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超高齢社会に向けた歯科口腔保健

我が国の高齢者の人口は3000万人を超えた。要介護高齢者あるいは終末期、認知症になった方々への歯科の関わりは欠かせない。また、長寿化は、高齢者の生活時間が長くなるということであり、健康な方に対する疾患の発症や重症化予防にはさらに力点を置く必要がある。そしてその取り組みは、成人期から効果的に行われる必要がある。
「歯科口腔保健の推進に関する法律」には、「国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしている」と明記されており、歯科界は、今後「歯から口腔、口腔から全身、全身から社会」をみつつ、国民の健康づくりを支援することが重要である。健康長寿社会達成のためにはう蝕や歯周病などの歯科疾患への対応だけではなく、糖尿病、がん、脳卒中などの生活習慣病(NCDs)の共通リスクに対して、健診・保健指導と健康教育を一体的に提供しなければならない社会を迎えている。
もとより、歯科医師法の第1条には「歯科医師は、歯科医療及び保健指導を掌ることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする」とある。日歯が策定・公表した成人期以降の「生活歯援プログラム」は保健指導を掌ることの重要性に鑑み、ツール化したものである。
このプログラムは成人歯科健診と保健指導を一体的に提供し、継続的に地域の歯科医療機関がフォローアップできるシステムである。古くから「予防はより上流から」との定説は、成人期での本システム導入が超高齢社会に向けた介護予防に寄与することを確信させる。

2013年10月10日
提供:日本歯科医師会地域保健・産業保健担当常務理事 佐藤 徹氏