下痢に悩まされ、トイレットペーパーには血がつく。こんな状態が1カ月以上続いたら潰瘍(かいよう)性大腸炎を疑った方がいい。10−30代の若い世代で増えている。早い段階で治療すれば比較的軽症で済むが、我慢したり放っておいたりすると悪化し、治りにくくなる。

大腸の粘膜に炎症や潰瘍が起こり、下痢や血便などが続くのが特徴。免疫機構が異常に働き、矛先が大腸に向かい病気を引き起こしている。死に至る病気ではないが原因は不明。国の難病指定を受けている。

外見上は病気を患っているように見えず、周囲から理解されにくい。「単にトイレに頻繁に行っているだけと思われがち」とNTT東日本関東病院の桜井幸弘消化器内科部長は指摘する。我慢を重ねて病状悪化を招くケースも少なくない。

軽症ならよく効く薬もあるので、早めに診断を受けるのが得策。ただ「しつこい病気なので再発することもある。治療を中断せず年単位で付き合ってほしい」(桜井部長)。腸内細菌の働きを活発化する乳酸菌飲料が症状緩和に役立つとの研究も報告されている。


潰瘍性大腸炎の主な特徴と注意点


▽1日大便の回数は軽症なら4回程度、重症なら8回以上

▽重症化すると貧血、発熱、体重減少などを伴うことも

▽ストレスをなるべく避ける

▽発症後10年以上の患者は大腸がんのリスクが高まる

▽大腸以外にも潰瘍ができたら、クローン病の可能性も


2006.1.8 日本経済新聞