1.つまようじ法とそのハブラシ、
試して解った、メリット、デメリット
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「つまようじ法」歯ブラシの使った感想 |
自分は歯間が開いていないので毛先が隣接面に入らず、2列型植毛なので磨いていて何か物足りない感じでした。
歯間が開いている方は食物残渣が取れてよいのではないでしょうか。いずれにせよ隣接面は歯ブラシだけではプラークが落とせないのでフロスでのお手入れが必要です。
【志田】 |
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つまようじ法ブラッシングとは、毛先を歯間部に出し入れし、歯肉マッサージをし、歯ブラシ1本で効率よくできるとの事。
メリット 歯間がかなり空いている人には、毛先が入りやすいと思います。
写真でのブラッシング法しか見てないので、動画見つけました。
http://www.youtube.com/watch?feature=
player_embedded&v=OCxaCcdWgbs#t=75s
デメリット 歯ブラシが硬い。かなり力を入れないと歯間に入らないと思います。試したが、むずかしかった。
毛がなにしろ硬いので、歯の表面はプラークがとれるが、歯頚部には少し負担がかかっている感じがする。ブラシでの歯間清掃なら、やはり歯間ブラシの方が確実かと思われます。
【竹中】 |
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一見すると硬くて磨きにくい感じでしたが、つまようじ法という
独特の磨き方でやってみると、この歯ブラシの特徴がわかりました。
歯間があいている方や、矯正装置を付けている方にはお勧めだと思います。
この歯ブラシを使用して歯周病が改善されたということですが、
確かに今まで歯間のプラークがまったく落とせてなかった方でしたら、普通の
歯ブラシよりは歯間が磨きやすいので、いいと思います。
ただ基本的に毛先の角度は歯周ポケットには向いてないので歯周ポケットまでケアができず、それ以上の改善は難しいと思います。
その他、前歯は見やすくて、やりやすいですが、臼歯のとくに舌側は当てにくいと感じました。
WFでは皆さんにフロスを使用して頂いているので、とくに必要ないですが、
使用するとしたら、
矯正装置を付けている方の補助歯ブラシとしてか、
歯間が空いていて、フロスだと歯の上の方が滑ってしまいやりにくい人の補助歯ブラシとして、(フロスはもちろん使用してもらいます)
つまようじ方をきちんとマスターできる方に限ると思います。
【迫田】
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【総評】 |
WFのDHが今回テストしたつまようじ法。30年以上まえにはやった、PHBハブラシ
僕がスパイラル法を考えるきっかけを作ってくれた、ブロッティング法の現代版?
ただし、毛先が硬いと、このやり方は隣接面を横磨きしているので、根面やえエナメル質の表面を傷つけ、隅角部のすり減り、知覚過敏、WSDに繋がる。
隣接面入り口は磨けても、やはりハブラシなので、隣接面の奥中央の4mmの部分には届かない、同じ動きで、歯間ブラシを使われたら、隣接根面は10年後には、すり減りで
プラークはなくても、隣接歯間部は開いて、隙間だらけの歯肉乳頭になります。
健康な歯肉の方向けの歯磨き法ではありません。歯周病が進んでしまい、さらにこのつまようじ法では、隠れ歯周病を作ります。なぜって、届かない隣接根面ポケット内は
磨い邸内から・・・・・隣接接触点周囲も磨けない???
