カルシウム摂取は一生涯

寝たきり老人の大きな原因の1つは、骨粗しょう症による大腿(だいたい)骨の付け根の骨折だという。骨粗しょう症患者は千万人を超えると推定され、女性は男性に比べ若くして多く、70歳以上の女性の約半数が、80歳代男性の約半数が骨粗しょう症であると考えられている。

骨粗しょう症を防ぐのには、骨量(骨密度)が大切。一般的には18歳から40歳までは、ほぼ横ばいの高い骨量を示すといわれている。しかし、その後、年齢とともに骨量は減っていく。女性の場合は、閉経期の5年位の間に、年間平均3%と急激に骨量は減少する。このため骨粗しょう症の発症率がぐんと上昇する。

これを予防するのには、若い時に骨量を増やすことである。そのためには、骨量の増加率がもっとも高い成長期の10代半ばまでに、骨の主成分となるカルシウムをしっかりとり、同時に骨へのカルシウムの蓄積を促す運動を十分にすることだ。

18歳から40歳までは、すでに述べたことを心がけても骨量の大きな増加は期待できないが、わずかながらの増加が得られるという。

閉経後と高齢者に関しては、カルシウムの優れた供給源、牛乳の摂取量が骨量増加に、影響を与えることを実証できる報告はない。しかし、牛乳摂取習慣と運動習慣を持つ女性では、骨量が高い値を示すという報告がある。

いずれにしても、骨粗しょう症を予防するにためには、乳幼児期から親子ともに、毎日栄養のバランスのとれた食事の中で、カルシウム摂取に努めること。
(新宿医院院長  新居 裕久)

2007.10.27記事提供:日経新聞