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最新の社会情勢レポート!!


車は早くEVに

【ジュネーブ8日ロイター時事】世界的な人の移動の問題に取り組む国際組織、国際移住機関(IOM)は8日、今後40年間で最大10億人が気候変動によって家を追われるだろうとの研究結果を発表した。
  IOMは、地球温暖化が進むにつれて増え始めている突然の環境災害によって、昨年2000万人が家を失ったと推測している。IOMによると、「気候難民」のほとんどは、より裕福な国へ移動する手段や能力がないために出国していない。気候難民は既に混雑している都市部に流れ込んでいる。気候難民の都市部への流入は、環境ストレスや気候変動による状況の悪化のリスクが高い貧困国に余計な圧力となっている。
  IOMの報告は「最貧国と気候変動に対して最も脆弱(ぜいじゃく)な国々にとっては、災害に直面して緊急に国外脱出することを除くと、移住が選択肢の一つではないのかもしれない」と指摘、「一般的に国家は環境を原因とした移住を国内で対処するよう求められる。領土の一部が既に水面下に沈んでしまい、国外への移住を余儀なくされたような小さな島国は例外だ」とした。
  IOMは今後40年間で家を失う人数の予測を2500万人〜10億人として幅を持たせたが、下限の予測は時代遅れだと指摘した。
  IOMは自然災害の数がここ20年間で2倍以上に増えていると述べ、温室効果ガスの排出が増え続ける中で、より多くの地域が砂漠化や水質汚染によって居住不可能になるだろうと予想した。IOMは「地球の気温を今世紀末までに2〜5度上昇させるようなさらなる気候変動は、人々の移住に大きな影響を与える可能性がある」と述べた。(了)

【環境リポート】無制限の温室効果ガス排出で気温は4度上昇=英気象庁

 【ロンドン7日ロイター時事】英気象庁は7日、温室効果ガスの排出を制限しない場合には、地球の気温は今世紀末までに産業革命以前に比べて4度かそれ以上上昇するとの研究結果を発表した。
  気象庁は「この気温上昇に伴い、永久凍土層の融解によるメタンガスの放出といった危険な影響が引き起こされるリスクが高まる。これが温暖化を増幅し、世界の気候と生態系に取り返しのつかない打撃を与えるだろう」としている。
  デンマーク・コペンハーゲンでは7日、地球の気温上昇を2度に抑制するための取り決めをまとめるための国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が始まった。
  英気象庁は、気温上昇を2度に抑えても気候変動の影響を完全になくすことはできないが、危険な影響を限られたものにすることはできると述べた。その上で、4度の気温上昇では世界のほとんどの穀倉地帯での単位面積収量は減少し、海面は80センチメートル上昇するが、2度の上昇では、中高緯度地帯での穀物生産は若干増え、マイナスの影響は半乾燥地域と熱帯地帯に限られ、また、海面上昇幅は40センチにとどまるとしている。(了)
写真:コペンハーゲンに出現した大きな地球模型(2009年12月6日、コペンハーゲン)

2009.12.8 記事提供:ロイター時事 


日本では粘膜禁忌のクロスヘキシジン液も
海外なら、0.5%以上の濃さで使うのはどうして?
しかもこれ効果なしと出てるし?
これはおかしいデーターです

クロルヘキシジン液による拭取り・洗浄、新生児敗血症を予防せず

 2009年12月09日 ソース:Lancet(論文一覧) カテゴリ:小児科疾患(関連論文)

文献:Cutland CL et al. Chlorhexidine maternal-vaginal and neonate body wipes in sepsis and vertical transmission of pathogenic bacteria in South Africa: a randomised, controlled trial. Lancet. 2009;374(9705):1909-1916

南ア・ソウェトにて、分娩中産婦の膣内拭取りと外性器拭取り、新生児の全身洗浄と足洗浄を比較した無作為化試験が行われた。その結果、生後3日以内の新生児敗血症の発症率とB群連鎖球菌定着に有意差は見られなかった。著者らは新生児死亡率の低下には他の介入が必要と結論している。

2009.12.9 記事提供:Lancet


利権絡むタバコ規制の遅れ

政官業の癒着解体を 民主政権の使命だ 神奈川県知事 松沢成文 識者評論・私の意見「たばこ利権と喫煙被害」

 喫煙や受動喫煙が健康に深刻な影響を及ぼすことは国際的な共通認識だ。世界保健機関(WHO)の「たばこ規制枠組み条約」では、たばこの値上げも含む価格政策などさまざまな措置を求めており、受動喫煙防止については、来年2月までに法的措置を講じることがガイドラインで定められている。すでに多くの国がたばこを規制する法律を制定しているが、日本は条約締結国でありながら、議論は遅々として進んでいない。

 神奈川県は先駆けとして今年3月、全国で初の「受動喫煙防止条例」を制定したが、国の動きは一向に進む気配がない。最大の要因は、たばこをめぐる政官業癒着の利権構造にある。

 たばこ産業は、たばこ事業法などの法律により、葉タバコの生産から製造たばこの販売まで一貫して財務省が所管している。理由はたばこ産業の健全な発展を図ることとされるが、本当の理由はたばこ税の確保である。

 1985年の専売制度改革にあたり、国産葉タバコの価格が国際価格の3倍と、国際競争に耐えられる状況でなかったため、耕作農家や日本たばこ産業(JT)の保護を目的に、国産葉タバコの全量買い入れやJTの製造独占などの仕組みがつくられた。