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2.ホワイトファミリーの衛生士たち |
歯科診療時の不安・恐怖と歯科心身医学
DH竹中 |
歯科診療時の不安・恐怖と歯科心身医学
だれでも少なからず歯科治療に対して不安・恐怖を感じ、中には恐怖のあまり、手で払いの
けたり、口を開けないような行動などで、十分な歯科治療が受けられないでいる歯科治療恐
症の人もいる。
歯科恐怖症や治療に対し、強度の不安・恐怖を抱いている、これらについて知識を有して
いることは必要不可欠である。
対処法としては、
歯科心身医学と歯科心理学の要素が必要とされる
心身医学・・・ |
身体面だけでなく、心理面、社会面、実在面をも含めて総合的、統合的にみていこうとする医学である。
治療を受ける患者は生身の人間であり、生物医学モデル(薬物、放射能、外科手術などを用いて治療)に定めず全人的モデル(身体・心理・社会的立場などから判断)としてみていく。
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心理学・・・・ |
生物体の心の動きや行動を研究する学問である。
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歯科治療の際にとても痛い思いをしたり、気分が悪くなったりと危機的なものに感じると、ま
た次になるのではないかと、予期や不安を抱くようになる。次回の治療の間に、食欲がなく
なったり、不眠や注射器を見ただけで恐怖感を示すこともある。
一般医科医療での不快な体験が関与することもある。
家族や周囲の歯科治療への拒否的な態度を見聞きした事で、不安を抱くこともある。
患者がかぶる不快体験一つ一つの不快度は、それほど強くなくても頻回に味わったり、1回
の体験で不快感体験が強烈なものであったりと、誰でもが歯科恐怖症を発症する可能性は
ある。
他、強度の不安感を抱きやすい者:
*日常生活で歯科治療以外にもかなり不安(浸透性不安)がみとめられる者
*神経症傾向の強い者
*神経症や心身症の既往のある者や現在罹患中の者
*外向的性格者に対して内向的性格者
*生とか死、怪我、健康、手術など医学や医療面に関して極度の注意を抱きやすい者や心気的傾向の強い者
歯科治療時の不安・恐怖の軽減消去法
不安や恐怖は慢性的に長期化してしまうと消去は困難になる。
異常行動は素質ではなく後天的に学習されたものと考えられる。したがって、学習の原理に
よって、適切に学習し直すのが治療となる。
意識や無意識に働きかけるのでなく、学習によって態度の変容や治療の効力や効果を上げようとする方法である。(行動療法)
行動療法の手順
1導入面接・・・ |
現在の症状がどのように学習され、持続してきたかを分析を行う。
問題行動(症状)を消去するために解決する目標を設定する。
目標に対して治療計画をたて、計画に基づいて治療手段を考え、実行に移す。
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2不安階層表の作成・・・ |
不安を引き起こす刺激場面を強いものから弱いものへと配列した表を作成する。
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3リラックス状況を得る手段の指導・・・ |
不安反応の表現として筋緊張が身体表現として現れる。
自己暗示からリラックスの状態を会得していく自律訓練法より、身体の弛緩と緊張の違いを体得しながら学んでいくリラックス法。
筋弛緩法の方が効果的であろうといわれている。
筋弛緩法
自律訓練法
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4脱感作の手続き・・・ |
@患者にリラックスしたら合図(挙手)させる。
A不安生起の最も低い刺激場面を想像させる。
Bその場面により、不安や緊張を感じた場合は合図させ、SUDを尋ねる。
C再度リラクセーションを指示し、該当場面により挙手されなくなったら、緊張感が消失したことになり、次の項目に移る。
D誰でもが治療の際不安を感じているが、SUDが20点以下の不安は誰でもが抱いている正常域のものである。
