきたい
要望
患者さんも治療に参加し、積極的な質問、意見、要望
満足いく結果を求める
価値観
価値を感じたものだけしかお金を使わない
(感じられないものは後回し)

患者に価値が伝えられなければ、歯科ドッグもメンテも、求めない!!!!!!!

現在の歯科医院

・過去、現在の情報を確実に把握するための歯科ドック実施

・歯科医師との連携、情報共有(カンファレンス)

・患者さんの欲求を把握するためのコミュニケーション

・患者の口腔内環境、将来の歯の維持を見据えた個別メインテナンスプログラムの実施

治療メソッド

・睡眠ストレスなどへのケア(ラクデント)

・快適なメインテナンスの追及

歯に侵襲性のないクリーニングの導入(無痛処置が基本)軽く、短時間で、休憩をいれながら、適度な量

リラックスした状態でクリーニングを受けてもらうためのリラクセラピーの実施(歯肉マッサージ)

衛生面での安心を提供するためのラバーカップなどのディスポ化

・歯科テレスコープの使用(可視化)

・ビジュアル(PCモニター)を活用した患者さんへの情報提供

グルメでも、量が多いのはダメ!!です。

フルコースでも、軽く、少なく、リピートしたくなる程度の軽さ物足りなさ、が大切!!!

その後の効果の実感をともなう部分を押さえて処置する。

しっかり、目で見える違い、歯の白さ、歯肉の改善、表面のツルツル感や、粘膜のすっきり感、口臭や、ぬめりの改善など。

繰り返すほどの体調や、おなかの調子の変化、がでてくる。

歯科ドックの検査内容(Tトータルプランの作成)←もっと数値化、可視化が必要(目で観るエビデンス)

①問診・視診・触診(本日の検査内容の説明)

②口腔内写真

③サリバテスト

④プロービング(歯肉退縮、動揺度など)

⑤補綴物、カリエスチェック

⑥食生活アンケート 問診

⑦X線撮影

⑧血液検査・FMDによる動脈硬化検査

(DEMECAL メタボ検査が必要なら院長から患者さんに必要性を伝えてもらう)

⑨必要であればCT撮影

⑩OHISの実施

OHISとは

Roy、C.Page(元ワシントン大学歯学部教授)の

米国の歯周病専門医グループとPRE-VISER社が開発した歯周病リスク評価ソフト

一定の検査データをホームページ上から入力する

①リスクスコア(1~5段階)

②疾患スコア(1~100段階)

③診断

④チュートリアル(患者用資料)

評価レポートが即座に得られる

(月額29000円税別)

ソフトに

歯科来院歴、喫煙歴、糖尿病、口腔衛生状態、ポケット、出血の有無、CEJからの骨高さの他、縁下歯石があるか、垂直性骨吸収の有無、縁下マージン、分岐部病変、歯周外科の有無を入力する

リスクと病状が表示されるが

「リスクと病状はまったく異なるものである」

「実際に歯周病のリスクは高いが、臨症状またはX線写真上でほとんどの疾患があることが認められない患者もいる」

リスク

現状における、オーラルケアレベル・咬合パワーバランスと咬合癖・食生活内容と生活習慣・職業ストレス

による

口腔内の炎症進行と将来の変化予測、それによる全身への影響(全身疾患発症の例)

リスクを患者さんに伝えること、将来象をイメージさせる、

同じ例を紹介し、画像や、グラフで理解しやすく、

インパクトを持って記憶、印象を深めさせる。

思い出すキーワードが重要。

キーワードで映像を思い出させる。予約ごとにそれを繰り返す

リスクを感じさせることで、モチベートアップ!

症例を通して

・現状だけでは見えないものをリスクを通してみる事が出来た

・リスクということを歯周病やカリエスのみでなく総合的に見ることで

もっとよく将来をみる事ができ、患者さんの理解を得られることがわかった

・患者さんに私たちの気持ちをわかりやすく伝える事が出来る、意味のある時間を

すごすことができる。

・患者さん、DHが感じている以上に現状は難しい

(口腔内を維持する、歯を守ること、理解すること)

DHが言いにくい事を伝えてくれる

・ご自身の口腔内、体調の理解でモチベーションの維持

・医院サイドでもっと患者さんに提案できること、有効な施術を将来をみて考える事が出来る

前向きな問診

これからのメインテナンスで必要なこと

時代、環境、患者様の将来を考える

患者様ご自身の口腔内への関心や健康感を高める

自分たちのメインテナンスの価値や大切さをもっと患者様に伝えていく

歯を守るための3つのポイント

リスク。データ、体調&精神面

患者さんに伝える事から始めよう

オーラルケアのテクニックや、SCクリーニングの前に、患者に行うべき基本モチベションを繰り返し伝える努力、回数を重ねるごとに患者のモチベーションは強固に高くなっていく。

可能性を高める

出来る事からやってもらう

目で見えるリスクを提示する。

目標が明確になる

患者さんの心の動きを感じよう

同じことの繰り返しを行うことの重要さ、同じ言葉、会話の繰り返しでも、繰り返すことで、より、濃くなり、やがて

リスクを理解 今は協力的でなくても、ターニングポイントはやってくる

講習会をうけて

OHISは初めて使ってみました。今まで歯周病においてはプロービング、動揺度のみで

このように全体像を数値で表してはいなかったので、歯周病が主訴の患者様によく説明が

できると思います。

また、現在は症状がなくてもリスクが高い方もいますし、

痛くないから、出血してないからとフロスをサボってしまう方のモチベーションにもなりますし、

免疫力も大事だということで患者様の全身への関心も持ってもらういい機会になると思います。

達人にも歯周病のグラフがありましたので、それと比べてOHISが有効かどうかを見てみたいと思います。

ホワイトファミリーのDHで、OHISを参考に全体象の数値化をやりましょう。
12月中に完成させて、今までの行ってきたことを、より理解し、応用できる、DH用のトータルプランを数値化する。
ホワイトファミリーでは、ナイトガードコントロールとバランシングでリスクを除去している。

 【衛生士 迫田】
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2.GCクリニカルベーシックセミナー
「歯周治療」レポート

2013年8月23日

オーラルケアトリートメント歯科ドック

メタボと歯周病の関係

歯周病メンテの重要性

 

歯周治療 若林健史先生 東京都渋谷区 若林歯科医院

歯周病の80%は歯周基本治療で治ると言われています。歯周基本治療の中心になるのはブラッシング指導、スケーリング・ルートプレーニングで、一見簡単そうに思える処置ですが、基本に忠実で確実に行なわなければ良い結果は得られません。また歯周基本治療に続く歯周外科処置やその後のメインテナンス・SPTにおいても医院の歯周治療のシステムをきちんと構築しなければなりません。

初診時の対応/歯科ドック

診療哲学

1. 予防からメインテナンスまで歯周治療を診療の基本に置く

2. 他医院とちがう特色を持つ(快適な医療環境を創る)

3. 患者さん一人しとりとじっくり関わりを持つ

4. 基本を大切にする

5. 楽しく診療する

歯科界の現状

今後の医療サービスの質と経営戦略

診療のステップ

初診時の対応

歯科ドック

 問診・視診・触診

 歯周組織検査(プロービング・動揺度・フレミタス・根分岐部病変

 X線写真

 口腔内写真撮影

症例分析と治療計画

カウンセリング

歯周治療4つの面

歯周基本治療

 ブラッシング指導

 スケーリング・ルートプレーニング

 再評価

歯周外科処置

メインテナンス

診療のステップ

 予約・来院

初診時の問診と診査

診査結果とカウンセリング

歯周基本治療

再評価 

歯周外科処置

補綴修復処置

メインテナンス

リピーター

初診時の対応

 初診  

緊急処置 全顎的診査(歯科ドック)

 痛み 問診、視診、X線撮影

 不快症状 スタディモデル

 主訴の解決 スライド撮影、歯周組織診査

 咬合診査、生活習慣問診表

 カウンセリングへと道は続く

 ⇓

 

全顎的診査(歯科ドック)

 問診

 口腔内外の視診・触診

 歯周組織の診査

 (プロービング、動揺度、分岐部etc・・・)

 X線写真撮影14枚法

スタディーモデル

口腔内写真撮影

 咬合診査・咬頭干渉の有無

 生活習慣問診票

診査・診断

記録として残すことの重要性

1.「変化」を診るためには記録の保存が大切

2.規格性・再現性のある診査を行う

3.初診時と再評価時の診査結果を比較することにより、さらに価値が高まる

4.目で見たもの、触れたもの、感じたもの(観察したもの)を記録しておく

初診時の対応

患者さんとの初めての出会い

患者さんは第一印象(初診時の対応)で歯科医院を評価する

 プレ・カウンセリング 診査

  歯周病の簡単な説明  歯周治療に必要な診査

  診査の必要性をとく (十分な時間を費やすこと)60~90分

  歯周治療の目的を説明

問診の重要性

・患者さんの言葉(主訴)に隠されている問題点を引き出すには

歯科医の洞察力が必要である

 ・患者さんの言いたいことを傾聴、共感、理解してあげる事を

 通してコミュニケーションを確立する

 人を診る

視診

1. 顔貌の対称性

2. 顎運動の評価

3. 歯列の状態

4. 歯肉の性状(浮腫性・線維性・混合性)

5. 付着歯肉の量

6. プラークの付着状態

7. 齲蝕の有無

8. その他の異常所見など

触診

1. 歯肉の厚み、骨の厚み・形態を感じ取る

2. 痛み

3. 排膿

4. 骨瘤、小帯 ⇒ SCの印象

5. 口蓋の深さ ⇒ X線写真

6. 嘔吐反射 ⇒ X線写真 SCの印象

7. 顎間接の雑音、圧痛

8. 咬筋、側頭筋の圧痛

初診時におけるプロービング 歯槽骨の形態をX-Pと照らし合わせて想像する

1. 歯周疾患の進行の程度を把握する 

 ⇒ 必ずしも正確でなくても良い

2. 患者へのモチベーションと情報提供 

 ⇒ 検査の意味、測定値を読み上げる

3. 痛みに関する感受性と患者の協力度を知る 

 ⇒ 患者の特徴を把握し、心をつかむ方が大切

なるべく、痛くないように

無理はいけません。

測定方法

1. 執筆状変法、軽く把持し、固定源を確保する

2. 可及的に痛みを与えないで測定する(約25g)

3. プローブの先端を根面から離さない

4. 隣接面のポケットを見逃さない

6点法、Walking Method

根分岐部のプロービング

垂直性のポケットと水平性のポケット

ファーケーション・プローブ 

Navers 1N 上顎分岐部 

Navers 2N 下顎分岐部

Lindhe&Hampの分類

ClassⅠ:初期の分岐部病変、水平的骨吸収が歯牙の幅の1/3以内

ClassⅡ:中等度の分岐部病変、水平的骨吸収が歯牙の幅の2/3以上、

ただし反対側には通り抜けないこと

ClassⅢ:高度の分岐部病変、反対側と交通している

 (through&through)

動揺度の判定基準

0度(生理的動揺):ほとんど動くと感じない

 0.2mm以下、下顎前歯はやや大きい

1度(軽度の動揺):唇頬舌方向にわずかに動く

正常な動揺より大きいと初めて感じる程度

約0.5~1.0mm

2度(中等度の動揺):近遠心方向にも動く

 唇頬舌方向に約1mm以上動く

 1.0~20.mmの範囲

3度(重度の動揺):唇頬舌的に2.0mm以上で、垂直方向にも動く

動揺の診査方法

前歯:ピンセットで挟み唇舌方向に動かす

臼歯部:ピンセットを咬合面にあて頬舌側に動かす

ミラーやピンセットの後ろを使い挟み込むように頬舌的に動かす

フレミタス:指の腹で感じる

タッピング・クレンチング ⇒ 垂直的動揺

 グラインディング  ⇒ 咬頭干渉

X線写真撮影 

 パノラマとデンタル

 歯肉縁の見えるX線写真

 歯肉、頬側骨頂、舌側骨頂

骨欠損の形態とX線写真 ホワイとファミリーでは3DCT

・1壁性骨欠損 歯根から見て骨壁が1

・2壁性骨欠損 歯根から見て骨壁が2

・3壁性骨欠損 歯根から見て骨壁が3

・混合型骨欠損

X線写真の限界、落とし穴に注意

まとめ

・全顎的な診査を行う(歯科ドック)

・診査は記録として残す

・初診時の第一印象は最も重要である

・問診は傾聴、共感、理解

・プロービングとX線写真で骨形態を把握

・初診時のプロービングは、痛くないように無理をしない

・X線写真はデンタルの10枚法か14枚法が理想

・口腔内写真を撮影する

症例分析と治療計画/カウンセリング

症例の分析と治療計画の立案

カウンセリングは医院と患者の信頼関係を築く最良のチャンス

カウンセリングはプライベートタイム

歯周治療は患者さん自身によるプラークコントロールをベースとしているので

患者さんの積極的な参加と協力が必要であるため十分なインフォームド・コンセント

不可欠である。まわりを気にしないで何でも話せる環境づくりを心掛ける。

カウンセリングで伝えたいこと

1. 診査結果を報告する 

 現在の状態がどうなっているのか(現状把握)

 なぜ今のような状態になったのか(原因究明)

 どうしたら健康を回復できるのか(治療計画の提示)

2. 費用の提示

3. 長期的治療計画の提示と相談

4. 医院の歯科治療に対する考え方を理解してもらう

5. 院長の人柄や個性を知ってもらう

価値観の変化

口腔の健康に対する価値観を高める

あなたの歯ってあなたにとってどんな価値があるのですか?

美味しく食べるため

健康でいるため

人と会話するため

若く見せるため

恋愛をするため

Dental IQの向上

優先順位を高める

歯周治療の4つの面(phase)

1. 歯周基本治療 Initial preparation

2. 歯周外科処置 Definitive therapy

3. 補綴修復処置 Restorative therapy

4. メインテナンス Maintenance therapy

歯周基本治療

歯周病の80%は歯周基本治療で治療

1. スケーリング、ルートプレーニング

2. 口腔清掃法の指導(ブラッシング指導)

3. う蝕治療(歯内療法、要抜去歯の抜歯、歯の分割、歯根切除)

4. 歯の小矯正(MTM)

5. 動揺度の斬間固定

6. 選択削合による咬合調整

7. 再評価

8. 資料の収集

ブラッシング指導

歯周治療の第一歩で、治療の根幹を成すものである。

一見簡単そうに思えるが歯磨きのテクニックよりも

日常生活の中で持続する気持ちを与えることが重要で

あるため最も難しい指導である

モチベーション(動機づけ)が課題

プラークコントロールを日常の生活の中で 

持続する原動力を患者に与えることがモチベーションである

ブラッシング方法

ブラッシング法はどのような方法でもよく、患者個々に即した方法を

患者と共に見つけ出す。重要なことは歯面からプラークを除去することである

術者磨き

ポストカウンセリング(DH)

治療終了後に術前、術後のプロービングデプスや口腔内スライドを比較して

見てもらい口腔環境が改善されたことを確認してもらう

治療の終了がゴールではなく新たなスタートであることを確認してもらう

毎日の患者自身のプラークコントロールと

定期的なメインテナンスが重要であることを伝える

次回の検診のアポイントをとっていってもらう

ルートプレーニング後の治癒様式

新しい結合組織性の付着ではなく、長い上皮性の付着

(Long Junctional Attachement)である

非角化性重層扁平上皮で、細胞間隙が拡大しており

歯根面との間にヘミデスモゾームが見られる

ルートプレーニングはどこまで行うのか?

