ヤコブ病の確定診断可能に

ヤコブ病の確定診断可能に 超高感度でプリオン検出

 脳で異常型のプリオンタンパク質が増殖し、認知症などが起きるクロイツフェルト・ヤコブ病を高い精度で判別する検査法を、長崎大の新竜一郎(あたらし・りゅういちろう)助教(微生物学)らが開発し、30日付米医学誌ネイチャーメディシン電子版に発表した。

 症状の進行で神経細胞が破壊されると、異常型プリオンが脳の周囲を満たす髄液に出ると考えられている。この方法は髄液に1千兆分の1グラム程度のごく微量でも異常型が含まれていれば検出でき、新さんは「腰から髄液を採取して調べれば、これまで困難だった確定的な診断が病気の初期に可能になるかもしれない」と話している。

 異常型プリオンは、もともと生体内にある正常型と立体構造が異なる。正常型に異常型が結合すると形が変わり、異常型に変異するとされる。新さんらは、この仕組みに着目。人工合成した正常型プリオンを試薬に入れ、そこに髄液中の異常型が結合すると蛍光物質が集まるようにし、光の強さを測定して異常型を検出する方法を開発した。

 日本とオーストラリアのヤコブ病患者らの髄液を使った検査で、83〜88%で異常型を検出。ヤコブ病ではない人の検査で異常型があると誤判定するケースはなかった。

 脳の一部を採取して異常型プリオンの有無を調べる方法はあるが、生きている患者では難しい。現在は、病気の進行に伴って出る別のタンパク質を調べる補助的な検査法が使われている。

2011.01.31 記事提供:共同通信社