不眠に悩む現代人は多い。眠れない夜が続いたり、熟睡感が得られない日が続いたりする時は、重い病気の恐れがあるので注意が必要だ。

不眠の症状は、別表のように夜間表れるものと、朝・日中に表れるものがとがある。夜の症状は比較的自覚しやすいが、昼間のひどい眠気や熟睡感の欠如は、忙しい人なら誰もが経験のあることだけに、単なる睡眠不足と区別するのが難しい。

国立精神・神経センター精神保健研究所精神生理部の内山真部長によると、米国の調査研究では不眠が続くとうつ病になる危険度が2−3倍高くなることが判明した。高血圧を招き血糖値のコントロールが利かなくなるといった悪影響が出ることも実験などで次第に分かってきた。

いびきがひどく息苦しくて目覚めることがある場合は「睡眠時無呼吸症候群」、ぴくぴくと足首に軽い痙攣(けいれん)があると「周期性四肢運動障害」、脚にむずむずするような不快感があると「むずむず脚症候群」といった病気を発症している恐れもある。内山部長は「不眠を軽く考えず、専門医の診断を受けて」とアドバイスする。

軽く考えてはいけない不眠
【夜に表れる主な症状】
・なかなか眠れない
・何度も目覚め、眠れなくなる
・早く目が覚める
【朝や日中に表れる主な症状】
・起きなければならない時間になっても目が覚めない
・目が覚めてもなかなか寝床から出られない
・日中、頻繁に眠くなる
・いつも体がだるい
・ぐっすり眠った感じがしない
2004.10.31 日本経済新聞