歯周組織に炎症を起させるグラム陰性細菌がもっている

為害物質「エンドトキシン」は露出セメント質の表面から

30µm以内の深さに存在する

 ↓

 過度にセメント質を除去する必要はなく臨床的には

 均一でスムーズな生物学的に受け入れられる根面を

 つくりだすこと

生物学的に受け入れられる歯肉縁下環境を達成する

ルートプレーニングによるセメント質の除去

1回のストロークで削れる深さ=5~20µm

セメント質の厚さ

 歯頚部付近=20~50µm

 根尖付近=150~200µm

セメント質の厚さを頭にいれて歯根面のダメージが極力少ないように操作しましょう

ルートプレーニング後の再評価の時期

・歯肉溝が上皮で被覆されるのは6~10日

・結合組織の修復完了は10~21日

・治療に対する初期の反応性の評価には4~6週間が適切である

歯肉の性状による治癒形態の違い

浮腫性の歯肉 → 収縮

繊維性の歯肉 → 長い上皮性の付着

混合性の歯肉 → 収縮と長い上皮性の付着

浮腫性歯肉

・炎症が結合組織全体に波及

・進行が早い

・非角質化

・歯肉の収縮が起こりやすい

繊維性歯肉

・炎症の波及は根面に沿って根尖に向かう

・進行は比較的長期間を要す

・垂直性骨吸収が起こりやすい

・歯肉の収縮があまり期待できない

まとめ

・治療計画、診査結果、患者さんの希望、社会的状況などを考慮し、総合的に行う

・カウンセリングは、患者さんとの距離を近くする最も重要な時間

・歯周基本治療で歯周疾患の8割は治癒する

・ルートプレーニング後の治癒様式を理解しておく

歯周基本治療/歯周外科処置

再評価の意義

歯周基本治療の効果を評価することにより

以後の治療方針を明確にすることができる

 ↓

 治療方針の分岐点

歯周治療で大切な再評価

プロービングデプスの変化

プロービング時の出血の有無

 ↓

これらの改善は患者の意識の改革と

医院側の処置が的確に行われていることを示している

プロービング時の出血の意義

・肉眼的な歯肉の外観に惑わされることなく

 そこに炎症があるか知ることができる

・出血するには原因がある

1. 歯石の存在

2. 患者のプラークコントロールの不良

3. 不適合補綴物の存在や清掃不良など

再評価時のプロービングデプスと出血

Case1 P.D1~2mmの部位で出血の場合

 ↓

患者のプラークコントロールが不良と判断 

 ↓

衛生士による再度の刷掃指導と動機づけをおこなう

Case2 P.D3~4mmでその部位の歯肉のみが腫脹、出血している場合

 ↓

 歯石の取残しが考えられる

 ↓

 プローブや探針でチェックし歯石があれば除去する

Case3 P.D5mm以上のポケットが残り根面がザラザラしている場合

 ↓

 歯石の取残しや根面の滑沢化の不十分が考えられる

 ↓

 麻酔下で再ルートプレーニングを行い1箇月後に再評価する

 ↓ ↓

 治癒 ポケット残存

 ↓ ↓

 歯周外科 短期間のメインテナンス

歯周外科の必要な症例

ルートプレーニングを数回にわたり行なった結果、歯周ポケットの減少が見られず

メインテナンス不可能と思われる症例で、諸条件が満たされたときに歯周外科を行なう

 確定的両方(歯周外科)の選択

 十分な基本治療 

 ↓ (←再評価)

 メインテナンス不可能な歯周ポケット残存

 ↓

 歯周外科

目的

・歯周基本治療で除去できなかった起炎物質(歯石)の除去

・メインテナンスの容易な口腔内環境の付与

・歯周ポケットの減少・除去

・失われた付着・歯周組織の回復

・生物学的幅径・歯冠高径の確保

歯周外科療法

1. 切除療法

 歯肉切除、骨整形・骨除去

2. 組織付着

 Curretage、 Flap operation

3. 再生療法

 エムドゲイン、GTR

4. 歯周形成外科

 遊離歯肉・結合組織移植、歯槽堤増大、乳頭再建術

基本プログラム(PB)

3~4ヶ月ごとに60~90分を歯科衛生士のアポイントとしてとる(DH)

検査項目:衛生状態の診査

 歯周病の診査

 カリエスの診査

 咬合の診査

予防処置項目:ブラッシング指導

 スケーリング・ルートプレーニング

 ステイン除去

 咬合調整・義歯の調整(Dr)

メインテナンスの期間

基本的には3~4ヶ月のインターバル

1. 歯周病があり広範な補綴処置の場合 1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月と延長

2. 歯周病がなく広範な補綴処置の場合 2ヶ月、4ヶ月

3. 歯周病がなく小範囲な補綴処置の場合 4ヶ月ごと

4. 歯周ポケットが残存している場合 数週間から1ヶ月ごと(SPT)

1~3mm:治癒

4mm以上:SPT

まとめ

・再評価で重要なこと

 プロービングデプスの変化

 プロービング時の出血の有無

・歯周外科治療の目的

 歯周基本治療で除去できなかった起炎物質の除去

 メインテナンスの容易な口腔内環境の付与

・メインテナンスは状態に合わせて期間を設定

・患者さんとの心のふれあいを大切にする

患者さんのデータ収集(口腔内写真、清掃状況、プロービング、・・・)をして、

自分のお口の状況を把握していただく。このまま放置するとどのようになってしまうのか、今やるべきことは何かをわかりやすく説明する(協力を求める)。

プロービングにおいても初回の場合はとにかく痛みのないように計測するということ。

今までは正確なデータをつくるため多少の痛みはしょうがないと思っていましたが、

「痛くない丁寧な治療をしてくれる」という安心感を与えることが大事ということがわかりました。相手(こころ)があるので一方的にならないよう歯周治療を進めていくよう努めていきたいです。 志田

2013年8月23日 【衛生士 志田】

 

講師:若林歯科医院の若林健史先生

若林歯科医院での診療哲学

1,予防からメインテナンスまで歯周治療を診療の基本におく

2,他医院とちがう特色を持つ

3,患者さん一人ひとりとじっくり関わりを持つ

4,基本を大切に

5,楽しく診療する

 

歯科界の現状

今後の医療サービスの質と経営戦略

・診療のステップ

予約、来院
初心時の問診と診査
診査結果とカウンセリング
歯周基本治療
再評価
歯周外科治療
補綴修復処置
メインテナンス→リピーター

●初診時の対応
患者さんは第一印象で評価する。

・プレ・カウンセリング
歯周病の簡単な説明
診査の必要性
歯周治療の目的を説明

・緊急処置
痛み、不快症状、主訴の解決

全顎的診査(歯科ドック)
→口腔内外の視診、触診
歯周組織の診査
(プロービング、動揺度、分岐部etc)
エックス線写真撮影14枚法
スタディーモデル
口腔内写真撮影
咬合診査・咬頭干渉の有無
生活習慣問診票

 

●診査、診断
記録として残すことの重要性
1変化を診るためには記憶の保存が大切

2規格性、再現性のある診査を行う

3初診時と再評価時の診査結果を比較するこくとにより、さらに価値が高まる。

4目で見たもの、触れたもの、感じたもの(観察したもの)を記録しておく

●問診の重要性
主訴に隠されている問題点を引き出すには歯科医の洞察力が必要である。
患者さんの言いたいことを傾聴、共感、理解してあげることを通してコミュニケーションを確立する。

●視診
1顔貌の対称性
2顎運動の評価

3歯列の状態
4歯肉の性状

5付着歯肉の量
6プラークの付着状態
7う蝕の有無
8その他の異常所見など

●触診
1歯肉の厚み
2痛み
3排膿
4骨瘤、小帯→SCの印象

5口葢の深さ→エックス線写真
6嘔吐反射→エックス線写真 SCの印象
7顎関接の雑音、圧痛
8咬筋側頭筋の圧痛

●初心時におけるプロービング
1歯周疾患の進行の程度を把握する
→必ずしも正確でなくても良い
2患者へのモチベーションと情報提供
→検査の意味、測定値を読み上げる
3痛みに対する感受性と患者の協力度を知る
→患者の特徴を把握し、心をつかむ方が大切

無理して痛みを与えない!

●測定方法
1執筆状変法、軽く把持し、固定源を確保する。
2可及的に痛みを与えないで測定する(25g
  ホワイトファミリーではセンサープローブなので、安心です。
3プローブの先端を根面から離さない
4隣接面のポケットを見逃さない

根分岐部は垂直、水平を測る
ファーケーションプローブを併用

→根分岐部病変とは
Lindhe&Hampの分類

class1 水平的骨吸収 1/3以内 初期
class2 〃 2/3以上 中期
class3 〃 貫通する 高度

歯根の形態頭にいれる

●動揺度
0度 0,2mm以下

1度 唇頬舌方向にわずかに0,5~1mm

2度 近遠心方向、唇頬舌方向に1mm~2mm

3度 唇頬舌的に2mm以上 垂直方向にも動く

3壁性骨欠損→歯根から見て骨壁が3
2壁性骨欠損→ 〃 2
1壁状骨欠損→ 〃 1
混合型骨欠損 がある。

●パノラマ写真の限界
骨吸収が見られなくても
皮質骨が残っていても、
海面骨がなくなっていることもある
!! ホワイトファミリーでは3DCTで詳しく確認します。

●症例分析と治療計画
カウンセリング
医院と患者の
信頼関係を築く最良のチャンス

・カウンセリングはプライベートタイム
歯周治療は患者さんのプラークコントロールをベースとしているため患者さんの積極的な参加と協力が必要なであるため十分なインフォームドコンセントが不可欠

●カウンセリングで患者さんへ伝えたいこと
1診査結果を報告する
現在の状況がどうなっているか(現在把握)
なぜ今のような状態になったか(原因究明)
どうしたら健康を回復できるか(治療計画の提示) 
  
ホワイトファミリーではトータルプランですべてを患者さんに説明

2費用の提示
3長期的治療計画の提示と相談
4医院の歯科治療に対する考えを理解してもらう
5院長の人柄や個性を知ってもらう

●価値観の変化を変える
口腔の健康に対する価値観を高める
あなたの歯ってあなたにとってどんな価値がありますか?

歯周基本治療
1スケーリングルートプレー二ング

2口腔清掃法の指導 TBI

3う蝕治療 (歯内療法、要抜去歯の抜歯、歯の分割、歯根切断)

4歯の小矯正(MTM)
5動揺歯の、斬間固定
6選択削合による咬合調整
7再評価
8資料の収集

●ブラッシング指導
歯周治療の第一歩、治療の根幹を成すもの。
一見簡単そうに思えるが歯磨きの
テクニックよりも日常生活の中で持続する気持ちを与えることが重要であるため最も難しい。

モチベーション(動機付け)が課題
プラークコントロールを日常生活の中で持続する原動力を患者さんに与えることがモチベーションである。

術者磨きをして、歯面を舐めてもらい
ツルツル感を知ってもらうことが大切

●ポストカウンセリング
治療終了後に術前のプロービングデブスや口腔内スライドを比較して見てもらい口腔環境が改善したことを確認してもらう。

治療の終了がゴールではなく新たなスタートであることを認識してもらう

毎日の患者自身のプラークコントロールと定期的なメインテナンスが重要であることを伝える。
次回の検診の予約をとっていってもらう。

●ルートプレーニング後の治癒様式
新しい結合組織の付着ではなく、長い上皮性の付着

非角化性重層扁平上皮で、細胞間隙が拡大しており歯根面との間にヘミデスモゾームが見られる。

ルートプレーニングはどこまで行う?
歯周組織に炎症を起こさせるグラム陰性細菌がもっている為害物質 エンドトキシン は露出セメント質の表面から30μm 以内の深さに存在する
→過度にセメント室を除去する必要はなく臨床的には均一でスムーズな生物学的に受け入れられる根面を作り出すこと。

一回のストロークで削れる深さは5~20μm

セメント質の厚さ
歯頸部付近20 ~50μm

根尖付近は150~200μm

セメント質の厚さを頭に入れて歯根面のダメージが極力少ないように操作しましょう。

●再評価の時期
歯肉溝が上皮で披覆されるのは6~10日目
結合組織の修復完了は10~21日
治癒に対する初期の反応性の評価には4~6週間が適切である

●歯肉の性状による治癒形態の違い
浮腫性の歯肉 →収縮
繊維性の歯肉→長い上皮性の付着
混合性の歯肉→収縮と長い上皮性の付着

浮腫性
・炎症は結合組織全体に波及
・進行が早い
・非角質化
・歯肉の収縮が起こりやすい

繊維性
・炎症の波及は根面に沿って根尖に向かう
・進行は比較的長時間を要す
・垂直性骨吸収が起こりやすい
・歯肉の収縮があまり期待出来ない

●歯周治療で大切な再評価
プロービングデプスの変化
プロービング時の出血の有無

→これらの改善は患者の意識の改革と医院側の処置が的確に行われていることを示している

●プロービング時の出血の意義
・肉眼的な歯肉の外観に惑わされることなくそこに炎症かあるか知ることができる
1歯石の存在
2患者のプラークコントロールの不良
3不適合補綴物の存在や清掃不良など

●再評価時のプロービングデプスと出血
・PD1~2mmの部位での出血の有無
→患者のプラークコントロールが不良と判断
→衛生士による再度の刷掃指導と動機付けを行う

・PD3~4mmでその部分の歯肉だけが腫脹、出血している場合

→歯石の取り残しが考えられる

→プローブや短針でチェックし歯石があれば除石する

・PD5mm以上のポケットが残り根面がザラザラしている場合

→歯石の取り残しや根面の滑沢化の不充分が考えられる

→麻酔下で再ルートプレーニングを行い1ヵ月後に再評価する

→治癒
→ポケット残存
歯周外科、短期間のメインテナンス

●歯周外科の必要な症例
ルートプレーニングを数回にわたり行った結果、歯周ポケットの減少が見られず、メインテナンス不可能だと思われる症例で、諸条件が満たされたときに外科治療を行う。

目的
・歯周基本治療で除去できなかった起炎物質(歯石)の除去
・メインテナンスの容易な口腔環境の付与
・歯周ポケットの減少、除去
・失われた付着、歯周組織の回復
・生物学的幅経、歯冠高経の確保

●歯周外科治療法
・切除療法
・組織付着
・再生療法
・歯周形成外科

●基本プログラム(BP)
3~4ヶ月ごとに60~90分を
歯科衛生士のアポイントをとる

検査内容:口腔の衛生状態、歯周病、カリエス、咬合

処置内容:ブラッシング指導、スケーリングルートプレーニング、ステイン除去、義歯調整・咬合調整

●メインテナンスの期間
基本的には3~4ヶ月のインターバル
1 歯周病があり広範な補綴処置の場合
1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月と延長
2 歯周病がなく広範な補綴処置の場合
2ヶ月、4ヶ月と延長
3 歯周病がなく小範囲な補綴処置の場合
4ヶ月ごと
4 歯周ポケットが残像している場合
数週間から1ヶ月ごと(spT)

感想
わかりやすい図と説明でした。
改めて歯周基本治療を学んで、今まで知らなかったSRP後の期間などが多々わかったので良かったです。

2013年8月23日 【衛生士 高橋】

 

講師:若林歯科医院の若林健史先生
渋谷区 住宅街に医院がある 看板が小さい

若林医院の診療哲学
1.予防からメンテナンスまで歯周治療を診療の基本に置く
2、他医院と違う特色を持つ(快適な医療環境を創る)
3.患者さん一人ひとりとじっくり関わりを持つ
4.基本を大切にする
5.楽しく診療する

診療のステップ

アポイントメント

一人の患者さんに1時間 DRとDHのチェアー配分は1:1

初診時の対応
・緊急処置・・・
痛み 不快症状 主訴の解決
・全学的診査(歯科ドック)・・・
問診、視診、触診 
歯周組織の診査
(プロービング 動揺度 分岐部 etc...)
X線撮影14枚法 
スタディモデル
口腔内写真撮影 

咬合診査 口頭干渉の有無
生活習慣問診票
→カウンセリングへと道は続く

診査・診断 記録として残すことの重要性
1.変化を診るためには記録の保存が大切
2.企画性、現実性のある診査を行う
3.初診時.再評価次の審査結果を比較することによりさらに価値が高まる
4.目で見たもの、触れたもの、感じたもの(観察したもの)を記録しておく

初診時の第一印象で歯科医院を評価する

問診の重要性 人を診る

・患者さんの言葉(主訴)に隠されている問題点を引き出すには歯科医の洞察力が必要である
・4患者さんの言いたいことを傾聴、共感、理解してあげる事を通してコミュニケーションを確立する

視診
1.顔貌の対称性
2.顎運動の評価
3.歯列の状態
4.歯肉の性状(浮腫性.線維性.混合性)

5.付着歯肉の状態
6.プラークの付着状態
7.ウ蝕の有無
8.その他の異常所見など

触診
1.歯肉の厚み、骨の厚み・形態を感じ取る
2.痛み
3.排膿
4.骨瘤、小帯→ SCの印象
5.口蓋の深さ→ X線写真
6.嘔吐反射→X線写真 SCの印象

7.顎関節の雑音、圧痛
8.咬筋、側頭筋の圧痛

初診時におけるプロービング
1.歯周疾患の進行の程度を把握する
必ずしも正確でなくてよい ポケット内炎症でB+にしない程度に軽く挿入して診るので、アンダー傾向である
2.患者へのモチベーションと情報提供
→検査の意味、測定値を読み上げる 具体的数値はあくまで、話のきっかけで、自覚症状の軽い疾病であり、初期値から改善するまでの自己努力目標を与え、達成してもらうために、具体的な実行内容の話、とその効果と意味をくわしく説明繰り返す。次回アポでも再度。すくなくとも、3回は同じ内容を伝えておく。
3.痛みに対する感受性と患者の協力度を知る
→患者の特徴を把握し、心をつかむ方が大切 患者さんの興味、趣味、仕事、生活ポリシーなどから得られる情報を共有して歯周病管理の効果を
理解してもらうような、きっかけをつくる。

なるべく×    痛くないように。無理はしない

測定方法
1.執筆状変法、軽く把持し、固定源を確保する
2.可及的に痛みを与えないで測定する(25g) 
 
ホワイトファミリーでは、もっと安全なセンサープローブを使っているからより確実です。
3プローブの先端を根尖から離さない
4.隣接面のポケットを見逃さない
6点法・walking method   ホワイトファミリーでは当然です。立体的にポケット内を把握する。でも初回はおおざっぱでよく、早く痛くなく、軽い処置に!!

