大豆、イソフラボンは女性に肝臓がんのリスクを高める?

メタボは肝がんリスク高く イソフラボンも関連か

肝臓がんのなりやすさと関連する要因を厚生労働省研究班(主任研究者津金昌一郎(つがね・しょういちろう)国立がんセンター予防研究部長)が疫学調査で分析したところ、メタボリック症候群につながる肥満や高血糖だとリスクが高まり、女性では、大豆食品に豊富に含まれるイソフラボンの摂取が関連する可能性が、10日明らかになった。

研究班は「がん症例が少なく、結果がすべての人に当てはまるとはまだ言えない。だが肝がん患者の約8割を占める肝炎ウイルス感染者には、生活習慣を見直す参考になるのでは」としている。

調査は、新潟など6府県の40-69歳の男女約2万人を1993年から最長2006年まで追跡。この間に102人(男67人、女35人)が肝臓がんになった。

メタボリック症候群につながる高血圧など計5つの要因との関連を調べたところ、過体重(肥満)と高血糖が重なると、何の要因もない人に比べ肝がんのリスクが3.4倍になった。

イソフラボンは、食事内容から割り出した摂取量によってリスクを検討。男性は関連がなかったが、女性では、摂取量が最多(一日当たり豆腐なら100グラム以上)のグループのリスクは、最少(同50グラム未満)グループの最大3.9倍だった。

倉橋典絵(くらはし・のりえ)国立がんセンター研究員は「イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンと構造が似ており、もともと肝がんの予防作用があるとされるエストロゲンの働きを妨げる可能性があるのではないか」と話している。

2009.3.10 記事提供 共同通信社

女性は大豆食べ過ぎないで 乳がんリスク減も肝臓がん危険性高まる 
厚労省研究班

大豆製品をたくさん食べる女性は、あまり食べない女性に比べて肝臓がんになる危険性が3-4倍に高まることが、厚生労働省の研究班(主任研究者、津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の大規模調査で分かった。大豆に含まれるイソフラボンは、乳がんのリスクを減らすことが知られており、研究班は「食事を通して適度に取るのがいい」としている。

研究班は93年から05年まで、6府県の男女約2万人(開始時40-69歳)の健康状態を追跡した。うち101人(男性69人、女性32人)が肝臓がんになった。アンケートで大豆食品をどれぐらい食べるかを尋ね、イソフラボンの2成分の摂取量と発症との関連を調べた。

その結果、摂取量とリスクの関連が明らかになったのは女性だけで、摂取量が最も多い群(1日あたり豆腐80グラム以上、納豆3分の2パック以上)が肝臓がんになるリスクは、最も少ない群(同豆腐40グラム未満、納豆3分の1パック未満)のリスクの約3・2-3・9倍だった。

研究班の倉橋典絵・国立がんセンター予防研究部研究員によると、イソフラボンの分子構造は、女性ホルモンのエストロゲンに似ている。エストロゲンは乳がんのリスクを高める半面、肝臓がんには予防作用があり、イソフラボンの過剰摂取がこうした作用を妨げると考えられる。

倉橋研究員は「肝臓がんの最大のリスク要因はB型、C型肝炎ウイルス。女性の場合、まず感染の有無を調べ、感染が分かれば大豆製品の取りすぎに注意してほしい。感染していなくても過度の取りすぎには注意が必要」と指摘する。【関東晋慈】

2009.3.10 記事提供 毎日新聞社