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虫歯予防薬・根治薬
 
 
 
1.虫歯予防薬
2.知覚過敏抑制薬
3.根治薬品
 
 
1.虫歯予防薬
1 サホライド
フッ化ジアンミン銀溶液
初期のう触の進行抑制、2次う触の抑制、象牙質知覚過敏の抑制作用があります。虫歯菌の酸に負けないフッ素イオンの耐酸結晶フルオルアパタイトの形成と、ジアンミン


≪使用法≫
塗布する面を中心としてロールワッテで防湿・隔離し、オキシドールで歯面を清拭、歯面を乾燥し小綿球か、アプリケーターで塗布、後、水で口をゆすいでもらいます。
3,4回、数日間隔で行います。


A. 乳歯のう触の進行抑制
  う触部の遊離エナメル質をスプーンエキスカで除去して、通用により、塗布。2〜7日間隔で3回位は繰り返して行います。以後3〜6ヶ月間隔で(硬さなどをチェック)経過観察するのが望ましいです。その状態を良く見て、隣接面等はフロスを通したりして、自浄作用をよくして、再度塗布したりします。
B. 2次う触の抑制
  窩洞形成、又は支台歯形成終了後1〜2回サホライドを塗布する方法です。ただ、現在は審美歯科が発達してきた為、余り好まれません。
C. 象牙質知覚過敏の抑制
  支台歯形成の際もサホライドを塗布し、殺菌タンパク凝固により知覚過敏発生を抑えて、神経症状の無い安定補綴象牙質形成状態にしてから3MIXなど持続性抗菌薬を併用して、翌日以降、軟化象牙質の除去または形成を行う方法です。

≪注意事項≫
深在性う触に塗布すると、歯髄障害を起こす事があるので、3MIXとクレオドンを塗布して仮封鎖して一カ月以上経過置いて、サホライドは塗布しないようにします。
銀の沈着により、象牙質が黒変するので、永久歯の前歯にはつけません。
齲窩の状態により、一時的に歯髄に影響を与える事があるので、塗布面は歯髄面は避け、隣接根表面側に限定します。二次虫歯予防です。

フッ化ジアミンシリケートの象牙質知覚過敏症治療剤への応用

 

フッ素・イオン導入について

 
“プロフェッショナル フッ素ケア”という考え方。
プロフェッショナル フッ素ケアという考え方
イオン導入法では塗布法やフッ素歯磨き剤より効果的にフッ素を取り込むことができます。
歯科医院専用のう触予防法ですので、患者さんが歯科医院へ定期的に行く意義を感じ、継続的な定期健診へと繋がります。
専用機器を用いるイオン導入法だからこそできる方法です。
歯のかみ合わせの溝は細く、深く、形も複雑なので、歯ブラシの毛先が奥まで届きにくく、十分な掃除ができません。又、歯と歯の間のコンタクトもフロスを通しても、自分で完璧にきれいに出来る人は中々いません。
フッ素は世界的に安全性、有効性が十分確立されており、虫歯の予防効果があります。
特に、生えたての新しい歯は既に生えてから、何年もたった古い歯に比べて予防効果は高いので、永久歯が生え始めのお子様のフッ素イオン導入や洗口をお薦めします。

又、子供だけでなく、歯周病で歯肉の退縮した方や知覚過敏や口腔乾燥症で虫歯になるリスクの高い方、高齢者にも予防と、現状維持の為に効果があります。

自分の力でブラッシング、フロス等お手入れは完璧に出来ると自信を持って言える方は中々いないと思います。その様な方にフッ素は1年に数回歯科医院でイオン導入するか、ホームケアのフッ素製剤を補助に使われると、より、望ましいオーラルケアが実現すると思われます。
 

フッ素イオンで、歯を強く美しく。
う蝕予防、根管治療に活躍するフッ素イオン導入

■フッ素イオン導入法の仕組み
■う触予防 
 フッ素を歯質に取り込んで、フルオロアパタイトの形成!
フッ素は歯質に取り込まれると、耐酸性のあるフッ化リン酸カルシウム(フルオロアパタイト)を形成します。
フッ素イオン装置を使用してフッ素をイオン化させることにより、通常歯牙には取り込まれにくいフッ素を、効果的に導入することができます。
■根管予防 
 フッ素の細菌繁殖抑制作用で、さまざまな根管治療に応用!
治療例
感染根管治療、抜髄後の処理、難治性根管治療、閉鎖根管治療、
難治性根尖病巣など
フッ素には細菌繁殖抑制効果があります。イオン化されたフッ素が根管の細部まで行き渡ることにより、通常の薬液では届きにくい箇所の消毒を行います。
また炎症をおこした組織に対する、収斂・消炎作用があります。
 