SUDが20点位に下がったら、イメージでの脱感作ではなく、実際の処置を行っていくという現物脱感作に移していく。
E自宅でも弛緩訓練の練習とともに脱感作を行わせる。
F主張訓練の併用もあり。歯科診療は、拷問と等しいと思え、自分の感情を表現しにくい者がいる。
治療に疑問があれば質問し、了解できない場合は断ってもよいということを教える。 |
SUD・・・自覚的障害単位
SUDの値は患者自身の申告値であり、100%が最も高い不安を引き起こす刺激場面ということである。
このようにして、怖がっていた治療を受けられるようにしていく。
嘔吐反応など、不安のなかで過剰に反応してしまったり、麻酔液で不快感を感じアレルギー反応だと思ったりと、いろいろな場面はよく見ます。患者の性格や観察はたいせつであるなと改めておもった。
一見明るく、良く話す患者さんでも、内層心理は同じです。自己抑制によって、表面に現れない、コントロールされて見えないだけですから、いつも、どんな患者さんでも、わけ隔てのない、やさしさと癒しの対応で、患者さんのココロに届く、ケアをしてください。患者さんのもっているペースを読むです。 |
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歯科診療時の不安・恐怖と歯科心身医学
DH迫田 |
誰でも少なからず歯科治療に対し不安・恐怖を感じている。
中にはその程度があまりにも強度なため、手で治療器具を払いのけたり、
口を開けないというような逃避行動を試みたり、果てには歯科治療を絶対に受けないという回避行動を呈したりと、十分な歯科治療を受けられないでいる歯科恐怖症という、不適応行動を示している患者群が認められる。
歯科恐怖症に対する対処の仕方を抜粋しました。
1・動機づけ |
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2・導入面接 |
現在の歯科恐怖症の症状がいかなる状況下で学習され、持続されたの
か学習理論の立場から分析をする。場合によっては他科へ依頼する
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3・治療目標の決定 |
問題行動(症状)を消去するために解決すべき目標を設定する。
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4・治療計画 |
治療目標に基づいて具体的な治療手段を考える
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5・治療の実行 |
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WFでは初診時にCCがあるので、いきなり治療ではなく、その時に話を聞けるので安心される方も多いと思います。
緊張して、治療中はっきりと、痛いと言うことが言えなかったり、治療法を変えてほしいことを言えない人もいるようなので、なんでも言えるようなリラックスした空間を作ったり、言えるように練習していくのもいいようです。 |
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歯周病にかかわる力の問題
DH竹中 |
挺出という現象
自然移動の主たる原因は挺出という日常現象。
挺出力は崩出とのかかわりが取りざたされている。
歯の崩出は、わずかながら絶え間なく続いており、対合の欠損により、咬合圧がなくなり挺出してくる。
しかし、長時間対合がなくても挺出がみられない症例もたびたびある。
サルでの実験によると、上顎臼歯では、対合歯欠損後6週間より挺出し、2年経過した時点で30〜50%の挺出さらに挺出する傾向がみられた。
一方、下顎臼歯では、欠損後3ヶ月を過ぎると挺出の度合いは弱くなり、上顎に比べると少ない。
つまり、上顎臼歯は下顎臼歯よりも挺出傾向が強いことがわかる。
原因としては、上顎の歯が重力の作用方向に、下顎の歯は、重力に逆らって挺出であろうと考えられる。
自然挺出のメカニズムは、まだはっきりと解明されていな。
基本的には、歯根膜炎の走行、炎症による線維の破壊、セメント質形成と関係していること。歯冠部が対合歯、隣在歯、頬粘膜、舌などに接触せず、外力を受けない場合、歯根膜線維の走行よりわずかに歯冠側に移動する。(受動的崩出運動)
