甘い物のとり過ぎ、肝臓に注意



 近年日本では肝機能異常を示す人が増加している。その理由は食生活の欧米化と運動不足による肥満の増加が関係しているようだ。
日本人間ドック学会によると、肝機能異常者の頻度は、1984年では10%くらいであったのに対し、近年は26%以上に上昇している。その原因のひとつは、脂肪肝の増加にあると考えられる。

  ところで今まで脂肪肝というと アルコールが原因して起こることが多いとされてきたが、それ以外にアルコールと関係ない非アルコール性の脂肪肝がクローズアップされてきた。アルコール性の脂肪肝はほうっておくと肝炎を起こし、肝繊維症、続いて肝硬変症、そして肝がんになるとされてきた。非アルコール性の脂肪肝でも、その10%位が同じような経緯をたどることが分かってきた。

 この肝炎を非アルコール性脂肪性肝炎(NASH=ナッシュ)と呼んでいる。NASHの特徴は、肥満を主な原因として中年以降の女性に多く、合併症として、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、高血圧が高頻度に認められる。自覚症状はないものが多いが血液を調べるとGOT、GPTの上昇が見られる。原因としては、脂肪とくに動物性脂肪や甘いものなどの炭水化物の過剰摂取と摂取エネルギーの増加によるという。

 そこで対策としては、低エネルギーの野菜と肝内脂肪を血中に排出する働きを持つ、たんぱく質を十分にとり、一方脂肪と炭水化物の大食を控え、同時にウォーキングなどの運動を行って減量に努めること。そうしないと肝硬変や肝がんなどの病気に見舞われる恐れがある。
(新宿医院院長  新居 裕久)

2007.12.22記事提供:日経新聞