 厚生労働省がたばこ対策を進めようとしても、予算や税制で絶大な権力を握る財務省がたばこ産業の保護者では、たばこ規制が進むはずもない。

 この利権構造は、たばこ税を確保するためたばこ産業を支配する財務省、全量買い入れの堅持を求める耕作農家、JTの強い影響下にある販売事業者、そして株式の半数を持つ大株主・財務省から天下りを受け入れるJT、そしてこれら4者の利益調整を図るたばこ族議員からなる。

 この利権構造を解体しなければ、条約を誠実に順守し、国民の健康を守る実効あるたばこ対策を進めることは絶対にできない。まず、たばこ事業法など関連法を廃止してJTの完全民営化を果たすことが急務である。

 こうした取り組みは新政権が進める改革にも資するものとなる。JTの政府保有株式は時価総額で1兆3千億円を超える。これは、耕作農家の転作などたばこ産業の構造転換に使うだけでなく、民主党のマニフェストを実現するための新たな「埋蔵金」になりうる。

 さらに、条約が求める価格政策、つまり、たばこ税の大胆な増税を行うことで、より一層大きな効果が期待できる。昨春、日本財団の笹川陽平会長が提起した「たばこ千円論」では、現在2兆円の税収が9兆円となり、仮に消費量が3分の1に減少しても3兆円の税収になるという。増税による喫煙率の減少は、中長期的には国民医療費を削減させ、7兆円を超えるという喫煙による国民の経済的損失の減少にもつながる。

 たばこ1箱の価格は、諸外国では700円程度が普通であり、英国など千円を超える国もある。海外との比較では日本のたばこの価格はまだまだ安い。

 たばこをめぐる利権構造の解体や価格政策は、国民の健康を守るだけではなく、改革実行の財源を生み出す一石二鳥の特効薬なのである。

 政官業癒着の利権構造を打破するのは、民主党政権の大きな使命である。

   ×   ×   

 まつざわ・しげふみ 58年、川崎市生まれ。慶応大卒。米留学や松下政経塾を経て衆院議員、03年から現職。著書に「受動喫煙防止条例 日本初、神奈川発の挑戦」など。

2009.12.8 記事提供:共同通信社


歯科分野でも、衛生士・技工士などの人材育成、
地位向上などを!、医療崩壊を防ぐ緊急提言

「医療崩壊を防ぐための緊急提言」を幹事長室に提出◆Vol.4

来年度予算の「最重要項目」となるか、9日が次の焦点

「適切な医療費を考える民主党議員連盟」は12月4日、小沢一郎・幹事長、高嶋良充筆頭副幹事長宛に、「医療崩壊を防ぐための緊急提言」を提出した。既報の通り、12月3日に開催された第4回勉強会で決議したもので(「3%以上の改定率、補助金等の増額要求を決議」を参照)、(1)次期診療報酬改定ではネットでプラス3%以上、(2)「緊急雇用創出事業」の中で、2000億円確保し、医療クラーク10万人分の半年分を手当て、(3)2009年度厚生労働省予算「医師等人材確保対策の推進事業」488億円を、来年度は総額1000億円に増額、(4)漢方の保険適用の維持――の4点。

 記者会見で会長の桜井充氏は、「我々はマニフェストで医療崩壊を防ぐと約束しているが、子供手当て、高速道路の無料化、高校授業料の無償化などが話題になる一方で、医療についての議論が全くなされていないに等しい。さらに野田佳彦・財務副大臣は、診療報酬の3%カットと言っており、多くの議員が危機感を抱いている」と議連発足の経緯を改めて説明した。「決議文を高嶋副幹事長に届け、我々の要求を飲んでもらいたいと依頼した」(桜井氏)。

 提言を受け取った高嶋副幹事長との話し合いの内容について、桜井氏は、(1)医療の問題は重要である、(2)財務省との調整になる、という2点を挙げたが、「政治的な話もあった」などとし、その詳細は明らかにしなかった。

 さらに今後の動きについて、桜井氏は「12月9日の段階で、(民主党の)幹事長室から最重要項目として内閣に申し入れをしていただきたい。幹事長室から上げられた際の内容について、議連の議員159人が満足すれば今後の経過を待つ。しかし、自分たちの思いが通じていないとなれば、再度、幹事長室にお願いすることになる。その場合、幹事長室直接なのか、幹事長室を通じて政務三役、特に財務省と直接話すこともあり得るだろう」と述べ、今回の提言が反映されるか否か、その結果次第であるとした。現在、幹事長室から、9日に来年度予算などの政策要求を行うことが予定されている。

 なお、議連に参加する議員は159人。3日の時点の160人から一人減ったのは、内閣の議員だったため。

 「赤字補填か人の確保か、それは長の判断」

 診療報酬の引き上げは、患者窓口負担や保険料の増額につながるが、この点については、協会けんぽだけでなく、組合健保にも「厳しい経済状況を踏まえると、ここ1、2年は税金導入もやむを得ないのではないか」との見解を桜井氏は示した。窓口負担についても、「いい医療を提供するためには、国民にも少し負担を求めるのは当然のことではないか。また今回の引き上げは病院が中心であり、高額療養費制度により、それほど大きな負担をお願いすることにはならないと思う」(桜井氏)。

 医療クラークが「半年分」であるのは、次期診療報酬改定を見込んでのこと。ただし、診療報酬は人への手当てであるため、自治体病院をはじめ病院の赤字補填に使われる可能性もある。桜井氏は、「医療クラークを雇用すると、医師の仕事ははるかに進み、病院としての収益は上がってくる。診療報酬を借入の返済に充てるのか、クラークを採用するのか、それは経営者の判断。医師は自分の給与以上に、今の勤務状態の厳しさから辞めていこうとしている。この点を勘案しない首長の判断はいかがか」と現場の対応に期待した。