根分岐のプロービングはファーケーションプローブ 
Navers 1N 湾曲がきついので上顎臼歯部
Navers 2N 湾曲が緩やかなので下顎臼歯

根分岐プロービング位置
上顎大臼歯  頬則中央・近心口蓋側よりから・遠心コンタクト中央から
下顎大臼歯  舌頬側中央から

分岐などは水平方向のプローブも

動揺度診断
フレミタス
タッピング・クレンチング→垂直的動揺

グライディング      →咬頭干渉

X線撮影

骨欠損の形態とX線写真

・1壁性骨欠損  歯根からみて骨壁が1
・2壁性骨欠損  歯根からみて骨壁が2
・3壁性骨欠損  歯根からみて骨壁が3

口腔内写真
最低でも5枚 正面左右 上下の咬合面

症例分析し、治療計画の立案
診査の結果だけでなく患者さんの希望、経済的な面も踏まえて計画し
いくつかのプランを立て、その中から患者さんが選んでいく

カウンセリングはプライベート
歯周治療は患者さん自身によるプラークコントロールをベースとしている。
gf
患者さんの積極的な参加と協力が必要であるため十分なインフォームド・コンセントが不可欠である
周りを気にしないでなんでも話せる環境づくりを心がける

カウンセリングで伝えたいこと
1.診査結果を報告する
現在の状況がどうなっているのか(現状把握)
なぜ今のような状態になったのか(原因究明)
どうしたら健康を回復できるか(治療計画の提示)
2.費用の提示
3.長期治療計画の提示と相談
4.医院の歯科治療に対する考え方を理解してもらう
5.院長の人柄や個性を知ってもらう

価値観の変化
口腔の健康に対する価値観を高める
あなたの歯ってあなたにとってどんな価値があるのですか?
・おいしく食べるため
・健康でいるため
・人と会話するため
・若く見せるため
・恋愛するため
Dental IQの向上
優先順位を高める

歯周治療の4つの面(phase)

1.歯周基本治療
歯周病の80%は歯周基本治療で治癒
①SC・SRP
②口腔清掃法の指導 (①②は歯周病の3本柱)
③ウ蝕治療 (歯内療法、要抜去歯の抜歯、歯の分割、歯根切断)
④歯の小矯正
⑤動揺歯の斬間固定
⑥選択削合による咬合調整
⑦再評価
⑧資料の収集

ブラッシング指導
歯周病治療の第1歩で、治療の根幹をなすものである。
一見簡単そうに思えるが歯磨きのテクニックよりも日常生活の中で
持続する気持ちをあたえることが最も重要なため最も難しい指導である
いろいろな方法があるが、ブラッシング法はどのような方法でもよく
最初の導入時にはこだわらなくても、徐々にレベルアップしていく。


患者個々に即した方法???  患者と共に見つけ出す。患者さんが自分で気づき、見つけたように仕向ける、指導といっても、手取り、足取り教えるのではなく、気づくように、質問を返したり、一緒に考える間を開ける。なにげにHPの 
イラスト、文章を読ませる。
自己流でセルフケアさせて問題点を修正していく。4分の一顎づつ。
重要なことは歯面からプラークを除去することである
最初に術者磨きで体感してもらう

モチベーションが課題
プラークコントロールを日常の生活のなかで持続維持する原動力を
患者に与える事がモチベーションである


ポストカウンセリング(DH)
治療終了後に術前術後のプロービングデプスや口腔内スライドを比較
して見てもらい

口腔環境が改善されたことを確認してもらう
治療終了がゴールでなく新たなスタートであることを確認してもらう
毎日の患者自身のプラークコントロールと定期的なメイインテナンス
が重要であることを伝える 
次回の検診のアポイントをとっていってもらう

ルートプレーニングはどこまで行うのか?
歯周組織に炎症を起きさせるグラム陰性細菌が持っている阻害物質
「エンドトキシン」を露出セメント質の表面から30?以内の深さに
存在する
過度にセメント質を除去する必要はなく臨床的には均一でスムーズ
な生物学的に受け入れる根面をつくりだすこと

ルートプレーニングによるセメント質の除去は1回のストロークで5~20?
セメント質の厚さ  歯頚部付近 20~50?
根尖付近 150~200?
セメント質の厚さを頭に入れて歯根面のダメージが極力少ないように操作する

ルートプレーニング後の再評価の時期
・歯肉溝で上皮が皮膜されるのは6~10日目
・結合組織の修復完了は10日~21日
・治療に対する初期の反応性の評価には4~6週間が適切である

歯肉の性状による治癒形態の違い
浮腫性の歯肉
・炎症が結合組織全体に波及
・進行が早い
・非角質化
・歯肉の収縮が起こりやすい
線維性の歯肉→長い上皮性の付着
・炎症の波及は根面に沿って根尖に向かう
・進行は比較的長期間を要す
・垂直性骨吸収が起こりやすい
・歯肉の収縮があまり期待できない
混合性の歯肉→収縮と長い上皮性の付着


再評価の意義
歯周基本治療の効果を評価することにより以後の治療方針を明確にすることができる
→治療方針の分岐点
再評価で大切なこと

プロービングデプスの変化
プロービング時の出血の有無 
  
→これらの改善は患者の意識の改革と医院側の処置が適切に行われていることを示している

プロービング時の出血の意義   
・肉眼的な歯肉の外観に惑わされることなく底に炎症があるか知ることができる 
・出血するには原因がある
1.歯石の存在  
2.患者のプラークコントロールの不良
3.不適合補綴物の存在や清掃不良など


case1 P.D1~2mmの部位で出血の場合
→患者のPCが不良と判断
→DHによる再度の指導、モチベーションを行う

case2 P.D3~4mmでその部分の歯肉のみが腫脹、出血している場合
→歯石の取り残しが考えられる
→プローブや探針でチェックし歯石があればSC

case3 P.D5mm以上のポケットが残り根面がザラザラしている場合
→歯石の取り残しや根面の滑沢化の不十分が考えられる
→麻酔下で再ルートプレーニングを行い1カ月後に再評価
治癒    ポケット残存・・・歯周外科or短期間のメンテナンス

2.歯周外科治療
歯周外科が必要な症例   
ルートプレーニングを数回にわたり行った結果、歯周ポケットの減少が
みられずメインテナンス不可能と思われる症例で、
諸条件が満たされた時に歯周外科を行う
目的
・歯周基本治療で除去できなかった起炎症物質(歯石)の除去
・メインテナンスの容易な口腔環境の付与   
・歯周ポケットの減少・除去
・失われた付着・歯周組織の回復
・生物学的幅経。歯冠高経の確保

切除療法
・歯肉切除 ・骨形成・骨除去
組織付着
・Curretage ・ Flap opration
再生療法
・エムドゲイン ・GTR
歯周形成外科 
・遊離歯肉、結合組織移植・歯槽堤増大、乳頭再建術

3.補綴修復治療  
ホワイトファミリーではプロテンプによる、修復で、12か月ごとに作り変えて変化に対応させていくことができる。

4.メインテナンス
基本プログラム
3~4か月ごとに60~90分DHのアポをとる
検診項目 ・衛生状態の診査
・歯周病の診査
・カリエスの診査
・咬合の診査
予防処置項目 
・ブラッシング指導
・SC,SRP
・ステイン除去
・咬合調整、義歯の調整(Dr)

メインテナンスの期間は基本的には3~4カ月ごとのインターバル
1.歯周病があり広範囲な補綴処置の場合
1カ月、2カ月、3カ月、4カ月と延長
2.歯周病がなく広範囲な補綴処置の場合
2カ月、4カ月と延長
3.歯周病がなく小範囲な補綴処置の場合
4カ月ごと

4.歯周ポケットが残存している場合 
数週間から1カ月ごと(SPT)

基本的にはポケット3mm以下はメインテナンス4mm以上は治癒ではない

テクノロジーは進化していくがいつの時代も変わらぬ心
患者さんとの心のふれあいを大切にする

セミナーを受けて、基本的な事は知っているつもりでしたが、再確認出来ました
セメント質をなるべく削らないようには気をつけているつもりですが、根面の滑沢化となるとさらに削るようになってしまうので、そのあたりのSRPの仕方が難しいと思いました。
ブラッシング指導が難しいとありましたが、
実際にはモチベーションを常に高めておく方が難しいと感じているので、ここにあるようにメインテナンスの時期は3,4か月にしようかと思いました。

 【衛生士 迫田】
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3.つまようじ法とそのハブラシ、
試して解った、メリット、デメリット

2011年11月25日
 
「つまようじ法」歯ブラシを使った感想
つまようじ法とそのハブラシ、試してみて、解った、メリット、デメリット自分は歯間が開いていないので毛先が隣接面に入らず、2列型植毛なので磨いていて何か物足りない感じでした。
歯間が開いている方は食物残渣が取れてよいのではないでしょうか。いずれにせよ隣接面は歯ブラシだけではプラークが落とせないのでフロスでのお手入れが必要です。
 【衛生士歴10年 志田】
つまようじ法とそのハブラシ、試してみて、解った、メリット、デメリットつまようじ法ブラッシングとは、毛先を歯間部に出し入れすることや、歯肉マッサージが、歯ブラシ1本で効率よくできるとの事。
メリット・・歯間がかなり空いている人には、毛先が入りやすいと思います。
ブラッシング法の動画です。
http://www.youtube.com/watch?feature=
player_embedded&v=OCxaCcdWgbs#t=75s

デメリット・・歯ブラシが硬い。かなり力を入れないと歯間に入らないと思います。試したが、むずかしかった。
毛がなにしろ硬いので、歯の表面はプラークがとれるが、歯頚部には少し負担がかかっている感じがする。ブラシでの歯間清掃なら、やはり歯間ブラシの方が確実かと思われます。
 【衛生士歴21年 竹中】
つまようじ法とそのハブラシ、試してみて、解った、メリット、デメリット一見すると硬くて磨きにくい感じでしたが、つまようじ法という 独特の磨き方でやってみると、この歯ブラシの特徴がわかりました。

歯間があいている方や、矯正装置を付けている方にはお勧めだと思います。

この歯ブラシを使用して歯周病が改善されたということですが、 確かに今まで歯間のプラークがまったく落とせてなかった方でしたら、普通の 歯ブラシよりは歯間が磨きやすいので、いいと思います。

ただ基本的に毛先の角度は歯周ポケットには向いてないので歯周ポケットまでケアができず、それ以上の改善は難しいと思います。

その他、前歯は見やすくて、やりやすいですが、臼歯のとくに舌側は当てにくいと感じました。
WFでは皆さんにフロスを使用して頂いているので、とくに必要ないですが、 使用するとしたら、 矯正装置を付けている方の補助歯ブラシとしてか、 歯間が空いていて、フロスだと歯の上の方が滑ってしまいやりにくい人の補助歯ブラシとして、(フロスはもちろん使用してもらいます) つまようじ法をきちんとマスターできる方に限ると思います。
 【衛生士歴15年 迫田】
 
【総評】
WFのDHが今回テストしたつまようじ法。
僕がスパイラル法を考えるきっかけを作ってくれた、30年以上前にはやったPHBハブラシでの
ブロッティング法の現代版?

ただし、このやり方は隣接面を横磨きしているので、毛先が硬いと、根面やエナメル質の表面を傷つけ、隅角部のすり減り、知覚過敏、WSDに繋がる。
隣接面入り口は磨けても、やはりハブラシなので、隣接面の奥中央の4mmの部分には届かない。
同じ動きで、歯間ブラシを使われたら、隣接根面は10年後には、すり減りで プラークはなくても、隣接歯間部は開いて、隙間だらけの歯肉乳頭になります。
健康な歯肉の方向けの歯磨き法ではありません。
歯周病が進んでしまい、さらにこのつまようじ法では、隠れ歯周病を作ります。なぜって、届かない隣接根面ポケット内は 磨いてないから・・・・・隣接接触点周囲も磨けない???


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4.歯科診療時の不安・恐怖と
歯科心身医学

 

歯科恐怖症の患者さんを診る

 

歯科診療時の不安・恐怖と歯科心身医学

だれでも少なからず歯科治療に対して不安・恐怖を感じ、中には恐怖のあまり、手で払いの
けたり、口を開けないような行動などで、十分な歯科治療が受けられないでいる歯科治療恐
症の人もいる。

歯科恐怖症や治療に対し、強度の不安・恐怖を抱いている、これらの症状について知識を有して
いることは必要不可欠である。

対処法としては、

歯科心身医学と歯科心理学の要素が必要とされる

心身医学・・・ 身体面だけでなく、心理面、社会面、実在面をも含めて総合的、統合的にみていこうとする医学である。

治療を受ける患者は生身の人間であり、生物医学モデル(薬物、放射能、外科手術などを用いて治療)に定めず全人的モデル(身体・心理・社会的立場などから判断)としてみていく。
 
心理学・・・・ 生物体の心の動きや行動を研究する学問である。

歯科治療の際にとても痛い思いをしたり、気分が悪くなったりと危機的なものに感じると、ま
た次になるのではないかと、予期や不安を抱くようになる。次回の治療の間に、食欲がなく
なったり、不眠や注射器を見ただけで恐怖感を示すこともある。
一般医科医療での不快な体験が関与することもある。
家族や周囲の歯科治療への拒否的な態度を見聞きした事で、不安を抱くこともある。

患者が経験した不快体験一つ一つの不快度は、それほど強くなくても頻回に味わったり、1回
の体験で不快感体験が強烈なものであったりと、誰でもが歯科恐怖症を発症する可能性は
ある。

他、強度の不安感を抱きやすい者:
*日常生活で歯科治療以外にもかなり不安(浸透性不安)がみとめられる者
*神経症傾向の強い者
*神経症や心身症の既往のある者や現在罹患中の者
*外向的性格者に対して内向的性格者
*生とか死、怪我、健康、手術など医学や医療面に関して極度の注意を抱きやすい者や心気的傾向の強い者


歯科治療時の不安・恐怖の軽減消去法

不安や恐怖は慢性的に長期化してしまうと消去は困難になる。
異常行動は素質ではなく後天的に学習されたものと考えられる。したがって、学習の原理に
よって、適切に学習し直すのが治療となる。
意識や無意識に働きかけるのでなく、学習によって態度の変容や治療の効力や効果を上げようとする方法である。(行動療法)

行動療法の手順

1導入面接・・・ 現在の症状がどのように学習され、持続してきたかの分析を行う。
問題行動(症状)を消去するために解決する目標を設定する。
目標に対して治療計画をたて、計画に基づいて治療手段を考え、実行に移す。
 
2不安階層表の作成・・・ 不安を引き起こす刺激場面を強いものから弱いものへと配列した表を作成する。
 
3リラックス状況を得る手段の指導・・・ 不安反応の表現として筋緊張が身体表現として現れる。
自己暗示からリラックスの状態を会得していく自律訓練法より、身体の弛緩と緊張の違いを体得しながら学んでいくリラックス法。
筋弛緩法の方が効果的であろうといわれている。

筋弛緩法
自律訓練法
4脱感作の手続き・・・ ①患者にリラックスしたら合図(挙手)させる。
②不安生起の最も低い刺激場面を想像させる。
③その場面により、不安や緊張を感じた場合は合図させ、SUDを尋ねる。
④再度リラクセーションを指示し、該当場面により挙手されなくなったら、緊張感が消失したことになり、次の項目に移る。
⑤誰でもが治療の際不安を感じているが、SUDが20点以下の不安は誰でもが抱いている正常域のものである。
SUDが20点位に下がったら、イメージでの脱感作ではなく、実際の処置を行っていくという現物脱感作に移していく。
⑥自宅でも弛緩訓練の練習とともに脱感作を行わせる。
⑦主張訓練の併用もあり。歯科診療は、拷問と等しいと思え、自分の感情を表現しにくい者がいる。
治療に疑問があれば質問し、了解できない場合は断ってもよいということを教える。

SUD・・・自覚的障害単位
SUDの値は患者自身の申告値であり、100%が最も高い不安を引き起こす刺激場面ということである。

このようにして、怖がっていた治療を受けられるようにしていく。
嘔吐反応など、不安のなかで過剰に反応してしまったり、麻酔液で不快感を感じアレルギー反応だと思ったりと、いろいろな場面はよく見ます。患者の性格や観察はたいせつであるなと改めておもった。


一見明るく、良く話す患者さんでも、内層心理は同じです。自己抑制によって、表面に現れない、コントロールされて見えないだけですから、いつも、どんな患者さんでも、わけ隔てのない、やさしさと癒しの対応で、患者さんのココロに届く、ケアをしてください。患者さんのもっているペースを読むのです。

2011年11月28日 【衛生士歴21年 竹中】

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誰でも少なからず歯科治療に対し不安・恐怖を感じている。
中にはその程度があまりにも強度なため、手で治療器具を払いのけたり、
口を開けないというような逃避行動を試みたり、果てには歯科治療を絶対に受けないという回避行動を呈したりと、十分な歯科治療を受けられないでいる歯科恐怖症という、不適応行動を示している患者群が認められる。
歯科恐怖症に対する対処の仕方を抜粋しました。

1・動機づけ  
2・導入面接 現在の歯科恐怖症の症状がいかなる状況下で学習され、持続されたの
か学習理論の立場から分析をする。場合によっては他科へ依頼する
 
3・治療目標の決定 問題行動(症状)を消去するために解決すべき目標を設定する。
 
4・治療計画 治療目標に基づいて具体的な治療手段を考える
 
5・治療の実行  

WFでは初診時にCCがあるので、いきなり治療ではなく、その時に話を聞けるので安心される方も多いと思います。
緊張して、治療中はっきりと、痛いと言うことが言えなかったり、治療法を変えてほしいことを言えない人もいるようなので、なんでも言えるようなリラックスした空間を作ったり、言えるように練習していくのもいいようです。

2011年11月28日 【衛生士歴15年 迫田】

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5.歯周病にかかわる力の問題
 
 

噛み合わせ顎ずれと健康

歯固定処置

挺出という現象

自然移動の主たる原因は挺出という日常現象。
挺出力は崩出とのかかわりが取りざたされている。
歯の崩出は、わずかながら絶え間なく続いており、対合の欠損により、咬合圧がなくなり挺出してくる。

しかし、長時間対合がなくても挺出がみられない症例もたびたびある。

サルでの実験によると、上顎臼歯では、対合歯欠損後6週間より挺出し、2年経過した時点で30~50%の挺出さらに挺出する傾向がみられた。
一方、下顎臼歯では、欠損後3ヶ月を過ぎると挺出の度合いは弱くなり、上顎に比べると少ない。

つまり、上顎臼歯は下顎臼歯よりも挺出傾向が強いことがわかる。
原因としては、上顎の歯が重力の作用方向に、下顎の歯は、重力に逆らって挺出であろうと考えられる。

自然挺出のメカニズムは、まだはっきりと解明されていない。

基本的には、歯根膜炎の走行、炎症による線維の破壊、セメント質形成と関係していること。歯冠部が対合歯、隣在歯、頬粘膜、舌などに接触せず、外力を受けない場合、歯根膜線維の走行よりわずかに歯冠側に移動する。(受動的崩出運動)

これに対し、歯周組織に炎症があり、歯槽骨上線維や中隔横断線維が破壊されると挺出の程度は顕著になる。
さらに、近遠心的、頬舌的に歯面に対する線維性付着の破壊が異なると歯の移動方向が変わる。

線維同士の引っ張りあいにより破壊が少ない方向に移動する。
歯の全周にわたり同程度の破壊があれば、歯軸歯冠方向に移動し対合歯と接触した時点で停止する。

挺出のメカニズムとして、歯根膜線維や歯肉線維の引っ張り合いを重視しているが別の因子があるのではとのこと。

歯周炎に伴って起きる充血が歯の異常な突出を生ずることは知られており、炎症に際して、
*
プロスタグランジンなどの生体物質が生産され、局所の血管透過性を亢進させ浮種を生じ組織液圧を高めることも考えられる。

つまり、歯周炎が活動期になり挺出力に張り合う歯肉線維を破壊すると同時に、炎症が歯根膜に広まることにより、浮腫を生じ結果として起きる組織液圧の高まりが挺出力を生じさせたと考えられる。

