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私立歯科大学協会
歯大・歯学部入学者減少
誤った情報流布など4つの理由

 社団法人私立歯科大学協会は、このほど、平成22年度入試結果について、各大学の募集人員、志願者、受験者、入学者の各人数を公表した。また、私立歯科大学協会として、「学者減少の要因として考えられること」に対しての見解と「歯科医療の将来に向けて」としてのコメントを出した。

 まず、「学者減少の要因として考えられること」として、
@歯科医師過剰とか歯科医師の多くがワーキング・プアなど、根拠なき誤った情報が社会に流布されていること、

A新規参入歯科医師の抑制を目的とした歯科医師国会試験の合格率の調整による合格者の減少が、受験生やご家族に卒業後の進路に不安を抱かせる結果になっていること、

B近年の経済状況の悪化により、高額な学費負担が歯学部進路志望をためらわせていること、
C医師不足対策として医学部定員増(3年間で約1,200人、医学部を10校新設したようなもの)が実施されたこと、
としている。

 一方、「歯科医療の将来に向けて」については、
@現在、我が国の歯科医師養成の75%を担う私立歯科大学・歯学部の志願者および入学者の減少は、次世代の優秀な歯科医師を育成することが困難になるという危機的な状況です。このような状態が続けば、我が国の歯科医療制度の維持、増進に悪影響を及ぼすことは必定であり、ひいては、歯科界の崩壊に繋がりかねず、今後はますます高齢化する国民の歯科医療の安心・安全が保持できなくなることが大いに憂慮されます

Aこのことは、いち私立歯科大学・歯学部だけでなく、国、大学、日本歯科医師会など歯科界全体で早急に取り組むべき問題であると考えています、

B現在、私立歯科大学・歯学部は、本協会を中心として、歯科医師を志す若者に将来に夢を持ってもらえるように、社会に向けて歯科医学・歯科医療に関する正確な情報を広報すべく努力をしているところです、
とした。

 その一方で、私立歯科大学協会に加盟している17大学の抱えている課題・背景は異なり、特に、各大学の国家試験合格率、入学定員割れに対しての、歯科界や社会からの評価は、厳しいことは周知の事実。大学関係者からのも「特定の大学だけが、問題視されているのなら、その努力や判断に委ねることで済むが、すべての大学が、同様に見られることには不快感はあります。要するに、一連托生になることを危惧しています」とする声は多い。
  また、日歯や国公立大学の意見も、協会とは必ずしも一致しない点もあり、問題の難しさ、複雑さが逆に露呈することが懸念されている。ただし、事務局としては「歯科医療を受ける立場・国民の一人として、このままの状態では、不安が募るばかりで、何らかの対策を、国を含め歯科界全体で、改善・解決をしてほしいもので、議論も前向きかつ建設的な内容を期待したいものです」と述べている。

 なお、各大学の募集人員(入学者)は次の通り。
北海道医療大学歯学部:96(48)、岩手医科大学歯学部:70(42)、奥羽大学歯学部:96(32)、明海大学歯学部:120(95)、東京歯科大学:128(128)、昭和大学歯学部:93(103)、日本大学歯学部:128(128)、日本大学松戸歯学部:128(97)、日歯大生命歯学部:128(128)、日歯大新潟生命歯学部:96(58)、神奈川歯科大学:120(76)、鶴見大学歯学部:128(76)、松本歯科大学:80(35)、朝日大学歯学部:128(106)、愛知学院大学歯学部:128(128)、大阪歯科大学:128(128)、福岡歯科大学:96(81)。