これに対し、歯周組織に炎症があり、歯槽骨上線維や中隔横断線維が破壊されると挺出の程度は著名になる。
さらに、近遠心的、頬舌的に紙面に対する線維性付着の破壊が異なると歯の移動方向が変わる。
線維同士の引っ張りあいにより破壊が少ない方向に移動する。
歯の全周にわたり同程度の破壊があれば、歯軸歯冠方向に移動し対合歯と接触した時点で停止する。
挺出のメカニズムとして、歯根膜線維や歯肉線維の引っ張り合いを重視しているが別の因子があるのではとのこと。
歯周炎に伴って起きる充血が歯の異常な突出を生ずることは知られており、炎症に際して、
*プロスタグランジンなどの生体物質が生産され、局所の血管透過性を亢進させ浮種を生じ組織液圧を高めることも考えられる。
つまり、歯周炎が活動期になり挺出力に張り合う歯肉線維を破壊すると同時に、炎症が歯根膜に広まることにより、浮腫を生じ結果として起きる組織液圧の高まりが挺出力を生じさせたと考えられる。
*プロスタグランジン・・・ |
3つのグループに分かれ、複雑な変化をして数十種類のプロスタグランジンが作られる。
その作用は、炎症・痛み・腫れの調整・血圧・心機能・胃腸機能と消化酵素の分泌調整・分娩誘発などの生殖機能の制御・腎機能と流動調節・血液凝固と血小板疑集・アレルギー反応・神経伝達・各種ホルモンの生産などに関係している。 |

自然挺出の臨床観察から
対象・・・歯周病中度〜重度。
プローブ時縁下から出血や排膿。
歯周炎の活動期の高いと思われる歯牙20本。
修復物を撤去し、対合歯のスペースをつくり、自然挺出させ観察。
垂直的動揺度がない場合は、挺出を期待することが難しい。
挺出力の解放時により非常に速やかに起こる。通常2週間程度で大きな挺出運動は終了し、治療が進むにつれ、歯肉の制御作用が増してくるため、自然挺出は減少してくる。
したがって、なるべく早い時期に挺出を試してみるべきである。
ルートプレーニングを行い炎症が消退した後に挺出力を期待するのは難しいと思われる。
歯周炎が活動期になり歯根膜に炎症が広がることにより挺出が起こると考えると、炎症のコントロールという歯周病治療の原則は変わらない。
重度歯周病疾患で垂直的動揺が激しい場合、通常の炎症のコントロールだけでは動揺はおさまりにくく、抜歯か保存かの選択に迫られることから自然挺出の適応症となる。
大胆に歯冠部を削合し歯牙の行きたい方向に移動させることで、組織液圧の高まりを開放し、歯根膜に広がった炎症の軽滅を図る。
この時点で保存の可能性可のある歯牙は多くの場合、垂直的動揺の改善が見られ、以後の歯周治療にも良好な反応を示すことが多い。
しかし、動揺の改善が思わしくない場合は、抜歯という診断を下しても間違えではないといわれている。
暫間固定をしていた場合は、このような治療を期待することはできないと思った。 |
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歯周病にかかわる力の問題
DH志田 |
動揺歯の暫間固定:連結することにより咬合性外傷を防ぎ
歯周組織を安静に保つために行う。
歯が浮いたような感じになるのは対合歯の損失による挺出が典型的
である。
自然挺出:はっきりと解明されてないが歯根膜繊維の走行、
炎症による繊維の破壊、セメント質形成と関係しているとのこと。
歯周病が重度に進行している歯牙、特に垂直的動揺をしている歯牙が
挺出しやすい。
歯肉縁下のルートプレーニングを行い炎症を消退させると挺出は止まる。
サルを使った実験では、上顎臼歯は喪失後6週間より挺出の傾向がみられ、
2年経過した時点では30%〜50%挺出し、さらに挺出する傾向が見られた。
下顎は、3ヶ月を過ぎると挺出の度合いは弱くなり、
その変化量も上顎と比べてはるかに小さい。
アブセスの形成が見られる場合は切開を行い、おおまかなデブライトメントを行う。2〜4週間くらいすると垂直的動揺は落ち着いてくる。
デブライトメント後は冷水痛が見られることも多い。
その後は二次性咬合外傷を防ぐためにも固定が必要。
アブセスが沈静した後にフラップを行うことにより治癒に対する反応も
良好になる。
固定:を行う場合、
形態によっては清掃性が悪くプラークが付きやすくなるので