 もっとも、クラークの診療報酬が果たして手当てされるか、この辺りは未知数だ。また11月12日の行政刷新会議の「事業仕分け」で、「医師確保、救急・周産期対策の補助金等」については、「予算要求の縮減(半額)」とし、「診療報酬の見直しと組み合わせた形で補助金を有効なものとする」としている。

 長妻昭・厚労相は12月3日の都内病院視察後の会見で、「我々も内部で検討したが、半額というのは削減しすぎだとは考えている。ただ診療報酬で手当てすべきというのは、考え方としてはその通りだと考えている」(「長妻大臣が東京女子医大、河北総合病院を視察」を参照)とコメント。

 医師不足や救急医療などの対策は、診療報酬、補助金のいずれで講じるか、今回の提言は、「診療報酬の引き上げ」では一致している一方、厚労省政務三役とはややスタンスが異なる部分もある。
橋本佳子

2009.12.4 記事提供:m3.com


タバコの周囲環境への影響、副流煙の怖さと、
子供たちへの喫煙環境の影響

たばこの害、周囲にも/Dr.中川のがんから死生をみつめる:34 

厚生労働省が11月9日に発表した08年の国民健康・栄養調査で、日本人の健康志向がくっきり浮かび上がりました。男性の肥満が減り、運動志向が高まっていました。成人の喫煙率は21・8%、6年前より約6ポイント低下しました。男性は36・8%と、前年より2・6ポイント、03年との比較では10ポイントも低下しました。

 それでも、40歳代の男性の喫煙率は51・9%に達し、先進国の中では、日本はいまだにトップクラスの「たばこ大国」と言えます。

 たばこの問題がやっかいなのは、吸う本人だけではなく、周囲にも「累が及ぶ」点です。ときどき「たばこを吸っている自分は健康なのに、吸わない妻が肺がんになってしまった」という人がいます。自分が吸わなくても、周りに吸う人がいると、肺がんの危険性は20-30%も増えるといわれています。1日1箱以上のたばこを夫が吸う妻の場合、肺がんになる確率は、夫が吸わない妻の2倍以上とのデータもあります。

 たばこについているフィルターには、煙に含まれる発がん物質を取り除く働きがあります。ところが、周囲の人はフィルターなしで煙を吸い込みます。さらに悪いことに、たばこの煙は温度が下がるほど発がん性が高くなります。本人が吸い込む煙より、周りの人が吸う煙の方が危険、というわけです。家族をがんにしたくないのであれば、たばこを直ちにやめることをおすすめします。

 鳩山政権が検討しているたばこ税の引き上げを批判し、「喫煙権」を主張した国会議員がいました。しかし、たばこの煙が気体である以上、完全な分煙はありえません。ですから、発言が妥当とは思えません。

 お酒も発がんリスクを高めますが、液体ですから周りには迷惑をかけません。(僕のような)飲み過ぎはいけませんが、たばこを吸わない人の場合、お酒による発がんの危険性は、それほど高まりません。ただし、お酒で顔が赤くなる人は要注意です。アルコールからできるアセトアルデヒドを分解する酵素の働きが不十分なため、発がんの危険が高まります。1日1合くらいなら毎日飲んでも大丈夫。ただし、1合でやめることが至難の業ですね。(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)

 

2009.12.2 記事提供:毎日新聞社


民主党の本気度が試される、タバコ税による 、
将来の医療費対策と、日本の健康21への効果

たばこ価格千円に がん対策協が提言

がん患者や専門家らでつくる厚生労働省のがん対策推進協議会(垣添忠生会長)は2日、都内で開かれた会合で、がん対策として喫煙率を減少させるため、たばこ価格を一箱千円程度に引き上げるよう求める緊急提言を長妻昭厚労相に手渡した。

緊急提言では、価格引き上げに伴って増える税収入を、がんや生活習慣病などの予防対策に活用するよう合わせて求めた。

また、同協議会の患者関係委員有志らも同日、たばこ税の引き上げを要望した。

たばこ税をめぐっては、11日の税制改正大綱決定に向け、政府税制調査会で詰めの議論が行われている。

 

2009.12.2 記事提供:共同通信社


ゆるすぎる日本のタバコ規制、将来の医療費の削減や、
日本の健康被害の経済損失は大きい。

世界のたばこ事情 日本の価格は安過ぎる!?

018-13
拡大写真
やにで真っ黒になった肺などの写真が印刷された、タイのたばこのパッケージ(平沢裕子撮影)(写真:産経新聞)

■警告、広告規制も欧米に比べ緩やか  たばこ1箱300円は安すぎるのか−。たばこ税の増税について政府税制調査会などで論議されているが、11月27日には財務副大臣が「来夏の参院選で信を問うべきだと思う」と来年度からの増税見送りを示唆するなど、たばこ政策の行方が注目されている。嫌煙派は欧米各国から後れを取る日本のたばこ規制をやり玉に挙げ、「欧米並みの価格」を訴える。パッケージの警告表示の面でも日本は緩やかと指摘されることも少なくない。諸外国のたばこ事情を追った。(日出間和貴)

  [表で見る]たばこ1箱当たりの価格とたばこ税などの税率国際比較

 ◆日本“ワースト1”  一般的なたばこ1箱の価格と小売価格に占めるたばこ税などの税率を国際比較すると、日本の税率(63%)は先進国並み。しかし、1箱300円という価格はかなり安い。

