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変わる歯医者さん?過剰サービス?

変わる"歯医者さん"像 短期治療や子ども専門も
都市部過剰でサービス過熱

 都市部を中心に歯科医院の過剰が目立っている。全国の歯科診療所数がコンビニの店舗数を上回るといわれる中、旧来の治療方法や経営手法にとらわれず、独自の路線や発想で新たな"歯医者さん"像を模索する動きが出てきている。

  ▽漫然一掃!

  突然の歯痛で歯医者に駆け込んだ。忙しい中、通院したが、いつ治療が終わるか見通しがつかず、頼んでもいない歯垢(しこう)取りまでされた-。こんな経験はないだろうか?

  こうした疑問に耳を傾け「ゴールが見える歯科治療」を目指すのが都内で5軒の歯科医院を展開する「K.U歯科」だ。同歯科は治療前のカウンセリングで患者の希望に沿った治療計画と費用見積もりを提示し"漫然治療"を一掃する。忙しい患者の希望があれば早朝治療にも応じ、通常約2カ月かかる大掛かりな治療をわずか3日間ほどで終える「短期集中治療」も実施。同歯科を運営する医療法人社団、京和会の梅田和徳(うめだ・かずのり)理事長は「歯科医は治療に責任を負い、患者は治療を問いただす。欧米のような『治療契約』という概念を前提にしている」と言う。

  ▽遊園地

  ディズニーキャラクターの人形があふれ、かわいらしいBGMが流れるのは小児専門の「白金こどものはいしゃさん」(東京・港区)。「歯医者は怖い」と言う子どもの心理に配慮し「楽しくて通いたくなる歯医者さん」を目指している。

  受付やトイレを子どもの目線に合わせ低く設置し、診察台はオレンジ、緑、ピンクとカラフルで遊園地のような雰囲気を演出。診察台にあおむけになった子どもが天井に特設されたテレビ画面のアニメに夢中になっている間に治療は終わってしまうという段取りだ。

  昨年6月の開設から治療を受けた子どもは千人を超え近県から電車を乗り継ぎ通院する親子連れもいるという。運営する医療法人社団、SDCの園延昌志(そのべ・まさし)理事長は「子どもは治療による痛みよりむしろ恐怖心が先立つ。人間関係を作り安心感を与えることは小児歯科に限らず歯科治療全般に応用できる」と指摘する。

  ▽サービス過熱

  現在約10万人いる歯科医師のうち勤務医の割合は1割ほどで大半は個人で診療所を経営する開業医だ。患者数は横ばいなのに歯科医師の総数は増加傾向。厚生労働省も抑制に動いているが過剰状態は変わらない。中でも新規開設が集中する都市部では、高度な治療が可能な歯科版「総合民間病院」ができたり、24時間対応や患者の無料送迎などサービスは過熱気味

  一方、「高い金を出して歯医者になってもうま味がなく、自分の子どもを継がせるのに二の足を踏む開業医も増えている」(都内の歯科医師)といい、本格的淘汰(とうた)の時代に入った歯科診療所を取り巻く状況は厳しい