日本人のカルシウム不足は、骨粗しょう症の原因になっているという。カルシウムの含有量の多い食品としては牛乳、しらすぼし、さくらえび、まいわし、干しひじき、こまつななどが挙げられるが、これらの中で、もっともとりやすいのは牛乳である。

日本人の1人1日当たりのカルシウム摂取目標量は、成人男性の場合600−650ミリグラム、成人女性の場合は600ミリグラムとしているが、目標量より15%ほど不足している。牛乳コップ1杯200ミリリットル当たりのカルシウム含有量は220ミリグラムだから、1日目標量の約3分の1がとれる。

しらすぼし(微乾燥品)の場合、カルシウムは100グラム中210ミリグラム含まれているが、これだけとるのには1カップ(200ミリリットル)ほど必要。その上高価なので、なかなかとりにくい。干しひじきは、100グラム含まれているが、水に戻すと6倍くらいにかさが増えてしまうので、1食分は干しひじき換算で8グラム程度。とれるカルシウムは120ミリグラムである。


こまつなは100グラム中に170ミリグラム含まれているが、残念ながら吸収率が悪い。牛乳が約40%なのに比べて、野菜は約19%にすぎない。小魚の場合も約33%と低い。

牛乳のカルシウム吸収率が高い理由としては、牛乳のたんぱく質カゼインが消化されてできるCPP(カゼインホスホペプチド)と、牛乳に含まれる炭水化物乳糖がカルシウムの吸収率を高めるからだ。また、CPPと乳糖は鉄や亜鉛などのミネラルの吸収も助けるという。牛乳は安価でおいしくて、調理せずにとれる素晴らしいカルシウム補給源といえよう。

(新宿医院院長  新居 裕久)

2007.1.27 日本経済新聞