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ファイバーコアポストは歯根破折の救世主

2008.11.1 大和 学術後援会
9月20日(土)大和歯科医師会館に於いて、鶴見大学歯学部歯科第二補綴学中村善治准教授を講師に迎え「築造体のポストは常に必要か、それはファイバーポストなのか?」と題した学術講演を開催した。

中村准教授のポストは常に必要か、という問いかけから始まり、従来の築造方法(レジン築造、既製ポスト併用レジンポスト、鋳造支台築造)とファイバーポストを比較し、これらは残存歯質と築造窩洞形態とどのように関連しているか、またそれぞれの歯冠修復後の破折強度、破折様相の分類等、興味深い臨床結果や実験データーをわかり易く沢山のスライドで提示された。

臨床に於いて現在ファイバーポストの好成績を出している業者の話、既製コアフォームの使用法や手際のよい実際の使用方法など、熱心にメモをとる先生も多く見られた。従来の「ポストは太く、長く」「築造体は歯質の強化をする」と習った時代は既に変わり「ファイバーポストは歯根破折から歯を守る救世主と成りうる」という結論に、現在は歯を喪失後の補綴、治療方法ばかりについ目を向けがちであるが、今も昔も歯科医師の基本となる重要な考えは、1本の歯を最後まで守ること、この大切さを改めて痛感させる講義であった。
 

 

ファイバーコアポストシステム

特徴

● グラスファイバーの弾性により、歯への負担を大幅に軽減!
● 弾性をもちながら、高い破折強さを発揮
● メタルフリーによる高い審美性を実現
● X線造影性を有し、予後の診断も容易
● 再根管治療時にポスト撤去が容易

 

 

支台築造用ファイバーポスト・コア


レジンコア
コアプランの説明
 
神経を取った歯は(失活歯)と言い、神経を取っていない歯(生活歯)と違って歯質も薄くなって、弱くなっています。
活きていればこそ、歯髄、神経組織からの栄養補給を受けた象牙質は、弾力性も富んで、歯の表面のガラス質の身体の中で一番硬い、エナメル質という部分が、ヒビ割れたりしないように、衝撃を吸収してくれていますが・・・
失活したら、乾燥してきて、まるで、青い竹や、木の枝が、乾燥して、黄色くなり硬くなって、パリパリと割れやすくなるのと同じに、歯の根まで、竹を割ったように、普通に噛んで使っていても、割れてしまうのです。割れた根は、もう、抜歯しかありません・・・・
そこで、クラウン(冠、白い歯)を被せる前に支台築造と言って、土台の型を取って、セメントでセットし、失われた歯質を取り戻し、補強してから、クラウンを被せ、歯の縦割れを防ぐように根を包まないと、咬合力(噛む力)、歯軋り、によって歯が割れて使えなくなってしまいます。
神経を取った歯でも安心してなるべく長い間、役に立てるよう、コア支台を入れます。

コアにはAg(Ag合金)のコア、Pd(パラジウム合金のコア、GOLDのコア、ファイバーのコアがあり、それぞれ適応が異なりますので、担当医に十分ご相談の上、ご決定下さい。                    
2007−9−20千葉れい子
 

 

前歯でも折れます。これは、根の治療を受けて20年後の前歯です。神経ないので、歯質は乾燥して、割れやすく、またこの場合、歯の内部の消毒が不充分で治療が終わっていたので、その後に内部で虫歯が広がり、エナメル質の表面は虫歯になりにくいのので綺麗です。そのため、本人も気づかないでいました。幸い根はしっかりしていたので、ファイバコアで支台を建て、セラミックで綺麗に修復できました。
神経取ったら、早めに支台を建て、歯質を保護するように、カバー構造の修復物にすることが安全です。09-6
 
