関節リウマチ女性の甲状腺機能低下症は
CVDリスクの上昇と関連する

甲状腺機能正常かつ関節リウマチのため心血管疾患のリスクが高い女性に比べ、甲状腺機能低下症を伴う関節リウマチ女性では心血管疾患リスクがさらに高い
Laurie Barclay


甲状腺機能が正常であるものの関節リウマチ(RA)により心血管疾患のリスクがすでに高い女性と比較すると、甲状腺機能低下症を伴うRA女性の心血管疾患リスクはさらに高いことを示す現在進行中のプロスペクティブ(前向き)コホート研究の結果が、『Annals of the Rheumatic Diseases』2月号に掲載された。

「関節リウマチ(RA)患者は、心血管疾患(CVD)の発現リスクが高い」とVU大学医療センター(オランダ、アムステルダム)のH.G. Raterman氏らは記している。「甲状腺機能低下症と
いった他の自己免疫疾患も、CVDリスクの上昇と関連する。本研究の目的は、第一にRA患者の甲状腺機能低下症の有病率を検討すること、第二に甲状腺機能低下性の異常がみられるRA患者のCVDリスクを検討することであった」。

心血管疾患による死亡率と罹患率に関するこのプロスペクティブ(前向き)コホート研究は現在進行中であり、甲状腺機能低下症の評価を受けたRA患者358例が参加した。CVDは、冠動脈、脳動脈または末梢動脈疾患の既往歴が確認されている場合と定義した。

RA女性患者236例のうち、16例(6.8%)で臨床的な甲状腺機能低下症がみられ、オランダの一般集団よりも有意に割合が高く、また、6例(2.5%)は無症状の甲状腺機能低下症であった。臨床的な甲状腺機能低下症を伴うRA女性16例のうち、6例(37.5%)にCVDが認められた。甲状腺機能が正常なRA女性と比較すると、臨床的な甲状腺機能低下症がみられるRA女性のCVDのオッズ比(OR)は、性別、年齢、糖尿病、喫煙歴、高血圧、スタチン剤の使用について補正後、4.1(95%信頼区間 1.2-14.3)であった。

「一般集団の女性と比べると、RA女性患者では臨床的な甲状腺機能低下症が3倍高い頻度で認められた」と本研究の著者らは記している。「女性のRA患者では、従来のリスク因子とは別に、臨床的な甲状腺機能低下症に伴い、甲状腺機能正常のRA女性患者よりもCVDのリスクが4倍高くなった」。

本研究の限界としては、横断的な研究デザインであることが挙げられる。

「本研究は、心血管疾患のリスクがすでに高い甲状腺機能正常のRA女性患者に比べ、RA女性患者の甲状腺機能低下症に伴い、CVDのリスクはさらに上昇することを示した最初の研究である」と本研究の著者らは結論付けている。「我々は、甲状腺機能低下症のRA女性患者では心血管疾患のリスクが増幅されることを認識し、また、RA女性患者では甲状腺機能低下症のスクリーニングの実施を考慮すべきである」。


2008.2.11 記事提供 Medscape