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歯科治療が必要とされた半数の子どもが受診しない

幼児、学童の歯科初診料や、オーラルケア指導などの窓口負担を無料にすべき、咬合崩壊による生活習慣病の根源的解決になります。


大阪府歯科保険医協会 小学校調査
背景に経済的困難も「窓口負担を無料に」 協会提起

 大阪府歯科保険医協会が昨年、府内の公立小学校での歯科検診について行った調査で、2011年度治療が必要と診断された子どもは3人に1人、うち歯科医院を受診した子どもは半数にすぎないことが分かりました。

 調査は、府内公立小学校1017校にアンケートを送付。回答があった156校で歯科検診を受けた子ども6万9721人のうち「要治療」は2万3224人で33・3%。

そのうち歯科医院を受診したのは1万1565人(治療率49・8%)でした。

 治療率(治療完了または治療中)が最も低い学校は11・8%、最も高い学校で92・7%と大きな差がありました。

協会では「治療が必要とされた半数の子どもが受診しない、またはできないという結果に驚かされた」と話します。

 回答を寄せた養護教諭で、「経済的な理由で歯科治療を受けることができず、口腔(こうくう)内が『崩壊状態』(むし歯が10本以上ある、歯の根しか残っていないような未処置歯が何本もあるなど)と見られる子に出会ったことがある」は61人(39・1%)で、事例は61件ありました。

 「永久歯のむし歯が14本」「入学時から4本くらいしかなかった」など、食事すら困難ではないかと思われる事例も多いといいます。その実態からは、▽生活保護や就学援助を受け、経済的に困難を抱えている家庭▽口腔内に対する親の意識が低い▽ネグレクト(育児放棄)の傾向が見られる、などの特徴があると指摘。「家庭内の困難が口腔崩壊という現象となって象徴的に現れていることがうかがえる」としています。乳歯がむし歯や抜歯となることで、顎骨の成長や永久歯に影響が及ぶといいます。

 同協会は、すべての子どもが安心して必要な歯科治療を受けられるように直ちに対策が必要だとして、▽窓口負担を無料にする(府下43自治体のうち27自治体は子どもの医療費助成が「就学前」以下)▽検診時の歯科衛生士の配置など、行政の責任による検診の抜本的強化▽学校、行政、地域の歯科医院の連携した口腔保健のとりくみ、などをあげています。

医科歯科通信記者 氏 
長年にわたり歯科界の動きをチェックし、鋭い視線で切り込みます。茨城県出身。(医科歯科通信)

2013年1月8日 提供:新聞赤旗