大きな病院のかかり方

医療の疑問にやさしく答える 大きな病院のかかり方/下 福岡・患者塾

8月29日に開かれた第122回患者塾。「大きな病院のかかり方」をテーマに、大きな病院とかかりつけ医の役割分担にも話が及んだ。

 ◇カギは各機関の連携

 <北九州市の54歳男性> 大腸がんが見つかって入院生活を送る中で、「がん診療連携拠点病院」や「地域医療支援病院」というのがあるのを初めて知りました。こういう情報は患者側は知らなくていいんですか。

 田中さん こうした拠点病院制度の目的は機能の分担と連携です。地域の医師へ拠点病院が情報を流したり、定期的に研修会を開くなどして地域のサポート体制を整えています。そのことで、例えばがんになった人がいた時に、大きな病院と周りの病院との連携の地図が書けます。

 瀬瀬さん 例えば、がんは一度治療すれば治る病気ではありません。入院してもらって治療をし、いったん落ち着いたらかかりつけ医で経過を診てもらい、また何か起きれば病院に戻って来てもらって治療をする。最終的には治らなければ緩和医療までつながります。大事なのは拠点病院と周辺の病院や診療所、かかりつけ医との連携です。一つの病院のレベルが上がっても、地域全体のレベルが上がらなければ診療は成り立ちません。

 <北九州市の46歳女性> かかりつけ医というと小さなクリニックというイメージがありますが、私は大きな病院にかかって血圧やコレステロールを診てもらっています。大きな病院がかかりつけ医では駄目ですか。

 仲野さん 近くにあるなどの利便性と医師の考えが合えば大きな病院がかかりつけ医でも構わないと思います。ただ、大きな病院ほど外来の日数が少ない。私たちのような町の診療所は午前も午後も外来をやっています。利便性の違いはあると思いますので、ぜひ利用してください。

 私が病院を開業している豊前市や築上郡には公立病院がありません。北九州市などの大きな病院で治療を受け、ある程度順調になったら、今度は通うのが大変です。そこで大きな病院から私のところに紹介状を持ってきてもらい、経過を診て半年に1回ぐらいは大きな病院に行ってもらうことがあります。こうした大規模病院から患者さんをかかりつけ医に紹介することを「逆紹介」と言います。

 瀬瀬さん 紹介率と逆紹介率が高いほど医療機関同士の連携がうまくいっていること示します。現在は、機能分担や役割分担をどんどんやっていこうということになってます。

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 ◇出席された方々

瀬瀬顯さん=九州厚生年金病院副院長(北九州市、心臓血管外科)

田中二郎さん=飯塚病院院長(飯塚市)

花岡夏子さん=飯塚病院副院長(看護部担当)

伊藤重彦さん=北九州市立八幡病院副院長(外科)

津田文史朗さん=つだ小児科アレルギー科医院院長(水巻町)

仲野祐輔さん=八屋第一診療所院長(豊前市、外科)

 ◇司会

小野村健太郎さん=おのむら医院院長(芦屋町、内科・小児科)

2009.9.15 提供 毎日新聞社