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輸液:生理食塩水は何mEq 輸液 抗菌薬も
「Na」含む 1日に人は700mL水分喪失

生理食塩水は何mEq 東京医科歯科大学、
2013年研修医セミナー第10週「輸液」


輸液は医者が最低限、知っておくべき知識の一つ。
復習の意味も含め、改めて輸液を振り返っていく。
臨床教育研修センターの角勇樹氏が解説する。
まとめ:星良孝(m3.com編集部)


基本的な輸液の組成

講師は、臨床教育研修センター講師の角勇樹氏。

角 今日はよろしくお願いいたします。輸液については皆さん、もう頭に入っているかと思いますが、基本的なお話をしたいと思います。 実践に即して輸液の名前は医科歯科大学で採用している商品名でお話しします。お手元には添付文章から抜粋した輸液の組成を書いた紙「添付文章抜粋」があると思います(資料はこちらからダウンロードできます)。また「輸液について」まとめたテキストブックも作りましたので配布してあります。後で読んで下さい。
まず、輸液の組成についてですが問題1を埋めていってください。当てますので、1人1人発表してください。

問1の問題

問1の問題


では、簡単なのから行きますか。生理食塩水はどうですか。はい。そうですね、ナトリウム154mEq、血清との浸透圧比は1ですね。
では、次のラクテック。ナトリウム130mEq、カリウム4mEq、血清中の電解質とほぼ同じで浸透圧比は大体1ですね。
では、次はどうでしょう、ラクテックG。ラクテックと何が違うのでしょうか。糖分は何パーセントでしょうか。これは(Cal)はカルシウムではなくてカロリーですね。カロリーは何キロカロリーか。1Lで。はい、その通りですね。糖分は5%、1Lで200kcal、浸透圧比は2ですね。
では、次のブドウ糖5%。浸透圧比は1ですね。浸透圧比というのは、後で出てきますが、非常に重要になります。
では、次のソルデム3Aのナトリウム35mEq、カリウム20mEq、浸透圧比は1。ブトウ糖は4.3%ですね。
では、ソルデム3AG。ブドウ糖は何パーセントでしょうか。これは基本ですよ。ブトウ糖7.5%で、浸透圧比は2ですね。
それから、ビーフリードはソルデム3AGと何が違うのでしょうか。アミノ酸ですね。ソルデム3AGにアミノ酸が入ったのがビーフリードになります。この辺は基本的な輸液になります。

問1の答え

問1の答え

では、後は、時間がないから解答を出してしまいます。


輸液の道具と種類

注射針・カテーテル/翼状針

注射針・カテーテル/翼状針

角 まず、輸液の道具についてお話しします。もう研修医の皆さんは病棟に出ているから知っていると思うのですけども、学生さんはあまり知らないかもしれないですね。一番簡単なのは翼状針といって、針に羽がついているトンボ針ともいわれています。これを静脈に刺すというのが一番簡単な輸液の方法になります。

注射針・カテーテル/留置針

注射針・カテーテル/留置針

次が留置針で、カテーテルハブの内筒に針を入れて静脈に穿刺し、柔らかい外筒をさらに挿入しつつ金属の内筒針を抜き、留置します。

注射針・カテーテル/中心静脈カテーテル

注射針・カテーテル/中心静脈カテーテル

中心静脈のカテーテルとしてはこういう形のものになります。首から入れる場合は約30センチ、足から入れる場合は約70センチのを使いますね。この例はダブルルーメンですけども、中に穴が2つあって、出口が違います。だからカテーテル中では混ざらない。こういうカテーテルを使います。

静脈路/抹消静脈

静脈路/抹消静脈

これは末梢静脈に使う点滴ですけども、点滴筒の中で点滴をぽたぽたと落として、クレンメで流量を調整します。そして、この先に針が付いています。

注射針・カテーテル/中心静脈カテーテル

静脈路/CV

中心静脈栄養(高カロリー輸液)になると、フィルターが入ることが多いです。フィルターを使わなければいけないときと、使ってはいけないときというのがあって、点滴中の粒子が大きいものはフィルターを使うと目詰まりを起こしてしまいます。逆に、フィルターを使わなければいけないものもあります。また点滴路の素材を注意しなくてはいけない薬もあります。

2013年9月6日 提供:まとめ:星良孝(m3.com編集部)


輸液、抗菌薬も「Na」含む

2013年9月9日
点滴の方法の基本を押さえたい。
必要な輸液をするために必要な条件とは。
臨床教育研修センターの角勇樹氏が解説する。
まとめ:星良孝(m3.com編集部)


輸液の点滴方法

点滴方法/自然落下

点滴方法/自然落下

角 さて、次に点滴の方法に移ります。点滴をぽたぽたと落としますね。それで、今は20滴が1mLということになっています。ですから、1秒間に1滴落としたら、1分間に3mLs入りますね。
では、問題です。20滴1mLの点滴セットを使って、1時間40mLの補液をしたい。1分間に何滴、滴下させればよいでしょうか。これはもう皆さん医学部に入ったわけですから簡単にできると思うのですけども、30秒考えてください。当てますからね。準備しておいてください。

