加齢とともに学習、記憶能力が低下してくることが多い。その1つの原因として脳や血液中に含まれる脂質、アラキドン酸(ARA)やドコサヘキサエン酸(DHA)の減少が考えられている。
どちらも体内で、ほとんどつくることができず、食事などから補う必要があることから、必須脂肪酸と呼ばれている。

脳は水分を除くと約60%が脂肪でできており、その脂肪の大部分がリン脂質と呼ばれるもの。リン脂質とは細胞膜をつくっている成分の1つ。この中にARAやDHAが含まれ、細胞膜をしなやかに保ち、情報伝達を円滑にすることで、記憶力の維持や認知・応答力をアップさせる働きのあることが明らかになってきた。

ところで高齢化すると、老化とともに食事量が減少したり、粗食傾向がでて肉類や脂肪を避けたりするためか、ARAやDHAの摂取量が少なくなり、体内の料も減ってくるといわれている。またアルツハイマー病では、脳での両方の脂肪酸が減少しているという。

ARAは一般の植物油に多く含まれているリノール酸からつくられるが、人ではその働きをする酵素系が弱いので、あまりたくさんはでいないようだ。しかし豚バラ肉やレバー、鶏もも肉(皮つき)、鶏ハツ(心臓)、卵などには多く含まれている。

DHAは、まぐろのとろ、ぶり、さば、さんまなどの油の多い魚に沢山含まれている。脳の機能を正常に保つためには、日常、バランスのとれた食事の中で肉や魚もしっかり摂ることが大切だ。

(新宿医院院長  新居 裕久)