2.知覚過敏抑制薬
1 Gボンド

シングルボンド

削って詰めたりせずに、露出した過敏な歯質の表面に膜を作って、刺激を一時的に遮断し、神経反応の正常治癒を待ちます。虫歯菌の感染も予防できます。
さらに低出力レーザー照射を数回することで、歯髄組織の代謝改善により症状を劇的に軽減できます。


3.根治薬品
1.クレオドン
≪成分≫グアヤコール100%
クレオソート(ブナの木の乾留により得られる)中性油でセイロ丸の成分。クレオドンはこのクレオソートの主成分のグアヤコールを単離・精製したもので、空気、光により、変色します。


≪効果≫防腐、殺菌作用、消炎鎮痛があり、感染根管治療や、歯髄炎の鎮痛・鎮静、覆髄剤その他に用いられます。
ただ、数週間にわたる経過では、深部に浸透性が認められています。痛み、炎症を抑える効果が高く、根管治療でも、抗生薬と併用して、無痛除菌に効果的です。

2.ビタペックス

  ≪成分≫水酸化カルシウム30.7%、ヨードホルム40.4%、シリコンオイル22.4%、その他6.9%
X線造影性があります。止血作用、根管の乾燥性を促します。抜髄、感染根管、乳歯の根幹充填や、暫間充填剤に用いられます。
3.水酸化カルシウム
  デンチンブリッジの形成に最も有効です。根尖部組織に硬組織形成を促し、根尖孔の生物学的閉鎖を期待して糊剤根管充填剤として用いられます。
4.抗生薬(除菌)
  3MIXや、セファメジンという、殺菌性の抗生剤を併用すると根管治療はより効果が高く、無菌化が早まります。
テラコート、抑制的抗生剤は、急発作を起こした根管と膿の出口の通路を通過させる事で、初期の原因療法に効果があります。
5.NC(次亜塩素ナトリウム)
  歯質の殺菌消毒固定、タンパク質溶解に使います。
これは漂白材と同じ成分です。汚れや、バクテリアなどのタンパク成分などを分解します。

反応後は食塩水になります。
根治以外にも形成時や、セットや、充填前にも消毒に使います。
奥歯などの見えない部分の隣接根面はサホライドで、同様に殺菌消毒固定と虫歯の予防をします。
6.MTAセメント
  根のヒビ割れや、穿孔の保存処理
イメージ図 歯科用覆髄材料
プロルートMTA
イメージ図

根のヒビ、即抜歯でなく 垂直歯根破折の処置

●プロルートMTAとは?


水酸化カルシュウムに代わる直接覆髄に適したユニークなセメントです。

本製品は、1993年米国ロマリンダ大学のDr.Mahomoud Torabinejad(モハマド・トラビネジャド教授)らにより開発され、1998年から1999年にかけて、欧米各国で発売が開始された。

以来本製品はさまざまな症例に使用され、高い臨床評価を得、現在多くの先生方に愛用いただいております。
歯科用覆髄材料として必要な、生体適合性や封鎖性に優れ、水酸化カルシュウムに代わる覆髄材として注目されています。

さらに、露覆面での流動性が高く、十分な操作性時間を得ることが出来ます。



●特長
1. 封鎖性(外来刺激の遮断)
  牛歯の窩洞に「プロルートMTA」と「ダイカル」を充填後、フクシン水溶液に浸漬シ、サーマルサイクル試験を行った。
  プロルートMTAの辺縁性に関する試験成績
  試験成績表
  水酸化カルシュウムを使用するよりも、プロルートMTAを使用したほうが、漏洩によりう炎症を引き起こすことなく直接覆髄が成功する可能性が高いことが言えます。
   
2. 生体適合性
  海外では多くの先生方にご愛用いただいております。また、数々の実験により高い評価を得ております。
ヒトにおける覆髄と組織学試験
24症例中、「プロルートMTA」を使用したすべての症例で覆髄治療が成功しました。
Barmes,D.et al  University of Maryland clinical study
3. 操作時間
 
練和時間 約1分 ※滅菌精製水で湿らせてガーゼで練和物を覆っておくと、乾燥を防ぎ充分な操作時間を確保することが出来ます。
操作時間 約4分※
硬化時間 5時間以内
   
