手足のしびれやむくみを感じたり、体毛が濃くなったりしたら「POEMS(ポエムズ)症候群」の疑いがある。患者は腹水や胸水がたまるようになり、心不全や腎不全などを併発。3年程度で死亡することが多いという難病だ。別名「クロウ・深瀬症候群」とも呼ばれ、日本国内に320人程度の患者がいると考えられている。

この病気はまず、骨などにある免疫細胞「形質細胞」に腫瘍(しゅよう)ができる。がんの一種である多発性骨髄腫と似ているが、腫瘍自体は良性だ。ただ、腫瘍が血管内皮増殖因子(VEGF)というたんぱく質を分泌して余分な血管ができたり血液成分が血管外に放出されたりするため、様々な症状が起きる。

一部の医療機関で「抹消(まっしょう)血幹細胞移植」が試みられ、効果を上げている。化学療法で骨髄中の細胞を全滅させてから、患者自身の血液から事前に採取しておいた造血幹細胞を移植する手法だ。

2003年から実施している千葉大学の桑原聡・助教授は「患者から採取した幹細胞に異常がなければ、病気を根治できることもある」と説明する。




〈POEMS症候群の主な症状〉

▼手足がしびれて感覚が鈍くなる
▼手足がむくんでくる
▼皮膚の色素が沈着して黒っぽくなる
▼体毛が濃くなる
▼腹水や胸水がたまってくる



2006.8.27 日本経済新聞