 EU(欧州連合)のたばこ規制グループは5年前、加盟国を対象に「たばこ規制」を評価。(1)価格(2)禁煙場所(3)たばこ規制予算(4)広告規制(5)警告表示などをポイント化し、各国の規制状況を調査したところ、トップはアイスランド。英国、ノルウェーが続き、ルクセンブルクが最下位だった。

 国立保健医療科学院研究情報センターのグループが同じ尺度で日本のたばこ規制を当てはめたところ、最下位となった。価格のほか、警告表示、広告規制などで評価を下げていた。

 日本でも4年前、たばこのパッケージに喫煙の害を知らせる「肺がん」「心筋梗塞(こうそく)」などの文言が義務付けられたが、欧米に比べると依然、緩やかだ。月刊「禁煙ジャーナル」編集長の渡辺文学さんによると、諸外国の中には「喫煙は死に至る」とショッキングな警告文を記載するケースは多く、ブラジルのようにパッケージの片面にグロテスクな写真を載せ、たばこの恐怖を訴える国もある。

 ◆1箱700円?  一方、アジアのたばこ規制はまちまちだ。喫煙率が約60%と世界有数の喫煙大国・韓国では1箱250円前後。安価な価格が喫煙率を高めているという声もあり、日本と同様、増税をめぐる論議が活発だ。

 これに対し、タイやシンガポールでは政府主導でたばこ規制が欧米並みに進んでいる。タイではたばこを陳列する店はなく、購入する際はカウンターの中から店員が出す。国全体で、たばこを買いづらい、吸いづらい社会を作る試みだ。

 日本のたばこ政策はWHO(世界保健機関)から「たばこ規制が不十分で価格が低い」と批判された過去があり、常に外圧にさらされてきた。しかし、平成21年度のたばこ税収は約2・1兆円が見込まれ、財務省としてはたばこ離れが加速する大幅増税は避けたい。禁煙をすすめる医師の中にも「たばこだけがやり玉に挙げられる風潮」を疑問視する声もあり、たばこ税を「シンタックス」(罪の税)ととらえ、規制にひた走る諸外国のようなわけにはいかない事情もある。

 渡辺さんは「理想を言えば1箱1000円だが、禁煙を推進する議員連盟が先に決議した1本当たり20円の引き上げで『1箱700円』という案はいい線。値上げで税収が落ち込むという議論はやめ、国民の健康をどうするかを議論すべき」と話している。


2009.12.2 記事提供:産経新聞


中国のエコカー優遇策の方が合理的で進んでる?

【井元康一郎のビフォーアフター】中国の新たなエコカー振興策

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11月24日に開幕した広州モーターショーが大盛況ぶりを見せ、2009年の新車販売台数が国別で世界一となることが確実となるなど、自動車の一大市場という地位を手に入れつつある中国。その中国が、新たなエコカー振興策を打ち出す動きを見せている。

「上海市は2010年から日本円で40万円ほどかかるナンバープレート取得費用を、エコカーに関しては無料にするという方針を発表しましたが、他の自治体でも次々にその動きへの追随が始まっています。今後、中国でもエコカーが存在感を強めそうです」(日系自動車メーカー関係者)

中国のエコカー優遇政策は、日本のエコカー減税とはスタンスがかなり異なる。ナンバープレート無料化に先駆けて、自動車取得税の減税も行われているが、優遇対象となるのは燃料消費の絶対量が少ないクルマが中心。

中国共産党関係者は、自国の経済成長に伴う原油消費の急激な増大が自縄自縛を招くことに警戒感を持っている。そのため、エネルギーの使用量が絶対的に少ないクルマに恩恵を与えるという非常に明快な措置を取っているのである。

日本のエコカー減税の場合、車両重量と10・15モード燃費の相関で減税の度合いが判断される。燃費の良いコンパクトカーより大型車のほうが減税率が大きいという逆転現象は数知れず、場合によっては同じクルマでも、重くて燃費の悪い4WDは減税対象、2WDは対象外といったケースすらある。

国交省や環境省など、官庁が減税のシステムを考えると、どうしてもこのようにおかしなものになる。モータリゼーションでは欧米はおろか日本よりはるかに後発の中国のほうが、ずっと明快なシステムを構築しているというのは残念なところだ。政府はエコカーへの買い換え補助を2010年9月まで延長するという方針を示しているが、減税対象の中身については見直しが求められるところだ。

さて、冒頭のエコカーのナンバー取得費用の減免制度だが、日本メーカーにとっても商機と言える。対象となるのはハイブリッドカー、EV、メタノール車、天然ガス車、バイオディーゼル車などが想定されるが、中でも台数面での貢献度が高いとみられるのは、すでにエンドユーザー向け商品として成熟が進んでいるハイブリッドカーだ。

今日、ハイブリッドカーの世界シェアは圧倒的首位のトヨタ、そのトヨタに大きく差をつけられながら追うホンダで世界販売の大半を占めている。が、『プリウス』が日本市場で20万台もの初期受注が集まるほどの爆発的なブームを巻き起こしたのに対し、欧州市場ではドイツ、フランスなどの主要国でせいぜい月販数百台レベルで推移しているのが実情。

「それでも前年同月比では数倍に増えていますが、発売前に持っていた期待を思うと、空振りに近い」あるトヨタ関係者は、胸の内をこう明かす。欧州でのハイブリッドカービジネスがうまくいっていないのはホンダも同様。両モデルとも、結局日本市場が最大市場となっているのが現状だ。

