リツキシマブとメトトレキサートの併用で、早期関節リウマチの転帰が改善

早期活動型RAでメトトレキサート治療未経験の患者をリツキシマブとメトトレキサートの併用で治療すると、メトトレキサート単独治療よりも優れた臨床反応が52週後に得られた。

Alice Goodman


【6月11日(デンマーク、コペンハーゲン)】メトトレキサート治療未経験の活動性関節リウマチ(RA)早期の患者には、リツキシマブとメトトレキサートの併用で、メトトレキサート単独よりも優れた臨床反応が達成できる。結果が優れていたのはリツキシマブを高用量にした場合であると、今回のランダム化活性比較薬プラセボ対照試験の研究グループがEULAR 2009(ヨーロッパリウマチ学会)で報告した。

「今回の結果により、高用量(2 × 1000 mg)のリツキシマブで臨床転帰が有意に改善され、関節破壊が抑制されることが示された。リツキシマブのこの効果は6カ月間は観察できた」と筆頭著者であるアムステルダム大学医療センター(オランダ)Paul-Peter Tak, MDが語った。「それより低い用量(2 × 500 mg)では臨床転帰は改善するが、レントゲン映像上の転帰は改善しなかった。」

今回の試験は、患者755例をランダム化して、プラセボとメトトレキサートの併用、リツキシマブ(2 × 500 mg)とメトトレキサートの併用、リツキシマブ(2 × 1000 mg)のいずれかで治療した。リツキシマブは第1日と第15日に点滴で投与した。メトトレキサートは3群すべてにおいて7.5 mg/kg/週で開始し、その後漸増して、第8週には20 mg/kg/週とした。

登録した患者は、早期のRAであることが8週間以上前なおかつ4年以内の診断で確定している者である。疾患は、腫脹関節が8カ所以上ある活動性疾患であることを必須とした。ベースライン時において上記3群は特性が揃っており、平均RA罹病期間は0.9年、疾患活動尺度(DAS28)は7を上回っていた。

24週間後に達したDAS28が2.6以上だった者にはリツキシマブの第2クールを実施し、DAS28スコアが2.6未満だった者はDAS28が2.6以上になった場合にリツキシマブ再治療を行った。

スクリーニング時、24週後および52週後にレントゲン映像を撮り、順番と治療内容について盲験化した読影者が1カ所で読影した。主要エンドポイントはスクリーニング時から22週後までのGenant-修正総Sharpスコア(mTSS)の変化である。

755例の患者のうち、レントゲン評価ができた者は715例だった。リツキシマブ治療群の患者の90%以上と、メトトレキサート単独治療群の患者のおよそ85%が52週間の治療を完了した。

高用量のリツキシマブで臨床症状とレントゲン映像上の進行が改善された

52週後において、2 × 1000 mgのリツキシマブとメトトレキサートの併用で治療した群はプラセボ治療群に比べてmTSSが小さくなり(それぞれ0.359と1.079、P < .001)、レントゲン映像上の判断基準による関節障害増悪がなかった患者の割合が、プラセボとメトトレキサートの併用治療群よりも大きかった。Tak博士によると、低用量(2 × 500 mg)のリツキシマブ群のこれらの値はいずれも、プラセボとメトトレキサート併用治療に比較して有意差がなかった。

臨床転帰は、いずれの用量のリツキシマブ群においてもメトトレキサート単独群よりも改善し、ACR90と著明臨床反応(MCR)に達した患者の割合が大きかった。米国リウマチ学会尺度(ACR90)に達した患者の割合は、プラセボ群が9.2%、リツキシマブ 2 × 500 mg群が17.3%(P < .05)、リツキシマブ 2 × 1000 mg群が16.4%(P < .05)であった。

今回の試験で報告された有害事象は、リツキシマブおよびメトトレキサートの既知の有害作用の範囲内であった。重度の有害事象の発生頻度は3つの治療群で差がなく、プラセボ群が10%、低用量リツキシマブ・メトトレキサート群が9%、高用量リツキシマブ・メトトレキサート群が10%であった。

重度の感染症の発生頻度は、3つの群のそれぞれで、100患者年あたり6.09、4.61、3.73事象であり、有意差はなかった。試験期間中での死亡例はプラセボ・メトトレキサート併用群で3例あり、死因は肺炎が2例、脳梗塞が1例であった。

考えられる解釈

リーズ大学分子医学研究所(英国)の研究員であるEdward Vital氏によれば、今回発表された試験結果から、低用量リツキシマブで治療した患者は、ある程度の改善を見せたにも関わらず、滑膜炎の悪化が止まらなかったのかという疑問が浮上してくる。Vital氏はEULARにおいて別の研究の発表をしているが、この研究には関与していない。

「寛解している患者であっても、無症候疾患の状態であることを我々は示した。私の考えでは、この試験において低用量で治療した患者にはまだ残存疾患が残っていたのだろう。リツキシマブの効果はオン/オフであると言われている。リツキシマブの効果が出るためには、数カ月待たなければならない」とVital氏は語った。

この試験の著者らは、リツキシマブ(製品名Rituxan)の製造者であるGenentech社、Biogen/IDEC社、Roche社との間にさまざまな金銭的関係があることを開示している。著者のうち3名がGenentech社の、1名がSynarc社の従業員である。Vital博士の開示情報には、関連する金銭的利害関係はない。

EULAR 2009: The Annual European Congress of Rheumatology: Abstract OP-0022. Presented June 11, 2009.

Medscape Medical News 2009. (C) 2009 Medscape


2009.6.24 記事提供 Medscape