*プロスタグランジン・・・ 3つのグループに分かれ、複雑な変化をして数十種類のプロスタグランジンが作られる。
その作用は、炎症・痛み・腫れの調整・血圧・心機能・胃腸機能と消化酵素の分泌調整・分娩誘発などの生殖機能の制御・腎機能と流動調節・血液凝固と血小板疑集・アレルギー反応・神経伝達・各種ホルモンの生産などに関係している。

プロスタグランジン


自然挺出の臨床観察から

対象・・・歯周病中度~重度。
プローブ時縁下から出血や排膿。
歯周炎の活動期の高いと思われる歯牙20本。
修復物を撤去し、対合歯のスペースをつくり、自然挺出させ観察。


垂直的動揺度がない場合は、挺出を期待することが難しい。
挺出力の解放時により非常に速やかに起こる。通常2週間程度で大きな挺出運動は終了し、治療が進むにつれ、歯肉の制御作用が増してくるため、自然挺出は減少してくる。
したがって、なるべく早い時期に挺出を試してみるべきである。
ルートプレーニングを行い炎症が消退した後に挺出力を期待するのは難しいと思われる。


歯周炎が活動期になり歯根膜に炎症が広がることにより挺出が起こると考えると、炎症のコントロールという歯周病治療の原則は変わらない。
重度歯周病疾患で垂直的動揺が激しい場合、通常の炎症のコントロールだけでは動揺はおさまりにくく、抜歯か保存かの選択に迫られることから自然挺出の適応症となる。

大胆に歯冠部を削合し歯牙の行きたい方向に移動させることで、組織液圧の高まりを開放し、歯根膜に広がった炎症の軽滅を図る。
この時点で保存の可能性可のある歯牙は多くの場合、垂直的動揺の改善が見られ、以後の歯周治療にも良好な反応を示すことが多い。
しかし、動揺の改善が思わしくない場合は、抜歯という診断を下しても間違えではないといわれている。

暫間固定をしていた場合は、このような治療を期待することはできないと思った。

2011年11月28日 【衛生士歴21年 竹中】

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動揺歯の暫間固定:連結することにより咬合性外傷を防ぎ 歯周組織を安静に保つために行う。

歯が浮いたような感じになるのは
対合歯の損失による挺出が典型的 である。
自然挺出:はっきりと解明されてないが歯根膜線維の走行、 炎症による線維の破壊、セメント質形成と関係しているとのこと。 歯周病が重度に進行している歯牙、特に垂直的動揺をしている歯牙が 挺出しやすい。
歯肉縁下のルートプレーニングを行い炎症を消退させると挺出は止まる。

サルを使った実験では、上顎臼歯は喪失後6週間より挺出の傾向がみられ、 2年経過した時点では30%~50%挺出し、さらに挺出する傾向が見られた。 下顎は、3ヶ月を過ぎると挺出の度合いは弱くなり、 その変化量も上顎と比べてはるかに小さい。

アブセスの形成が見られる場合は切開を行い、おおまかなデブライトメントを行う。2~4週間くらいすると垂直的動揺は落ち着いてくる。 デブライトメント後は冷水痛が見られることも多い。 その後は二次性咬合外傷を防ぐためにも固定が必要。 アブセスが沈静した後にフラップを行うことにより治癒に対する反応も良好になる。

固定:を行う場合、
形態によっては清掃性が悪くプラークが付きやすくなるのでメンテナンスのしやすい、引っ掛かりのないスムース形態を作ることで フロスケアや歯間ケアを指導する。
WFでは抗生剤による化学的ポケットケアを行っています。

2011年12月5日 【衛生士歴10年 志田】

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歯周組織が破壊されていて保存が難しいと思われる歯を、削合しバイトを低くして、自然挺出をねらい、歯周組織の回復を促すことにはビックリしました。
暫間固定をしては、得られない回復ではないかと思われます。
その間アブセスができて抜髄をしたり、補綴をしたり、と治療日数も手間もかかりますが、抜歯が第1選択でないので、行ってみる価値はあると思います。

2011年12月5日 【衛生士歴15年 迫田】

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6.イビキを伴う睡眠呼吸障害に
画期的なスリープスプリント療法


 

睡眠時無呼吸

ナイトガード

 

イビキ症や睡眠時無呼吸症候群といった睡眠呼吸障害関連疾患は、元来医科の領域で診断・治療され歯科の分野とは無縁であった。
イビキの治療では、草分けとして口蓋垂軟口蓋咽頭成形術というのどの手術や、喉にあなをあけ気道を確保する方法(気管切開術)があった。しかしイビキや呼吸は改善するかもしれないが、声は出なくなり、開窓部から感染の恐れもあり生活に支障をきたしかねないので、東京歯科大学医学部と口腔内装具を研究開発した。
この装具をスリープスプリントと名付けた。

イビキや無呼吸を伴う睡眠呼吸障害

肥満による舌肥大や、顎の歯列幅不足で起きる舌スペースの不足が原因で上気道(鼻腔・咽頭・喉頭)の狭窄および閉塞が起きる。働き盛りの中高年男性に多くみられる。


イビキや無呼吸を伴う睡眠呼吸障害

疲れた時にイビキをかくのはそれほど心配はない。習慣化し、毎晩のようにイビキをかいている状態を習慣性イビキ症(habitual snoring:HS)という。

頻度が高くなると、
上気道抵抗症候群(Upper airway resistance syndrome:UARS)となり、さらには、
睡眠時無呼吸症候群(
Sleep apnea syndrome:SAS)へと悪化する。

日本人で習慣性イビキ症候群は、2000万人以上、で10%にあたる200万人が睡眠時無呼吸症候群と考えられている。

習慣的にイビキをかく人は、
睡眠時無呼吸症候群の予備軍である。


無呼吸指数(Apnea index:AI)・・・睡眠1時間あたり10秒以上の呼吸停止(無呼吸)回数

AIの値が高ければ高いほどSASは重症である。

1988年に、9年間にわたる経過観察の結果、AI指数が20以上の群れが明らかに生命予後が不良である事を発表している。
それ以降AI≧20であるかどうかが 治療開始のめやすの一つになる。

予後を左右する循環系合併症の観点から

動脈酸素飽和度(SaO2)・・・健康な人なら、起きている時は常に97%以上保たれている。

就寝時に上気道の狭窄や閉塞が起き正常な呼吸ができないと、SaO2が低下する。

SaO2の最低値<70%、もしくはSaO2≦90%の時間(低酸素曝露時間)が睡眠時間の5~10%以上あると治療の対象とされる。
日中傾眠など自覚症状が日常生活に大きな支障をきたしている場合が多くそのようなときは指数関係なく治療が必要とされる。

SASの軽症やUARS,HSの場合は、健康保険の適用から除外されているので、スリープスプリント治療法が簡単で効果的だ。

睡眠時無呼吸症候群:SAS

SASは3種類に分けられる。

中枢型(Central SAS:CSAS)・・・ 呼吸運動そのものが停止して無呼吸となる。挺髄にある呼吸中枢から呼吸筋に対しての刺激が停止してしまい、呼吸運動が全くない状態、つまり、鼻や口だけでなく胸郭や横隔膜にも呼吸している形跡がないこと。原因としては、脳幹部に何らかの異常が考えられる。歯科的療法では対応できない。
 
閉塞型(Obstructive SAS:OSAS)・・・ 上気道の一部が閉塞することで無呼吸となる。胸腹壁の呼吸運動を行っているものの、鼻腔や口腔における気流が停止している状態で、睡眠中に気道が物理的に閉塞されて引き起こること。
 
混在型・・・ 両方の型を持っている。

これらの3つの病型の中で閉塞型が圧倒的に多く、SASの90%~95%を占めている。
ほとんどのSASに対してスリープスプリント療法は適用できる。


上気道狭窄の影響因子

形態的異常・・・ 小顎症、歯列不正、アデノイド、扁桃肥大、胖大舌、肥満に伴う上気道軟部組織への脂肪沈着、関節の異常(リウマチによる)下顎骨の後方変位がある。
 
機能的異常・・・ 上気道筋(オトガイ舌骨筋、オトガイ舌筋、口蓋帆帳筋)の活動度の低下がある。

最も多く見られるのは、肥満とともに舌が肥大化すること。
痩せていても、舌が肥大していることで障害がでる。

就寝時に仰向けの姿勢をとると、重力で舌根沈下しイビキを生じることが多い。
その度合いが強くなると一時的に上気道が完全に閉塞してしまい無呼吸に陥る。


睡眠呼吸障害の弊害

HS、UARS、OSASのいずれも大きなイビキを伴う。体に大きな負担をかけるだけでなく、社会生活にも弊害を及ぼしている。
睡眠呼吸障害が続くと
高血圧、高脂血症、糖尿病といった生活習慣病を引き起こし、さらに心筋梗塞や脳卒中などにより命を落とすこともある。集中力や思考能力、判断力を低下させてしまうことがある。(日中に突然の眠気など)


睡眠呼吸障害の治療法

SASの治療法は内科的、外科的、歯科的に分けられるが、主だった治療法が他にある。

*体重の減量・・・SASの特徴は肥満の患者が多い。
期間が要することや本人自身の努力に依存する。
減量しても改善がないこともあるため、他の治療法と併用せざるを得ないことが多い。

*基礎疾患の治療と誘因の除去・・・鼻閉の治療や禁酒、睡眠薬や鎮痛剤の服用中止などの原因除去療法と予防が重要になる。

*睡眠体位の指導・・・仰向けでは、舌根沈下を生じやすく、気道が狭小化して無呼吸が起こりやすい。横向きでの就寝を指導する。

*口呼吸の抑制・・・本来、鼻呼吸が正常であり、口呼吸になると気道が狭くなり、イビキや無呼吸になりやすい。口呼吸を防止するため、就寝時に口にテーピングし、鼻呼吸に努めるように指導する。

*外科的治療・・・原因が扁桃肥大、アデノイド、鼻ポリープなどはっきりしていれば、摘出や切除を行う。気道閉塞の原因が咽頭部にある場合は耳鼻科的手術法が行われる。一時よくなっても2~3年で元に戻る人も少なくない。治療効果のない場合は、気管切開が最終手段になる。声が出ない、二次的感染の心配がある。

*経鼻的持続陽圧呼吸器装着(P-PAP)・・・鼻にゴムマスクを装着し、一定圧力の空気を送りこんで上気道の閉塞を防ぐ装置である。無呼吸を消失させ深睡眠を増やすことが確認されている。
AIが20以上で中~重度のOSASと診断されれば保険適用となる。
しかし、一晩中持続的に陽圧がかかるので不快感や喉がカラカラに渇き、長時間耐えられない人もいる。持ち運びが困難で、毎晩の装着の維持が問題である。SASやUARS、HSには保険適用外なので、だれにでも導入できるわけではない。

*
スリープスプリント療法・・・舌顎を前方に数ミリ移動させる。舌も同時に移動するので、舌根沈下が防止される。

適応症・・・年齢が18歳以上精神的障害がない。寝つきが良い。慢性的な鼻閉、扁桃肥大、アデノイド等による上気道の解剖学的異常がない。
中川式呼吸テストが陽性である(鼻の通りが良くなることが理解できる)。重度(手術適応)の小下顎症ではない。顎関節の構造や機能に異常がない。下顎の前方可動距離が8mm以上ある。骨植のよい残存歯が20本以上ある。不良のインプラント・不良補綴物がない。

スリープスプリントはアクリルレジン製である。保険は適用外である。

睡眠呼吸障害の診断は医科の領域なので異常をチェックしてもらい、さらに呼吸器内科・精神科などの睡眠検査などと連携して、歯科的治療を進めるのが良いかと思われる。

2011年11月29日 【衛生士歴21年 竹中】

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 いびきを伴う睡眠呼吸障害の原因として、上気道の狭窄または閉塞があげられる。
医科ではその治療法として、外科的に上気道部を拡張する方法、経鼻的持続陽圧呼吸装置(C-PAP)を使用する方法などがあるが、歯科的なスリープスプリント療法は患者のQOLにも優れ、きわめて有効な治療法である。
 しかし、歯科では全く新しいジャンルなので、適正なスリープスプリントを製作できる歯科医師は全国的にまだ少数である。

睡眠呼吸障害(SAS)の主な治療法は?

 SASの治療法は内科的、外科的、歯科的に分けられるが、主だった治療法が他にある。

*体重の減量・・・

SASの特徴は肥満の患者が多い。
期間が要することや本人自身の努力に依存する。
減量しても改善がないこともあるため、他の治療法と併用せざるを得ないことが多い。
 

*基礎疾患の治療と誘因の除去・・・ 鼻閉の治療や禁酒、睡眠薬や鎮痛剤の服用中止などの原因除去療法と予防が重要になる。
 
*睡眠体位の指導・・・ 仰向けでは、舌根沈下を生じやすく、気道が狭小化して無呼吸が起こりやすい。横向きでの就寝を指導する。
 
*口呼吸の抑制・・・ 本来、鼻呼吸が正常であり、口呼吸になると気道が狭くなり、イビキや 無呼吸になりやすい。口呼吸を防止すため、就寝時に口にテーピングし、鼻呼吸に努めるように指導する。
 
*外科的治療・・・ 原因が扁桃肥大、アデノイド、鼻ポリープなどはっきりしていれば、摘出 や切除を行う。
気道閉塞の原因が咽頭部にある場合は耳鼻科的手術法が行われる。一時よくなっても2~3年で元に戻る人も少なくない。
治療効果のない場合は、気管切開が最終手段になる。声が出ない、二次的感染の心配がある。
 
*経鼻的持続陽圧呼吸器装着・・・
(C-PAP)
鼻にゴムマスクを装着し、一定圧力の空気を送りこんで上気道の閉塞を防ぐ装置である。無呼吸を消失させ深睡眠を増やすことが確認されている。
AIが20以上で中~重度のOSASと診断されれば保険適用となる。
しかし、一晩中持続的に陽圧がかかるので不快感や喉がカラカラに渇き、長時間耐えられない人もいる。持ち運びが困難で、毎晩の装着の維持が問題である。
SASやUARS、HSには保険適用外なので、だれにでも導入できるわけではない。
 
*スリープスプリント療法・・・ 舌顎を前方に数ミリ移動させる。舌も同時に移動するので、 舌根沈下が防止される。
 
適応症・・・ 年齢が18歳以上
・精神的障害がない。
・寝つきが良い
・慢性的な鼻閉、扁桃肥大、アデノイド等による上気道の解剖学的異常がない。  
・中川式呼吸テストが陽性である。(鼻の通りが良くなることが理解できる)
・重度(手術適応)の小下顎症ではない
・顎関節の構造や機能に異常がない
・下顎の前方可動距離が8mm以上ある。
・骨植のよい残存歯が20本以上ある。
・不良のインプラント・不良補綴物がない
 
視診による舌サイズと咽頭部粘膜壁の見えかたで、閉塞発生のリスクを観れる。
また、ポリグラムを使い一晩モニターリングしながら測定することではっきり状態が解る。


たかが いびきと思いきや、それによって睡眠呼吸障害が長く続くと高血圧、高脂血症、糖尿病といった生活習慣病を引き起こし、さらに心筋梗塞や、脳卒中などで命を落とすこともあるそうです。また、集中力や思考力、判断力を低下させ、思わぬ事故の原因ともなるので、適切な治療が必要不可欠だと思いました。

2011年12月5日 【衛生士歴15年 迫田】

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7.東京技研 ホワイトニング ブリリカ
スタッフコメント
2011年12月

ホワイトニング

   
ブリリカ ブリリカ
製品コード A250 耐用期間 5 年
JANコード 045600200853920 電源(V) 単相100 V
医療機器区分 一般医療機器(クラスⅠ) 電流(A) 0.4 A
承認(届出)番号 14B2X00036000005 寸法 W×D×H 141mm × 85mm × 43mm
光源LED φ3 LED×90個 質量 約0.14 kg
タイマー設定 0.5~30分 発光波長域 400~480nm
一般的名称 歯面漂白用加熱装置 照射エリア W70×H25mm
医療機器区分 一般医療機器・特定保守管理医療機器 販売名 ブリリカ
備考

※仕様は予告なく変更する場合がございます。
※上記は20℃の場合の測定値です。
※M:メイン B:バックアップ



マウスピースSサイズだと口唇がかなりひっぱられて上3~3までしか処置できなそう。
重さはそれ程感じなかった。

【衛生士歴15年 迫田】

排唾管が入りづらい。Sサイズは女性の方では大きく痛い。
緊急ボタンはあるが、音が小さくてあまり聞こえない。
光があたる部位が上4~4 下3~3くらいなので、狭いと思う。金額が高い。

【衛生士歴21年 竹中】

今までホワイトニングの機械は照射器がスタンド式で大きいため、移動が大変だったり、 置き場所の確保が必要ですが、照射器がとてもコンパクトなので、持ち運びが便利。
開口器に照射器が接続されるので、お顔が動いても光がズレてしまう心配はない。
開口器は思っていたほど口腔のスペースがあかず、
前歯のみの照射となってしまいそう 。

【衛生士歴10年 志田】

排唾管が入らないので、だ液が溜まってしまう。
マウスピースが形状、上3~3 下3~3までしかホワイトニングができないので、最低上下5~5まではしたいです。ブライトスマイルの開口器の方が使いやすいと思います。
ライト自体の重さはOK

【歯科助手歴7年 菊地】

今までの開口器の方が口唇がスムーズにひらき、ホワイトニングしやすいと思います。
上下3~3までしかできないのが難点。
上下5~5まで行えるよう改良してほしいです。
重さはさほど感じないので、患者様が動いてもしっかりライトが当たり良いと思います。
だ液がたまってしまうかなとも思うが、のみこめば大丈夫だと思います。

【歯科助手歴8年 山平】

実際に使っているところを見ていないので使用感はわかりませんが、
場所をとらないので、いいと思います。

【歯科助手歴3年 長谷川】

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8.EBAに基づいた口腔ケアのために
 
 

オーラルケアトリートメント歯科ドック

歯と口腔の働き

1、咀嚼
2、摂食
3、嚥下
4、顔貌の形成
5、異物の認識と排除
6、平衡感覚の維持
7、味覚
8、構音、発音
9、愛情、怒りなどの感情表現
10、消化への関与(消化液の分泌)
11、免疫物質の分泌
12、脳への刺激
13、呼吸への関与
14、力の発生
15、ストレスの発散


