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日本歯研からの新製品の
スーパーフィットな合金?
SFG60のデメリットは?

二次齲蝕ゼロを目標にSFG60を開発

SFG60説明会

  日本歯研工業(株)の新製品「スーパーフィットゴールド60(SFG60)について、大塚昌助社長は、「サバイバルの時代、保険外診療には質の高い修復治療が期待されている。本製品は、そのために開発したハイパー金合金である」と述べた。

  販売代理店を対象にした製品説明会であったが、SFG60の特徴については以下のとおり説明し、 ついで各氏がその特徴を述べた。

<大塚昌助社長の説明>

  二次齲蝕ゼロ、つまり修復治療を保証することはむずかしいことだ。 自動車、家電、パソコンなどは保証があるが、医療に保証は聞いたことがない。 あくまで、新製品は治療の保証を目標として開発したものである。

  SFG60は、今までの鋳造金合金と比べて性質も性能も治療法も格段に違う。 鋳造のまま仕上・研磨しても支台歯や隣接面等全ての部位で過不足なくミクロン単位で均一に適合する。 対合関係も含めてほとんど削合なしに思ったとおりに正しく適合するので、従来法に見られない優れた鋳造修復結果が得られるので安心である。

  優れた適合の原理は鋳造収縮率が低く、融点は790℃と低く、低温鋳造ができるので埋没材から受ける膨張収縮時の変形が少なく、ミクロン単位の均一で安定した鋳造精度が得られる。
SFG60は二次齲蝕ゼロを目標にしているハイパー金合金である。 本品と相性の良い市販の合着・接着用レジンセメントが超均一で精密な適合をサポートする。 これ等のレジンセメントによるコラボレーション効果が二次齲蝕をゼロにする優れた鋳造歯冠修復治療を生み出すので、サバイバルの時代臨床家の先生方に薦めてほしい。

<研究開発課辻本修氏の説明>

  スーパーフィットゴールド60は、頭文字から略称はSFG60としている。
  新素材のSFGは、全ての当社のキンバレイ系の製品と同様に、金属イオンの総溶出量が極めて少ない金合金である。 金60%、銀19・7%、パラジウム4%、その他インジウムである。 鋳造収縮率が低い。収縮率は0・86%である。 これは一般の金合金の半分以下の収縮率である。 つまり、鋳造時の変形がそれだけ少ない。 均一に寸法精度が得られる。

  また、SFG60の融点は790℃である。 普通の金合金より100℃低い。 埋没材の温度を低く設定できる。
  このことから熱による膨張、収縮が小さい。 鋳造修復全方向の制度が30ミクロン以内で均一に得られる。
  SFG60は融点790℃、18K金合金900℃、12%金パラ920℃。 鋳造温度は、SFG60は550℃、18K金合金700℃、12%金パラ700℃。 収縮率は、SFG60は0・86%、18K金合金1・46%、12%金パラ1・43%。
  18K金合金には、銅が15%含まれているので、鋳型から掘り出すと黒い酸化幕ができる。 SFG60は、黄金色であり酸処理やサンドブラストの作業が不要となる。

  色調はさわやかな黄金色で、口腔内でさらに違和感がなく審美的な黄金色が輝く。
  インレー、クラウン、ブリッジ、前装冠、コアおよびロングスパンブリッジ、クラスプやバー、デンチャーのキャストフレーム等、すべての症例においてSFG60は高い品質を維持し適応する。
  銅は唾液に溶出しやすいが、SFG60は溶出しやすい金属を低減しており、極めて唾液への金属イオンの総溶出量は極めてすくない。

<東京歯科大学歯科理工学教授小田豊氏>

  SFG60をテストいたが、適合性の問題では、同じ金属材料を使用してもギャップがある。 それはなぜかといえば、鋳造体の適合性を左右する要因はいくつかある。

  ほとんどの印象材は収縮する。 変形するのは0・2%〜0・4%である。
また、模型材、石膏も膨張、収縮をする。 これが0・1%〜0.2%である。
ワックスも加圧すると膨張する。 当然変形につながる。
  金属自体鋳造すると膨張、収縮するが、この値が1・0%〜2%。 それをカバーするまめに埋没材が、0・5%膨張させて適合させようと考えたのが歯科の精密鋳造となる。
  その他熱処置による膨張、収縮がある。 小さいもので1・46%の収縮率である。 大きいもので1・51%の収縮率。 銀合金は1・82%の収縮率。

(埋没材と埋没の条件による違いを説明)
  SFG60は、融点の固相点が662℃。液相点が790℃である。 ISOの耐力では、硬化が513、軟化が309。 伸びは硬化7・4、軟化18・8。
  耐食性(溶出量)は30マイクロ以下、基準は200マイクロ以下となっている。
そこで、SFG60と18K金合金(金75%、銀10%、銅15%)、12%金パラ(パラグロリアF.G.12)とを比較をした。 SF18K金合金1・46%。 12%金パラが1.43%。 SFG60の収縮率が小さかった。
  変形が少ないし、適合がいいものを作りやすい。 SFG60は、鋳造後の酸処理が必要ではなかった。

(試適時の適合性、合着後などの数値化したデータを説明)
  SFG60の精度・適合性は30ミクロンであった。 18K金合金、12%金パラは80ミクロン程度の適合性。 50ミクロ50の不適合のギャップがあると、象牙細管が露出する。 象牙細管のサイズは、1・2ミクロンから1・5ミクロンである。 クラウンだと単純計算で約20万個の象牙細管が露出する。
  セメントは強度が強いものではないのシールしても封鎖することはむずかしい。 不適合のギャップが二次齲蝕の原因となる。
  審美修復のコンポジットレジンは2%ほど収縮する。 ジルコニアも変形する。 適合性を犠牲にして、審美修復材料を使っているのが現状である。

  適合をおろそかにしてはならない。 これまでは、銅を含有させることで強さを保ってきたが、SFG60銅を含まない。 適合性の良い修復物を、臨床に応用すべきと考えている。

 

2009.8.28 記事提供:医科歯科通信