点滴方法/問題

点滴方法/問題

簡単でしょう。はい。
研修医 13滴ですか。
角 では、正解を見てみましょう。確かに、正解ですね。13滴です。素晴らしい。1時間40mLなので、1mL20滴で800滴になります。それを1分間、60で割ると13滴になりますね。

点滴方法/輸液ポンプ

点滴方法/輸液ポンプ

先ほどのクレンメでぽたぽたと落とすほかに、こういう輸液ポンプを使う場合もあります。これは非常に正確なのですけども、重いのですね。これを持って患者がトイレに行ったりするのは結構大変です。抗癌剤を投与するとか、そういう正確な点滴が必要なときはこういう輸液ポンプを使います。

点滴方法/シリンジポンプ

点滴方法/シリンジポンプ

それ以外に、微量な量のときですね。一時間に1mL、0.5mLといったごく微量を点滴したいときは、こういうシリンジポンプに注射器を入れてゆっくりと落とします。


輸液1日投与組成を計算する

問2.輸液1日投与組成の問題

問2.輸液1日投与組成の問題

では、2番の問題に行きましょう。ある患者にメーンとしてソルデム3AGを500mL、ラクテックGを500mL、ソルデム3AGを500mLの3本を投与し、側管から抗菌薬のペントリン1gと生理食塩水100mLを10時と20時に投与することにしました。
さて、1日どれくらい投与することになるでしょうか。では、1分間で考えてください。

問2の回答

問2の回答

では、1行目から行きますね。ソルデム3AG、500mlはナトリウム17.5mEq、カリウム10mEq、ブトウ糖は7.5%で150kcalですね。
ラクテックGを500mL投与ですから、どうですか。はい。その通りですね。ナトリウム65mEq、カリウム2mEq、Dソルビトールは5%で100kcalですね。
では、ついでに3番目のソルデム3AGはどうですか。はい。そうですね。1行目と同じです。
では、次、ぺントリン。まず容量はどれくらいですか。容量はなしのゼロ。ではナトリウムはどれくらいですか。この場合、抗菌薬自体に1g当たり1.93mEqのナトリウムが入っているので注意してください。
それでは、後はもう小学生の問題ですけども、足し算しましょうか。いくつになりますか。
正解を出します。1日の投与として、まず容量とナトリウムの量とカリウムの量、糖分と、後は熱量ですね。カロリーを計算します。
輸液の投与は基本中の基本ですから、皆さん、しっかり覚えてくださいね。

2013年9月9日 提供:まとめ:星良孝(m3.com編集部)


1日に人は700mL水分喪失

2013年9月11日
輸液によって患者の状態が変わる。
基本を守って適切に処置することが大切だ。
臨床教育研修センターの角勇樹氏が解説する。
まとめ:星良孝(m3.com編集部)


知っておくべき輸液の基本

講師は、臨床教育研修センター講師の角勇樹氏。
角 それでは、まず輸液の基本ですけども、1日に人はおよそ700mLの水分がなくなっていきます。簡単に言うと、飲まず食わずの人に1500mLの点滴をすると800mLの尿が期待され、700mLは自然に失われます。

点滴組成/維持輸液・輸液量

点滴組成/維持輸液・輸液量

1日に人はどれくらいナトリウム、カリウムが必要かというと、ソルデム3Aのような3号液の1L分とほぼ同じと考えて良い。だから3号液は維持輸液と呼ばれるのです。電解質はナトリウム35mEq、カリウム20mEq入っています。

点滴組成/維持輸液・電解質

点滴組成/維持輸液・電解質

例えば、肺炎の方が入院してきたとします。その場合、ソルデム3Aを1000mLと、抗菌薬を溶いた生食100mLを1日2回。そうすると、トータル補液量は1200mLで、ナトリウム66mEq、カリウム20mEqになります。これくらいが最低の必要量ということを覚えておいてください。


血管炎を起こさないための注意点

点滴組成/維持輸液・浸透圧

点滴組成/維持輸液・浸透圧

角 点滴をすると患者が「血管が痛い」と言うことがあります。ひどい人だと血管に沿って発赤したり固くなったりします。どのような点滴だとそうなり易いかというと、一つは浸透圧が高い補液ですね。生理食塩水や5%ブドウ糖は、血清とほぼ同じ浸透圧で刺激が少ないのですが、浸透圧比が高くなると痛みが出やすくなります。だから基本の輸液は生理食塩水と5%ブドウ糖です。浸透圧が血液と同じで血管炎を起こしにくいのですね。だいたい経験的に浸透圧比3ぐらいまでなら末梢血管から大丈夫です。つまりビーフリードぐらいまでだったら、短時間でしたら何とかなりますが、それ以上だったら中心静脈からの投与が必要となります。
その他、点滴中のカリウム濃度が高いと炎症を起こします。また、pHによっても痛みが出ます。例えば、ミノマイシンというのは抗菌薬ですけども、これは炎症を起こすほど酸性度が強い。胸腔内に投与し炎症を起こさせて胸膜癒着にも使います。こういう酸性度の強い抗菌薬を点滴したら当然、血管炎を起こしやすくなります。

2013年9月11日 提供:まとめ:星良孝(m3.com編集部)