根面Cで根壁破折
根面Cで根壁破折

これも、根面Cで根壁破折「右の歯肉が入り込んでいます。)と歯の根元はぐるりと周囲が虫歯になって折れました。09-6
 

強く、しなやかで、そして美しく
Fiber Post
ファイバーポスト
 
 
歯根にやさしく、これからの審美修復を支える理想のファイバーポスト

1.より審美的な修復のために

白色透明のファイバーポストは、支台築造用接着性コンポジットレジン「コア」との併用によって、審美修復の妨げとなる金属色を排除。天然歯に近い色調のコアが製作できますので、オールセラミックスや「グラディア」などの硬質レジンジャケットクラウン修復などで、より審美性が向上します。
白色透明のファイバーポスト

2.透過光による比較

 
鋳造メタルポストコア   既製メタルポスト+ユニフィルコア   ファイバーポスト+ユニフィルコア
鋳造メタルポストコア   既製メタルポスト+コア   ファイバーポスト+コア

鋳造メタルポストコアやメタルポストを使用した場合はその部分が沈んで見えますが、「ファイバーポスト」と「コア」の組み合わせでは、陰になる部分がなく、中から輝く自然感のある色調が再現できています。

 
 
歯根壁に負担がおおきくなる応力歪みの発生がすくないファイバーコア

 


3.コンピュータシミュレーションの設定条件

(グラスファイバー+レジンポストコアの場合)
コンピュータシミュレーションの設定条件
 
4.コンピュータシミュレーションによる各種支台築造体の比較

コンピュータシミュレーション(有限要素解析)を用いて、一般的に用いられる事の多い築造法3種。鋳造メタルポストコア、既製メタルポスト併用レジンポストコア、グラスファイバー併用レジンポストコアを比較したところ、下記に示す差異が観られました。

 
 
グラスファイバー+レジンコアはしなやか!根破壊を起こさない

下記2種の築造法と比べ、全体に応力が拡散し、『スムーズに力が流れる』ことが分かります。

鋳造メタルポストコア   既製メタルポストコア+レジンポストコア   グラスファイバー+レジンポストコア
鋳造メタルポストコア
 
既製メタルポストコア+
レジンポストコア
 
グラスファイバー+
レジンポストコア
鋳造メタルポストコア

コア部、ポスト部とともに、メタルポストコアの歯質との境界部で、高い応力(赤部)の発生が観られます。

 

既製メタルポスト併用レジンポストコア

既製メタルポストとレジンポストコアの境界部に不均衡な力が発生し、既製メタルポスト周辺の構造破壊が危惧されます。

 
 
5.強くしなやかに、コア材に適した性質
コア材コアと一体化、強度と弾性のベストバランス

ファイバーポストは、ファイバーを縦方向に密に束ねレジンで包埋したもので、直径14ミクロンのファイバーを高度な技術によって均衡かつ高密度に配置(充填量=58vol%(77wt%))。強度と弾性のベストバランスを図っています。

 
ファイバーポストの構造
横断図
 
断面図
 

比例限による曲げ強さ(支点間距離:10mm)

 

曲げ弾性係数(支点間距離:10mm)

比例限による曲げ強さ   曲げ弾性係数

各ファイバーポスト間でバラツキは見られますが、ファイバーポストは、メタルポストとほぼ同等の強度があることがわかります。

 

メタルポストと比較して圧倒的に弾性率が低く、柔軟性のある材料であることがわかります。

 
強度と弾性のベストバランス

ファイバーポストはセラミックプライマーによってシラン処理することにより、「コア」と強固に接着。「コア」と歯質は、コアセルフエッチングボンドによって歯質と一体化します(直接法の場合)。間接法の場合はラボサイドで製作したレジンコアをレジンセメント「リンクマックス」で接着し、歯質と一体化させます。

コアとの接着界面
 
ポスト引き抜き試験 (シラン処理の有無)
<コアとの組み合わせ>
ユニフィルコアとの接着界面   ポスト引き抜き試験
    シラン処理を行うことで、コアと確実に接着します。
 
光透過性でレジンコア材の光硬化促進を期待
コアはデュアルキュア型で根管などの光が届きにくい部位でも硬化しますが、光透過性の高いファイバーポストなら光硬化の促進が期待されます。   ユニフィルコア

根管内での支台築造用接着性コンポジットレジン「コア」の仮重合をイメージしたもの。照射光はファイバーポストの断面のみにしか当てていませんが、照射光がファイバーポスト全体に導かれているのがわかります。

 
 
試適時の診断に安心なX線造影性

良好なX線造影性がありますので、試適時の位置確認なども安心して行えます。

X線像

 

試適時のX線像

X線像   試適時のX線像
 



i−TFCシステムとは?

