市販されている歯磨きグッズや、歯磨き剤で予防はできますか?

タウンニュース麻生区版11月25日号掲載

 メーカーは、研磨剤が入っていると売れないと分かると、「研磨剤」とは、成分表に書きません。「研磨剤ナシで汚れを浮かせて、歯を白くする」…。そんな調子の良いことができるの?と思いませんか?
 その秘密ですが、実は市販の歯磨き剤の多くには「酸塩」が入って居て、歯の表面を溶かすことで汚れを浮かせる、という原理なんです。フルーツ酸とか、リンゴ酸、汚れを絡め取るポリリン酸…。
 もちろん、全て食品添加として認可されてはいるものです。でも、毎日使っている場合には、全てに歯のすり減りが見られてきてしまいます。アドバイスとしては、毎日は使わない方が安全です。泡や香料でごまかされると「磨き残し」には気づかないので、30分もすると磨き残しは腐敗して増殖します。また、磨きすぎては歯も歯肉も減ってきます。
 最近注目されてきた言葉で「予防歯科」というものがあります。虫歯になる前の段階を意識した姿勢のことで、治療と並行して、歯周病、虫歯にならない、予防的な歯の磨き方などをしっかり自由診療で指導してくれるところが、予防歯科です。


奥歯のことと歯周病、矯正について

タウンニュース麻生区版10月28日号掲載

 前回、20歳過ぎてからの親知らずの抜歯と矯正を短期間で行うことの危険性をお話ししました。費用ではなく人生の長さで考えて、専門の認定医の下で奥歯も含めた矯正が最適だとお話しました。
 今回は歯並びと睡眠時無呼吸についてお話しします。中高年になって奥歯を歯周病で失うのは、親不知の影響や奥歯の左右幅が狭く内傾斜があり、歯軸と上の歯の咬合圧や頭蓋骨の重さのベクトル方向がずれて、頭蓋の重さと噛み締めで、歯列奥歯の内側傾斜と骨吸収が進行していくことにより、奥歯が低くなり、前の歯の負担が増し、噛み合わせの低位が進行することが原因で起こります。食いしばり癖もついて、下あご犬歯の内側に骨の増殖「骨隆起」も起こり、前歯の磨り減り咬耗も起きます。
 口蓋天井が低くなり、骨隆起で舌スペースが不足して、睡眠時に舌の筋肉弛緩状態で仰向けになると、喉に舌がつまる無呼吸の事態を招きます…。睡眠時無呼吸で薬剤耐性高血圧になり、血管内皮が酸素低下による損傷で硬化し、命に関わる循環器イベントを起こします。
 20代より30代は忙しく、40代はより忙しい…、身体をメンテする知識を持たない50代の方の半数は、突然に命を失う疾患を発症させる可能性が増します。
 人生の中で歯並びを考えてください。見た目ではなく、機能的にも歯並びが悪い方は多くの磨き残しができ、綺麗な歯並びの方と比べて、歯周病罹患率は3倍になります。矯正では、非抜歯で、取り外しできる装置と固定装置を両方、コンビネーションで使われる矯正。ミニインプラントアンカーを使う拡大矯正などがオススメです。


親知らずを抜く/抜かないの判断はどのように決めるのでしょうか?

タウンニュース麻生区版9月30日号掲載

 奥歯の内傾斜を強める原因に、親知らずの生える方向や力があります。矯正を行う場合は、まずこの力を無くす必要があるので、歯周病菌の隠れ家にもなっている親知らずは、根の完成しない早いうちに抜歯した方が良いでしょう。海外では、親知らずは10代で4本とも抜歯する方が多いです。10代できれいに並んだ前歯も、20代の親知らずの根の完成で、前歯も押されて歯列の乱れ、下あご奥歯の内傾斜も招いてしまうことを痛感しているからともいえます。
 親知らずを含め、単純に歯を「抜いて」、「並べる」だけなら、どこの矯正歯科でもできるでしょう。しかし、それを短期間で済まそうとすると、歯根が溶けて短くなるなどの症状を招きますので気を付けてください。
 『パワースマイル』という言葉があります。笑ったときに唇の口角まで奥歯が密接して並び、口角と歯列の隙間の影がない歯並びのことです。抜歯しての矯正でなく、非抜歯矯正では、このパワースマイルが確立します。噛み合わせで重要な奥歯の位置をしっかり頭蓋骨の位置関係として、呼吸や頭蓋骨の重さ(6Kg前後)のサポートする歯列として観ると、抜歯というよりも奥歯からしっかり機能的な位置に治し、それに合わせて前歯を並べていく考えの方が健康的なんです。
 治療コストは安い方がいいのは分かりますが、しっかり歯並びのことを考えて、後年になって後悔しないよう、矯正の専門認定医のDrで、奥歯も含めて治療を受けられることをお勧めします。コストに合わせるということでなく、人生の長さで考えてみてください。


