歯石除去決め手
すき間は糸状の掃除具で

30代の8割が患っているといわれる歯周病。最悪の場合は歯が抜け、食事や会話などにも支障をきたす。かかり初めなら、自宅できちんと歯磨きすれば完治するだけに、早めのケアが肝心だ。症状が進んでいても、ケアすれば悪化を防げる。正しい歯の手入れ法をおらいしよう。

歯周病になるとどのような症状が出るのか。まず、図を見てチェックしよう。@−Bに覚えがある人は歯周病の初期段階といえる。C−Eになると中期段階。自分で歯磨きするだけでは治りにくく、心配だ。F−Gは日常生活に不便が生じるほど進行している状態になっている。

健康な歯茎は薄いピンク色で固く引き締まっている。10代で症状が出る遺伝性の歯周病もあるが、大半の人は30代以降、症状が悪化する。歯周病が全身疾患につながるとの研究も進んでいる。日本歯科大の仲谷寛助教授は「歯周病菌が血液を通じて体の他の部分にまわり、動脈硬化や早産に関与している可能性が指摘されている」と説明する。

高齢者の歯周病も深刻だ。せき込む力が弱ると歯周病菌がそのまま肺に入り込み、老人性肺炎を引き起こすという。「施設で歯磨きしない高齢者は介護士による歯磨きケアをする人に比べ、老人性肺炎の発症率が1.67倍という結果がある」と大阪大の恵比須繁之教授は話す。「歯周病はきちんと歯磨きして歯垢をとれば進行をくい止めることができるので、意識を持ってもらいたい」と力説する。

それでは正しい歯磨き法をまとめてみよう。食後すぐに磨くのが理想だが、なかなか難しいのが実情。ライオン歯科衛生研究所の歯科衛生士、黒川亜紀子さんによると「重視したいのは夜寝る前の歯磨き」。睡眠中は唾液(だえき)の分泌が減り、自浄作用が低下する。いちばん歯周病菌が増えやすい状態になる。

(WFでは、食後3分以ないのお片づけフロスを薦めてます。だって、夜の寝る前まで放って置くと、食べかすはどんどんプラークになって、 粘々が増えるので、返って落ちなくて時間が何倍も掛かりますから、、
食事直後のタイミングの良いお手入れは、食べたばかしで、歯の面もきれいになっているので、手間が省けるのです。必ず食後3分フロスです。)


歯ブラシの種類もいろいろある。歯茎がはれている人には柔らかめがお薦めだが、健康な人には普通の固さで十分だ。固めの歯ブラシはしっかり磨いたという感覚を得たい人にはいい。小さすぎると磨くのに時間がかかり、効率が落ちるので避けたい。

(磨きたいのは、歯の根元歯茎との境目、特に歯と歯の間、柔らか目が一番です。)

歯周病の症状がなければ、歯ブラシは90度の角度でぴったりと歯に当てる。手の力を抜いて、ごしごしこすらないこと。歯周病の自覚がある人はブラシの先が歯茎にあたるように、歯に対して45度にする。歯と歯茎の境目にたまっている歯垢を落とせる。汚れがたまりやすい奥歯は歯ブラシの向きを変えるなどして念入りに磨く。

歯ブラシの振幅はだいたい1センチくらいの幅で、歯1−2本分。1カ所につき20往復磨くのが目安だ。歯の違いによる個人差はあるが、全部で最低3分はかかる。歯磨き粉もつけること。「研磨剤の悪影響が取り上げられるが、研磨剤で磨かないと歯の表面の汚れは取れない」(仲谷助教授)という。

最近よく見るのが電動歯ブラシ。歯磨きに必要な時間は一般の歯ブラシと同じだが、振動が細かいのでうまく使えば効率よく歯垢を除去できる。ブラシ部分が回転するので強く当てないことが大事だ。

歯ブラシの耐用期間は1カ月くらい。実際、歯ブラシだけだと歯と歯のすき間まですみずみ磨くのは難しい。そこで、すき間につまった汚れはデンタルフロスと呼ばれる糸状の掃除具で取る。歯と歯茎にすき間ができてしまった人は歯間ブラシを使い、歯垢を除去するといい。

(一ヶ月ぐらいで毛先が開いたりしてくる人は、歯ブラシの動きが大きかったり、押し付ける圧が強い。歯の面の摩滅や歯肉退縮を予防するには、やわらかい歯ブラシで適切な圧で使う。適切な動き、圧なら6ヶ月以上毛先はもつし、かえって毛先が細くなり、先細になって良い。また、毛先が開いたら、熱湯で元にもどせるし、 ハブラシは一ヶ月交換できても、自分の歯は交換できずに、10年たつと、根露出や、知覚過敏になる。要注意!!
ゴシゴシ磨きは凸面のみ磨く傾向が出来るし、細かい振動磨きが出来ない。
鉛筆持ちで、使う。動きはストロークの往復振動はダメ!
回転振動か、スパイラルのナルト磨きが良い。いそいで雑に動かしても、ポジショニング(位置決めした場所)で毛先が収束して動くので、歯と歯の間、ポケットに毛先がしっかり入る。中心に収束するナルトの渦が基本です。歯ブラシは6ヶ月以上使えます。早く開く人は指導を受けた方が安全です。
糸楊子(フロス)の使い方も立体的に使うことが重要。)


自宅でできるケアはここまで。続けると、歯だけではなく気持ちもスッキリする。ただ、自分できちんと手入れしても歯垢が取りきれず、歯石ができることはある。黒川さんは「最初は自覚症状がないまま進行してしまうので、半年に1回は歯科へ検診に行き、歯石を除去することが望ましい」とアドバイスする。

※青字はビーバー先生のコメントです。

歯周病のチェックポイント

1
歯茎が赤い
2
歯茎がむずがゆく、歯が浮く感じがする
3
歯磨きしただけで、歯茎から出血する
4
朝起きたら口の中がねばねばする
5
歯茎が赤く腫れ、ぶよぶよする
6
何もしないのに歯茎から出血する
7
歯が浮いて食べ物がかめない
8
冷水でうがいするとしみる

歯ブラシ こう使おう

基本 歯ブラシは90度の角度でぴったりと。振幅は1センチぐらい
奥歯 歯ブラシが届きにくいので向きを変え、念入りに
すき間 歯周病の場合は45度で磨いて、歯垢をとる

2004.8.7 日本経済新聞