ぴりっとした辛みのある生タマネギは食欲を促し、これに含まれる含硫化合物は、ビタミンB1の多い豚肉やレバーなどのたんぱく質食品ととるとビタミンB1の吸収をアップする。一方、たんぱく質は血や肉になり、スタミナ作りに役立つ。さらに近年血液をサラサラにし、心筋梗塞や脳梗塞を予防する可能性が出てきた。

ところで、この働きを得るにはオニオンスライスがもっとも効果的。タマネギそのものは無臭だが、切ったり、すりおろしたりすると、催涙性の辛みの強い刺激臭が生ずる。これはタマネギの細胞の中に含まれている硫黄を含むアミノ酸が同じ組織の中に含まれる酵素によって生成される含硫化合物である。

オニオンスライスはタマネギを薄く半月形に切り、これに鰹節としょうゆをかけて食べるのがポピュラー。またポークソテーなどと一緒に食べると、あぶらっこさをとり、さっぱりととれる。しかし、ここで注意したいのはオニオンスライスを水にさらさないことだ。辛みが強いからと、さらす人が多いが、こうすると含硫化合物が水に流され、サラサラ効果が得られなくなってしまう。

それと、タマネギは炒めるなど、加熱するとこの効果はでてこない。酵素が熱に弱いため壊れてしまうからだ。加熱してもサラサラ効果を期待する場合は、切ったタマネギを15分以上放置しておけば酵素がしっかり働いて、血液サラサラ物質を作ることができる。より効果を高めるためには、タマネギをできるだけ薄く細かく切り、中1/4個(50グラム)以上をとるのが望ましい。

(新宿医院院長 新居 裕久)
2005.9.3 日経新聞