中国市場での優遇策は、ハイブリッドカーをさらにグローバル商品に育てる好機だ。トヨタはすでにプリウスを中国で現地生産しており、増産にはすぐに対応できる。ホンダは『シビックハイブリッド』を生産しているが、工場での作りやすさを設計段階から考慮した新世代の『インサイト』の投入にはまだ時間がかかる見通し。

トヨタは中国市場では苦戦気味だが、今後、エコカー優遇政策を追い風にシェアを伸ばす可能性がある。反対に、コンパクトカーの販売が好調なホンダは、エコカー優遇策の恩恵に充分に浴せるよう、展開を早める必要がある。

また、この2社を追う形で日産、フォルクスワーゲン、ダイムラーなど、多くのメーカーがエコカーを中国市場に投入してくることが予想される。とりわけ、中国でトップシェアを持つフォルクスワーゲンは、市販車はまだリリースしていないものの、「ハイブリッドカーに必要な技術力は非常に高い」(日系メーカーの乗用車開発担当者)という。さらにハイブリッドカーと同様、すぐに投入可能なエコカー技術、クリーンディーゼルを有していることもあり、日本陣営にとって強敵となりそうだ。

このように、今後は自動車販売だけでなく、環境技術を巡るバトルについても中国市場は一大中心地となる可能性がある。巧みな環境行政によって、世界の最新のエコカー技術を自国に誘導し、ひいては技術の中国企業への移転をも視野に入れる中国政府。先進諸国、なかでも政局混乱と省庁の立案能力の低下で政治力が落ちに落ちている日本がこの流れに飲み込まれないためには、根本から国家戦略を練り直す必要があろう。

2009.11.27 記事提供:RESPONSE


予想より早い、温暖化と海面上昇

地球温暖化と海面上昇、予想超える速さ

 【オスロ24日ロイター時事】
気候研究の世界的権威であるドイツのポツダム気候変動影響研究所は24日、地球温暖化は予想よりも速く進行しており、最悪の場合は、2100年までに海面を最高2メートル押し上げる恐れがあると警告する報告を発表した。

 この報告は12月7〜18日にデンマークのコペンハーゲンで開催される国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)に向けて出された。

 同研究所のハンス・ヨアヒム・シェルンフーバー所長ら26人の専門家は「コペンハーゲン診断」と題されたこの報告で、2007年の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書の内容を更新し、気候変動が及ぼす最悪の影響を回避するため、2015年または20年までに世界温室効果ガス排出量の上昇を抑制するよう行動を起こすことを求めた。

 報告は「気候変動は予想以上に速く進行している」と警告、その要因として、夏季における北極海の氷量の減少、グリーンランドと南極の氷床溶解などを挙げた。

 報告は「氷床と氷河を考慮すると、世界の海面上昇は2100年までに1メートルを超える可能性があり、最高2メートルと考えられている」と指摘、海水面は2100年以降も上昇を続けるため、「次の数世紀では数メートルの海面上昇が当然予想される」と述べている。

 2007年のIPCC報告では、2100年までの海水面上昇は0.18−0.59メートルと概して考えられていたが、グリーンランドと南極での氷解が加速する可能性は考慮されていなかった。

 報告は、南米ブエノスアイレスから北米ニューヨークに至る沿岸諸都市、太平洋のツバルなどの島嶼(とうしょ)国家、バングラデシュや中国沿岸部も海面上昇に極めて脆弱だと指摘している。(了)

 

2009.11.25 記事提供:共同通信社


インフルワクチン後の死亡

ワクチン接種後に新型発症、鹿児島の看護師死亡

 鹿児島県は25日、新型インフルエンザワクチンの接種を受けていた30歳代の看護師の女性が、同日未明、新型インフルエンザで死亡したと発表した。ワクチンの効果は接種後2週間程度で表れるとされるが、女性が発症したのは接種から約4週間後だった。厚生労働省によると、ワクチン接種後に新型インフルエンザで死亡したケースは初めて。

 同県健康増進課によると、死亡したのは同県の大隅半島に住む女性で、10月下旬に医療従事者向け優先接種を受けた。今月21日、40度近い熱が出るなどして医療機関を受診したが、翌22日には、症状が悪化して入院し、心肺停止状態に陥った。24日の遺伝子検査で、新型インフルエンザ感染が確認され、25日午前4時頃、インフルエンザ脳症で死亡した。

 女性には脳動脈瘤(りゅう)と甲状腺機能低下症の基礎疾患があったが、同課は「基礎疾患の影響は分からない」としている。また、女性は発症まで医療機関で勤務していたが、職場の同僚や家族に発症者はおらず、感染経路は不明。

 厚労省によると、25日午後5時時点で、新型ワクチン接種後の死亡例が約30件確認されているが、いずれも死因は新型インフルエンザではないという。

 新型ワクチンは皮下注射して血中にウイルスを攻撃する抗体をつくるもので、ウイルスの体内侵入を防ぐ効果よりも、発症や重症化の防止が期待される。脳症への効果は不明。接種から1、2週間で免疫力が高まり、5か月程度は効果があるとされる。独立行政法人・国立病院機構の臨床試験では、新型ワクチンを接種した98人中72人(約73%)で、順調に抗体の量が増えたという。

2009.11.26 記事提供:読売新聞社

ワクチン接種後に1人死亡 カナダ、重い副作用24例 日本も輸入予定

 ニューヨーク共同=坂本泰幸】カナダ保健当局者は25日、英グラクソ・スミスクライン(GSK)社製の新型インフルエンザワクチンを接種後、アレルギー症状の一種で呼吸困難や血圧低下に陥る副作用のアナフィラキシーが出たケースが24例あり、うち1人が死亡したと明らかにした。