●理工学的性質
理工学的性質表
●使用目的

覆髄材
イメージ図
偶発意的に露出した非感染生活歯髄に対し、「プオルートMTA」を用いることにより外来刺激による障害から保護することを目的とします。

適 応
1. 非感染歯髄で窩洞形成中に誤って露髄した場合
2. 偶発露髄の最大幅径が2mm以内
3. 外傷により露髄した観光歯
4. 歯根未完成歯

禁 忌
1. 軟化象牙質除去中に生じた露髄で、歯髄の感染が疑われる場合
2. 急性単純性歯髄炎及び急性化膿性歯髄炎
3. 露髄から長時間経過している症例
4. その他医師が不適と判断した症例

●使用上の注意
湿気による劣化を避けるため、使用前のプロルートMTAは密封包装のまま保管すること。
練和物の乾燥を防ぐため、練和後はすみやかに使用すること。
他の製品と混用しないこと。
本材は、記載の使用目的以外に使用しないこと。
 
7.ウルトラカルXSJ
 

水酸カルシウムペースト
ウルトラカルXSJキット
ウルトラカルXSJリフィル
医療機器承認番号 21700BZG00025000


ウルトラカルXSJ



破折した乳歯の治療
乳歯の治療 上顎左中切歯を破折、右中切歯も外傷による出血を認めます。
再植してスプリントを固定し、2週間後抜髄、根管内にマルチカルを充填。来院ごとにマルチカルを交換充填し12カ月を観察しました。
再植後の歯牙レントゲン 再植の歯牙のレントゲン写真。根尖画開き、骨吸収を認めます。2週間後に根管内にマルチカルを充填。 治療開始1年後のレントゲン 治療開始1年後のレントゲン写真。根管内のマルチカルにより根尖封鎖、骨の再生を認めます。

2次象牙質の形成
上顎左中切歯を破折、露髄を認め、痛みもあり、断髄、マルチカルで歯髄覆後リン酸亜鉛セメントで処置。ピンを維持装置としてコンポジット修復、断髄1年後、患者がより審美的な修復物を希望し再来院。
ピンで維持 2か所に2次象牙質を形成、ピンで維持しています。 二次象牙質 コンポジット、ピン、セメントの除去後、鮮明な2次象牙質を確認。


マルチカルを提供できる臨床部位
 
8.リアルシール レジン系根管充填剤 ポイント ペレット SE シーラー
 


接着充填による優れた封鎖性能
リアルシールは、レジロンによる「リアルシール ポイント/ペレット」と、
デュアルキュア(光・化学重合)型のレジン系シーラー「リアルシール SE シーラー」で
構成された、新しい根管充填システムです。

レジン系充填剤
化学的に接着、一体化し、優れた封鎖性能を発揮
充填直後における歯冠側の即時的封鎖や、充填後の細菌漏洩を抑制

密着充填
密着充填
リアルシールによる接着充填
リアルシールによる接着充填
密着充填では、接着性が無いため、場所により充填材と歯質のギャップが生じやすい 接着充填によるリアルシールは、歯質およびレジロンが良好に接着し一体化した充填が可能です。

レジロン採用 ■側方加圧法 加熱軟化垂直加圧法 どちらも対応

■セルフエッチング&デュアルキュアの
  シーラーによる即時的封鎖

■.02 テーパー(ISO 規格)に加えて.04 と.06 をラインナップ

■従来のガッタパーチャ同様にファイル等で除去可能

■優れたX線造影性


リアルシール ポイント
リアルシール ポイント/
リアルシール ペレット

ガッタパーチャ ポイント同様の形態および低温度域における熱可塑性を持つソフトレジン“Resilon(レジロン)”は、水に不溶で生体親和性が高く、除去もガッタパーチャ ポイント同様におこなえるレジン系の根管充填材料です。従来の密着封鎖と異なり、リアルシール SEシーラーと化学的な接着封鎖を実現することで、耐歯根破折性、低漏洩性、根管口から根尖にかけての即時的な封鎖性を備えています。

リアルシール SE シーラー

リアルシール SE シーラー
デュアルキュア型のレジン系根管充填用シーラーです。リアルシール ポイントおよびペレットと化学的に接着し、高いシーリング性を発揮します。ユージノール系シーラーよりも刺激性が低く、生体親和性の高いマテリアルです。


豊富な種類のポイントをご用意
.02 テーパー.04 テーパー.06 テーパー アクセサリーポイント光照射(40 秒間)


