足を固定するウォーキングシューズやクロッグは
関節炎の膝に負担をかける可能性があることが研究で示される

Salynn Boyles

関節炎の膝には、足を保護し、衝撃を和らげるようデザインされた衝撃吸収材入りの運動靴やクロッグが良くない可能性がある。

研究者らが様々なタイプのフットウェアが膝関節の変形性関節炎の人に与える影響を検討したところ、裸足でいる方が足を固定するウォーキングシューズやクロッグよりも膝関節にかかる負担が小さいことがわかった。

通常の歩行時には、かかとのないサンダルや柔らかいウォーキングシューズも膝にかかる負担を最小限にするために好ましい選択肢であった。

研究者らは、膝関節にかかる衝撃の標準的な計測値(膝荷重として知られる)を評価することによってこの問題を検討した。

「膝加重は、膝関節の変形性関節炎の進行に重要な役割を果たしている」と研究者であるRush Medical CollegeのNajia Shakoor, MDはニュースリリースにおいて述
べる。「従来、靴は足を快適にすることを目的として開発されており、靴が膝関節の変形性関節炎の負荷に及ぼす影響についてはこれまであまり注目されていなかった」

膝関節にかかる衝撃を最小限にするには、フラットで柔らかい靴がベストであったとShakoor博士は指摘する。

この知見は、『American College of Rheumatology』の年次総会(ボストン)で発表された。

靴が変形性関節炎に与える影響

Arthritis Foundationによれば、米国における変形性関節症患者は2100万人であるという。変形性関節炎は、長い期間をかけて関節の衝撃吸収材である軟骨が破壊される慢性疾患である。

変形性関節炎(osteoarthritis)は変形性関節症(degenerative joint disease)とも呼ばれ、成人における身体障害の筆頭原因である。肥満、加齢、関節の酷使が本疾患のリスクファクターである。

同様のデザインを用いた2006年の試験では、Shakoor博士らは裸足でいる方が日常的にウォーキングシューズを履くよりも膝関節にかかる負担が小さいことを報告した。

Shakoor博士らの最新の試験では、膝関節の変形性関節炎の女性13例および男性3例(平均年齢56歳)において、裸足、一般的なブランドのクロッグ着用、足を固定するウォーキングシューズ着用、フラットで柔らかいウォーキングシューズ着用、かかとのないサンダル着用時の膝荷重が測定された。

クロッグおよび足を固定するウォーキングシューズは、裸足での歩行と比較して膝荷重が有意に高かった。

「今回の結果は、膝荷重および膝関節の変形性関節炎の観点で、現代靴のデザインを再考することの重要性を強調している」と研究者らは記述している。

さらなる試験が必要

リウマチ専門医であるDennis Boulware, MDは、異常のある足には良い靴が、異常のある関節には良くない可能性があるという知見に驚いたと述べる。

「この知見のため、私は患者にあるタイプのフットウェアについてアドバイスすることに少し懸念を抱いている」とBoulware博士は述べる。「足の問題のための(足を固定する)靴を誰かに勧める際に、私がもっと注意を払うようになることは確かだ」

Boulware博士はKaiser Permanente(ホノルル)のリウマチ科長であり、この知見を確認するため、さらに大規模な試験が必要であると付言している。

「本試験は小規模であるため、私はやや懐疑的である」とBoulware博士は述べる。「しかし、われわれはこのことについてより詳細に知る必要があることは明白だ」



2007.11.8 Medscape