 報道によると、死亡したのはケベック州に住む80代の男性。当局者は、この男性には基礎疾患(持病)があったとして、現時点ではワクチン接種と死亡との因果関係は不明だと述べた。

 日本もGSK製ワクチンの輸入を予定しており、長妻昭厚生労働相は26日、厚労省の調査団が29日にカナダに向け出発すると述べた。既に職員1人が現地入りし、関係機関と事前の調整を進めているという。

 GSKの新型ワクチンについては、カナダのマニトバ州でワクチン接種を受けた患者に、通常より高い割合でアナフィラキシーの症例が出たため、複数の州で製造時期が同じ17万本が使用中止になり、回収されている。ただ、このワクチンはケベック州には出荷されていないとの一部報道もあり、GSKや保健当局が調査を進めている。

 25日にオタワで開いた記者会見で、カナダ保健当局のバトラージョーンズ医師は、GSKの新型ワクチンを接種後にアナフィラキシーが出た率は、カナダ全体では10万人当たり0・32人だったが、先週回収された17万本については同4人だったと説明した。通常は同1人程度とされている。

 厚労省はワクチンは一部の製品だけの問題か、GSK製全体の問題かについても情報収集を進めている。

 GSKはこれまでにカナダ全体で750万本の新型ワクチンを出荷。保健当局によると、カナダで流通している新型ワクチンはGSK製だけ。

2009.11.26 記事提供:共同通信社


格差社会のストレスは、高所得層にも死亡率を増やす

格差社会高まるストレス、高所得層も死亡率増

 社会の所得格差が大きくなると、貧困層だけでなく中間層や高所得層でも死亡する危険性が高まることが、山梨大の近藤尚己助教らの大規模なデータ分析で分かった。

 社会のきずなが薄れ、ストレスが高まるのが原因らしい。英医師会誌に発表した。

 社会の格差が寿命などに悪影響を与える「健康格差」の報告が最近相次いでいる。慢性的なストレスが自律神経やホルモンの働きを乱して、免疫機能を下げたり、血圧や血糖値を上げたりするのが原因と考えられている。

 近藤助教らは、日米欧などで研究された論文約2800本を調査。その中で信頼性が高いと判断した28本の計約6000万人のデータを解析し、格差が健康に与える影響を検証した。

 その結果、格差の指標となるジニ係数が「格差が広く意識され始める」目安とされる0・3を超えると、0・05上がるごとに、一人一人が死亡する危険性が9%ずつ増えていた。影響はどの所得層や年齢層でも、男女ともに表れた。

 こうした傾向は長期間調査するほど顕著で、1990年以降に格差の影響が目立ち始めたことも分かった。経済協力開発機構(OECD)加盟の先進30か国で、2000年のジニ係数が0・3以上なのは、日本や米国など15か国。貧困の影響ではなく、格差の大きさ自体の影響で死亡する人は、日本(ジニ係数0・314)が年間2万3000人、米国(同0・357)が同88万人で、15か国では同150万人になると、近藤助教らは推計した。

 日本福祉大の近藤克則教授(社会福祉学)は「格差が健康に与える影響については議論もあったが、包括的に検証している。健康を個人レベルだけでなく、社会全体で考える必要性を実証した」と話している。

2009.11.21 記事提供:読売新聞社


H1N1ワクチン後の死亡は関連は?

接種後の死亡、新たに4人 専門家「明確な関連なし」(1)

 厚生労働省は18日、新型インフルエンザの国産ワクチン接種後の死亡が新たに4人報告されたと発表した。接種後の死亡報告は計8人となった。

 同省はこのうちの7人について「いずれも重い基礎疾患(持病)のある患者で、持病の悪化などによる死亡の可能性が高く、接種との明確な関連はない」とする専門家の評価結果を公表した。残る1人については評価を続けているという。

 新たに報告されたのは富山県の80代男性、栃木県の60代男性、静岡県の70代女性、滋賀県の80代男性の4人。富山県の男性は、寝たきりで肺炎を繰り返していた。ほかの3人もがんなどの持病があったという。

 厚労省によると、評価は呼吸器や高齢者医療などの専門家が行った。専門家からは、重い持病のある患者はインフルエンザにかかると重症化や死亡の危険が高いとして、現状ではこうした人たちへの接種を中止するべきではないとの意見も出たという。

2009.11.19 記事提供:共同通信社

「接種と明確な関連なし」 新型ワクチン、死亡の7人(2)

 厚生労働省は18日、これまでに新型インフルエンザの国産ワクチン接種後に死亡したと報告された8人のうち7人について「いずれも重い基礎疾患(持病)のある患者で、持病の悪化などによる死亡の可能性が高く、接種との明確な関連はない」とする専門家の評価結果を明らかにした。

 呼吸器や高齢者医療などの専門家に意見を聞いた。残る1人については評価中という。

 厚労省によると、8人は60〜80代の男女で、いずれも肺気腫やがんなどの持病があり、接種当日から12日後にかけて亡くなった。専門家からは、重い持病のある患者はインフルエンザにかかると重症化や死亡の危険が高いとして、現状ではこうした人たちへの接種を中止するべきではないとの意見も出たという。

2009.11.19 記事提供:共同通信社


ひと箱1000以上でいいのでは、1200円が妥当

首相、たばこ増税検討 「健康の観点から判断」

鳩山由紀夫首相は10日午後の参院予算委員会で、政府内で浮上しているたばこ税の大幅引き上げについて「一気に税収を上げたいなどという発想ではなく、健康のためにいかにあるべきかという判断をすべきだ」と表明、健康増進の観点から増税を検討する考えを強調した。

 首相は「1円上げれば2500億円程度(税収が増える)との試算がある」と指摘する一方で、「葉タバコ農家への影響も考える必要がある」とも述べ、生産農家に一定の配慮をする意向も示した。首相は先月、政府税制調査会に対し、たばこ税の見直しを論議するよう指示している。

 たばこ税引き上げが民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)に明記されていないとの指摘に対しては「書かれていないから、やってはならないとは考えていない。国にとって良かれと思う政策は迅速に実現するのが国家、政府の役割だ」と反論した。

 

2009.11.11 記事提供:共同通信社


一般論で議論されても、専門家たちの意見は反映されない?