即時的な歯冠側の封鎖
デュアルキュア(光・化学重合)型のリアルシール SE シーラーは、
充填後の歯冠側表面に光照射(40 秒間)することで、
速やかにシーラーの重合を完了させ、歯冠側の即時的な封鎖ができます。



即時的な歯冠側の封鎖


ポイント&ペレットとSEシーラーによる一体化構造
ポイント&ペレットとSEシーラーによる一体化構造
歯質SEシーラーポイント/ペレット
間で優れた接着力を発揮し、充填材料と歯質を一体化させることで、歯根部の強度低下を抑制することが認められています。

写真:象牙細管に、リアルシールSEシーラーが浸透硬化した状態



・側方加圧法 ・加熱軟化垂直加圧法 どちらも対応
側方加圧法加熱軟化垂直加圧法ポイントおよびペレットは熱可塑性のため、どちらの術式にもご利用可能です。
また、軟化温度はガッタパーチャよりも低く、生体組織に対する熱の影響を抑制します。



優れたX線造影性Resilon™
リアルシール ポイント、ペレット、SEシーラーは、X線造影性が高く、充填状態
の視認性に優れています。



再治療時の除去性
リアルシール ポイント、ペレット、SEシーラーは、従来の根管充填材同様に
ファイル等で除去することができます。

 
使わない薬品
9.ぺリオドン
  ホルマリンガス成分のため、現在は使用しておりません。

≪成分≫パラホルムアルデヒド50%、塩酸ジブカイン26%、グアヤコール24%
頑固な根尖性歯周炎症状を伴なう根管の治療に用い、塩酸ジブカインは局所麻酔剤です。

歯科根治の科学的根幹清掃の考察

 6月9〜10日に浦安市・東京ベイ舞浜ホテル・クラブリゾートで開かれた日本歯科保存学会春季学術大会(第134回)に出かけ、山田邦晶先生のテーブルクリニック“歯の保存の為に「今」感染根管処置の「再治療」を振り返り「化学的清掃」を見直す”を拝聴した。これは、歯科医ではない筆者にとって、根管治療の臨床の一端を知るよい機会であった。ペースト(ジェル)タイプのEDTA・ファイリーズ,18%EDTA溶液、20%クエン酸、3%次亜塩素酸ナトリウム(以下NaOCl)を用いた根管の化学的清掃のお話であった。いろいろと工夫をされ、よりよい治療を目指されていることはよく理解できたのであるが、釈然としないところがあった。そこで、この件について、今大会でのこれに関連する一般発表、海外の学術論文、メーカー情報をもとに少しまとめ、考えてみた。

 グライド、RCプレップ、ファイリ−ズ、ファイルケアEDTA、試作EDTA24%ジェルを根管に入れ、NiTiローターリーファイルで根管形成してスメア層の除去を検討したポスター発表があった。いずれのEDTA製剤でも、根管上・中央部にくらべ根尖部ではスメア層が残存したという結果である。ここで用いたペーストタイプのEDTA製剤の詳細が不明であったため調べてみると、およそ次のようであった。


15%EDTA・2ナトリウム塩/10%過酸化尿素が主成分でNaOCl併用
・RCプレップ (水溶性、セチルアルコール添加)
・グライド (水溶性、ポリエチレングリコール添加)
・ファイルケア (水にわずか溶ける、pH 2.7-3.2、添加物不記載)


19%EDTA・4ナトリウム塩が主成分でNaOCl併用
・ファイリーズ (水溶性、pH10-11、添加物不記載)


 EDTAの種類・濃度、過酸化尿素(Urea peroxide、UPOと略)の有無、水への溶解性、pH、添加物などに違いがある。RCプレップは従来グリコール添加とされてきたようであるが、2005年8月付けMSDSには上記の水不溶性のアルコールが記載されている。グライドの添加物は、日本では上記のとおりであるが、カナダの文書ではプロピレングリコールとなっている。EDTAのスメア層除去効果があるのは2Na塩でpH 7.5とされている。このことからすると、少なくとも2製品はこれからはずれている(他製品のpHは不記載)。また、水溶性でないと効果を期待するのはむずかしい。こうしてみると、ファイルケア、ファイリーズに多くを望むのは無理ということになるが、実際にはあまり違いが生じないらしい。

