膵臓細胞も再生する!!

膵臓に自己再生力 糖尿病に期待、名大

 再生しない臓器と考えられてきた膵臓(すいぞう)に自己再生力があることを名古屋大の洪繁(こう・しげる)助教らの研究チームが解明し、31日までに発表した。近く米医学誌に掲載される。洪氏は「さらに詳細なメカニズムを明らかにすれば、膵臓の機能障害による糖尿病治療などに役立つだろう」としている。

  自己免疫システムの関与が疑われ、中高年男性に多い「自己免疫性膵炎」の患者の組織検査で判明した。この膵炎はステロイド治療が一般的だが、詳細な病態や改善のメカニズムは不明だった。

  洪氏らは、この膵炎患者は消化酵素を分泌する腺房細胞がほぼすべて失われていることを突き止めた。その上で、ステロイド投与後の組織を調べると、消化酵素の分泌量が投与前に比べ3カ月後で約3倍、1年後で約5倍に増えているのを確認。消失した腺房細胞が一部で再生しており、成人の膵臓にも再生力があると結論付けた。

  特殊なマーカーで再生した腺房細胞群の中心付近を調べ、膵臓のもととなる幹細胞の存在を確かめたという。

2010.4.1 記事提供:共同通信社