中医協、刷新会議に異論 長妻氏は報酬見直し賛成

行政刷新会議が診療報酬の配分見直しを求めたことをめぐり、13日の中央社会保険医療協議会(中医協、厚生労働相の諮問機関)で「あまりに乱暴」などと異論が相次ぎ、長妻昭厚労相は同日の記者会見で「大胆に見直す」と強調した。

 来年度の診療報酬改定を議論する中医協委員と、長妻厚労相の考え方の食い違いが浮かび上がった。

 中医協の診療側委員の嘉山孝正山形大医学部長は「刷新会議の事業仕分けはかなり乱暴だ。国が一度決めたらひっくり返すのは難しいので早急に意見を出すべきだ」と主張した。ほかの委員も「われわれは法令に基づいた審議会で議論しているが、仕分け人はどういう法律の裏付けでやっているのか」「事業仕分けの作業グループには医療の専門家がいない」などと指摘した。

 一方、長妻厚労相は記者会見で「診療科間の報酬差、勤務医と開業医の間の格差などの課題がある。できる限り全体としての上昇幅を抑えながら、引き下げ部分をどう(他の分野に)配分するか。大胆に見直すべきだ」と述べた。

 刷新会議の作業グループは11日の事業仕分けで診療報酬をめぐり、開業医と勤務医の収入格差の是正や、整形外科や眼科など収入の高い診療科の報酬引き下げなどを求めた。

2009.11.13 記事提供:共同通信社


仕分け人の一般論で、医療崩壊が加速するのでは?

医療界から「事業仕分け」を問題視する声が続出◆Vol.9

山形大・嘉山氏「中医協として意見を出すべき」、日医、保団連も疑義呈す

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 行政刷新会議のワーキングチームによる「事業仕分け」が11月11日から開始されたが、医療関連でも2010年度予算要求削減や計上見送りなど、医療界にとって厳しい内容になり(『医療主要6分野、「予算削減」「要求見送り」「見直し」へ』参照)、早くも問題視する声が上がっている。

 中でも疑問が呈されているのが、「診療報酬の配分」。勤務医と開業医、あるいは診療科間の給与格差を平準化すべきなどというのが、ワーキングチームの結論。

 11月13日に開催された中医協でも、山形大学医学部長の嘉山孝正氏は、「国立大学医学部長会議は慎重に議論をすることを求める声明を出すことを予定している。いったん決まってしまうと、容易には変更できない。中医協でも同様の声明を出すべきではないか」と問題提起。

 京都府医師会副会長の安達秀樹氏も、「事業仕分け」で使用された勤務医・開業医の収入や診療科別の点数などのデータの不備を問題視、その上で「民主党のマニフェストを見ると、医療崩壊の認識があることが分かる。事業仕分けの内容は短絡的で、この政権公約と乖離していないか」と続いた。

 さらに、茨城県医師会理事の鈴木邦彦氏も、「事業仕分けの議論を見ていると、非常に感情的。中医協は専門家が集まり、時間を費やして議論を重ねている。一方、事業仕分けの議論には、医療関係者はいないようであり、こうした方々が決めたものに中医協の議論が左右されるのはおかしいのではないか」と指摘した。

 しかし、現在行われている「事業仕分け」はあくまでワーキングチームでの議論であり、「結論」は行政刷新会議自体がまとめる。それを基に12月に2010年度予算編成が進められるというスケジュールになる。こうした点を踏まえ、支払側は中医協として意見を出すことに対して慎重姿勢を示した。

 嘉山氏は、「(中医協として意見を出すことに)反対意見を言った方は責任を取ってほしい。日本の制度で一番問題なのは責任を取ってこなかったことにある。不作為の罪はしたくない。慎重な議論を求めるための意見くらいは出してもいいのではないか。それすら言えない中医協にはどんな意義があるのか」と反論したが、結局は中医協として意見を出すことは見送られた。

日医、保団連もデータや議論の不備を指摘

 日本医師会でも常任理事の中川俊男氏が11月11日の定例記者会見で、「診療報酬改定や医療現場の実態をよく把握せずに議論が進んでいるのではないか。冷静に、十分な情報を得て議論をすべき。各項目について1時間程度で結論を出すのは拙速になる懸念もある」と指摘。その上で、「診療報酬、イコール医師の収入という固定観念がある。診療報酬は医療機関の経営原資のすべて。単純に勤務医と診療所の院長を比べるのは無理があることを説明していく」としている。

 また、全国保険医団体連合会も11月12日、「財務省内で行っていた予算削減作業と規制改革会議の作業を合体させて、一気呵成に事業と予算の削減を行う仕組み」であるとし、データの分析の仕方にも問題があると指摘、その上で「医療現場の実態を十分に把握し、病院、医科・診療所とも診療報酬の大幅な引き上げを」という声明を公表している。