子どもの矯正時期とその影響を教えて下さい

タウンニュース麻生区版8月26日号掲載

 矯正は微妙なコントロールで歯を動かしていきます。崩れやすいレンガ造りの家をゆっくり土台ごと移動する感じです。どんなに早くても動かす期間は2年間はかけるべきで、安定期間を含むと4年間は見た方が良いです。
 成長期に舌の筋力と顎を使って噛むという力、口を閉じてしっかり唇を合わせる動作、それら筋力のバランスで歯列は思春期までに完成します。バランスの乱れは前歯の乱配列になっていきます。それにより犬歯間幅が狭くなり、下の奥歯の左右幅も狭く、内傾斜して舌スペースが狭くなっていきます。
 最近は、幼児期からよく噛まないために顎が成長せず、小さいままで歯が並びきらない児童が増えています。そういった子が成長して20歳頃になると親知らずが奥から歯列を押して、益々噛み合わせ、歯並びが悪くなっていきます。
 前歯が乱配列の場合、舌のスペースが不足しています。鼻炎やアレルギー、副鼻腔炎など鼻づまりがある方は、さらに口をいつも開けて呼吸しているので、この傾向は強まります。低位に舌があり口呼吸を繰り返すことで前歯は乾燥し、それらの影響により歯肉は歯周病を引き起こしていきます。
 矯正の必要性は、5~6歳で予測できます。その時点から誘導すれば、非抜歯で、しっかりした噛み合わせが確立でき、脳の発育にも良い影響が期待できます。噛み合わせが成長期に乱れると、噛む力が発達せず、脳の前頭野の血行が悪くなり、うつ傾向や創造性にも影響があるとされています。


全身に影響する矯正の効果②

※先月コラムから続きます。
タウンニュース麻生区版7月29日号掲載

 俗にいうポッカリ顔、口呼吸を行っている患者さんは、アトピーやアレルギー性鼻炎、腎臓病、関節リウマチなどの疾患を抱えている事が多いです。さらに睡眠時無呼吸症による慢性疲労、深刻なケースとして鬱病などに悩まされている方も少なくありません。
 そのような例を踏まえ、脳医学者たちが着眼したのが「口と脳の関係」です。矯正後の子供たちが健全に成長していることは実感していますが、重要なのは、脳自体に器質的変化(脳の形そのものが変わる)があることです。発育期の脳は育ち続けていますが、成人になった方でも、矯正治療後に脳内では「セロトニン」が増加します。咬合の改善がセロトニンを活性化させるようです。
 このセロトニンが増えると、平常心が増し、心の安定と満足感などが増幅し、ストレスに強い、クールな元気(脳内で酸素の消費量が増える)に加え、自律神経の調節をもたらすようです。自律神経がバランスすることで、体内時計やバイオリズムも安定します。体の中に力が湧いてきて、外形的にも姿勢や表情が引き締まるだけでなく、ダイエット効果も現れます。
咬合がしっかりすると、心が安定化してストレスや痛みに強くなり、集中力や記憶力が向上するなど、様々な変化が顕著に表れるようです。


矯正が口の中に与える影響を知りたいです

タウンニュース麻生区版6月24日号掲載

 矯正の動機は見た目の悪さからというのが多いですが、歯は一生使う自分だけの道具です。部分的に前歯だけ考えるのではなく、奥歯も前歯も機能するように並べることが大事です。
 効率良く矯正を行うことで費用と時間は抑えられますが「歯を動かせる量」「移動できる速さ」は制限があり、無理をさせると歯周病の発生や、根が溶けて吸収が起きたりします。成人矯正では便宜的な抜歯を伴い、前歯を引っ張るので、 顎の歯列弓(歯並び)も小さくなります。
前歯の移動スペースだけを確保して、前歯だけを動かすイメージです。これだと舌スペースは小さいままで、舌の筋肉や周囲の筋肉群は矯正期間は安定せず、舌筋の圧力は残るので結局は歯の移動後に、 筋肉が慣れるまでリテーナーを使います。
しかしこれがなかなか慣れないし、舌は前歯のスペースが小さくなった分行き場が無くなり、無意識の時に前歯を押します。また一回の呼吸換気量が減って、顎を出したりして気道を確保する癖がつき、 猫背で首肩のコリも増します(睡眠時の無呼吸症も…)。
 そういったリスクを矯正治療前に説明するクリニックもありますが、日本ではまだ抜歯矯正が多いです。次回は「矯正が与える身体への影響」をお伝えします。


