パニック障害は、急に動悸(どうき)や目まいがして、「このまま死ぬのでは」と思うほどの強い不安を感じる。発作は30分から1時間で治まるが、繰り返し起こる。再び同じ状態が起きるのではないかと何事にも慎重になり、思うような日常生活が送れなくなる。

正確な患者数はわかっていないが、米国人の推計などから日本でも人口の3%程度いるとされる。症状は心臓発作に似ているが、病院で検査しても心電図や呼吸機能、血圧に異常が見つからないのが特徴。病気に気づかずに治療が遅れ、外出できなくなったり、うつ病になることもある。

脳の神経伝達のバランスが崩れて発症する。精神科やメンタルクリニックで受診し、抗うつ薬や抗不安薬を使った薬物療法が治療の基本だ。日記をつけるなどで不安に慣らしていく認知行動療法を手掛ける病院もある。

どの治療法も「効果が出るまで数週間かかる」(昭和大学の上島国利教授)。効果があった場合も、急にやめると症状がぶり返す恐れがあり、医師と相談しながら1、2年続けるのが望ましい。


パニック障害で受診する目安

(1)突然、予期しないパニック発作(動悸、発汗、震え、息苦しさ、胸痛、吐き気、めまいなど)が起きる
(2)パニック発作の原因が分からない
(3)パニック発作が何回も繰り返し起きる

(4)また発作が起きるのではと強い不安や恐怖を感じる状態が1カ月以上続いている

(5)症状の原因として心臓機能や甲状腺機能の障害など身体的な疾患がない


2006.1.15 日本経済新聞