「私は査定側として出席したのではない」と足立審議官

 この「事業仕分け」に疑義を呈しているのは、医療界だけではない。

 11日の「診療報酬の配分」の事業仕分けの際、コーディネーター役の熊谷哲・京都府議会議員は、足立信也・厚生労働大臣政務官を「予算の査定側」として紹介したのに対し、足立政務官は、「私は査定側として出席したのではない。質疑・議論をする立場で出席した。そもそも厚労省の説明時間は5分だが、財務省の説明時間はその倍」と反論。「診療報酬の問題は、通常の事業仕分けとは性質が違う」(足立政務官)。

 「事業仕分け」は、行政が実施する事業の要否や実施主体を判断するものであり、診療報酬体系という制度の妥当性の判断に適した手法とは言いがたい。

 また、そもそも、「事業仕分け」の対象になったのは、厚労省関係では約50項目で、その遡上に上げるか否かを検討する準備段階は公開されていない。その作業が第一の「事業仕分け」とも言える。ワーキングチームの「民間有識者」の選択基準も明らかになっていないなど、必ずしも全過程について透明性・公平性が担保されているとは言えない。

 さらにワーキングチームのメンバーは、医療機関関係者にヒアリングするなど事前の準備はしているが、公開の場での議論は1時間。厚労省の説明時間は短いため、用いられる資料・データ類に議論が左右されるが、例えば「診療報酬の配分」についての資料は、6ページにすぎず、十分とは言いがたい(PDF1の46ページからPDF2の49ページまで)。

 今回の「事業仕分け」は、公開の場で事業の必要性が議論され、インターネットで同時中継されるという意味で画期的。厚労省以外にも、各省庁で「予算計上の見送り」「基金の廃止」などという結果が相次いでおり、「天下り」団体や関係団体などとのしがらみを断ち切って議論でき、継続性を重んじる省庁の予算編成をいったん白紙にする機会につながっている。その意義は大きい。

 しかし、功罪があることは事実で、ワーキングチームの「結論」を受け取る行政刷新会議、さらに政府は、「結論」だけを見るのではなく、ワーキングチームの議論の内容なども吟味して、冷静に検討すべきだろう。

橋本佳子(m3.com編集長)、村山みのり(m3.com編集部)

2009.11.13 記事提供:3m.com


新型ワクチン一回接種で

妊婦も含め「1回」で一致 2回接種で効果上乗せなし 新型ワクチンで専門家

 新型インフルエンザワクチンの接種回数について議論する、専門家らによる厚生労働省の意見交換会が11日開かれ、国産ワクチンを2回接種しても、1回だけの場合に比べ効果の上乗せはなかったとの臨床研究結果が報告された。

 現時点では優先接種対象者の接種回数は、医療従事者を除き2回が前提だが、今回の結果を受けて専門家らは、「基礎疾患(持病)のある成人」「乳児の保護者」「65歳以上の高齢者」、さらに「妊婦」についても「1回で問題ない」との見解で一致した。

 会議に途中まで出席した足立信也政務官は「可能な限り速やかに行政判断したい」と述べた。

 1回接種が決まれば、ワクチンを節約して、全体的に接種時期を前倒しできる可能性がある。

 臨床研究は、9月中旬から国内4カ所の医療施設で、健康成人200人を対象に実施された。報告によると、2回接種後に採血して免疫の指標となる抗体価を測定したところ、1回接種後に比べて十分な免疫が期待できる抗体を持った人の割合がわずかに減るなど、2回接種しても1回の場合と効果に差がなかった。

 先に公表された同研究の中間報告では、通常量の0・5ミリリットルを接種した場合、1回で78・1%の人が免疫を期待できる抗体を持つなど、国際的な評価基準を満たす結果が得られていた。

 意見交換会では、専門家からは「1回の接種で既に抗体が上昇し、2回目で上がる余地がなかったと考えられる」などの見方が示された。

 意見交換会には、ワクチンや感染症の専門家、患者団体の代表らが参加した。

2009.11.11 記事提供:共同通信社 


免疫抑制を薬でなく、T細胞コントロールで達成!!すごい!

薬に頼らず拒絶反応抑制 腎臓移植患者で効果

 免疫抑制剤に頼らずに臓器移植後の拒絶反応を抑える方法を、腎臓移植を受けた患者に応用し、徐々に成果が出ていることを、この方法の開発者の一人、順天堂大の奥村康(おくむら・こう)教授(免疫学)が9日、明らかにした。

 東京女子医大病院で昨年8月から20〜50代の男女9人に適用。肺塞栓(そくせん)症を起こした1人が離脱したが、免疫抑制剤の使用量は徐々に減って移植直後の4分の1程度になった人や、近くやめることができそうな人もいるという。

 奥村教授によると、臓器の提供者と移植を受ける患者の双方から、免疫にかかわる血液中のリンパ球の一種「T細胞」を採取し、特殊な抗体と一緒に培養。提供者側を"異物"として攻撃しないよう教え込み、移植後の患者の体内に戻す。体の免疫力全体は落とさずに、移植した臓器だけに免疫を働かせなくする方法で、免疫抑制剤使用に伴う感染症の危険も低減できるという。

 肝臓や心臓、肺などにも適用可能とみられる。奥村教授は「この方法が本格的に広がればコストは下がり、標準的な手順も確立されていくだろう」と期待している。

 奥村教授らはサルの実験で方法を確立。東京女子医大の寺岡慧(てらおか・さとし)教授(腎臓外科学)が倫理委員会の承認を得て実施した。

2009.11.10 記事提供:共同通信社