口の中をきれいに保つ「予防的ケア」が
身体と心の健康を増進します

タウンニュース麻生区版6月3日号掲載



 6月4日から10日は厚生労働省や日本歯科協会などが定める「歯の衛生週間」。日常ケアの重要性を以前から訴え、虫歯になってから治療するというこれまでの習慣ではなく、「虫歯にならない為の取り組み」を伝えることで地域の口腔ケアに従事するホワイトファミリー歯科(麻生区上麻生)の堤富紀子院長に、健康な歯を永く保つ考え方などを聞いた。

虫歯も歯周病もフロスによるケアで
             完全に予防することが出来る―

 最近になってブラッシング指導などの「予防ケア」が、虫歯治療の補助的な扱いではなくなってきているが、堤院長は「口腔衛生に対する意識の向上もあり、虫歯に罹る人が少なくなった一方で、異変に気づいてから歯科医院に向かう人はまだ多いですね。症状を感じてしまったらすでに重症化しているケースが大半なんです」と話す。予防ケアの考えは一般的になってはきたが、広く習慣化している欧米などと比べるとまだ発展途上というのが日本の状況だという。

定期チェックがもたらす身体全体の健康
 中途半端な治療や途中で通院を止めてしまった場合に頻発しているのが、被せものの中での虫歯の進行や歯科医が見逃していた虫歯の悪化など。「ホワイトファミリーでは20~30年、もしくは一生持つ耐久性を患者様と保つため、定期チェックを条件に10年間保証を提供しています。数年後に被せものを取り換えて、さらに虫歯を治療するといった悪循環よりもコストに優れています」。お手入れ指導から噛み合わせの修正といったプロの眼差しを定期的に盛り込む『歯科医とのコミュニケーション』が永く歯を健康に保つ秘訣と言えそうだ。  
 「口の中のばい菌は増加することで身体の中に侵入し、脳梗塞や心臓の疾患、関節炎やアトピーにも影響を及ぼしていることが今では分かってきています。24時間持続して口を清潔に保つことで腸内からお肌までもがキレイになります。身体を健康に保つ出発点として、口腔内を清潔にすることをこれからも発信していきたいですね」。

歯科医がすすめる定期チェック
小学生まで  ⇒3ヶ月に一度
中・高生  ⇒半年に一度
~40代まで ⇒半年に一度
50代から  ⇒3ヶ月に一度


毎食後のYホルダーフロスと就寝・起床時の歯磨き
 堤院長が勧めるのは毎食後すぐのフロスによる歯間の食べカスの除去と、就寝時・起床時の歯磨き。「トイレの際に毎回水洗するのと同じ感覚でカスを除去するフロスと、時間が経って増えたばい菌を落とすブラッシングの習慣づけを持ってもらうことが大切です」。

ぜひ考えて欲しい幼児期からの「健口生活」
 ホワイトファミリー歯科では幼児期からの口腔ケアと「噛むこと」の重要性も積極的に伝えている。

よく噛むことで夢や希望、発想力が育つ
 1回の食事で噛む回数が3000回ほどだった江戸時代に比べ、食生活が豊かになった現代は約800回と激減。これによる影響は現代の発育にも出ているという。「噛むことは脳への刺激になっていて、創造力の発育にも大きな影響があると言われています。乳歯は前歯から生えてきますが、前歯は言語や夢・希望といった『感情』、『意欲』などを司る前頭葉と密接な関係にあります。噛むことは心や気持ちの発達に大きく作用していますので、意識的にお子さんに食べ方を伝えて欲しい」。
 〝離乳食を食べさせる際もスプーンで押し込むのではなく、自分で捕食する感覚で〟、〝手づかみで食べることも口に入る量を自ら知るトレーニングになる〟といった子育てのコツや情報を講演などで発信している同歯科。「今は何かと急いだ子育てになりがちですが、食べることは生きることの基本。きちんとした食べ方を子どもが学ぶことで、良い噛み方になり、奥歯を含めて全体的に自然な歯並びになります。それが実は良い口腔環境を作り出す第一歩なんです」。

日々の健康は「健口生活」で
 堤院長は「かなりおせっかいな歯医者だと思います」と笑うが、幼少期からの口腔ケアが将来の永い健康を保つ第一歩。「歯科医院は虫歯を治すところ」という感覚ではなく、虫歯や歯周病にならない(再発を防ぐ)ための定期チェックやサポートを受ける場所、身近な先生がいるところとして気軽に活用していく新たな考えが『健口生活』を送る上で大切な要因となりそうだ。


