原子炉事故:東電の情報公開に疑問


立ち入りや熱中症公表せず

 福島第1原発事故に絡み、3号機原子炉建屋への作業員の初の立ち入りや、2号機に入った作業員の熱中症について、東京電力が速やかに公表しなかったことが19日、分かった。情報公開の在り方に批判が出ている。

 東電は18日、2号機の原子炉建屋に作業員が入ったと発表。同日夕方には3号機にも、事故後初めて作業員が入り放射線量などを調べたが、19日午前の記者会見まで公表しなかった。

 また18日には、2号機原子炉建屋に入った作業員1人が、熱中症と診断され敷地内の別の建物で点滴を受けた。東電は19日の記者会見で質問を受けるまで、この事実を明らかにしなかった。

 東電は「体調不良になっても病院に運ばれないケースは、これまでも公表していない」と説明している。2号機原子炉建屋では、遠隔操作ロボットの事前調査で湿度や温度が高いことが分かっており、中に入る作業員の体調が心配されていた。

 3号機への立ち入りは経済産業省原子力安全・保安院にも連絡しておらず、保安院は19日「連絡が不十分だ」と批判。東電は「情報共有できていなかった」と釈明した。

 

2011.05.19 提供:共同通信社