欧州1位の肥満国ドイツでビール離れ
増加中なのはノンアルコール・・・


欧州1位の肥満国でビール離れ、増加中なのは…

【ベルリン=工藤武人】世界屈指のビール大国ドイツでビールの需要が年々減少する一方で、ノンアルコール型の消費量が右肩上がりで増えている。

飲酒に対する社会の意識変化と健康志向の高まりが背景にありそうだ。

ベルリン中心部のビアホール。フランクフルトから出張に来た自動車大手のセールスマン、ノルベルト・ウィーダーシャインさん(48)は、同僚とビアグラスを傾けていた。

ネクタイ姿の2人が飲んでいたのは、ノンアルコールビール。仕事の合間のため、「昼はこれさ。週に3回は飲んでるよ」と笑った。

ドイツでは、アルコール度数0・5%未満のノンアルコール型が、ここ数年、消費を伸ばしている。

ビールの業界団体、独ビール醸造業者協会によると、ドイツでノンアルコール型が初登場したのは1970年代後半。当初は味も悪く、人気はさっぱりだったが、21世紀に入って消費が伸び始め、2012年の生産量は約41万キロ・リットル。製造している醸造所も約200に増えた。

これとは逆に、国内でのビール消費は落ち込む。独連邦統計局によると、昨年の国内ビール生産量は946万キロ・リットルで、前年から19万キロ・リットル減り、90年の東西統一後、過去最低記録を更新した。国民1人当たりのビール消費量も、ピークの76年(150・9リットル)と比べ約3分の1減った。

ビール醸造業者協会の広報担当、マルクオリバー・フーンホルツ氏は「勤務中の飲酒を禁じる企業が増え、飲酒運転の規制が強化された。健康を気にしてビールを敬遠する人も増えた」と分析する。

飲酒運転の基準値は、血中1ミリ・リットルあたりのアルコール濃度が0・8ミリ・グラム以上だったが、98年に同0・5ミリ・グラムに引き下げられた。また、ドイツは、2007年発表の欧州連合(EU)の肥満度調査で、男性(75%)、女性(59%)とも欧州1位となり、ビールがその一因と指摘された。

2014年4月15日 提供:読売新聞