血管内皮の炎症抑制で老化防止
 

血管内皮の炎症抑制で老化防止 日本人、寿命108歳に?

 東北大大学院医学系研究科のグループが、血管内皮細胞での炎症反応を抑えると老化を遅らせ、寿命を延ばせることをマウスによる実験で突き止めたと6日付の米学術誌に発表した。
実験で生まれた「抗老化マウス」の平均寿命は約30%延びた。日本人に当てはめた場合、平均寿命が83歳から108歳になる。
同研究科の片桐秀樹(かたぎり・ひでき)教授(代謝学)は「病気のマウスが悪くなるのを防ぐだけではなく、健康な状態でさらに寿命を延ばせた。アンチエイジング療法の開発につながる」と話している。
研究グループは血管の炎症が動脈硬化発症に重要な役割を果たしているとの研究に着目。血管の中で最も内側にあり、血液と接する血管内皮細胞で炎症反応を起こりにくくしたマウスを作製した。具体的にはマウスの遺伝子を改変し、炎症反応の際に中心的な役割を果たすタンパク質複合体(NFκB)の経路を遮断した。
その結果、血管全体の老化が抑えられたほか、マウスの活動性が上がり血の巡りが良くなった、また老化を進展させる活性酸素の量が最大3分の1程度減る効果もあった。
血管内皮細胞以外では通常通りの炎症が起こるため、体内に侵入したばい菌の排除などには問題がないという。
※米学術誌は「サーキュレーション」

2012年3月7日 提供:共同通信社