141人の尿からセシウム 福島の乳幼児2千人測定
 

141人の尿からセシウム 福島の乳幼児2千人測定 「影響ない」と専門家

 福島県内に住む0〜7歳の乳幼児約2千人の尿を民間の分析機関「同位体研究所」(横浜市)が測定した結果、141人から放射性セシウムが検出されたことが30日、分かった。うち3人が尿1キログラム当たり10ベクレルを超え、最高は4歳男児の17・5ベクレル。残る138人は10ベクレル以下で最低は0・1ベクレルだった。

測定した尿からは、自然界にもともと存在する放射性カリウムも平均で約64ベクレル検出された。唐木英明(からき・ひであき)・東大名誉教授(食品安全)は「カリウムと比べてもセシウムの数値は低く、人体に影響があるレベルではない」とした上で「ただ、どのような経路で取り込まれたのか調べる必要がある」と話している。

同研究所によると、10ベクレルを超えた3人はいずれも家庭菜園などで自家栽培した野菜を食べていたという。

福島県によると、東京電力福島第1原発事故後、これほど多くの住民の尿についてセシウム検査をした例はない。同研究所は、内部被ばくした可能性がある乳幼児の健康管理のため検査を呼び掛け、昨年11月〜今年1月、送ってもらった尿を無料で測定した。

測定した2022人のうち1881人は不検出。セシウムが検出された141人の平均は1キログラム当たり2・2ベクレルだった。4歳の男児2人が17・5ベクレルと14・0ベクレル、次いで4歳女児が12・0ベクレルで、この3人が10ベクレルを超えた。

唐木名誉教授は「子どもは代謝が早いのでセシウムは体内に蓄積せず排出されるだろう」と指摘した。

主婦連合会の佐野真理子(さの・まりこ)事務局長は「家庭菜園などの野菜は、自治体の検査の対象外となっており徹底されていないのが現状。検査の網の目を細かくして結果を広く公表してほしい」としている。

2012年7月2日 提供:共同通信社