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ACベニアの構造

2009.4.22
ACベニアは、各個調整した極めて薄いポーセレンベニアを唇面に接着し、色調と形態を回復するポーセレンラミネートベニア修復法です。この修復法の大きな特徴は、歯質削除量が極めて少ない歯質保存的な修復法ということです。つまり、修復歯の形成は唇面の豊隆に合わせてエナメル質範囲以内で、止めますので歯髄損傷の心配がなく歯質保存の意味からも極めて有意義です。
ポーセレンベニアは、ACベニアベスト(耐火模型材)によって作られた耐火模型上で、ACベニアポーセレンを築盛・焼成して製作します。ベニアの接着には光重合型のコンポジットレジンを使用し、その際、ベニア内面と歯質にエッチング処理を施します。さらに、ベニア内面には、接着をより完全なものとするために、ぬれ効果と化学的接着を促すためのプライマーでシランカップリング処理を行い、コンポジットレンジとの接着・一体化を図ります。本来、ポーセレン自体は破折しやすい材料ですが、この修復法の場合は歯牙と一体化するため強度は飛躍的に高められます。
なお、通常のポーセレンラミネートベニア修復法では接着に際してボンディング材を使用しますが、ACベニアでは各材料の物性向上により、特にボンディング材を必要とせず強力な接着が行えます。
ポーセレンラミネートべニア
 
ACベニアの特長
●歯質削除量は原則的にエナメル質範囲内に止めるため、形成に伴う歯髄損傷の心配がありません。
●形成は修復歯唇面に限られ、また原則としてコンタクトポイントは天然歯質を残すので、修復に伴いアンテリアガイダンスやコンタクトポイントを狂わすことがありません。
●唇面を広範囲に修復することが容易で、審美的効果が非常に優れています。
●ポーセレンベニアのため耐磨耗性に優れ、変色の心配もなく、表面はグレーズによって艶やかに仕上げられます。また、歯肉との親和性も非常に良好で、修復後に歯肉の黒変や退縮が起きません。
●微妙な色調調整も、接着材として使用するコンポジットレジンのシェードで簡単に行えます。
●チェアタイムが短く、施術も容易です。
術式上での特徴
●チェアサイドでの修復歯形成、印象採得及びポーセレンベニア接着などの術式は、すべて完全な直視下で行えるので施術が容易です。
●歯質削除量が少ないことからチェアタイムも短くてすみ、治療も効率的に行えます。
●ラボサイドでのポーセレンベニア製作は鋳造操作を必要とするセラモメタルに比べて簡単です。
●マージン部の取り扱いにはセラモメタル同様に注意を要しますが、寸法精度は耐火模型材によって確定されているため、安心して技工操作が行えます。
患者の心因メリット
●歯質削除量がエナメル質内に止められるため、麻酔を使用する必要が無く無痛下に近い状態で治療を受けられます。(但し、テトラサイクリン等による重度の変色歯やエナメル質形成異常のケースでは、知覚過敏的な症状を呈する場合が多いため、麻酔処置は必要となります。)

ポーセレンラミネートべニア

1.色調表現

 
米国を中心として急速に普及してきたポーセレンラミネートベニア修復法の色調表現は、ポーセレンベニアよりも接着材として使用されるコンポジットレジンのシェードで表現されていました。しかしこの方法だと微妙な色調を表現しにくいばかりかレジンの重合収縮が不均一になることによって、ベニアにクラックが入るなどのトラブルの原因にもなります。また、こうした方法は、チェアサイドでの負担も多く、しかも、重度のテトラサイクリン症例においては変色した色調を完全に遮蔽できなかったり、フラットで、立体感のない不自然な感じに仕上がるなど、この修復法を適応できないという症例もありました。

そこで、ACベニアでは色調の基本をポーセレンベニアにおき、修復歯の変色に合わせてポーセレンラミネート層を変えてゆくという方法をとりました。つまり、テトラサイクリン症例のように重度の変色がある場合には、陶材層の中に一層マスキングデンチン色を加え、変色を遮蔽したうえでその上のポーセレン層によって色調を表現します。また、変色が軽微もしくは無い場合には、積極的に天然歯の色調を利用して、より自然な色調表現を行いますので、天然歯に近い審美修復が行えるわけです。
 
●コンポジットレジン層の考え方

2.接着構造

 

