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特集 歯ッピーライフ 
正しい知識で健康に よく「噛む」ことが大切

 ◇ブラッシング、フッ素塗布…丁寧にアドバイス 岡山大病院でイベント

 歯の衛生週間(6月4〜10日)に合わせて岡山大病院(北区鹿田町)は、正しい知識を身につけてもらおうと「歯ッピーライフ2011」と題したイベントを行った。歯科衛生士による体験ブラッシングや子供へのフッ素塗布などがあり、歯や口を健康に保つ大切さを説いた。

 フッ素塗布には多くの親子連れが訪れた。フッ素塗布は歯を強くするといい、虫歯予防などに効果がある。特に歯が生え変わる子供には有効だという。岡山大病院小児歯科医の西村美智子さんが歯ブラシを使いながら丁寧にフッ素の入ったジェルを塗っていた。西村さんは「生えて間もない未成熟な歯には有効。家庭でも市販のジェルを使って塗ることも必要です」と話した。

 体験ブラッシングでは、顕微鏡で歯垢(しこう)を観察するなどした。歯周病の原因となる線状の菌が見つかると、歯科衛生士が「歯科医にかかってクリーニングをした方がいいですよ」とアドバイスした。また親知らずの磨き方などについても丁寧にアドバイスした。

 イベントには歯科技工士による入れ歯を作る工程の展示や歯科医によるチェロのコンサートなどもあった。

 イベントでは、岡山大病院小児歯科医の岡崎好秀さんと臨床栄養部副部長の坂本八千代さんがミニ公開講座を開いた。

 岡崎さんは「世界で一番受けたい授業〜ふしぎ・ふしぎ噛(か)むことと健康〜」と題し、噛むことに関わるさまざまな知識をクイズ形式で説明した。イギリスの家庭医学書の中には、よく噛むと耳垢(あか)がたまらないと書いてあるといい「噛むことで耳の近くの関節が動き、たまった垢がはがれ落ちるんだそうです」と紹介した。

 柔らかい物を噛んだときと、固い物を噛んだ場合の体温分布が色で分かるサーモグラフィー写真を表示した。「固い物を食べると人間の顔の体温が高くなる」といい、「よく顔の筋肉が動いて、血液の巡りが良くなっている証拠」と話した。するめを噛む前と後で100マス計算の正解率にも違いがあるといい「噛むと解ける問題の数が増えた」と噛むことと集中力の関係について解説した。

 坂本さんは歯と栄養の関係について講演し、栄養失調で歯が抜けることがあると訴えた。「『栄養失調は昔の話』と思われるかも知れないが今はがんなどの病気で食べられなかったり、吸収できず、徐々に栄養失調に陥ってしまう」と話した。また「やせたい」という願望のある若者がどんどんやせていってしまうと歯が突然抜けてしまうことがあるという。坂本さんは「みなさんの健康状態が一番わかりやすいのは体重です。自分の身長に合った標準体重を把握することが大切です」とアドバイスした。【石井尚】

2011.06.17 記事提供:毎日新聞社