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血管からの歯周病原菌検出率

【研修最前線】
東京医科歯科大学 2013年研修医セミナー第22週
「歯周病と全身の健康との関わり」

循環器疾患とも関わりの深い歯周病。
動脈疾患患者の血管では、口腔と同じ歯周病原菌が検出されるという。
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野教授の和泉雄一氏が、自施設の研究を基に解説する。
まとめ:酒井夏子(m3.com編集部)

■歯周病と心臓血管系の疾患との関連

次は、歯周病と心臓血管系の疾患との関連です。基本的には、歯周局所で産生された炎症性サイトカインや歯周病原細菌由来の内毒素(LPS)が血流を介して全身に広がることにより、血管内壁のアテローム形成に関与し、血管を詰まらせる原因のひとつになると考えられています。

歯周病と心臓血管疾患の関連

動脈疾患患者の歯周病態

口腔および血管壁からの歯周病原細菌DNAの検出

これは本学の血管外科との共同研究の結果です。動脈疾患患者の歯周病の状態、唾液中と摘出した血管壁からの歯周病原細菌の検出を行いました。134名の動脈疾患患者さんの歯周病の状態は、約4分の3が中等度から重度の歯周炎に罹患していました。また、134名の歯周病患者から歯周病原細菌の検出率は、口腔内で97%、血管壁からは72%を示しました。Red complexに含まれているP. gingivalis、T. denticolaは血管壁からも高頻度で検出されていました。特に、Aggregatibacter actinomycetemcomitansは口腔内で検出されると、必ず血管壁からも検出されています。

末梢動脈疾患のロジスティック回帰分析

これは、末梢動脈疾患のロジスティック解析の結果です。特に、喫煙、年齢、性別、糖尿病は末梢動脈疾患の大きなリスクファクターと考えられていますが、このような交絡因子を平均化して、歯周炎がどれだけ強く関わっているか計算してみました。そうしますと、歯周病のオッズ比が5.45という数値が出ました。性別が1.65という数値を考えると、かなり高い数値だと思います。

■バージャー病、口腔内と血管から同じ細菌が検出

歯周病原細菌に対する血清IgG抗体価の上昇とバージャー病の関係

これは、本学血管外科の岩井武尚名誉教授との共同研究の結果になります。歯周病原細菌に対する血清IgG抗体価の上昇とバージャー病との関係です。バージャー病は、ご存じのように、20歳から40歳の男性を中心に発症して進行する閉塞性血栓血管炎です。これまでは特に喫煙が大きく関わっているということが注目されていました。

バージャー病の患者さんを対象に、歯周病の状態と摘出した血管壁を調べたところ、歯周病原細菌が高頻度にパージャー病患者の閉塞した動脈から検出され、特にRed complexであるT. denticola、P. gingivalisやP. intermediaという歯周病原細菌が多く検出されました。

バージャー病の患者さんの足の部分

これはバージャー病の患者さんの足の部分です。左足の親指と小指が壊死して切断されています。バングラディシュの首都であるダッカに行き、ダッカ大学病院に入院している患者さんの足の部分を撮ってきたものです。この患者さんの口腔内を見ますと、多量のプラークの付着や歯肉に非常に強い炎症が認められ、重度の歯周炎に罹患しているのが分かると思います。

バージャー病患者の歯周病の状態と検出された歯周病原細菌

これは、14名のバーシャー患者さんの歯周病の状態と口腔内および摘出した血管からの歯周病原細菌の検出を比較したものです。例えば、3番目の患者さんを例に取ると、歯周病の状態はCですから、重度の歯周病に罹患しています。摘出した血管からは、4種類の歯周病原細菌が検出されました。口腔内からは6種類が検出され、このうち4種類すべてが一致しています。すなわち、口腔内と摘出血管から全く同じ細菌が検出されたわけです。

歯周病原細菌4菌種に対する血清IgG抗体価の比較

同様に歯周病原細菌に対する血清IgG抗体価を調べ、バージャー病患者と対象患者を比べると、T. denticola、P. gingivalis、A. actinomycetemcomtansに対する抗体価がバージャー病患者で、いずれも有意に高い値を示しました。バージャー病患者で歯周病が重症化していたことを示しています(続く)。

2014年4月4日 提供:酒井夏子(m3.com編集部)