口腔=食物を噛む場所だけはでない

 厚生労働省は介護保険とは別に「介護予防」という概念を打ち出した。
その柱とは
1.転倒、骨折予防
2.閉じこもり予防
3.気道感染予防
4.介護予防企画推進 の4点
このうち、気道感染予防については、口腔ケアが前面にでており
高齢者の健康長寿を達成するために、口腔ケアが大切であるとして、
国の施策の中に取り上げられたことの意味は大きい。

口腔バイオフィルムの除去

 マイクロコロニーは当人のケアで除去可能だが、マイクロコロニーが変化したバイオフィルムは当人の除去が困難。バイオフィルムは柔らかい歯石と考え、物理的に除去しなければならない。
しかし、生物活性化を失った歯石よりも、生物活性化を保ったバイオフィルムの方が、危険で放置できないものであるためPMTCが必要。
物理的にバイオフィルムを除去しても完全に微生物を除去できないので、バイオフィルムは再形成される。そこで、物理的な除去の後に抗菌性のある薬剤を作用させる3DSという方法が有効。
ホームケアとして3DSを応用することは、バイオフィルムを形成する細菌以外の口腔内常在菌(フローラ)を形成させることにより、一度このようなフローラが形成されると細菌の縄張りができて、バイオフィルムを形成する細菌が簡単には歯の表面に定着できなくなります。
最終的には歯の表面に定着するのに4~6カ月かかるので、この時期に歯科医院で
PTCと3DSを行うことによって、継続的な除菌効果を得ることができます。
PTCと3DSにより要介護者高齢者の口腔バイオフィルム感染症の第一次予防を行うことができれば、全身の健康の向上も期待できる。

PTCも3DSもホワイトファミリーでのオーラルケアトリートメントと同じコンセプトであり、コストは、オーラルケアトリートメントの方が遙かに低く済みます。

文献より 

 要介護高齢者の義歯床下粘膜面のカンジタ菌の検出率は、義歯非装着者の口腔粘膜に比べ、有意に高い。さらに、就寝時に義歯を装着しているひとは装着していない人に比べ、有意に高い。

 口腔ケアを継続することによって、咽頭部の細菌が減少する。その際 含嗽などによる科学的な口腔ケアだけではあまり効果が現れない。

 6年間の観察期間で、現在歯数の少ないもの、義歯必要度の高いものほど、身体的、精神的健康状態が悪化していたという報告が出ている。

 身体的、精神的健康状態の悪いものの生命予後は悪く、義歯未装着者は歯数の減少とともに死亡に対する相対危険度が高くなることも、明らかにされている。

 3800名の高齢者を対象としたアンケート調査から、生活の満足度が残存歯により影響を与えることが示され、8020運動の重要性があらためて認識された。

 
診療所では、介護者の口腔ケアを実施する機会がありませんが、今現在元気な方が将来要介護者にならないように、歳をとっても満足のいく生活ができるように、お手伝いができたらと思いました。

 

2012年1月13日 【衛生士歴15年 迫田】

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9.エアーフロスを使って

最新のフロスケアの知見、フロスが第一という見解

 
 

エアーフロス・コードレスでコンパクトな形態なので、外出先でも使えるのでよい。
・フロスのような役割はない。
(歯面についたプラークは水圧だけでは落ちない)
・歯間に隙間のない歯は水が通らないので、歯面にぶつかる感じ。
・歯間の空いてる歯には食物残渣が取れてすっきりする。
・ポケット内に向けて使うには水圧が強すぎる。
・CHX剤を混ぜて使用できる。
・使い方は簡単なので、高齢の方でも操作しやすい。
・連続して水が出ないので、使っていて口から水が垂れにくい。


以上です。 


2012年1月10日 【1月 DHミーティング】


ソニッケアー エアーフロス評価◎○△×(2012年2月21日) エアーフロス

アプローチ
しやすい
効率良く
磨ける
ピックの
大きさ
プラーク
除去能力
がある
除去時間
が短い
知覚過敏・
歯肉退縮
が起きない
重さ 持ち
やすさ
洗い
やすさ
防水性 大きさ スタンド
の安定
スイッチ
の使い
やすさ
得点

-
コメント:水の勢いが強くびっくりした。プラーク除去はあまり感じられないと思う。水以外に洗口剤を入れて使えるので良いと思う。

- ×
コメント:ワンプッシュの水圧が強いので、挟まった食物残渣はある程度洗い出せるかもしれない。逆に歯肉ポケットの中に入れると水圧により気腫を生じる可能性もあるので注意が必要。水の中に洗口液を入れて使えるのでスッキリできる。

-
コメント:歯間乳頭に水が当たり通過する感じではない。プラークはあまり除去できないが、歯間につまった食物残渣は除去できそう。

エアーフロス

ソニッケアー エアーフロスを即購入する

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10. 日本国内発売品
フロス
(糸ようじ)と歯間ブラシの比較
 
 

オーラルケアトリートメント歯科ドック

メタボと歯周病の関係

最新のフロスケアの知見、フロスが第一という見解

フロス歯間ブラシ 

これらの道具は使い方次第で、良いものも効果なく、かえって根面を削ってしまって知覚過敏になったりします。歯の間でも、大切なのは、その間の面です。

隣接面をやさしく、丁寧に、効率よく擦って、バイオフィルムをはがす能力は使い方次第。自己流でなく、WFでケア法の指導を受けることをお勧めします。
隣接根面
フォト-1

歯間ブラシの弊害は大きい。フロスのほうが安全で確実

フォト-1:
歯の間を歯間ブラシで、毎日丁寧に出したり、入れたり。
ナイフでケーキを切るようなスライドストロークでお手入れしていた、60歳の方の隣接根面です。

ポケット内のプラークバイオフィルムは除去できないので、骨吸収は進み、下がった歯肉と、露出した根面の削れたへこみ。
フロスと違い、歯間ブラシは、弊害が多いです。


1.フロス(糸ようじ)の比較

 
1
2
3
4
5
6
7
 
8
9
10
 
11
12
13

 
使用感
持ちやすさ
歯間部への
入れやすさ
プラーク除去能力
糸の切れる期間
備考
 
価格
To
Sa
Shi
Ta
To
Sa
Shi
Ta
To
Sa
Shi
Ta
To
Sa
Shi
Ta
To
Sa
Shi
Ta
1
ライオンウルトラフロス
515
2
GUM Waxデンタルフロス Y字
298
3
クリニカプロス&スティック
525
意外とよくとれる(前歯部)
4
クリニカダブルフロス20p
291
5
HJBデンタルフロス&ピック
298
×
×
×
×
×
×
×
×
×
6
いとつきようじ50p
312
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
ようじさの先がささって、指が痛い。柄が細く安定しない。
7
小林製薬糸ようじ
417
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
フロスしているとようじの先が指にささる。柄が細く安定しない。
8
GUM Wax デンタルフロス
567
9
LOTTE デンタルフロスWax
298
10
REACH デンタルフロス
478
11
GUM un Wax デンタルフロス
567
Wax. Un Wax人の好みによって感触が違うと思う
12
クリニカスポンジフロス
396
13
LOTTE デンタルフロスun Wax
298
×
 

2.歯間ブラシ
 
1
2
3
4
5
フレキシネック
6
7
8
9
10


 
使用感
持ちやすさ
歯間部への
入れやすさ
プラーク除去能力
糸の切れる期間
備考
 
価格
To
Sa
Shi
Ta
To
Sa
Shi
Ta
To
Sa
Shi
Ta
To
Sa
Shi
Ta
To
Sa
Shi
Ta
1
GUM 歯間ブラシL字型
470
歯間に対して毛がやわらかい
2
デンターシステマ歯間ブラシ
399
3
GCプロスペック歯間ブラシ
588
しなるので入れやすい
4
GUM 歯間ブラシI字型
312
5
ジャックスデンタルプロ
312
6
HJBデンタルピュア
298
×
×
×
×
×
×
7
デンタルドクターマイクロ歯間ブラシ
348
×
柄がI字で極細なのですぐにおれる
8
デンタルドクタースムースインピック
332
×
×
×
×
トゥースピック
9
デンタルドクターやわらか歯間ブラシ
312
×
×
×
×
ラバーなので折れない
10
DENT.EXフレキシネック歯間ブラシ
525
DENT.EX歯間ブラシと比べて、同じ会社でも若干サイズが太い感じがするのと、毛の硬さはやわらかい。SSSは指でさわると、先の先端がだまになっている感じがして気になる。T
ネックが45度くらいしか曲がらない為、臼歯には使いずらい。前歯にお薦め。Sa 
一本で色々に使える便利歯間ブラシです。あくまで、中高齢者向けですよ~DrT
 
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11.フッ化物溶液3種類
 

オーラルケアトリートメント歯科ドック

メタボと歯周病の関係

 

フッ化物溶液の種類 

①2%フッ化ナトリウム溶液
→同じ歯に、4回以上塗布しないと十分な予防効果が得られないので、最近はあまり使用されなくなった。
無味無臭、科学的に安定している、中性である。

②4~8%フッ化第一スズ
→水溶液は使用の都度作成して使用する。
長時間放置すると白濁する。
味が悪く金属臭があるため、子供が非常に嫌うので近年ではあまり使用されない。
年に1~2回塗布
しぶみあり、PH低い(2.8の酸性)不安定、歯磨材には使われる

③リン酸酸性フッ化ナトリウム溶液
→エナメル質に多くのフッ素を取り込ませるために開発
第一法と第二法の2種類の処方があるが、現在は第二法の溶液が広く使用されている。
一回の塗布で歯に取り込まれるフッ素量が多いのが特徴。年に1~2回塗布
安定している、インプラント溶かすので注意、PH3.4~3.6

参考:学生時の予防処置テキスト
 

2012年4月14日 【衛生士 高橋】

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12.飲料PHテスト
 
2012年7月3日

オーラルケアトリートメント歯科ドック

メタボと歯周病の関係


飲料PHテスト


知覚過敏セミナー

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13.CHXとCPCの違い
グリチルリチン酸二カリウムとは
 

2012年7月21日

オーラルケアトリートメント歯科ドック

メタボと歯周病の関係

●CHX(グルコン酸クロルヘキシジン)の有効濃度は0.1~0.2%
洗口液での濃度0.05%未満

洗口液などに添加され、 歯肉炎などの歯周病を軽減・予防する効果があるとされる。ただし、エタノー ルを添加した製剤が多いため、洗口剤には適さないものもある。
医療用医薬品としては、グルコン酸塩のものが繁用されている。比較的細菌類の不活性時間が長く、主に手術野の皮膚の消毒や手術前の手指消毒に使用されることが多い。 通常、人体粘膜への使用は可能とされているが、過去にアナフィラキシーショック を起こした事例があるため、日本では口腔以外の粘膜への使用は禁忌扱いとなっている。しかし、アメリカでは粘膜に使用される第一選択薬となっている。代表的な製剤としてはヒビテンが挙げられる。

●CPC(塩化セチルピリジウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム)
洗口液での濃度0.04%(塩化ベンザルコニウム)

ピリジン環を有する四級アンモニウム化合物であり、ブドウ球菌を始めとしたグラム陽性バクテリアに対する強い殺菌作用があり、その他の真菌に対しても殺菌作用を有する。その特性から液体歯磨剤や、口内の殺菌を目的としてトローチ として、あるいは喉の殺菌を目的としたうがい薬など医薬品に利用されている。

CPCはCHXよりも殺菌能力が低く、持続時間も短い。
日本では効果のある濃度の1/10以下での配合。

グリチルリチン酸二カリウムとは
優れた抗炎症薬
漢方薬のカンゾウに含まれる。
医薬品としては慢性肝炎、抗アレルギー薬、風邪薬などに使われ、それ以外では化粧品、石鹸、シャンプー、育毛剤などに配合される。
醤油、漬物、水産加工食品などに甘味料として使われる。
副作用は摂取量が1日量40mgを超えた場合、偽アルドステロン症を発症する可能性がある。

 【衛生士 高橋】


14.Dr.Sandberg講演会レポート:
患者を含めたチーム治療
 

2012年7月8日

オーラルケアトリートメント歯科ドック

メタボと歯周病の関係

「患者さんを満足させるだけにとどまらず、
意欲的な歯科医院の一員(スタッフのように
育成・進化させるための方法論」        Dr.Sandberg

Dr.Sandbergとは、スウェーデンの開業歯科医であり、現在歯科医師会の副会長である。
57歳、身長は204cm

年間4万円払い一生懸命頑張ること→ジムなど
・患者は私たちにとってカスタマー(顧客)なのか?同僚なのか?

顧客とみると・・・顧客の要求を満足させなきゃならない!
とみれば患者は歯科にどんな事を要望するか?
8割は虫歯を治してほしいと要望する。
情報を提供する→それだけではお金を払おうとと思わない。
ここで患者と医療者の知識のギャップがある。

顧客でなくチームの仲間としてみると
・・・共通の目標をもつ!良好な口の状態を一緒につくること。
患者は健康な状態と保ちたいと私達に望む。

患者をパートナーとして見る→共通の目標を持つ(健康になるということ)
Kr-知識のギャップーDr:アシスタントはその橋渡しをしなくてはならない。
顧客(患者)が求めるものは、何を求めるのか、腕が良い、安い、評判が良い
:スウェーデンならば、8割の人は虫歯を治してほしいという。話をしたことにお金を払うのは???
患者を顧客として見るのではなくパートナーとして見ることが出来れば
患者は王様でないのでこちらも要求が必要になってくる。

歯科治療 量から質へ変えていく
お金を払えるのは自分に必要と理解できたこと
知る必要があることを教える。なぜか?と問うことを提供する。
従事者が知っていることを教えるのではなく、学生が教わることを教える
改善、改良につながる

日本とスウェーデンの違い
ギャップマインダーというソフトがある。寿命と所得をグラフ化してある。それによると日本の方が寿命が長いスウェーデンの方が所得が高いが同じような発展をしてきている。
他には 高齢化、長細い国、自然が多い、歯科医師の数、歯科のチーム編成も同じ、そして同じ直面に立っている。

社会の発展について
・Agricultural - handycraft、
・大量生産  -massprodation
・information - Lean prodaction
・Knowledge – knowlegebroking

 昔の鍛冶屋 を選ぶには、 腕がいいこと、価格が安いこと、評判がいいこと、いつでもやってること、
これはビジネスで成功するのに必要なこと、
生産 価格 商品 政治

1957年 最初の歯科医歯科医
1864年 歯科用ドリル開発
GBブラック 5つのげんそうには3/5は形成について 2/5は予防について書かれてるがかが形成の方が有名1960年 すべての児童にフッ素 (大量生産の時代)
1980年 アマルガムは体に悪いと(感情的な問題だが)それによってコンポジット、接着歯科、低侵襲歯科の発達
無駄のない窩洞(生産)

こんにちの問題は情報がありすぎること
2003年には歯科医師が現代治療についていくためには1日に16の文献を読まなければならなかったが
2009年には32本になった。
エビデンスは重要 
RCT後の歯冠修復につい充填にするか、FCKにするか
この手の論文は1300ほどあるが、そのうちエビデンスが出ているものは12しかない
クオリティが高いものは1%しかない。
歯科医は経験によるものが多いが、経験とは過ちを高い割合で繰り返す

スウェーデンの歯科保健
年々口腔内の環境は良くなってきている。これは生活環境や、フッ素入り歯磨き剤によるものか?
Sometime(たまに) 修復物の欠損治療、しばしば  prevent furtherloss、いつも 修復をしないように心掛ける
そしてホームケアを教える
口腔内の維持健康を達成するためには医療専門家が必要。

スウェーデンのう蝕予防
「スウェーデンでは虫歯が少ない国として有名
形成ではなく予防へ、徹底した歯科予防システムがある!」
1945-1980  C、Pの研究がされた
1945      歯科保険の確立

国民健康保険 1947年から始まる
20歳までは歯科治療無料。矯正も条件そろえば無料になる。
20歳以上でも高い治療は保険でカバーされる。
1年間で3万円超えたら50%お金でる。
3万超えたら5割負、以下は10割負担で患者の8割は5割負担にとどまる
15万以上の治療は85%出してくれる。
これらはほぼリコール予防処置で成り立っている。
スウェーデンの歯科医師はすべてインターネットで政府と繋がっており
どういう理由でどういう治療をしたか『品質登録制度』で報告しなければならない〔※義務ではない。〕サイドラインがあり金銭的な支援制度がある。
これは、強力なコントロールシステムで、これは問題だという声もあるが、これによりどういう治療で成果がでたのかがわかる。患者の価値のほうが大きい。

これにより効果的な治療統計ができる。更にこの統計を患者さんも見れるので
自分がどうゆう治療を受けるかを客観的に知ることができる。
このシステムにより歯科医院と患者さんとのギャップを埋めていく。
コスト効率が良く患者価値があると認められた治療法には金銭的に支援される制度がある。

「デンタルヘルスにもとづいた歯科医療」
失った物すべて修復する必要はない。ときどきは欠損の修復をする。(Sometime)それ以上失わないようしばしば予防する。(often)
常に歯周組織を失わないよう予防。(Always)
歯だけではなく精神的な物も含まれる。知識も授ける。
共通のビジョンを持つには目標(達成可能な)を持つ!継続できなければ駄目。
明確な構造をしめすことが出来るようにゆだねていく。継続的に評価してフィードバックする
共通のビジョンを持つ

継続的に評価する→大事になっていく。伝えて明確な動機付け→どのようにすれないいのか動機づけをして改善を図る。

前向きなビジョンを持つことが重要!!VISION→FUTUREに向けて
未来に向けてのビジョンでなければならない。
私たちのビジョンは人々の熱意 参加(DRもKrも)デンタルスタッフが献身的に思う。来院した人は、ドアを開ければわかる。それは、言葉やジェスチャーなどから。気持ちを込めて

患者さんに「あなたは歯を削るためにお金をはらいますか?」
それとも「歯を残すためにお金を払いますか?」と問いかける
だいたいは後者の答えが返ってきます。Krとのやり取りであれ、確固たる個人として扱う

