ニラは中国では起陽草といわれ、スタミナのつく緑黄色野菜とされているが、ニラだけを食べてもスタミナ効果は得られない。NHKテレビの「ためしてガッテン」(今年7月放映)によると、1群にはニラとおにぎりを、もう1群にはモヤシとおにぎりを食べてもらい、3時間自転車をこいでもらった結果、ニラ群は、モヤシ群に比べてとくにスタミナ効果は得られなかった。

しかしニラとビタミンB1の粉末を一緒にとったところ、疲労回復の度合いが大きく伸びた。それはビタミンB1は炭水化物(おにぎりなど)を代謝するのに必要なもので、これが不足すると疲労や夏バテが起こりやすいからだ。

さらにニラに含まれている含硫化合物アリシンはビタミンB1とくっついてアリチアミンになり、ビタミンB1の吸収率を高め、さらに体内に長く停留するので、スタミナが出ると考えられている。こういうと、ニラと一緒にビタミンB1の粉末でもとったらと思うだろうが、これでは食べる楽しみは得られないし栄養のバランスがとれない。

そこでニラ入りギョーザがお勧め。これだけでたんぱく質、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラル、食物繊維が取れる。作り方はビタミンB1が豊富な豚ひき肉と同量のみじん切りにしたニラを用意し、すりおろしたショウガ、塩、こしょう、しょうゆ、ごま油を加え、よく混ぜ合わせ、ギョーザの皮で包み、焼いたり、ゆでたりし、ラー油を加えた酢じょうゆで食べるとさっぱりとおいしくたくさんとれ、疲労回復、夏バテ防止になる。

(新宿医院院長 新居 裕久)
2005.8.27 日経新聞