原子炉事故:放射線の症状確認されず
飯舘村の健康診断で


 放射線による急性障害の自覚症状は認められない一方で、不眠や疲労を訴える人が一定数いる-。福島第1原発事故で計画的避難区域に指定された福島県飯舘村で、特に放射線量が高い地区に残る村民257人への健康診断で1日、こんな結果が明らかになった。

 東大医科学研究所などの医師らが5月21、22日に実施。結果は村のホームページで公表された。

 診断の結果、白血球など血球の明らかな減少傾向は確認されなかった。

 一方、震災前の一日の野外活動時間は「5時間以上」と答えた人が140人以上、「3〜5時間」が40人以上と多い上、「(3号機で水素爆発があった)3月14日の週は通常通りの生活をしていたか」との問いには半数以上が「はい」と回答。同研究所の上昌広(かみ・まさひろ)特任教授は「多くの方が屋外で一定の被ばくをした可能性がある」と指摘する。

 また、最近の体調について「ほぼ毎日寝付きが悪い」と答えた人が59人に上った。「疲れた感じがする、または気力がない」も48人いた。

 高齢者の中には高血圧や高脂血症も一定数みられたが、事故後に屋内に閉じこもり、かえって症状を悪化させた例もあった

 

2011.06.02 提供:共同通信社