しかし実際はまだ前者の患者さんが多いように思われるのです。全ての人が治療が怖いわけではない。

患者のために私たちが可能にできること 
食べる、笑う、話す、飲む など・・・
不愉快もなく痛みもない。 
献身的にそれに取り組む
コミュニケーション〔言語、書いたもの、ボディーラングエッジ〕
事実を示し、気持ちをこめる

患者1人1人に目標が必要  
お金に見合った価値
患者の成長を促す

魅力的な目標を見つける
患者数
経済的

各スタッフについても魅力的な目標が必要
経済的
新しいスキル
重要性を高める

患者においては
健康状態
お金に見合った
提供されるケア
人々の成長を促す
自分もチームの重要な一員なんだということ。

* 自分が何者かを知る

測定 現在のみではない
自分が測定できないものを管理することはできない
その測定はDHにとってもKrにとっても理解できるものでなければならない。

多人数の患者管理を行うことは 皿回しをしている気分
それぞれがバランスを取れていないといけない
回るスピードが遅くなったら回さなければならない
それがリコール 常にジャストタイムで行わないといけない
これが私たちの究極の目標

目標 計測の項目 結果の管理
客観的で計測できるもの
・ウ蝕、歯周炎の頻度 問診
・全体像を診るようにしないといけない
・Krにあったツールを使う

ストラクチャー:構造とルーターは違う、安心できるように、安心感を与える:どのようにして、いつ終わるのか
ルーティンとは約束するということ

各スタッフ一人ひとりが目標を持つ(Dr/DH/AS/受付)
そうする事で経済的・スキル・責任・重要性が高まる
患者さんには「個人」である扱いをする。患者についても目標を立てる。
自分もチームの一員にとなってもらう。人々の成長を促す。
目標達成・構造・ゴール
例)染め出しをして、磨けていない所を歯ブラシ・歯間ブラシ・フロスをみせて
どれで磨いたらおとせるか?こちらがすべて教えるのではなく
患者さんにも答えを考えてもらう。
予防するためにはどういう方法を使えば良いか?
構造には患者も参加しなければならない。
この構造の中にはKrも参加しないといけないバランスをとること

一緒に参加することで、安心でき安心感が生まれる
共に『良い口腔状態ににする』という共通のビジョンに向かって協力している
顧客は王様ではなくパートナーなのだからポジティブな見方をしなければならない。
パートナーになれば扱いは粗末になることはない。
患者にもパートナーになるまでの道のりを楽しんでもらう。
得意なところに目を向ける

例)染め出しをして上手にできている所に目を向け
「ここはとても上手に磨けていますね?どのようにして磨いたのですか?」と
より良くするには何が得意か?
”Plan-Do-Check-Act"
顧客を維持することとは満足させることで長期関係が継続される。
365日のホームケア  一緒に共通の目標を持っていく
治療の目標は何なのか? 何が達成したのか?
患者に認識してもらい巻き込む、積極的になってもらう
ギャップには橋をかける。必要なのは熱意
良いコミュニケーターであり聞き手であり、先生であり、リーダーでなければなら
ない。 技術がだけではなく社会的にも能力を持っていなくてはならない。

経営で大事なこと
・熱意
・人にゆだねる
・誰がなにをするのか?
・歯科医の仕事とは何なのか?
・歯科衛生士の仕事とはなになのか?
・アシスタントの仕事とは何なのか?
・患者の責任とは何なのか?
・顧客は王さまでなくパートナー
・私たち良好な状態という共通のビジョンに向かっている
・自分たちがどのようにやっていくのか評価が必要
・肯定的な見方をする
・上手にできているところに目を向ける
・乗り越えなければならない障害を明確にする

何が得意なのか?臨床例 
そして私たちが測定する方法
人と人とが相互に作用しながらやっていく

「新患に焦点を当てる」
ベストなマーケティングは患者自身
新患・・・口コミを広げてくれる
新患に時間・動力をかけることでさらなる利益が得られる
最初は患者になりそうな人→顧客→治療を受ける人で中にはとまってしまう人もいるが目標はパートナーになってもらうこと!患者とパートナーになれば扱いも粗末にならない

内部マーケティングと外部マーケティング

内部マーケティング・・・それはミーティング 目標はなにか、何を達成したのか?
話し合う
クリニックの中のマーケティング

同じことが患者にも言える。これまで何を達成してきたか。
治療の目標はなにか?・ギャップに橋渡しをできたか?・コミニュケーションができたか?

外部マーケティング・・・新患の獲得
クリニックも外へのマーケティング
ベストなマーケティングな患者とは新しい患者
・比較対象を持っている
・口コミで広めてくれる
・いかに素晴らしいかを言ってくれる
長く通っている患者はどれだけ素晴らしいかがわからない。
新しい患者に余分に手をかけることでより新しい患者を取り込むことができる。

ベストのツールは患者自身の口コミ
新患は以前通院していた歯科医院との比較対象がある。それに対して以前から通っている
患者は何が素晴らしいのかよくわからない。なので、新患に時間をかけることで、さらに
新患を呼ぶ


そこで・・・WELCOM LETTERのすすめ
不安も持っていると人は、人の話を聞けなくなる。
知識のGAPに橋をかける

積極的でなくてはならない。つまり患者に積極的に予防的視点が必要。(認識を深めてもらう)
口腔内の健康、良好な状態にする。
損傷を修復するだけではだめ。

患者においては常に予防的でなくてはならない。歯科医療に対して認識をもつ事に積極的でなければならない。
いつも修復をしようと思ってはいけない。それは農家の人がパンを作ってくれるのと同じ

“熱意”  歯科専門家 患者もパートナー
そして目標を持つことに喜びをもつ。
よりよいコミュニケーター。先生であり、リーダーでなくてはならない。

歯科治療チームでならなければならない。
よい人間関係が築けないことがある。人々との関係にも注意する必要がある。そうするとスタッフ全員がよい
コミュニケーター、リーダー、先生になるでしょう。

技術がだけではなく社会的にも能力を持っていなくてはならない。

そこでSandbergからの提案
ウエルカムレターを送るようにしてください(1枚だけ)自己紹介のため
患者から連絡きたら、名前と住所を聞く。
そしてウエルカムレターで予約の確認をすると伝える。
医院の名前。Drスタッフの名前、予約日時、診察の時どういうことをするのか?どのくらい費用がかかるのか?
時間がかかるのか?。伝えることで緊張も和らげる
どうゆう事を行うかはスタッフ全員が認識し一枚にまとめ送ることで約束になる。
最初は治療はせず、すべての患者に唾液検査をすることを伝え注意事項を伝える。
なぜすべての患者に検査するかは3つの理由がある。
1、基準点を明らかにする(唾液の機能)
2、リスクを評価  3、マーケティング
何でこんなことをするのか?質問してもらうのは一番の動機付けになる
問診票も送る。これは患者の自己紹介のようなもの
当日)問診は受付に渡してもらい診療前にDrは目をとおす。
怖がりの人は注意深く接する。治療に恐怖がない人は、同じように接すると、この人は私におべっかを使ってるのではないかと思う。こうする事で会う前に自分は患者と合わせられる

チームに新しく紹介する機会かので患者を一人ひとりの個人、パートナーと
してみる。1回目の診察はクリニックを紹介する機会。
新患が入ってきたときはその人を時間をかけてスタッフに紹介をする。その紹介がうまくいけばその後のアシストもうまくいく。その時間にお金は入らないが、長期的に見れば十分元が取れることとなる。患者もチームの一員
診査でどこに問題があるか見極める。患者自身が自分の問題を見極めるように
口腔カメラ・鏡・レントゲンを使用する。
現状を把握してもらいどこがスタートが患者が見極めゴールを決める。
ウ蝕、歯周病をグラフにして今の状況をみる。緑がOK 赤はハイリスクとか。緑だったら、現状維持をしてください。
赤ならよくなるようにしてくださいという。そうすると、どうしたら緑になるかを患者が聞いてくる。お勧めツール(歯ブラシ、歯間ブラシ、フロス等)に丸をつけて渡す。ゴールを明確にする。

達成させる表をみせる→これがバックボーンになる
抗菌剤は使用すべきでない。耐性菌を作ってしまうので、出来る限り処方しない。
患者はパートナーなので協力する。SCしてもうまくいかない。決して王さまではない。
患者も一生懸命やらないといけないとをはっきり言わないといけない。
うまくできない場合はDR,DHと一緒に診る。フロスができないから助けてほしいと言われたら助ける。2Wに1回来てもらうとかにして。(でもそれは例外的な状態。基本は自分でできるようにする)東京マラソンと同じでコースが決められてなければならない。途中トイレに行ってしまっても、また元のコースがわかっていれば戻れる。コースがなければ迷ってしまう。自分のやり方を評価する。日によってやり方が違うと困ってしまう。
情報のためのパンフレットを用意する。話をして再度目で見て理解する。
患者から質問を引き出すことが大切!

指導の際に「しっかりやらないからきれいになりませんよ」とはっきりいう。
もしハンディーキャップがあるなら患者は訴えてくる。そうしたら手をかせばいい。
このようなアプローチもある・・・
歯ブラシ、フロス,歯間ブラシなど
「あなたに必要なものはどれか?」尋ねる→患者に責任を与える
おそらく私たちが思っているものと違うものを選ぶがまずは黙っている。
1週間、患者に選んだ道具を使って磨いてもらう。
1週間後戻ってきて、できていないところを見てもらってもう1度選んでもらう。
・・・すると私たちが思っているものを選ぶ
患者をほめる  口でほめる  紙を渡す
たとえば、手紙を送って治療がどのくらい進んだかを説明する。歯ブラシなどの粗品をつけて。
→患者からの口コミで「私もクリニックを変えようかな?」と新患も来る。
パートナーがまた熱心な仲間を私たちのチームに導いてくれる

Dr.Sandbergが医院でしてる虫歯の説明
砂糖はおいしいですが、問題は頻度です。すべての人は砂糖がよくないと知っているが、どのくらいの頻度や量がいいかは知らない。患者様で「私は砂糖食べてないのに虫歯がある」という人がいる。そういう時は乳酸菌の検査を唾液検査でする。そうすればどのくらいの頻度で砂糖をとっているかわかる。コーヒーの砂糖の量より、すぐに飲むか、ちびちび飲むかでも変わる。1mmの千分の1よりもっとバクテリアは小さい。その小さい胃袋を満たすには、どのくら王の量の砂糖が必要かわかりますか?それはすごく少量である。要は量でなく頻度である。

ネガティブにならない
PSが95%でも5%のところでプラークが取れてすばらしい!と褒める。
そこはどういう風にお掃除したかと聞くと患者は喜んで教えてくれる。
それと同じように他の歯もやってみてくださいと言う。ポジティブな感じで。

このツールを使った方がいいですよと言わない方がいい。
トレーにいろいろなツールを乗せて、あなたに合うツールはどれだか選んでください。という。患者に責任を与える。患者は自分で選んだ選択が正しいと1週間は一所懸命やる。正しくなくても言わない。
1週間後、上手くできていないところがある。
それならばと他のツールをとる。ということでOK。
患者に責任を取らせることによって私たちはパワーを持つ。

毎年レターを送る。それに歯ブラシを付ける。もらった患者は友人などとの話の中で。1年に1回歯ブラシがもらえると話す。それを聞いた人は歯ブラシがもらえる医院に変えるかもしれない。

人が価値
スタッフ 技術、社会的能力

患者の意欲が必要

いいクラブを買えばいいゴルファーになるわけではない。ツールももちろん必要だがトレーニング。
練習が必要 でも練習するためにはクラブが必要

★歯科の将来
≪審美≫  家も同じで、痛んでいたらいくら塗装がよくてもだめ:予防が大事!
家が傷んできても塗装だけでは治らない。予防もしないといけないそれによって強くなる
≪エビデンスベース≫

患者とのパートナーシップでより強くなる。患者も知識を持っている。
今のやり方をやっていくのはいけないのか?
川の流れに従うのは死んだ魚のみ
アクティブに少し先を行くということで、市場のルールを変えることができる

流れにのるのは死んだ魚だけ。流れの中でアクティブに先にいかなくてはならない。

量を離れて質:まずは魅力的なビジョンを与える→お金に見合った価値
スタッフは量を離れて質に向かってよりクリエイティブに。
歯科医師会は患者に対して魅力的なビジョンを伝える


まとめ 
熱意を持って仕事する。
ネガティブNG
知識のギャップの橋渡しをする
よりよい教師、教え手でなければならない
早期発見・予防を重視
Krを熱心なフォロワーにしてチームの一員する
ウエルカムレターを作る

感想
山平:今回初めての通訳の講演だったので書きとることに必死になってしまっていあまり内容が頭に入ってこず難しかったですが、あらためて考えてみるとウエルカムレターはWFがすでに行っていることだったのであとは現在作成中の患者に渡す治療過程表を行っていき、目標を一緒にたてて患者をパートナーとして考えていきもっと親密な関係になれたら安心して通院して頂くことができ新患紹介も増えると思います。 これからギャップを架け橋できるように頑張りたいです。ありがとうございました。

迫田:通訳を通してだったので、スライドも英語で理解しにくいところも多々ありましたが、患者をスタッフの一員にすることは大事だと思いました。データを数値化、ゴールを明確にすることは再度意識しようと思いました。、唾液検査は、以前のようにORCTの1回目に含ませると、ORCTが高くて受けないという人にも、ある程度納得がいくような気がします。

髙橋:今回は英語の講演でモニターも英文表記でしたので、通訳だけで内容を理解するのは難しかったです。ですがS andberk先生はとてもユニークで途中途中にジョークを混ぜて講演されていたので堅苦しくなく安心しました。講演中に何度も話に出た、Krをパートナーとして見るということ。それは協力が大事で、一緒に目標を達成していき喜びを分かち合う。そして信頼を築き上げることに繋がるのだと思います。コミュニケーションをしっかりとって身近な存在に思っていただけるDHを目指したいです。

志田:ホワイトファミリーはサンドバーグ先生の理論に似た形式で行っていると思いました。ウェルカムレターは枚数が多いですがホワイトファミリーの理念が記されているので患者さんもわかりやすいのではないかと思います。書面でですが最初の自己紹介、アピールで患者さんの心をぎゅっと揺さぶれるものがあれば行ってみようかな?と足を運んでくれるはずです。CCでの会話はとても重要で、沢山の情報を与えすぎてもダメなので今どのような状態になっているのか、今必要なものは何なのかをわかりやすく簡潔にお話をするよう心がけたいです。理想はCC+Dr診査・診断を同じ日にしたいです。ORCTでは患者さんとの距離が近い人もいれば、遠い人もいるのでチームの一員となれるように言葉の選び方、伝え方、接し方の工夫、また予防の価値を感じていただけるようにケアしていきたいと思います。

【衛生士 志田 迫田 山平 長谷川 髙橋】

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15.~幸せを広げる歯科衛生士~ 

2012年12月2日

オーラルケアトリートメント歯科ドック

メタボと歯周病の関係

~幸せを広げる歯科衛生士~ 第2回 「心の豊かさと健康教育」
(歯科衛生士 長岐祐子さん)

☆────────────────────────────────☆

歯科衛生士の役割は、ムシ歯や歯周病を発症させないことです。そのためには知識や技術はもちろん、慢性感染症の専門家として生活習慣病の倫理学を学び健康教育できることが必要不可欠になってきています。しかしこのような働きをすることが歯科衛生士の役割であると認識されるにはまだまだ時間がかかるのかも知れません。……

第2回 「心の豊かさと健康教育」

 歯科衛生士の役割は、ムシ歯や歯周病を発症させないことです。そのためには知識や技術はもちろん、慢性感染症の専門家として生活習慣病の倫理学を学び健康教育できることが必要不可欠になってきています。しかしこのような働きをすることが歯科衛生士の役割であると認識されるにはまだまだ時間がかかるのかも知れません。

それゆえ私の偏見かもしれませんが、「臨床経験者」「子育て経験者」などの歯科衛生士に雇用者は過大な期待を持っているように見受けられます。私はある歯科医師から「長岐さんは子育ての経験があるから、親御さんや子どもとのコミュニケーションが出来ている」と言われたとき、経験しているから出来るという評価にムッ!!ときた事を覚えています。何故ならば、子育ての経験をしても何も学ばない親だってたくさんいるし、その経験がなくても素晴らしいコミュニケーションを持つ人はたくさんいます。

また、歯科衛生士は歯科医師の指示のもとで仕事をしていきますが、患者さんの誤ったプラークコントロールや悪い生活習慣を改善していくには、担当である歯科衛生士自身の考え、指導方法があるものです。この成果を一言で「モチベーション」と表現されますが患者さんのモチベーションを高めるには、コミュニケーション能力と倫理学が必須なのです。

つまり、自分自身の経験などから得られた基本的な考えをしっかり持っている人を、雇用者・歯科医師が見極め評価すべきであり、教育制度にも組み込まれていく必要があるのです。

●ここで一つの事例を紹介していきます。
T君5歳。上顎前歯部6本はすでに残根状態。上下左右の第一、第二臼歯は根治が必要。待合室でも騒ぎ、ユニットにはなかなか座らないし、実に落ち着きのない患児。

話し方や落ち着きのない行動をとる彼を、私は知的障害児?とも思ったほどだ。しかし、彼の生活環境を知ることにより私の取るべき役割と方向性は決まった。
T君の父親は日本人、母親は日本人ではない。だから母親に彼の口腔内状況を説明しても伝わらないことがたくさんある。母親は仕事をしているため、祖母がT君を歯科医院に連れてくることもある。祖母の話す言葉は方言訛りで、私にも理解できない。こんなにも言葉や文化の違う生活環境の中で初めての子育てはT君の母親にとってはかなりストレスであり、解らないままただひたすら子どもを愛し育ててきたのだろう。T君の落ち着きの無さ、ムシ歯だらけの口腔内という結果がまさにそれを物語っている。

もちろん彼の今の状況では治療はできない。まずはユニットに一人で大人しく座れるようになることを目標とした。私はまず彼とのスキンシップから始めた。例えば名前を呼んで手を広げ抱きしめる。「私はT君が好きだよ。」こんなメッセージが伝わるスキンシップとコミュニケーションだ。