 そもそもペーストタイプのEDTAはNaOCl併用による根管拡大形成補助材であり、スメア層の除去までは想定していないようである。このことは、ファイリーズでの説明からもうかがえる。その添付文書には"根管上部の拡大形成にのみ使用"し、それに引き続き3%NaOClを根管内に注入してファイリーズ中の成分と反応させ、発泡作用で根管内の清掃、消毒を行うと記載されている。さらに、英文の説明書には、根中央部では"NaOClを満たしてからファイリーズを入れて形成、吸引する。これをファイル交換ごとに繰り返す"、根尖側では"NaOClで形成後にEDTA18%で処理する"との記載があり、根尖側ではファイリーズは効果がないことを示唆している。このことおよび上で紹介した発表結果からもわかるように、ペーストタイプでは根尖側の清掃は難しい。さらに付け加えると、EDTAペーストとNaOClでの洗浄ではスメア層を完全に除去するのは困難という報告が多数あり、ペーストではなくEDTA水溶液のほうが効果的とされている。市販の水溶液タイプのEDTAは、ウルトラデントのものが18%EDTA・4Na塩であるのを除き、ほとんどがEDTA・2Na塩であり、その濃度は、スメアクリーンの3%を例外として、15〜17%、国内外の一部製品には陽イオン界面活性剤のセトリミド(臭化セチルトリメチルアンモニウム)が添加されている。セトリミド添加については、文献的には、プラス効果があるということにはなっていない。

 ペーストタイプのEDTA製剤は、NaOClと反応して生ずるガスの発泡作用により切削片等を根管内から押し上げ清掃するという考え方に基づいており、スメア層の除去はあまり想定されていないといってよい。一方、その発泡による物理的な清掃効果であるが、それは"臨床的な伝説"であるらしく、NaOClとの混合による発泡は確かであるとしても、その清掃効果が検証されたことはないと、2006年のJournal of Endodonticsの根管洗浄剤に関するZehnderのレビューに記されている。発泡による清掃効果を期待して、過酸化物無配合を謳っているファイリーズは別として、海外製品では過酸化尿素(Urea peroxide、以下UPO)を添加しているものがかなり多いが(なお、EDTAのみとNaOClでも発泡する)、発泡のみならず、潤滑さらには漂白の効果まで謳っているものがあり、疑問を感じざるを得ない。UPOとNaOClの混合により発泡するが、そのことはNaOClの殺菌力の急激な低下に通じており、何のためのNaOClなのかという気がする。UPOは歯のホームブリーチングに使われてはいるが、作用時間を考えればその効果のほどは容易に察することができよう。

 根尖部では、EDTAのペーストのみならず水溶液でもスメア除去効果は限定的であり、それは超音波チップを利用してもあまり変わらないとされているが、今大会の発表でも追認されていた。5%過酸化水素/3%NaOClで交互洗浄後、3%のEDTAあるいはNaOClを根管内に満たし、3分間放置あるいは超音波チップを用いて洗浄(PUI)した。その結果、根管上・中部では超音波の効果が認められたが、根尖付近ではスメア層はほとんど除去できなかった。こうした結果をもとに、根尖付近ではPUIによる洗浄液の撹拌が効率的に行われていないことが示唆されたとし、今後、超音波装置の出力、洗浄液の濃度、洗浄時間等の検討が必要という考察が加えられている。要するに、必要十分量の洗浄液が供給されないためとしているようであるが、考察のような検討を今後重ねたとしても、EDTAの脱灰力は強くない(NaOClにはない)ため、期待するような結果を望むのは無理のように筆者には思われる。なお、本研究では、依然としてというべきか、根管はNaOClと過酸化水素で交互洗浄しているが、NaOClとUPOでの発泡とその効果のことが連想されてしまう。

 根管形成、清掃時のNa0ClやEDTAの使用目的は何であろうか?前者では殺菌と組織溶解、後者ではスメア層除去が主目的であるとすれば、3〜10%のNaOCl水溶液、中性の15〜17%EDTA水溶液をそれぞれ単独で使用するのが理にかなっていると思う。少なくとも根管形成時にはNaOCl溶液を満たして器械的および化学的清掃を続け、形成終了後にスメア層除去のためEDTA溶液で清掃するのが好ましいように思われる。拝聴したテーブルクリニックでは、スポンサーの製品を用いての清掃の話をされたが、それが最良の清掃剤の選択であるようには筆者には思えないのである。多分、山田先生はファイルによる器械的清掃がきわめて巧みなため、EDTA製剤は何でもよいのではないかと推測している。


 

削らず詰めず3MIX法根管消毒薬へ
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