さまざまな根幹に適用できる
築造体全体の弾性率を象牙質に近似させた設計
弾性率が象牙質に近い

築造全体「i-TFCポスト」(+i-TFCスリーブ)+ポストレジン」の弾性率が象牙質に近似していれば、ポストが太くなっても細くなっても築造体全体としてのフレキシビリティは常に象牙質と調和していて応力集中を拡散できると考え、i-TFCポスト、i-TFCスリーブ、ポストレジンの理工学的物性(曲げ弾性率、曲げ強度)を最適に設計した。

歯根破折の防止

 

歯根破損を想定し、i-TFCポストとポストレジンからなる試験体および金属ポストとポストレジンからなる試験体を用いて斜め方向からの繰り返し衝撃試験を行った。
    繰り返し衝撃試験の耐久性

 

i-TFCポストとポスト験体の繰り返し衝撃試験レジンからなる試験
 

 

金属ポストとポストレジンからなる試験体の繰り返し衝撃試験

  破壊に至るまでの繰り返し加重平均回数は、金属ポストとポストレジンからなる試験体で167回(n=3)、i-TFCポストとポルトレジンからなる試験体で5099回(n=3)であった。
審美性に優れる
臨床写真 臨床写真 49歳男性 (1(2 の歯冠破折(外傷歯) (香川県開業 真鍋顕先生ご提供)

 

1)は歯髄保存に成功したが、2)は歯頸部での水平歯折のため抜髄、i-TFCシステム(間接法)にて支台築造後、オールセラミックス冠にて歯冠補綴した。
 
 

i-TFCポスト、i-TFCスリーブにて成形。

 

i-TFCシステムによる築造体。

 

支台歯形成。破折歯のため、マージンは深めになってる。

 

オールセラミックス冠の色調が、生活歯2)でほとんど変わらない。

 

同部X線写真

i-TFCポストのワイヤーが再根管治療時のガイドになる
 

ワイヤーを引き抜くことによってガイド孔(築造体中心線の目安)ができるので、ピーソリーマなどによって拡大すれば、後は通常の手順によって再治療を行うことが可能。

 
ポストコアの上部構造物をはずす
i-TFCポストのワイヤーを端が出るところまでコアレジンを切削します
ブライヤー等でワイヤーをはさんで引き抜きます。
ワイヤーが抜けたところをポストコアの中心の目安として(ビーソリーマ等で拡大した後)通常の手順に従って治療を行ってください
   
光ファイバーの高い光透過性でレジンを確実に重合

ポストの中心に光ファイバーが入っているので深い根管の奥まで光を通すことができます。
そのため根管深部のレジンまで確実に重合硬化できます。

光ファイバーポスト
各種光照射器にも対応
直接法
間接法

光硬化性の高いクリア色のポスト用 レジン

i-TFCシステム「ポストレジン」
(X線造影性 対アルミ板170%)

フロータイプで根 管やスリーブに流し込みやすく気泡の混入を防止できます。

光重合型レジンなので、ポストや スリーブの位置 を調節してから重合できます。

府形しやすいペーストタイプのコア用レジン

i-TFCシステム「コアレジン」
(X線造影性 対アルミ板300%)