数回目には、彼は一人でユニットに座れるようになった。しかし、まだ落ち着きがない。ユニットのライトを勝手に触る。人の手からミラーを奪い取る。ここから私は彼に厳しくしつけを始めた。勝手にライトを触っていたずらすると、「T君、歯医者さんには先生と衛生士さんだけしか触れないものがあるんだよ。解る?」「うん」勝手にミラーを奪ったときも「黙って獲らないで、貸してって言ってからでしょう」「か・し・て」。子育てには「しつけ」が必要なのだ。もちろんこの間、ムシ歯についての話(病因論・予防方法・生活習慣についての説明)をしながら少しずつ母親へも知識を教えていく。

トレーニングを始めてから5回目に治療が出来た。左上D・E二本を麻抜した。その日は3歳の弟と祖母の三人で来院した。いつものように彼は独りでユニットに座った。麻酔をするときも一つ一つ説明し、私は彼のそばを離れなかった。時々不安がる素振りは見せたが、ゆっくり話しかけ今日はどんなことをするのか説明すると彼は大人しく治療を受けた。無事治療は終わった。

夕方、勤務先から母親が医院に電話をかけてきた。わが子がきちんと治療を受けられたか心配しての状況確認の電話だった。私は「とても上手に治療を受けましたよ。いっぱい褒めてあげて下さいね。」と伝え、母親と一緒にT君の成長振りを喜んだ。

このような一連のトレーニングは、「臨床経験者」「子育て経験者」なら簡単に出来る事なのかも知れません。しかし、次のステージである健康教育をしていくにはやはり経験値だけではなく、倫理観が必要だと私は考えています。

T君6回目の治療。今日は右上D・Eの麻抜。今日は母親と来院してきた。名前を呼ぶと一人で入ってきたもののやや母親に甘え、「ママも。」と一緒に診療室に入るよう駄々をこねた。私は「上手に出来て終わったらママを呼ぼうね」あくまでも親子分離のスタンスをとった。前回同様麻酔をしたが、今日の彼は泣いた。しかし、暴れたり騒いだりはしていない。このまま治療は出来る。しかし、彼の母親はT君の泣き声が聞こえたらしく診療室に入ってきた。私は彼女に目で合図した。「大丈夫ですから待合室で待っていてください。」一旦は顔を引っ込めたもの彼女にはわが子の泣き声を聞くに堪えられないらしくついに「T君、頑張って。ママここにいるよ。Tは偉いものね。おやつ食べてもブクブクうがいするものね」訳の解らない励ましの声かけを始めだした。あげくの果てには「甘いもの食べたら歯磨きちゃんとするんだよ」「このムシ歯治せばもう大丈夫だからね」などなど・・・。

治療が無事終わると母親は息子を抱きしめ「ママちゃんとT君のそばにいたからね。頑張ってムシ歯退治できたね。」私は多少泣いても、T君が一人で治療を終えられた達成感を味わいさせたかった。「一人でできる!」自信をつけさせたかった。しかし、母親はわが子が可愛そう、可愛いばかりに愛情の意味を履き違えてしまっているのです。

今後彼が聞き分けの無いことを言ったとき、結局この母親は目先のことだけから彼の我まま(要求)を受け入れてしまうのでしょう。ある母親にこんな質問をされたことがあります。「どうしてうちの子(6歳)は泣いて嫌がって治療が出来ないのでしょうか?」
私は少々辛口と思いながらも「お菓子が欲しいよと、ダダをこね、我慢できない子が、黙って治療できると思いますか?」と答えたことがあります。その母親は素直に「そうですよね・・・。」と納得していましたが。

ムシ歯だらけの患児の口腔内を見ると「愛情と厳しさ」のもつ意味を私は気づいてもらうコミュニケーションを図りながら歯科治療・予防を通し心身ともに健やかになる健康教育を実践していこう!それが私の使命だと感じているのです。

そしてこれからは単にバイオフィルムの除去が出来るだけではなく「心の豊かさ」を提供していくことが出来る歯科衛生士が求められていくのではないでしょうか。

長岐祐子 歯科衛生士
北原学院衛生専門学校卒業後、医療法人一秋会 遠藤歯科クリニック勤務。1996年 フリーとして開業医勤務。2004年健康管理士資格修得。日本ヘルスケア研究会正会員・日本歯周学会会員・日本歯科衛生士会会員。『ステキに☆歯科衛生士」発足。

 【提供:歯科衛生士 長岐祐子さん】
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16.Lロイテリ菌

健康な体内には、悪玉菌と戦う強い力をもった善玉菌がたくさんいますが、近年ストレスや食習慣の変化、運動不足などのさまざまな要因で、善玉菌が体内から失われてきていると明らかになってきました。
細菌療法ともいわれるバクトセラピーは、優れた善玉菌を体内に補給し悪玉菌の力を押さえ込んでいくというものです。
 
もともと体内に常在していた善玉菌を補給する方法なので、きわめて安全で自然な方法であります。
抗生剤をもちいて悪玉菌を少なくするのではなく、善玉菌を摂取して体内で増やし悪玉菌を減らし、善玉菌優位な環境にしていくことです。
 
人体の常在菌は、500種類500兆個の菌がいます。
重さにすると約2Kgになります。

 
体によい働きをする「善玉菌」、病気を引き起こそうとする「悪玉菌」、悪さはしないが体調を崩したり、免疫力が低下した時に病気を引き起こそうとする「日和見菌」の3種類がいます。
健康な状態では、善玉菌と悪玉菌はバランスを保っているが、バランスを崩すと悪玉菌と日和見菌の影響を受けやすくなり、健康を損なうことになります。
健康な人の体内には、食べ物の消化を助けたり、悪玉菌と戦う優れた善玉菌がたくさんいることがわかってきました。  
ヨーグルトなどに含まれている乳酸菌やビフィズス菌は、腸内で増えると退治してくれる食品といえるでしょう。

体内細菌バランスを崩すと・・・
口腔疾患・・・虫歯。歯周病、口臭など
アレルギー疾患・・・アトピー、花粉症など
胃腸疾患・・・ピロリ菌感染性胃潰瘍、胃潰瘍、下痢、便秘など
感染症疾患・・・かぜ、インフルエンザ、肺炎、発熱など
 

ラクトバチルスロイテリ菌(Lロイテリ菌)

体の中に共生している天然の乳酸菌で、母乳の中や赤ちゃんのお腹に多く認められます。
赤ちゃんが高い免疫力を持っているのもLロイテリ菌が一役買っていると言えます。
 
食べ物と一緒に体に入る乳酸菌のほとんどは、腸の中で生きたまま働く細菌ともいわれますが、一時的なものが多く長く生息できる乳酸菌はほとんどありませんが、Lロイテリ菌は、消化器官で長く留まって働く性質があります。
 
乳製品などの余分な脂肪分や糖分を補給することなく、アレルギーを引き起こすことなく、安心した善玉菌だけを補給することができます。
医薬品を一切使用してないことから副作用がなく、日常的に使用できることができます。天然の抗生物質とも言われてます。
その効果は世界80か国での数十年の使用実績、研究レポートがあります。
特許はスウエーデンのイエテボリ大学にあります。
 
お口の中にも、たくさんの菌がいます。善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れ悪玉菌が優位にたつと、虫歯や歯周病になります。
 
善玉菌の代表として乳酸菌が知られてますが、悪玉菌を減少させる乳酸菌がLロイテリ菌です。
Lロイテリ菌は、虫歯菌や歯周病菌に対して殺菌効果があることや、プラークを分解する働きを持ってます。
寝ている間は、唾液も半減し悪玉菌が増えやすくなりますが、Lロイテリ菌を就寝時前にタブレットをなめてもらうと効果がでます。
歯科医院では、ロイテリ菌の液体を直接歯周ポケット内に注入する方法もあります。
 
歯磨きや洗口剤で殺菌しても、一時的に菌は減りますが時間が経つとまた増えてしまいます。
善玉菌を育てていくと、悪玉菌が住みにくい環境が作られ予防になります。

2015.01.20 竹中
(2015.01.30)


Lロイテリ菌はペルー高地の極めて健康な母親の母乳から分離培養されました。
 
広島大学歯学部付属病院の二川浩樹講師のグループが乳酸菌の一種「ロイテリ菌」に虫歯菌(ストレプトコッカスミュータンス菌)の発育を阻止し、殺菌効果があることを突き止めました。
ロイテリ菌と虫歯菌を3対1で混ぜ試験管で培養すると虫歯菌の約90%は発育が抑制されました。
赤ちゃんが高い免疫力を持っているのは出生後お母さんから母乳を通して与えられる、このLロイテリ菌のおかげだとも言われています。
 
口腔内虫歯、歯周病菌の抑制 口臭予防
ピロリ菌の抑制
(海外ではピロリ菌除去薬が強いので、これをまず服用させるほどの信頼あり)
腸内細菌の改善
(腸まで届きコロニーを形成する免疫細胞ヘルパーT細胞を活性化して免疫力アップ
 
プロデンティス服用の注意
【服用するタイミング】

  • 夜歯磨き後、原則CHXやフッ素、MIペーストなどを使用した場合は30分後に服用(CHXの濃度が日本では0.05、ヨーロッパでは0.2で使用していて問題なかったので直後の使用はできます)
  • 抗生剤との服用は問題ありません。
  • ジスロマックは腸内細菌を減らすおそれがあるので、特にお勧めです。通常の2倍服用がお勧めです。
  • カンジタ菌症の患者様などは、ファンキゾンシロップとの併用もお勧めです。
    ファンキゾンシロップでうがい30分後に服用
  • 液体は歯肉マッサージがお勧めです。タブレット+家庭で液体を5滴ほど口腔内に入れ毎日自分でマッサージ
  • TCPSに対して感受性が高いので併用も可能です。
  • 毎日1錠服用で 2週間でも効果が出ますが、菌質改善のために1カ月は連続使用をお勧めします。
    その後も続けることで菌質を維持することができます。
※錠剤1錠=液体5滴 ヨーグルト3個分
※摂取過剰で副作用などはありません。
(FDA・食品医薬品局)でも証明されており、世界最高峰の安全認証GRASの認証を受けています。
 
【成分・由来】
Lロイテリ菌
DSM17938・・・病原菌抑制
ATCC、 PTA5289・・・炎症抑制 (2種の菌)
由来-元はアンデスに高地に住んでいるペルー人の母乳から分離培養されました。
 
最近の人では母乳にロイテリ菌が含まれている人はわずか15%しかいません。
特に先進国においてその傾向が顕著です。
これは先進国特有の生活習慣や食品添加物などが原因の一つだと言われています。

2015.01.22 高橋
(2015.01.30)

 
 

17.ペプチサル・シリーズお試し
DHテストレポート 2015年2月

以前T&Kから発売されていた、バイオティーンシリーズに成分変更があり、ラクトフェリンが含まれなくなり、 販売元がグラクソスミスに変更になりました。
この度、T&Kよりペプチサル・シリーズが、バイオティーンの替りの商品として発売されました。

ペプチサル・シリーズ

ペプチサル製品ページへ


【バイオティーン変更内容】
販売元 T&K→グラクソスミス
配合されていた、だ液にも含まれる天然酵素が配合されなくなった
トゥースペーストがなくなった

【ペプチサル・シリーズの特徴】
唾液にも含まれるペプチド配合
ラクトフェリン配合


【ペプチサル・シリーズDH評価】
☆トゥースペースト

  • 後味が悪い。すっきり磨いた感じがしない(高橋)
  • 低刺激。キシリトール配合。無味なのでスーッとしたさっぱり感はなく、まったりした感じ。(志田)
  • あまりおいしくない。ベットリしている。バイオはムヒのような臭いで刺激がすごかった。(竹中)
  • 磨いている時は甘いが、あと味がよくない。ラリウル酸ナトリウムが入ってないので刺激が少なく良いと思います。(迫田)

☆マウスウォッシュ
  • もったりした口あたり。嫌いな甘さがある。刺激はだんだん少なくなる(高橋)
  • 低刺激、ノンアルコール(志田)
  • おいしくない。刺激がすくない(竹中)
  • キシリトールの味。甘すぎなくて良い(迫田)

☆マウスジェル
  • 苦味が少ないので、味は嫌いな甘みがない。水あめ食べている感じ(高橋)
  • 無味、無臭。嫌な甘みなどなく、不快なし。歯の表面もコーティングされる感じで、口腔内や歯面の乾燥を防ぐのによい。(志田)
  • バイオティーンとそれほど使用感はかわらない。(迫田)

☆全体的評価
  • 私は全体的に味は苦手です。まずいです。販売しなくても良いと思います。
    新しいバイオティーンの方が味もよく使いやすいので、トゥースペーストは買う人ほぼいない?
    なくて良いと思います。(高橋)
  • 全てアルコールとパラベンフリー。保湿感あり。クセがないので良いと思います。(志田)
  • 3種類とも刺激は少ない。受付でバイオティーンのペーストはあまり購入する人がいないとのこと。(現在は販売終了)
    ジェルと洗口液は良いと思います。(竹中)
  • 全体的に低刺激で使いやすいので、今までバイオティーンを使用していた方には、こちらをお勧めして良いと思います。
    在庫は置かず、今まで通り、サンプル渡してから取り寄せで良いと思います。(迫田)

2015.02.20
(2015.02.20)

 
 

18.噛みしめ くいしばりレポート

噛みしめ 食いしばり

普通であれば、安静時、2mm前後の安静時空隙が存在し、嚥下時だけ一時噛みしめるだけで、その時に飲み込む唾液とガスによって、 逆流性胃腸液を流します。
通常、数分ごとに、無意識に嚥下、噛みしめをします。
しかし、ストレス下、忙しい日常で、人は知らず知らずのうちに噛みしめています。
知らない内にそれが長く続き、しかも噛みしめも通常なら 200kg以内がその倍の400kgぐらいで噛みしめたりするケースもあるのです。
当然、力の弊害が発生します。

重い荷物を持った時、緊張している時、細かい作業に集中している時。
これが短い時間であればいいのですが、継続して行われた場合や
意識のない睡眠中に持続的に行われていくと様々な全身的悪影響を起こします。

噛みしめ 食いしばりの悪影響
  • 知覚過敏
    強く噛みしめたり歯ぎしりをすることによって、歯の根元のエナメル質結晶構造の崩壊(マイクロクラック)がおこり 神経のある歯では知覚過敏を引き起こします。
  • 歯牙破切
    咬合面のすり減り、摩耗や歯牙破切、神経のない歯では歯根破切がおこります。
  • 歯周病の進行
    強度の咬合圧によって顎骨の炎症がおこり、顎骨の吸収がおこり、歯の動揺、歯周病の進行がおこります。
  • 骨隆起 からの 睡眠時無呼吸症候群
    咬合負担の増加によって内側歯槽骨の増殖による骨添加、骨隆起の増大がおこる。
    それによって舌の運動スペースの減少から舌肥大がおこり、咽頭周囲の内側翼突筋など咬合筋群の硬直化と肥満により、 1回呼吸量の減少や、舌根閉塞での睡眠時の無呼吸障害を誘発します。
  • 咬合バランスのずれによる顎関節症、片頭痛 肩こり 腰痛
改善策
  • 食いしばりの原因をなくす
    ストレスの緩和
  • 食いしばっていると気づいた時は歯と歯をかみ合わせないように意識する
  • かみ合わせの調整
  • マウスピースの装着
    意識的に改善できない就寝時や、スポーツ、集中時にマウスピースをはめて咬合負荷を軽減する。

2015.02.23 迫田
(2015.02.25)

 
 

19.いまこそケアの話をしよう
~メインテナンスを定着させるために~

歯科医療は細菌との戦い
歯科dentistryから口腔科oral medicineへ

1 メインテナンスとチーム医療

臨床で何が一番大事か
歯内・咬合・補綴・歯周……
ドべネックの桶に例え、どれか低ければそのレベルになってしまう
総合力が大事(包括的歯科治療)

10年間で失う歯の数は……
検査だけでそのまま放置した場合は3.6本
動的治療だけしてメインテナンスをしない場合 2.2本
動的治療とメインテナンスをした場合 1.1本
約3倍違う

30年で失う歯の本数
P.Axlssonらの調査 0.4~1.8本
平成23年歯科疾患実態調査報告より 10.5本
10倍歯を失う

(P,Axlssonらのほうは歯肉縁上プラークコントロールをKr任せにしないで定期メインテナンスを行った場合)

定期メインテナンスで、いかに歯を失わずに保てるかということが分かる
若い時期からしっかりとメインテナンスをしている人ほど歯を失っていないことが分かる

患者さんにとっての成果とは……
メインテナンスを続けるため 患者さんがまた来たいと思うためには、数値よりも実感
また続けて受けたいと想わせるには………???

圧倒的なプロケアの質が問われている 圧倒的→普通ではダメ

2 炎症のコントロール

プロフェショナルケアが重要
歯肉縁上   ・PMTC
       ・PTC
歯肉縁下   ・Debridement
       ・Scaling
歯肉縁上
PMTC (Profesional Mechanical Tooth Cleaning)
内山先生の著書 PMTC2 参照
ポイントは細かい粒子(GC PTCペーストのファイン)で
回っているのがわかるくらいの回転でぐっと力をかけて歯肉溝付近も。
PTC  (Professional Tooth Cleaning)
歯ブラシ、歯間ブラシ、フロスなどを用い手用で行う     

お勧めツール
ルシェロ ペリオブラシ 替えブラシ(オートクレーブ滅菌対応)
ブラシの毛先のみを交換 インプラント上部構造周囲にPMTCカップやフロスで届きにくい所までプラーク除去可能

バイオフィルム

菌の塊 一種類だと流されやすいので多種類の細菌が混ざり合って固まったもの
こすり取る はがし取る イメージ ブラッシングの限界を知る

定期にプロケアでバイオフィルムを一旦徹底的にはがし取る
→ 平均3,4カ月セルフケア
(期間は文献上。人によって1~2か月で成熟する人もいれば半年、1年でも平気な人もいる)
プロケアでバイオフィルムを、再びそっとはがし取る
できるだけ患者さんに寄り添うかたちでのケア指導。
何度でも来院のたびに繰り返しの説明を心がける。
キーワードを使った説明で、イメージを思い出せるように

ケア商品を処方するという発想
CHXはプラーク抑制効果 バイオフィルムを破壊してからの使用
濃度は関係あるか?
患者自身によるブラッシングが敢行されていれば、低濃度(0.05%)と高濃度(0.2%)のCHXリンスのプラーク抑制効果に有意な差がない
問題は、使う頻度と、使うタイミング、食後3分、3AMが効果的!!!

