がん予防

高インスリン改善
食後血糖をあげない食事と付属の運動


 日本人の死因のトップはがんで死亡率は人口10万人あたり254人。第2位の心臓病(127人)、第3位の脳卒中(102人)より格段に多い(2004年)。

 がんで命を落とさないためには早期発見・治療が重要だ。日本人間ドック学会の人間ドックの現況(06年)によると、がんの発見率は男性では胃がんが最も多く受診者の0.09%。大腸がん、前立腺がん、肺がんと続く。
女性では乳がんが最も多く受診者の0.09%で、続いて胃がん、大腸がん、子宮がんの順番だ。
近年、男性では大腸がんと前立腺がん、女性では乳がんと大腸がんの症例が多く発見されている。

 人間ドックで見つかるがんの多くが自覚症状のない早期がん。内視鏡切除で完治する症例も年々増えており、二次予防の効果を発揮している。

 健康日本21ではがん検診の受診者増も目標の一つだが、受診する人はまだ少ない。

 がんにならないためには、禁煙、適度な飲酒、バランスの取れた食事、定期的な身体活動・運動の継続(毎日約一時間の歩行などの運動と、週一回の活発な運動)、適正体重の維持を心がけたい。

  身体活動量の増加によるがん予防効果が注目されている。特に、大腸がん、閉経後乳がん、食道がん、子宮体がんの予防効果があるという。

  歩行や運動、日常生活での身体活動が減るとインスリン抵抗性になり、過剰に分泌されたインスリンが細胞の異常増殖を促進させる。身体活動量が増加すると筋肉の代謝能力が改善しインスリン分泌が正常になる免疫機能も増強され、腸内通過時間の短縮なども加わり発がんを防ぐ。

 厚生労働省研究班の調査では、体内でインスリンを生成する過程で産生されるCペプタイド(Cペプタイドが多いとインスリンも多い)の値を測定し、男性ではこの数値が高いほど大腸がんのリスクが上昇し、最大3.2倍だった。

 大腸がん、乳がん予防のため、ライフスタイルウォーキングを習慣化し、週約1時間の 速歩や活発な運動を加え、高インスリンを改善しよう。
(日本ウォーキング協会副会長  泉 嗣彦)

2007.12.16記事提供:日経新聞