メインテナンスのしやすい、引っ掛かりのないスムース形態を作ることで
フロスケアや歯間ケアを指導する
WFでは抗生剤による化学的ポケットケアを行っています。
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歯周病にかかわる力の問題
DH迫田
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歯周組織が破壊されていて保存が難しいと思われる歯を、削合しバイトを低くして、自然挺出をねらい、歯周組織の回復を促すことにはビックリしました。
暫間固定をしては、得られない回復ではないかと思われます。
その間アブセスができて抜髄をしたり、補綴をしたり、と治療日数も手間もかかりますが、抜歯が第1選択でないので、行ってみる価値はあると思います。
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イビキを伴う睡眠呼吸障害
DH竹中 |
イビキを伴う睡眠呼吸障害に画期的なスリープスプリント治療
イビキ症や睡眠時無呼吸症候群といった睡眠呼吸障害関連疾患は、元来医科の領域で診断・治療され歯科の分野とは無縁であった。
イビキの治療では、草分けとして口蓋垂軟口蓋咽頭成形術というのどの手術や、喉にあなをあけ気道を確保する方法(気管切開術)など、イビキや呼吸は改善すかもしれないが、声は出なくなり、開窓部から感染の恐れもあり、支障がきたしかねないとなり、東京歯科大学医学部との研究開発したのが口腔内装具。
この装具をスリープスプリントと名付けた。
イビキや無呼吸を伴う睡眠呼吸障害
肥満による舌肥大や、顎の歯列幅不足で起きる舌スペースの不足が原因で上気道(鼻腔・咽頭・喉頭)の狭窄および閉塞が起き、働き盛りの中高年男性に多くみられる。
疲れた時にイビキをかくのはそれほど心配はない。習慣化し、毎晩のようにイビキをかいている状態を習慣性イビキ症(habitual snoring:HS)という。
頻度が高くなると、
上気道抵抗症候群(Upper airway resistance syndrome:UARS)となり、さらには、
睡眠時無呼吸症候群(Sleep apnea syndrome:SAS)へと悪化する。
日本人で習慣性イビキ症候群は、2000万人以上、で10%にあたる200万人が睡眠時無呼吸症候群と考えれれている。
習慣的にイビキをかく人は、
睡眠時無呼吸症候群の予備軍である。
無呼吸指数(Apnea index:AI)・・・睡眠1時間あたり10秒以上の呼吸停止(無呼吸)回数
AIの値が高ければ高いほどSASは重症である。
1988年に、9年間にわたり経過観察したところ、AI指数が20以上の群れが明らかに生命予後が不良である事がを発表している。
それ以降AI≧20であるかどうかが 治療開始の一つになる。
予後を左右する循環系合併症の観点から
動脈酸素飽和度(SaO2)・・・健康な人なら、起きている時は常に97%以上保たれている。
就寝時に上気道の狭窄や閉塞が起き正常な呼吸ができないと。SaO2が低下する。
SaO2の最低値<70%、もしくはSaO2≦90%の時間(低酸素曝露時間)が睡眠時間の5〜10%以上あると治療の対象とされる。
日中傾眠など自覚症状が日常生活に大きな支障をきたしている場合が多くそのようなときは指数関係なく治療が必要とされる。
SASの軽症やUARS,HSの場合は、健康保険の適用から除外されているので、スリープスプリント治療法が簡単で効果的だ。
睡眠時無呼吸症候群:SAS
SASには3種類に分けられる。
中枢型(Central SAS:CSAS)・・・ |
呼吸運動そのものが停止して無呼吸となる。挺髄にある呼吸中枢から呼吸筋に対しての刺激が停止してしまい、呼吸運動が全くない状態、つまり、鼻や口だけでなく胸郭や横隔膜にも呼吸している形跡がないこと。原因としては、脳幹部に何らかの異常が考えられる。歯科的療法では対応できない。
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閉塞型(Obstructive SAS:OSAS)・・・ |
