汚染水、依然流出か 海のセシウム濃度下がらず
 

セシウム流出量、東電推計の6倍…海洋研試算
 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、原発から海に流出した放射性セシウム137の総量は最大で5600テラ・ベクレル(1テラは1兆)に上るとの試算を、海洋研究開発機構がまとめた。
 東電の推計量の約6倍にあたる。6日に開かれた日本原子力研究開発機構の研究報告会で発表した。
 海洋研究開発機構の宮沢泰正主任研究員らは、福島県の沿岸など約500地点で採取した海水のセシウム濃度や、潮の流れなどをもとに、昨年5月7日までにセシウムが移動した経路を模擬計算した。その結果から、海に流出した高濃度汚染水のセシウムの総量は、4200-5600テラ・ベクレルと算出された。このほか、同原発から大気中に放出され、雨などによって海に沈着したセシウムは1200-1500テラ・ベクレルになった。

2012年3月7日 提供:読売新聞

汚染水、依然流出か 海のセシウム濃度下がらず

 東京電力福島第1原発周辺の海で放射性セシウムの濃度の下がり方が遅いとの分析結果を、気象研究所の青山道夫(あおやま・みちお)主任研究官らが6日までにまとめた。事故で発生した高濃度の放射性物質を含む汚染水が、見えない部分から漏れ続けている可能性があるという。
 事故後の昨年4月、海への汚染水の流出が発覚し、東電は地中に薬剤を入れて止めた。東電は「この3〜4カ月は濃度低下が緩やかだが、昨年3月より大きく下がっている。11月ごろから下がりきったところで推移しており、漏えいがあるとは考えていない」としている。
 青山さんらは、東電が測定した原発付近の海水の放射性セシウム濃度を分析。放水口付近では昨年4月に流出を止めた後、濃度は急激に下がり、5月ごろからはゆっくり低下。最近でもセシウム137が1リットル当たり1〜10ベクレルで、港湾内では数十ベクレル以上検出されている。原発から50〜300キロ圏での研究機関などによる測定でも、同千分の1ベクレルから10分の1ベクレル程度で推移している。
 海底に積もったセシウムが巻き上がっても、濃度は測定された値の10分の1程度にしかならず、河川や地下水を経由して流入したとしても濃度はもっと低いという。青山さんは「この濃度が続くには、出どころが必要」として汚染水流出の可能性を指摘している。
 東電は放射性物質が拡散するのを防ぐため、港湾内の海底をセメントなどで覆う工事を2月から始めている。
2012年3月7日 提供:共同通信社