ホワイトファミリーからアドバイス!
・Yホルダーフロス(糸ようじ)は歯間ブラシより機能が優れています。
若い時から使いましょう。
・歯間ブラシは歯肉を痛めるので、若い健康なお口では使わないで! 
・歯間ブラシは歯周病が進行した人向けのものです。        
・虫歯も歯周病も予防できるのがYホルダフロスです。       


白く健康な歯を保つケア法を教えてください

タウンニュース麻生区版4月15日号掲載

白い歯を保つには、自己磨きではどうしても限界があります。
歯を白くする謳い文句の歯磨きクリームを毎日使っていくと、研磨作用で
エナメル質が薄くなり、根面露出と歯肉退縮になっていき、
時々凍みるといった症状を招きます。
歯ブラシケアだけに頼ると、隠れ歯周病菌が増え、見えない部分の奥歯の歯と歯の間の隣接面根元で進行し、そこの部分の歯が溶けて10年で2㎜、20年で4㎜も骨が溶けてしまいます。
歯周ポケットは3㎜以内なのに、です…。
毎日フロスケアで隣接面を綺麗に保ち、20代から30代は6ヶ月ごとの歯科でのチェックアップで歯周病予防をマスターし、40歳を超えたら、毎月、歯を綺麗にしてもらう。
米国では、50歳以上の方の80%の方は、毎月歯科衛生士によるお手入れを受けています。
ストレッチやヨガ、マッサージなどと同じ頻度と考えるのが良いでしょう。

20~30代は半年、
40歳を超えたら月1回、
虫歯でなくとも歯科でのお手入れが◎


歯ブラシ時に出血することがありますが鍛える方法は?
血が出る位強く磨けと言われた事がありますが…

タウンニュース麻生区版3月25日号掲載

歯肉からの出血も、胃潰瘍の出血も同じ症状です。
これは、身体を包んで守っている表面の細胞の結合が壊れているということ。
歯ぐきで言えば、それは歯周病菌が体内へ侵入している証拠なんです。
皮膚も粘膜も、コラーゲンとビタミンCで細胞結合ができています。
菌もウイールスもカビ菌も歯周病菌も、数が少ないと大人しいのですが、増えて多くなると、凶暴で攻撃的になり、活発に体内へ侵入して赤血球を餌にし、血小板の中に潜んで、体内をぐるぐる回り、脳や腎臓、肺、心臓、関節、血管内壁などにその毒素で影響を与え、命に関わる疾患の原因となっています。
鍛えるというより、歯肉が健康になってくれば、細胞結合がしっかりします。
健康にするには、除菌というより『予防ケア』です。
食後3分以内のYホルダフロスケアと、寝る前・朝起きの歯ブラシの除去ケアで、いつも菌を少なく保ちましょう。

「鍛える」は×、
食後3分以内のYホルダフロスと寝る前・起床時の歯ブラシが◎


口の中を清潔に保つ歯磨きの頻度を教えてください

タウンニュース麻生区版2月26日号掲載

「歯磨き」とおトイレの「水洗洗浄」は同じタイミングで!!
水洗洗浄は使った後すぐに流すので、その都度タワシでこすらなくても綺麗さが保てます。
お口の中も同じで、食後すぐ、3分以内が勝負です。早ければ早いほど、菌やネバネバは少なく、軽い歯磨きで綺麗になります。
※よく言われる「食後30分以内の歯磨き」だと、菌の出す酸とネバネバが増殖し、磨き残しが増えます。
ただ、食後すぐに磨いていても磨き残しは10%以上あるといわれていますので、数時間経つと口臭はでてきます。また寝る前と朝起きた時、食後から時間が経ったタイミングも重要です。つまり歯をきれいに保つ頻度は「毎食後3分以内」と「寝る前・朝起きた時」の計5回が最適です。
食後3分のお手入れは、歯と歯の隣接面を集中的に、「Yホルダフロス」の活用をオススメします。歯の表面は、噛むことで綺麗になっており、菌はほとんどいません。
食後3分以内のケアを「予防的ケア」、寝る前、朝起きた時のケアを「除去的ケア」と言います。菌の量とネバネバの量が多い場合、除去的ケアになり、これは、しっかり歯ブラシのケアもしましょう。
1にYホルダフロス、2に歯ブラシ、3に喉からうがいが良いでしょう。

食後3分以内の予防的ケアと就寝・起床時の除去的ケア