上気道の一部が閉塞することで無呼吸となる。胸腹壁の呼吸運動を行っているものの、鼻腔や口腔における気流が停止している状態で、睡眠中に気道が物理的に閉塞されて引き起こること。
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混在型・・・ |
両方の型を持っている。 |
これらの3つの病型の中で閉塞型が圧倒的に多く、SASの90%〜95%を占めている。
ほとんどのSASに対してスリープスプリント療法は適用できる。
上気道狭窄の影響因子
形態的異常・・・ |
小顎症、歯列不正、アデノイド、扁桃肥大、胖大舌、肥満に伴う上気道軟部組織への脂肪沈着、関節の異常(リウマチによる)下顎骨の後方変位がある。
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機能的異常・・・ |
上気道筋(オトガイ舌骨筋、オトガイ舌筋、口蓋帆帳筋)の活動度の低下がある。 |
最も多く見られるのは、肥満とともに舌が肥大化すること。
痩せていても、舌が肥大していることで障害がでる。
就寝時に仰向けの姿勢をとると、重力で舌根沈下でイビキを生じることが多い。
その度合いが強くなると一時的に上気道が完全に閉塞してしまい無呼吸に陥る。
睡眠呼吸障害の弊害
HS、UARS、OSASのいずれも大きなイビキを伴う。体に大きな負担をかけるだけでなく、社会生活にも弊害を及ぼしている。
睡眠呼吸障害が続くと高血圧、高脂血症、糖尿病といった生活習慣病を引き起こし、さらに心筋梗塞や脳卒中などにより命を落とすこともある。集中力や思考能力、判断力を低下させてしまうことがある。(日中に突然の眠気など)
睡眠呼吸障害の治療法
SASの治療法は内科的、外科的、歯科的の分けられるが、主だった治療法が他にある。
*体重の減量・・・SASの特徴は肥満の患者が多い。
期間が要することや本人自身の努力に依存する。
減量しても改善がないこともあるため、他の治療法と併用せざるを得ないことが多い。
*基礎疾患の治療と誘因の除去・・・鼻閉の治療や禁酒、睡眠薬や鎮痛剤の服用中止などの原因除去療法と予防が重要になる。
*睡眠体位の指導・・・仰向けでは、舌根沈下を生じやすく、気道が狭小化して無呼吸が起こりやすい。横向きでの就寝を指導する。
*口呼吸の抑制・・・本来、鼻呼吸が正常であり、口呼吸になると気道が狭くなり、イビキや無呼吸になりやすい。口呼吸を防止するため、就寝時に口にテーピングし、鼻呼吸に努めるように指導する。
*外科的治療・・・原因が扁桃肥大、アデノイド、鼻ポリープなどはっきりしていれば、摘出や切除を行う。気道閉塞の原因が咽頭部にある場合は耳鼻科的手術法が行われる。一時よくなっても2〜3年で元に戻る人も少なくない。治療効果のない場合は、気管切開が最終手段になる。声が出ない、二次的感染の心配がある。
*経鼻的持続陽圧呼吸器装着(P-PAP)・・・鼻にゴムマスクを装着し、一定圧力の空気を送りこんで上気道の閉塞を防ぐ装置である。無呼吸を消失させ深睡眠を増やすことが確認されている。
AIが20以上で中〜重度のOSASと診断されれば保険適用となる。
しかし、一晩中持続的に陽圧がかかるので不快感や喉がカラカラに渇き、長時間耐えられない人もいる。持ち運びが困難で、毎晩の装着の維持が問題である。SASやUARS、HSには保険適用外なので、だれにでも導入できるわけではない。
*スリープスプリント療法・・・舌顎を前方に数ミリ移動させる。舌も同時に移動するので、舌根沈下が防止される。
適応症・・・年齢が18歳以上精神的障害がない。寝つきが良い。慢性的な鼻閉、扁桃肥大、アデノイド等による上気道の解剖学的異常がない。
中川式呼吸テストが陽性である。(鼻の通りが良くなることが理
解できる)重度(手術適応)の小下顎症ではない顎関節の構造や機能に異常がない下顎の前方可動距離が8mm以上ある。骨植のよい残存歯が20本以上ある。不良のインプラント・不良補綴物がない。
スリープスプリントはアクリルレジン製である。保険は適用外である。
睡眠呼吸障害の診断は医科の領域なので異常をチェックしてもらい、さらに呼吸器内科・精神科などの睡眠検査などと連携して、歯科的治療を進めるのが良いかと思われる。
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