震災:専有面積難民キャンプ以下 避難所


1人2平方メートル 宮城・石巻の病院指摘

東日本大震災の被災地宮城県石巻市にある石巻赤十字病院が4月に同市内の避難所を調査し、避難者1人当たり専有面積が2平方メートル程度と、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が定める難民キャンプの設置基準(3・5平方メートル)を下回っているとして市に改善を申し入れていたことが18日分かった。

 石巻市は「学校再開で避難所を公民館などに集約したという事情もあった。改善に努力している」と説明している。

 UNHCRの「緊急事態のための手引書」(2007年版)は難民キャンプなどを設置する場合、緊急事態の初期でも1人当たりの専有面積は最低3・5平方メートルを確保すべきだとしている。

 石巻赤十字病院によると、4月中旬に市内の全避難所を実地調査。2畳程度(約3・3平方メートル)のスペースに被災者2人が寝起きするなど1人当たり専有面積が2平方メートル程度の避難所をいくつも確認した。体育館に設けられた避難所に多かったという。

 このため4月20日に石巻市の副市長に「国際基準からみても問題だ」として住環境の改善を要請した。

 当時は1万2千人ほどが市内の避難所で生活。今月13日時点の避難者は約8千人で、同病院は「最近の調査では、最もひどかった避難所も1人当たり3・5平方メートルほどになった。ただ、避難所には冷蔵庫もなく、今後は気温上昇による環境悪化に対応する必要がある」としている。

 宮城県は避難者の負担を軽減するため、津波被害がなかった内陸部のホテルなどを確保して、避難所として無料で宿泊できるようにしている。しかし、職場や学校の都合などで地元を離れられない人が多く、石巻市からの利用は約650人にとどまっているという。

※国連難民高等弁務官事務所(UNHCR) 

 世界各地の戦争、内戦により生じた難民や国内避難民を国際的に保護、支援するための国連機関。故郷を離れた人々への食料や水、住居、医療などの物的支援も行い、120カ国以上に7千人以上のスタッフが展開。イラク、スーダン・ダルフール地方、アフガニスタンなどで保護、支援事業を行っている。本部はジュネーブ。トップは国連難民高等弁務官で、1991〜2000年には緒方貞子(おがた・さだこ)国際協力機構(JICA)理事長が務めた。

2011.05.19 提供:共同通信社