ペーストタイプなのでスパチュラで 府形できます。

 
 
hikari_faiber
i-TFCファイバーはポスト3種類<光ファイバーポスト・ポスト(ワイヤー入り)・ポスト(ワイヤーなし)>とスリーブがあります。
スリーブとの組み合わせによって様々な太さの根管に対応でき、歯根破折やポスト体の破折を未然に防ぎます。
歯根破折の防止
歯根に見立てたガラス管にレジンとファイバーポストまたは金属を挿入し、 それぞれに荷重をかけました。
i-TFCファイバーポスト+レジン
金属+レジン
築造体の弾性率を象牙質に近似させることで応力集中を分散し、歯根破折を防止します。
sleev_img
歯根内に応力が集
中し、破折を招く恐
れがあります。
iron_stress
チューブ状のファイ バーを併用すること によって様々な太さ の根管に適合させることができます。
スリーブ
テーパー小  テーバー
conkri_zoom
ワイヤー先端を露出させる。
ブライヤー等でワイヤーを挟んで引き抜く。
ワイヤー抜去後のガイド孔から拡大。
ポスト先端を露出させる。
中心の光ファイバー をガイドとして拡大。

i-TFCシステムのセット構成を教えてください。

A i-TFCシステムは、「i-TFCポスト」、「i-TFCスリーブ」、「ポストレジン」、「コアレジン(A2)」および「スーパーボンドセップ」から構成されています。
 
2各構成品について教えてください。
A
■i-TFCポスト

支台築造専用のグラスファイバーポストです。サイズは直径1.3mm、長さ45mmの1種類のみです。
グラスファイバーを編み込み、MMA系モノマーで含浸硬化させたFRP(ガラス繊維強化型)ポストです。
また、ポストの中心に直径0.4mmのステンレス製ワイヤーを通していますので、それを引き抜くことで再根管治療が容易になります。


(単品製品写真と拡大写真)
i-tfcポスト
 

  ■i-TFCスリーブ

「i-TFCポスト」を補強する円筒状のFRP(ガラス繊維強化型)チューブです。サイズは外形2mm、内径1.5mm、長さ10mmの1種類のみです。「i-TFCスリーブ」を併用することにより、様々な根管に適応できます。
(単品製品写真と拡大写真)
i-tfcスリーブ
 
使用方法
3根管充填シーラに推奨される製品はありますか?
A 根管封鎖性に優れた「スーパーボンド根充シーラ-」を推奨します。
 
4すべての症例に適用可能ですか?
A 適用症例は以下の条件を満たすものです。

 

(1)高径1mm以上の健全歯質が全周にわたり残存し、フェルールの効果が得られる症例。
(2)実質欠損が歯肉縁下に及ばず、歯肉縁上に健全歯質が残存している症例。
(3)歯根が湾曲していない症例
 
5支台築造を施した歯が、大きな応力がかかるブリッジの支台歯ないしは義歯の釣歯となった場合でも大丈夫ですか?
A 適重負担の恐れがあるブリッジの支台歯や義歯の釣歯となる場合には、著しく耐久性が劣る場合があります。適用を避けてください。
 
6次第築造窩洞形成はどのようにするのですか?
A 支台築造窩洞のポスト形成は根管充填剤を根尖から4mm以上残し、窩洞の深さは6mm以内で形成します。
 
7すべての症例に「i-TFCスリーブ」は必要なのですか?
A 根管孔径が1.3〜2.0mmの場合は「i-TFCポスト」のみで使用してください。
漏斗状根管等の根管孔径が2.0mm以上の場合には「i-TFCポスト」に「i-TFCスリーブ」を併用してください。 (注意:ポスト挿入のために過度の形成拡大をしないでください。)
8「i-TFCポスト」が長いのですがなぜですか? また、何根管使用できますか?
A 根管の長さは症例により異なります。経済性を考え、必要な長さに切断して使用していただける方式を採用しました。 ポストの全長は45mmですので、1根管に必要な長さを15mmとすると使用可能根管数は3根管となります。


リボンド Ribbond(補強材料)

矯正の保持、補強、維持、に使用します。接着材は、スパーボンドを使用します。
歯周病の動揺歯や、外傷で、固定する場合にも使用します。


特徴
●歯周病固定、矯正保定用、特殊ポリエチレン繊維です。
●特許取得のレノ織は、裁断面がほどけず、コンポジットレジンをあらゆる方向に補強します。