他の抗菌剤(CPCなど)との併用は効果に差がないだけでなく、歯や舌の着色や粘膜刺激などの副作用が増す可能性が高い
再石灰化補助の処方 MIペースト フッ素ジェル などで歯をコーテイングする

フッ素ジェルとMIペーストの違い
フッ素が唾液成分中のCa、Pを用いて再石灰化を促すのに対し、MIペーストはこれ自体にその成分を高濃度に含むので、唾液量の少ない人や緩衝能の低い人に効果が期待できる
唾液と比較してCa190倍 P20倍

歯肉縁下
歯肉縁上がプラークコントロールできてから歯肉縁下へ

歯周治療後のメインテナンス

SPT (Sapportive Periodontal Therapy)
    歯周基本治療、歯周外科治療、修復・補綴治療により
    病状安定となった(治癒ではない)歯周組織を維持      するための治療
    プラークコントロール、SC、SRP、咬合治療などの治療が主
    となる
    予防ではなく治療なので保険点数算定可能だが、患者数に対し
    ては少数な割合である

上皮と結合組織の再生速度 0.5mm/日
7×7mm角の皮質欠損の場合7日目に上皮細胞同士がぶつかり、
遊走がストップする
その後上皮成熟が起こり重篤扁平上皮が再生されていく

骨の再生スピード 1~2μm/日
  1~2mm再生するのに1000日(約3年)を要する

歯周治療終了後の歯周組織は長い上皮性付着となる
上皮性付着は長い時間をかけて結合組織性付着に置換される

メインテナンスセラピー

 
  • 歯科、内科的病歴の更新
  • 歯科、インプラント周囲の軟組織の診査と歯科X線像の追跡と評価
  • 患者による口腔衛生の評価
  • プラーク、バイオフィルム、ステイン、歯石の除去、破壊するためPMTC
  • 再発性や難治性では、Local delivery や全身的な化学療法が補助的に適応される

内山先生のところでは抗菌療法は行っていない
理由として

  • 現時点では「診断結果をどう実際の診療に結び付けるか」の基準が見つからない
  • メインテナンスの患者さんが多いので、長い経過観察の中でほぼ患者さん固有のリスクは把握されている
  • モチベーションに関しては、知識(データ)よりも感覚(PMTCなど)を重視している
  • 時間的な余裕がない
抗菌療法を詳しく知りたい場合は 加藤正治先生 DHStyle 2013.11月号に寄稿

STP(Sapportive Periodontal Therapy)
の位置づけ

  • 進行防止のためには、継続した適切なモニタリングが必要となる
  • 歯周病のメインテナンスに関しては、十分に配慮され たスタンダードケアが確立されている
  • 歯周基本治療後3カ月ごとの評価が一般的である
  • SPT時にBOPがあってもその部位のプロービングデプスが増加していない場合には、
    歯肉縁下のデブライトメントの効果について科学的な根拠は乏しい
  • したがって、プロービングデプスが増加していない部位にそのような治療は行うべきではない

STPの効果

  • 3年以上のSPTでは治療後の状態を維持できない
  • SPTのたびに、浅い出血部位に通常の機械的な歯肉縁下デブライトメントうを行うと
    アタッチメントロスをおこす結果となる

Q STPのたびに縁下を触る必要があるのか?
メインテナンス期間中にSCとルートプレーニングを繰り返し行っても行わなくてもプロービングデプスと
attachment gain(loss)に変化はなかった
3~6カ月おきのSPTが続いていれば、SPTのたびに歯肉縁かを触る必要はない
SPTで大切なことは、歯肉縁上のサポーティブケアである

ペリオデンタルデブライトメント
Periodontal Debridement とは

生体に外来から沈着した刺激物、およびそれによって変性した組織などを除去すること
歯周治療においては、歯肉縁下のプラーク、歯石、汚染歯根面、不良肉芽組織を除去することをさす

歯冠部、歯根部、ポケット内の非付着性及び付着プラークや歯石を除去することにとどまり、
セメント質は必要以上に除去しない
以前は感染したセメント質は取り除かれなければいけないと考えられていたが
今は内毒素は表層に付着しているので歯石は残さないようにしてセメント質をできる限り残す考え方である
SRPは歯石除去 リンデ先生は今はルートプレーニングといわない SC+デブライトメント

デブライドメントに使用する器具

根面を痛めないようにするもの
エキスプローラー (american eagle)
ブレード「グレーシーキュレット」の半分
第一シャンクは3mm短いので、狭いポケット部分や分岐へのアクセスに適している
超音波スケーラーも手用インスツルメントも、正確に使用して歯根面からの感染物質の除去が達成されれば
ほぼ同様の治療結果が得られる。
手用で除去できることが大事
超音波はメインテナンスが主流
学術的には歯石は完全に取りきる 外科をしてでも。
アメリカでは抗生剤を飲んでもらい歯石を一日でとってしまう方法もある
→Cure的な考え

Care的には
歯石は病気の直接原因ではないのだから、早い段階で無理やり深い歯石をとる必要はない
Care的な考えの利点
  • バイオフィルムの除去を続けることで歯肉がしまり、ときには歯石が露出して取りやすくなる
  • SC時の出血や疼痛も少なる
  • SPTが続くことで患者の恐怖心や不快感も少なくなる
  • 担当衛生士との距離感も少なくなる
  • 歯周組織の自然治癒に期待することができる
最終的に歯石は取りきらなければいけませんが、どうせ長い付き合いなのですから定期的に継続的にして取っていけばいいのです。
継続した炎症のコントロールが原則ですが、様々なアプローチがあります。
正解は一つではありません。
DHの力量、患者の状態、医院の治療方針や総合力などを考慮して、長期的な視点で対応しましょう。

力のコントロール

力を察知する―歯周病と関連して
細菌感染はケアでコントロールできても、力による炎症もある。

Dental Overload Syndrome(過剰負荷症候群)
持続的に加わる微小な力、あるいは過剰で暴力的な咬合力によっておこる
様々な歯科的病態
(下顎大臼歯の内傾斜と内側骨吸収、小臼歯過剰負荷による骨隆起増大、咬合の低位化による舌スペースの狭小で、口呼吸や、常時開口、 睡眠時無呼吸の発症。前歯、犬歯先端咬耗と酸蝕、歯槽骨縁の根面部の過剰咬合圧による歯質結晶の圧縮破壊による喫状欠損の発生や根面露出、 上顎前歯犬歯間歯槽骨の破壊による、前突、離開)
16歳から25歳までの8番萌出圧による大臼歯部位の内傾斜咬合の進行は深刻。親知らずの根未完成時に予防的抜歯が大切

  1. 歯周病の増悪に咬合が関与していることを察知するには
    1~2歯に限局した・歯の動揺
             ・骨レベルの低下 歯根膜腔の拡大
             ・局所的なポケットの増加
    起きやすい部位
       大臼歯部  側方運動時や中心滑走時の早期接触
             下顎第2大臼歯の遠心咬頭
             上顎第2大臼歯の舌側咬頭 咬合調整する
       親知らずの抜歯が有効

       小臼歯部  平衡側接触(バランシングコンタクト)
             特に上顎の舌側咬頭内傾斜 歯冠破折がおこる
       クリアライナー矯正やナイトガードの使用で、咬合メンテ
  2. 咬合調整 機能咬頭のみを調整 (上顎舌側咬頭、下顎舌側咬頭)
      注1 顎位は正常か? くるった顎位では調整してはいけない
      注2 中心咬合位における機能咬頭は極力削らない
    側方運動時の咬合調整は原則として歯に人差し指と親指の腹を添えて行い微妙な歯の動きを感知しながら、調整量を最小限に抑える工夫をする
    矯正と、ナイトガードのリテーナーは必要です。!!!
    フレミタス Fremitus
    上下の歯をカチカチ噛み合わせると、
    ある特定の歯にだけ動きが来ることがあり、
    この振動のことを専門用語で「フレミタス」という
    JIGGLE(ジグリング)という上下左右に揺れること、アメリカでは一般的にジグを使う。
  3. 咬合性外傷
    咬合は歯周病の修飾因子であり、それ自体が歯周病を誘発することはない
    ←これ誘発はある
    咬合は骨吸収や歯のジグリングは誘発するし、結果歯周ポケットの封鎖性が弱くなり、ポケット内感染を誘発するから、これはうそ。

    歯肉炎と咬合性外傷が共存する場合は…
     まずはプラークをはじめとする発症性因子の除去を
     第一目的とする。
     咬合調整や固定により歯の動揺を
     減少させることは可能であるが、
     歯周組織の破壊を抑制することは不可能である
     実際の臨床では「咬合干渉により著しい
     歯の動揺を認める場合に限り、炎症のコントロールと並行して
     咬合調整をする」と覚える
    プロ―ビング時のOver instrumentationに注意 圧は20~25g
    咬合性外傷の場合 X線上で垂直性骨吸収が見られても付着が残っていればプローブが入っていかない
    この時にRoot Debridementで付着を除去してしまうと上皮が入り込みポケットを人為的につくることになってしまう。
    炎症のない場合は咬合調整のみ  

    一次性咬合性外傷
       
    過度な咬合力により外傷(骨吸収のみで根露出はない。ポケットも正常値)が生じたもの
     
    二次性咬合性外傷
       
    歯周病の進行により支持歯槽骨が減少して咬合負担能力が低下した歯に生じる外傷であり歯軸の回転の中心が下がっているため生理的な咬合力(弱い力)によっても引き起こされる
    ジグリングフォース(歯に対して水平方向に加わる揺れるような力)の場合は即大きく削合し咬合を低くする

    一次性咬合性外傷の場合は削合量は少し
    二次性咬合性外傷の場合は削合量は多く

  4. 骨再生の条件 固有歯槽骨再生には、歯根膜が関わっている

    Tooth Wearの中で 力とは関係ないが関連するもの
    酸蝕歯…酸による歯の化学的溶解
    摩耗…歯の接触以外の機械的作用による歯の摩耗
    力と関連するもの
    咬耗…歯の接触による機械的な歯の摩耗
    アブフラクション…バイオメカニカルな荷重による歯質の喪失
    詳しくは 側方または斜めの偏心性咬合圧(パラファンクション)により歯が屈曲もしくは歪むと歯頚部に応力集中が起こる
    この引張成分により、歯の硬組織の化学的、構造的統合性が壊され、構造破壊が起こり、 マイクロクラック(微小崩壊)から脱灰進行や酸蝕進行へ
    その後、壊れた歯頚部の硬組織は摩耗や咬耗や酸蝕により
    tooth wearに罹患しやすい状態となり 特徴的な楔状欠損が生ずる 

    セメント質剥離

    成因
    セメント質剥離は、局所的に急激な歯周組織の破壊を起こす特殊な歯根破折である。
    ほとんどのセメント質剥離は、前歯部歯根の根尖側より3分の2(セメント質が厚い領域、セメント質と象牙質の境目)で生じる その原因は、加齢や摩耗などと関連する連続的な過度のストレスである。

    起こりやすい部位 上顎&下顎切歯  76.1%
    生活歯        65.3%
    男性         77.5%
    60歳以上       73.2%
    6mm<ポケット   73.2%
    咬耗         77.9%
    (歯根破折は98%無髄歯 )

    治療法

    セメント質剥離によって引き起こされる歯周組織病変が口腔と交通する場合、早期のスケーリングとルートプレーニングによって
    破折片を完全に除去することができる。
    またそれにより(歯周)組織の治癒が期待できる
    新生骨および新生セメント質を形成したのは、歯根膜由来の細胞である。
    直径3mmのセメント質剥離であれば再生の可能性がある

    力のキーワードは…気づくこと!

    よく噛むことと、硬いものを噛むことは違う
    よく噛むことと、いつもかみしめてることとは違う
    歯に強さ(もろさ)や噛む力は 人それぞれ
    成長期か成熟期かも大事な要素

    噛みしめから歯を守る
    ナイトガード ハードのスタミゼーション型

    スプリントを入れても咬合力はコントロールできない
    日中は意識的に直す
    夜間、意識のない時にマウスピースをはめ咬合力から歯をガードする装置という位置づけ
    ハードのスタミゼーション型、クリアライナーやリテーナー、ブラキシズムをやってないという人が多い、自覚ない。
    咬筋の場所を手で押さえさせて咬筋が張っていることを自覚させる

    歯周病と全身疾患との関連

    細菌性心内膜炎
    歯周病菌のA.A菌は、外毒素の白血球に毒素(リュウコトキシン)を持っていて、白血球の食菌・殺菌作用に抵抗して 心臓弁膜に付着・定着して心内膜炎をおこす。
    またストレプトコッカス・サングイスは細菌性心内膜炎を起こす代表的な細菌で、 ストレプトコッカス・ミュータンスもしばしば細菌性心内膜炎症を起こす。
    細菌性心内膜炎の原因菌の多くは口腔内に住み着いている
    肺炎
    口腔、咽頭や歯周局所の細菌が原因菌となる
    腎炎
    口腔内の慢性感染(根尖病巣や歯周病)病巣の細菌性抗原が糸球体基底膜に沈着すると、腎臓の基底膜細胞を傷害し糸球体腎炎が起こる
    リウマチ性関節炎
    口腔内の慢性感染症の細菌性抗原が関節腔に沈着すると、免疫病理学的反応が起きて、炎症が起こり、破骨細胞が活性化されることが 原因となって、関節炎が起こる。
    ※リウマチは免疫抑制系の抗リウマチ剤MTXを併用するケースが多くドライマウスを引き起こす
    術後性肺炎
    全身麻酔時の気管内挿管により…
    挿管患者では非挿管患者と比較して肺炎の発症が6-20倍増加し 挿管患者の8-28%にVAPが発症する (VAP・・・人工呼吸器関連肺炎)
    VAPの致死率は24-50% 患者の状況や原因菌によっては76%にまで及ぶとの報告もある
    VAPへの対策は大侵襲手術後の管理を行うICUにおいてきわめて重要な課題である

FAQ

Q ヨーグルトで歯を磨くと歯周病が改善すると聞きましたが本当でしょうか?
A 
  • 3DS(Drug Delivery System)と同様に、一旦機械的に
    歯肉縁上、縁下のバイオフィルムを落としてからが前提
  • ブラッシングだけでは効果は限局的
  • ヨーグルトによる酸蝕に注意

Q 一部の歯磨剤に含まれている「つぶつぶ」ですが、
歯周ポケットにこの粒が入っている患者さんをよく見ます。
中には、超音波スケーラーなどで、じゃぶじゃぶと洗い流さないとなかなか全部出てこない方もいるが歯肉炎等大丈夫か?
A
     
  • つぶつぶの成分は清掃補助剤のゼオライトAですから、その細孔内に選択的に分子を取り込み吸着させる効果があります
    したがって、微細な汚れを吸着させることで汚れ落ちには有効と思われます
  • しかし、ゼオライト粒子は不溶性ですので、ポケットの内部に残ると、そこに歯周病菌などが付着しやすくなり 歯周病が進行する恐れがあります
  •  
  • したがってポケットのない正常な人には効果的な歯磨剤と言えますが、深いポケットの残存している歯周病患者さんには お勧めしないほうがいいと思います

2015.03.01 迫田
(2015.03.10)

 
 

20.イージークラウンリムーバーのテストレポート

イージークラウンリムーバー

イージークラウンリムーバー


WFでは使わない


歯質に穴があいたり、神経にダメージ
ネジが歯質にヒビを入れたりします。
歯質への負荷が局所に集中して割れる。

2016.09.30
(2016.09.30)

 
 

21.CAMBRA デモ レポート

CAMBRAとは アメリカのスタンダードプログラム
CDAとUCSFとの共同開発された将来のウ蝕発生リスクの分類とリスク別推奨処置をプロトコルしたウ蝕管理法

口腔内リスクを常にバランスで管理
「現在の口腔内の健康状態」「元々の口腔内の個人資質」「生活習慣」にあわせ、患者にそったプログラムで管理ウ蝕リスクを4段階で判定 カリオスクリーンによる細胞数の測定、唾液検査、磨き残しチェック、生活習慣の問診など数値や視診によりリスク評価エビデンスに基づく推奨処方 4つの判定結果の基づいたプロケア、ホームケアの推奨処方があらかじめ用意されてるので初心者スタッフでもできる

カリスクリーン 小型の口腔内の清掃状況を数値化出来る機械
下顎3-3の舌側を専用スワブで1回なぞり、アンプルをつくり機械にセット
15秒で判定ウ蝕原因菌と高い相関性のあるATP(アデノシン三リン酸)を計測
0-9999の値で表示{スワブ内のルシフェラーゼ(酵素)がATPに反応して発する光を測定}
{ミュータンス連鎖球菌および連鎖球菌は細菌よりもATPを発する}

予防歯科に移行するモチベーションキッドとして使用するもの
細菌の数値化が15秒で出来る問診はフォームがありチェックしてもらいレントゲン診断、ホワイトスポット視診、唾液量の測定、プラーク量視診等のチェック数で4段階のリスクを決める
カリスクリーン本体39万8000円 スワブ3万円(25本入り)1回単価は千円くらい

現在ORCTではサリバテストを行っていて、ミュータンス菌、ラクトバチラス菌培養を行っています。
来院回数を比べるとカリスクリーンは1回で結果がでてスピーディではありますが、カリオグラムの方がより具体的な細菌、唾液の質、プラーク量などの判断が出来、より精密な指導が出来ます。
予防プログラムが確立していない医院においては簡単に出来るので効果的ではあるかもしれませんが、当医院のORCTプログラムの方が確立しているので、購入する必要はないと思われます。

2019.06.13 志田・迫田・金森
(2019.07.18)