目標は毎日7皿
調理法で上手に
例年にない暑い夏。すでに前半で夏バテという人も多いだろう。しかし視点を変えれば、おいしく栄養満点の旬の野菜が安く店頭に並ぶ季節でもある。野菜をたっぷり食事に取り入れよう。

「体調を整え、病気を予防するために目標となっているのが野菜を1日350グラム、果物を200グラムという数字。しかし、日本人には70−80グラム不足しているのが現状」と話すのは国立健康・栄養研究所の金田芙美さん。このため今年から、「野菜を1日5皿、果物2皿の合わせて7皿食べよう」という運動を「ベジフルセブン」と名付け、官民の協力でスタートしている。

代表的な夏野菜のトマト、カボチャなどはビタミンの宝庫だ。コラーゲンをつくり抗酸化作用のあるビタミンC。βカロチンは体の中でビタミンAに変わり、皮膚・粘膜を正常に保ったり免疫力を維持したりする。老化防止への力が期待されるビタミンE。モロヘイヤやオクラに含まれるネバネバのもと、ペクチンやムチンは、それぞれ整腸作用や消化の促進効果があるとされる。

小鉢1、大皿なら2
ベジフルセブンを日常に取り入れるのに、旬の夏野菜はいいきっかけになる。「7」の数え方はこうだ。野菜はサラダ用の小さなボウル、おひたしなどの小鉢が「1」スコア。野菜いためや野菜カレーなど大皿なら「2」スコア。果物はミカン1個の大きさが「1」スコアで、りんごなら1個で「2」スコア。見かけの大きさで数えればいい。

例えば朝食ならご飯、目玉焼きなどに加えてカボチャやニンジン、ジャガイモなど具だくさんのみそ汁(1)、ホウレン草のおひたし1鉢(1)で計2スコア。昼食はナスとトマトのパスタ(1)にミニサラダ(1)で計2スコア。夕食はご飯、みそ汁にショウガ焼きの付け合わせでミニトマト(0.5)とポテトサラダ(0.5)。つくだ煮、温泉卵にリンゴ1個(2)をつけて計3スコア。1日で7スコアになる計算だ。

米国登録栄養士でもある金田さんはベジフルセブンを実践する注意点として「欠食をしない」ことを上げる。まとめ食べでは目標が達成しにくいためだ。さらに「副菜をもう1品つける」。そして「焼いたりゆでたり蒸したり。いろんな調理方法で工夫する」。

そこで夏野菜をどう調理したらたくさん食べられるか、料理研究科の池上正子さんに聞いた。
「サッパリそうめんで済ませている人にいいのがピリカラ野菜そうめん。手間がかかりそうに見えて、素揚げなら10秒ほどで揚がる。オクラはパチパチ油が飛びそうになるけれど挑戦してみればさらにおいしくなる」。コチュジャンの辛味が食欲を刺激する。

このほか簡単なのがラタトゥユ。ナス、タマネギ、トマト、ニンジン、ズッキーニなどを切ってコンソメ、白ワイン、塩コショウで調味し、なべにふたをして1時間弱、煮るだけでいい。水に溶けやすいビタミン類も汁ごと食べるので十分量をとれる。

野菜で手巻きも
「おかずを手巻きずしのように、サニーレタスやシソの葉(オオバ)、ネギと一緒に巻いて食べるのもお薦め」と池上さん。ハンバーグや豚キムチなど何でもいい。チャーハンでも、葉っぱ巻きにすれば、野菜も1スコア多くとることにつながる。

野菜を串(くし)に刺してグリルで焼く。トマト、ナス、ピーマンなど、スペイン料理のおつまみ、ピンチョスの感覚で、ニンニクしょうゆやポン酢をつけて食べればいい。暑さで食事のバランスを崩しやすい夏だからこそ、簡単に一工夫。ベジフルセブン生活に挑戦してはいかがだろう。

夏野菜の実力と食べ方

トマト
・強い抗酸化作用をもつリコピンが豊富
少量の油と調理すると吸収力アップ。パスタソースやスクランブルエッグに混ぜて
・水分が多く低カロリー
ミキサーにかけ、牛乳やシロップで味をつけシャーベットに
カボチャ
・βカロチンがビタミンAに体内で変わる
・ビタミンEはニンジンの10倍
じゃがいも、れんこんと一緒に薄切りして170度の油で揚げ、3色チップスに
エダマメ
・たんぱく質が豊富
・不足すると疲れやすくなるビタミンB1が豊富
・乳がん予防効果が期待されるイソフラボンが多い
きゅうりと混ぜて、ヨーグルト、マヨネーズ、塩こしょうで味つけ、サワーサラダに

夏野菜のピリ辛そうめん

【材料・2人分】
ナス2本、ピーマン赤、緑各2個  調味料(すりおろしニンニク1/2片、すりおろしショウガ1/2片、しょうゆ大さじ2、砂糖小さじ1、コチュジャン適量) そうめん2人分、めんつゆ適量、すりゴマ少々、揚げ油適量
【作り方】
@ナスはへたを取り細切り。ピーマンはへたと種を取りタテ4等分
A中温(約170度)の油で水気をふき取った@の野菜を素揚げ
B調味料をよく混ぜ、揚げた野菜にからめる
Cそうめんをゆでて、よく水洗い。水気をしっかり切る
D器にめんつゆを入れ、そうめんの上にBを載せてすりゴマをふる
2004.7.31 日本経済新聞