肥満細胞の脂肪を分解?
新しいダイエット薬誕生かな?

脂肪を溶かすタンパク質
肥満治療薬の有力候補か

 細胞内で脂肪のもととなる物質ができるのを妨げたり、脂肪を溶かして減らしたりする作用があるタンパク質を見つけたと、宮崎徹(みやざき・とおる)東京大教授(疾患生命科学)らが8日付米医学誌セルメタボリズムに発表した。

  宮崎教授は「肥満治療の新薬開発につながる可能性がある」と話している。

  脂肪細胞には脂肪の貯蔵庫となる「脂肪滴(しぼうてき)」があり、滴(しずく)の数が増えたり脂肪を蓄えて大きくなると肥満になる。

  宮崎教授らは、免疫細胞の一種が分泌する「AIM」というタンパク質が体重の増減に関与することに着目。

  脂肪のもととなる「脂肪酸」を糖から合成する酵素の働きを、AIMが抑制していることを突き止めた。AIMは脂肪細胞の前段階の前駆細胞が成熟するのを抑制、細胞外から脂肪酸を取り込めないように働いていた。

  培養した脂肪細胞にAIMを加えると、脂肪滴が溶けて3日後には大きさが約4分の1になった。脂肪酸の不足を補うよう滴の脂肪が分解されるらしい。

  AIMを分泌しないよう遺伝子操作したマウスは、通常のマウスより体重増加が多かった。

  太り始めると血液中のAIM濃度が高まることも判明、AIMは太りすぎを抑える役割を果たし、その能力を超える脂肪蓄積が進むと肥満になるらしい。

  宮崎教授は「AIMはもともと人間が持つタンパク質なので副作用もない。肥満になってから投与しても効果がある」と話している。


2010.6.9 記事提供:共同通信社