原子炉事故:ホットスポットの避難促進他


政府、20ミリ超“ホットスポット”の避難促進投資

 

 枝野官房長官は16日の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う警戒区域と計画的避難区域以外の一部地域で、年間の積算放射線量が20ミリ・シーベルトを超えると推定される地点を「特定避難勧奨地点」とし、住民に注意を喚起し、避難を支援、促進すると発表した。

2011.06.16 提供:読売新聞
 

住居単位で避難支援
ホットスポットで政府 妊婦や子どもに勧奨へ

 

政府の原子力災害対策本部は16日、福島第1原発周辺の警戒区域、計画的避難区域の外にあるものの、局地的に放射線量が高い「ホットスポット」を「特定避難勧奨地点」に指定し、避難を希望する住民を支援すると発表した。事故後1年間の積算放射線量が20ミリシーベルトを超えると推定される地点が対象で、住居単位で指定する。

 同日、原子力安全委員会(班目春樹(まだらめ・はるき)委員長)に報告、了承された。

 これまでの国などの調査では、福島県伊達市霊山町と南相馬市原町区の一部で20ミリシーベルトを超えると推定される地点が見つかっており、政府は当面の対象候補としている。

 対策本部はこれらの地域について「一律に避難を求めるほどの危険性はない」とする一方で、「(ホットスポットに長時間とどまるなど)生活形態によっては20ミリシーベルトを超える可能性も否定できない」と説明。特に妊婦や子どものいる世帯には避難を促すよう自治体側と調整するとしている。

 指定の手順は、まず文部科学省が詳細な放射線量を調査。年間20ミリシーベルトを超えると推定された場合、放射性物質の除染が可能かどうかを検討する。除染が困難と判断されれば、自治体と相談した上で勧奨地点に指定。放射線の影響について個別に情報を提供し、避難しようとする人に避難先の紹介などを行う。

 指定に向けた調査は伊達、南相馬の両市で既に始まっており、今後は自治体と相談しながら調査地点を増やす。

 政府はこれまでに、1年間の積算放射線量が20ミリシーベルトに達する恐れのある地域を計画的避難区域に指定。だが避難区域外でも局地的に空間放射線量の高いホットスポットがあることが分かり、対応を検討していた。

※ホットスポット

 周辺に比べて局地的に数値が高い領域のこと。周辺より温度が高い場所という意味でそう呼ばれる。原発事故では、放出された放射性物質が周囲と比べて高濃度に降下、蓄積し、高い空間放射線量が検出される地点のことを指す。事故で陸地や海に放出された放射性物質は同心円状に均等に広がるのではなく、風や海流の向き、地形、土壌の性質などの影響により偏りができる。


2011.06.17 提供:共同通信社
 

80キロ以遠のマップ公表 南と南西、比較的高線量

 

 文部科学省は16日、福島第1原発から80〜100キロ(一部は120キロ)離れた地域の放射線マップを公表した。80キロ以遠では、南側と南西側にほかの方角と比べて線量の高いエリアが広がっていることが分かった。文科省は「数値は低く、健康への影響はないと考えられる」としている。

 調査は5月18〜26日、米エネルギー省と合同で実施。大型放射線検出器を備えたヘリコプターを使い、高度150〜300メートルから地表1メートルの線量を計測した。今回得られた80キロ以遠のデータと、既に得られていた80キロ圏内のデータとを重ね合わせてマップにした。

 80キロ以遠では、原発の南側の茨城県北東部にかけてと、南西側の栃木県北東部にかけての地域に、毎時0・2〜0・5マイクロシーベルトと若干高い放射線量が見られた。

仏で静岡産茶葉から規制値超す放射性セシウム

2011.06.17 提供:共同通信社
 

仏で静岡産茶葉から規制値超す放射性セシウム

 


【パリ=三井美奈】仏政府は17日、パリ郊外シャルル・ドゴール空港での検疫で、輸入された静岡県産の茶葉から、規制値を超える1キロ・グラム当たり1038ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。

 福島原発事故を受け、仏政府が日本からの輸入品の放射能検査を開始して以降、放射性セシウムが検出されたのは初めてだ。

 日本の厚生労働省は、茶葉の出荷制限の基準となる暫定規制値を1キロ・グラム当たり500ベクレルと定めている。

2011.06.18 提供:読売新聞
 

在北米被爆者定期健診で米メディア、福島原発事故に質問集中

 

 ロサンゼルス堀山明子】北米在住の原爆被爆者を対象にした無料の健康診断が18日からロサンゼルス近郊で2日間の日程で始まる。健診に先立ち、在北米被爆者健診団(団長、松村誠・広島県医師会常任理事)は17日、記者会見し「被爆者の発がんリスクは2010〜15年に最も高まる。きちんとした健診が必要だ」と力説した。

 1977年から続く隔年の定期健診で18回目。会見には、米国広島・長崎原爆被爆者協会の据石和会長(84)も同席。「被爆者は米国で保険加入も拒否される。日本語で原爆専門の先生に診てもらえて本当にありがたい」と語った。

 福島第1原発事故を受け、米国人記者からは「原爆と原発事故の放射線では人体に与える影響がどう違うのか」と原発事故との比較に質問が集中、事故への高い関心がうかがえた。健診団は「原発事故による体内被ばくは長期的な観察が必要だが、瞬時に放射線を浴び、影響が出た原爆とは違う」と説明した。

 北米には約1000人の被爆者がおり、ロサンゼルス近郊の健診には2世20人を含む126人が申請した。健診団は2班に分かれ、7月末までにホノルルなど計4都市を巡回し、約400人が健診を受ける予定。

2011.06.18 提供:毎日新聞社