統合失調症の発症示す血中物質
予防など期待

 統合失調症の患者の約4割で、血液中の「ペントシジン」という物質の濃度が高くなっていることを、東京都精神医学総合研究所と東北大学の研究チームが突き止めた。

  この病気は原因不明で、発症を示す物質の発見は世界初。関連するビタミンの低下も患者の約2割で確かめており、血液検査による診断や発症予防、早期の治療開始が可能になりそうだ。8日、米国精神医学専門誌に発表する。

  統合失調症は、幻覚や妄想が生じて思考が混乱したり、感情が不安定になったりする病気。国内には100万人弱の患者がいて、10-30歳ごろに発症する。発症は症状が出るまでわからない。原因は脳内の神経伝達物質ドーパミンの過剰放出とする説もあるが、ドーパミンを抑える抗精神病薬が効かない患者もいる。

  同研究所の糸川昌成・参事研究員らは、統合失調症の患者45人の血液を解析。うち21人でアミノ酸の仲間であるペントシジンの血中濃度が、健康な人より平均1・7倍高く、高い患者ほど抗精神病薬が効きにくいことを発見した。

  このうち11人は、ペントシジンなどを体外に排出するビタミンB6化合物の血中濃度が5分の1に下がっていた。ビタミンB6化合物は現在、米国で糖尿病合併症の治療薬として臨床試験中で、糸川さんは「統合失調症の新薬としても期待できる」と話している。


2010.6.8 記事提供:読売新聞