腰痛と並び肩こりや肩の痛みに悩む人が多い。筋肉疲労のためマッサージなどで解消するケースも多いが、病気の一症状として表れることもあるので気をつけたい。

東京女子医科大学の伊藤達雄教授によると、最も怖いのが悪性腫瘍(しゅよう)。いわゆるがんだ。肺がんなどが首の骨やリンパ節に移転していると、肩の痛みを感じることがある。

一方、がんのように命取りになる心配はないが、40歳を過ぎたころから注意しなければならないのが50肩だ。

これは肩関節周囲炎と呼ぶ病気で、@手を背中に回すA外へ広げるB前へ伸ばす――などの動作をするとひどく痛むのが特徴。放っておくと関節部の癒着が進み、肩がどんどん硬くなる。肩を動かせる範囲が狭くなり、最後には手が全く上がらなくなることもある。

伊藤教授は「50肩は、肩が硬くなる前に薬物投与で炎症を抑え、関節の機能を戻す運動をすれば早期に回復する」と説明する。寝る前や起きた時に、あおむけの状態で両手を前で組み頭の方まで持っていく運動を10回繰り返せば予防効果がある。

肩こり・肩の痛みに潜む主な病気と症状

▽症状
@日増しの肩の痛みがひどくなる
A肩のこり・痛みと同時に腕がしびれて動きが鈍い
BAに加え、足のしびれ、もつれて歩きにくい
C肩が硬く、手を上に伸ばしたり後ろに回したりできない
▽考えられる病気
@なら悪性腫瘍
Aなら変形性けいつい症など首の病気
Bなら脊髄(せきずい)障害
Cなら肩関節周囲炎(50肩)
2004.9.19 日本経済新聞