はしかの海外感染急増 帰国後に発症、今年に入り100人超
 渡航前に予防接種呼び掛け

はしかの海外感染急増 今年に入り100人超 予防接種呼び掛け

 海外ではしかのウイルスに感染し、帰国後に発症するケースが急増している。国立感染症研究所が25日に発表した今年の患者数は1カ月半余りで103人に上り、昨年1年間の232人の半数に迫る勢いだ。専門家は、はしかと風疹の混合ワクチン(MRワクチン)の接種を呼び掛けている。

 感染研によると、はしかは感染力が非常に強いウイルスが原因で、せきなどのしぶきや接触によって感染する。高熱や全身の発疹が特徴で、患者の約3割が肺炎や腸炎などで入院する。2歳以下で感染すると、2〜10年の潜伏期間を経て、歩行障害や脳の障害などを伴う亜急性硬化性全脳炎を発症する危険性が高まる。大流行した2008年には約1万1千人の患者が報告された。

 今年のはしかの患者数は2月19日までに103人。ウイルスを分析した24人のうち、20人からフィリピンで流行している型を検出、そのうち12人はフィリピンへの渡航歴があった。発症者の約6割は予防接種を受けていなかった。

 地域別では、京都府が20人で最も多く、千葉県(13人)、埼玉県(12人)、神奈川県(10人)と続いた。

 1歳と小学校入学前1年間の計2回の予防接種が無料だが、昨年4〜9月の半年間の接種率は59%にとどまる。

 感染研の多屋馨子(たや・けいこ)・感染症疫学センター室長は「アジアなどの流行地域に行く前には、ワクチンを接種してほしい。海外からウイルスが入ってきても国内で広がらないように、接種率を高めておくことも重要だ」と話している。

2014年2月26日 提供:共同通信社