ポーセレンベニアの歯牙への接着は、光重合型コンポジットレジンを介在させて行います。ただ、コンポジットレジンそのものには、エナメル質やポーセレンに対して接着性がありませんので、ベニア内面と歯牙にエッチング処理を施し、主として機械的嵌合力で接着させることになります。この際、より強固な接着をさせるために、ベニア内面にはエッチング処理の後、シランカップリング処理を施します。
ACベニアでは、このため特にボンディングセットとして光重合型コンポジットレジンの他にプライマー(シランカップリング材)を新たに開発して、接着効果を十分に発揮できるようにシステム化いたしました。

2−1)ベニア内面のエッチング処理
ポーセレンベニアの内面はフッ化水素酸によってエッチング処理を行います。ポーセレンは組成的に均質ではないため、フッ化水素酸によって溶解する速度に違いが生じ、エッチング処理が行えるわけです。ACベニアでは、ベニア内面処理専用として5%に希釈したフッ素ジェルを用意しました。

 
2−2)プライマーによるシランカップリング処理
本法では陶材をエッチングする事により、レジンタグを形成、接着力を与えるだけでなく、両者の間にシランカップリング材が介在することで、化学的な結合をも図ることができます。つまり、シランカップリング材の1分子の中には、レジンと共重合するメタクリロイル基と陶材などの無機質と反応するものが存在するからです。ACベニアのプライマーには、このシランカップリング材が含まれています。また、シランカップリング材は、コンポジットレジンのぬれ性を高めることにも役立っています。
 
2−3)適合性
ACベニアでは、ポーセレンの築盛・焼成を直接耐火模型上で行います。一貫したシステムで開発されたACベニアポーセレンとACベニアベストは、熱膨張率など非常に相性が良くなっていますので、製作されたベニアは、従来の耐火埋没材を用いた場合や、金属箔上で製作した場合より格段に適合性が優れたものとなります。また、接着に際しては非常にフローの良いコンポジットレジンを使用しますので、レジン層の厚さを均一にしやすく、レジンの重合収縮による有害なひずみも極力少なく抑えることができます。また、ポーセレンラミネートベニア修復法におけるマージン部、レジンにより移行的に仕上げることができますので、長期にわったての溶解等がありません。

3.歯肉組織への影響

ポーセレンラミネートベニア修復法の大きなメリットに、セラモメタルなどと違い、健全な像牙質を保存できるということがあります。形成はエナメル質のみで歯髄損傷の心配がなく、歯頚部マージンも基本的には歯肉縁または歯肉縁上です。また、ベニアが歯肉縁下まで入り込むような症例でも、ベニアはポーセレン製ですので為害性が少なく、歯肉との親和性もすこぶる良好で辺緑部の歯肉が退縮する心配もありません。さらに、修復部位からカリエスになるというトラブルもほとんどありません。米国を中心に、この修復法が採用されて5年という短い期間で急速に普及したのも、これらの安全性があるからだといえます。
 
●良好な歯肉状態(ACベニア) ●歯肉退縮(セラモメタル)
 
●ラミネートべニア形成状態
●セラモメタル形成状態

4.ACベニアの適応症

 
ACベニアは、テトラサイクリン歯のように唇面全体におよぶ変色歯には、非常に優れた効果を発揮するとともに、エナメル質形成不全、う蝕などによる審美障害、捻転など軽度の位置異常による審美障害など、幅広く適応できます。
 
 
上記症例の他、フッ素による斑状歯、破折歯、著しい唇面の摩耗歯前歯先端が不揃いでスマイルラインの回復が必要な症例、鼓形空隙が広すぎる症例等、幅広くACベニアを適応できます。

5.禁忌症

 
●切端咬合やブラキシズム等があり、外傷的な咬合圧が加わる場合
●前歯でかんだり、くわえたりする咬み癖がひどい場合
●歯の位置異常が重度の場合
以上の他に、エナメル質の十分な支持が得られない場合、実質欠損の大きい歯についても禁忌症となります。また、口腔衛生に問題がある場合は、事前に衛生状態の改善を行ってから修復処理を施すことが望まれます。
●上顎大白歯部、下顎白歯部

6.ラミナシステム

 
ラミナシステム術後 
術前

 ラミナシステム術前
術後
 
ポーセレンラミネートベニアでは、非常に薄い層での正確な色調表現が要求されます。ラミナポーセレンは、そのような厳しい要求を満たすことのできるマスキング陶材です。変色の程度に合った最適な下地を作り、その上にヴィンテージやユニボンド等の歯冠色陶材を築盛して、ポーセレンベニアでほぼ色調の再現ができます。